ゴトさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ゴト

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恋恋風塵(れんれんふうじん)(1987年製作の映画)

3.9

都会の風は冷たいなんてのは、ひと昔前の話で、今じゃ都市部も地方もそこまで大きな差はなくなっている様に思う。でも、環境が変わることで心境にも変化が生まれるのはいつの時代も同じだろう。

ワンとホンは幼な
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COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

3.6

その土地に根付き、伝えられてきた謠はそこに生きる人々の血と共に受け継がれ、心に刻まれていく。

ヴィクトルとズーラ、二人の愛だけでなく、彼女が愛した謠もまた、時代の波に引き裂かれていく。生まれ育った土
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37セカンