凛太郎は元柚彦さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

The Son/息子(2022年製作の映画)

5.0

誰も悪くない。だから辛い。息子も母親も父親も、互いに愛し合っていることはわかってる。だから近づいて寄り添おうとする。でも近すぎて、お互いを理解できないのに、自分の物差しで測って良心を押しつけて、結局空>>続きを読む

アウトポスト(2020年製作の映画)

4.0

2014〜2016年辺りはフューリーだのローンサバイバーだのハクソーリッジだのと、戦争映画のヒット作が多く出た年だったが、それから数年戦争映画も落ち着いてしまったな…と思っていた矢先、久しぶりに面白い>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.0

本当の愛を描いてる不思議な映画。
本当の愛に直面し、人としての禁忌を冒してしまった男女のジレンマ、そしてその顛末に終止符を打つため「別れる決心」をした。その「別れる決心」とは、自分という証拠を葬り去っ
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ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016年製作の映画)

4.5

スターウォーズは宇宙規模の茶番劇だと思ってるし、SF映画界のゴミだという主張は変わらないが、これに関してはクソおもろい。傑作。
スピンオフだが、本来スターウォーズで描かれるべきテーマとリアリティが完璧
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浅草キッド(2021年製作の映画)

4.8

ビートたけしが好きで見たが、胸が苦しくなった。誰にも理解されない美学やポリシーがあって泥臭く夢を追い続けることの厳しさ、切なさ、残酷さ、孤独、ジレンマ。色んなものが詰め込まれてて自己投影してしまった。>>続きを読む

ビースト(2022年製作の映画)

3.0

珍しいライオンパニック。
百獣の王の群れの中に一頭だけ人間を喰うためじゃなく殺すために襲ってるヤベェ奴がいる…っていう導入からワクワクするし、ライオンが姿を見せるまでの緊迫感も凄い。
茂みの奥から姿を
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

5.0

今年暫定1位。
男映画のエンタメを作る上でやるべきことを全部やってくれてる。
レース映画あるあるだけど、余計な面倒くさいドラマは極力やらず、ずっと観客が欲しがってるシーンを与え続けて、アドレナリンを高
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ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012年製作の映画)

5.0

6年ぶりに再鑑賞。
ただのサバイバル漂流記withベンガルトラだと思って見てるとラストでぶん殴られる。
人間は動物本能と理性が共存する稀有な生物だ。欲望を満たし、生存するために野生本能が反応し、だが一
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ジュリア(s)(2022年製作の映画)

5.0

人生は無数の選択の連続である。主人公はジュリアという一人の少女。ピアニストを目指していた17歳の秋。そうあの日!あの日、ベルリン行きのバスに乗り遅れていなかったら…?彼と出会ってなかったら…?スクータ>>続きを読む

春に散る(2023年製作の映画)

3.5

横浜流星マジすげぇよ。なにあの眼。野心と狂気を孕んだ眼。スクリーン越しに観客を喰ってしまうような眼圧が凄まじい。
対戦相手を窪田正孝が演じているが、無垢な少年の残酷さとファイターとしての強みを兼ね備え
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ラブ&マーシー 終わらないメロディー(2014年製作の映画)

3.8

ザ・ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンは真の天才だと感じる。
ブライアンは頭の中で声がする、と言っている。声の正体は、おそらく彼の創作の閃きのことだろう。頭の中を支配するクリエイティブの渦はやがて
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イエスマン “YES”は人生のパスワード(2008年製作の映画)

4.5

鑑賞5回目ぐらいだけど、マジで完璧な脚本と演技だと思う。
引き寄せの法則的なYESの押しつけがましさが云々……みたいなレビューをたまに見かけるけど、それはあくまでも舞台装置であって、押しつけではなく見
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.2

MIシリーズも最終章というわけで、何となくシリアスになっていく予感はしてたけど、これまたとんでもなく大きなテーマに挑戦したな。
本作の敵はいよいよ〝自我を持ってしまったAI〟という幕引きから始まる。
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座頭市(2003年製作の映画)

3.8

北野武映画週間。
勝新太郎の座頭市を北野武がリメイク。もともとど直球なエンタメも好きなのでおもろかったし、人見知りで寡黙なんだけどお茶目な最強キャラ像が俺が思うビートたけしそのまんまで最高だった。
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Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

4.2

北野武映画週間。
「痺れる」という感想しか出てこない。
タケシ映画って特別映像が美しいとかカット割が考え尽くされてる、とかそういう訳じゃないのに、ふとした日常のワンカットや間に漂う空気感が〝本物〟だか
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3-4x10月(1990年製作の映画)

4.2

これ、クソみたいな草野球のクソみたいな便所でクソしてる時のクソみたいな幻視、というオチだとしたらだいぶ傑作だぞ。

血と骨(2004年製作の映画)

5.0

北野武映画週間。
金俊平は肉食の獣のような父親だった。強靭な肉体と恐ろしい形相で周囲を睨み、暴力と狂気を振りまわし、思い通りの地位を築きあげる。その矛先は、やがて家族にも向けられることになる…。

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マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

3.0

死んだ人が生き返らないように、自分の人生の一部が死ぬという、乗り越えられない〝喪失〟を現実的に描いたドラマ映画。自分はもう前に進むことができない、でも君はまだ若い、進める。だから僕は一人で行く。そんな>>続きを読む

キングダム 運命の炎(2023年製作の映画)

4.5

おもろすぎる。何で三本目の続編でこんなおもろいことになるんや。勘弁してほしい。
日本のエンタメの最高峰かもしれんし、余裕でMCUに匹敵してる。
そんで、特筆すべきは吉沢亮、本作に限って演技を超えた何か
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菊次郎の夏(1999年製作の映画)

5.0

北野武映画週間。オールタイムベスト。
たけし面白すぎる。菊次郎のろくでもなさに腹抱えて笑った。ユーモアのセンスが凄すぎる。
この映画、ろくでもない親戚のおっちゃん的なリアルな魅力があるよな。
そういう
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ソナチネ(1993年製作の映画)

5.0

北野武映画週間。
大好きだ。極上の映画体験、早く映画館で観たい。
映画全編に漂う死の匂いがたまらん。
死んだあとに沸き立つ腐臭ではない。
死の匂い、すなわち死が背後に立っている瞬間の生の香りである。

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.5

えええええ!?!??
……めっちゃジブリやん。
宮崎駿パイセンよお、御歳82歳にしてまだこんな世界を思い描いてんのかよ。
ポニョ以降、芸術家脳から作家脳へ転じたと思っていたが、これは紛れもなく芸術だ。
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

3.5

ストーリー展開がわかりづらくて情報過多なのに、起承転結の概念がないから、体感4時間ぐらいだった。
クライマックスのような盛り上がりがのべつ幕なしに乱射されるから映画自体にカタルシスはある。
スパイダー
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夜を走る(2021年製作の映画)

3.0

突拍子もないストーリー展開や演出、意味深な謎セリフを入れまくることがかっこいいと思っている監督と、それをアート的で良いと思えちゃう自分が好きな観客のマスターベーションムービーだと思った。
ただ、カット
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日本のいちばん長い日(2015年製作の映画)

4.0

1945年8月15日は終戦の日である。
この一日を境にして、日本という国は以前、以降という形でまるっきり変わった。あるいは、変わってしまったと表現することもできる。
これが良いことなのか悪いことなのか
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怪物(2023年製作の映画)

3.5

マジでネタバレ厳禁という売り文句はやめたほうがいい。特に本作に関しては、テーマもメッセージ性もすでに邦画や日本文学ではやり尽くされてるものだし、視点変更で真実を明かしていく手法も「またお前か…」感が否>>続きを読む

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

2.5

同じベクトルだが天と地の差で面白いガーディアンズオブギャラクシー3を見たばっかだったので、傑作と凡作の違いが明らかになってしまった。
全体的に内輪の悪ノリが多いというか、タイカ・ワイティティ監督がヘラ
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

5.0

ありがとう、ジェームズ・ガン。
個人的MCUの最高傑作に躍りでた。ちなみに次点は前作。
映画を見ても滅多に泣かない俺だが、今回ばかりは10回程涙腺が崩壊してしまった。
ガーディアンズ最高!ロケット最高
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ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

3.0

もしも二分後の未来がわかったら…?
カメラを止めるな!を見たときと同じく「良くできた大人の学芸会コント」という印象である。
この手の設定の場合、自由意志があるならすぐにパラドックスが生じる行動を起こし
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.8

人は常に「もしもあの時こうしていたら…?」という問いに囚われている。
人生は選択の連続である。
彼女に告白するか、諦めるか。諦めてもその先の未来に進めるが、もしかしたら別の宇宙に告白した自分がいる世界
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マーターズ(2007年製作の映画)

4.2

フレンチホラー四大巨塔の一つ。
もう二度と見たくないが、初見のインパクトがあまりにもでかすぎるので高評価。
まさに血も凍るような空気感。リアルすぎる殺害描写。恐ろしすぎるビジュアル。
観客が頭の中で想
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

2.2

ホラー映画と思いきや、SF映画だと思いきや、B級バトル映画だと思いきや、カルト映画だった。
大前提として言っておくが、俺は考察ありきの作品が嫌いだ。映画自体がエンタメ性に溢れてて面白かった上に、考察を
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タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター(2023年製作の映画)

5.0

映画好きになってから8年間、数多もの名作を観てもタイタニックだけは避けてきた。
オススメしてくる友人や親をスルーして「絶対に劇場で見る。ジジイになるまで待ってやる」と決意してから8年経ち、ようやく夢が
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女神の継承(2021年製作の映画)

3.5

「想像を絶する怖さ」と定評があるタイ産ホラー。
幽霊、怪物、悪魔、妖怪だのとホラー業界には色んなクリーチャーがいるが、本作に出てくるホラーの対象はなんと〝女神〟と。
結論、マジで見なければよかった。
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愛を読むひと(2008年製作の映画)

4.2

舞台はホロコースト直後のドイツ。15歳のマイケルは偶然出会った36歳のミステリアスな女性ハンナに心奪われる。二人は関係を深め、いつしかベッドの上でマイケルが本を朗読することが日常になっていた。
しかし
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SEOBOK/ソボク(2021年製作の映画)

3.0

主人公は余命宣告された元エージェント、ギホン。近未来の韓国では、遺伝子工学が進んでおり人類初の不老不死を実現したクローン人間〝ソボク〟が誕生している。ギホンは、世界各国から狙われるソボクを護衛する任務>>続きを読む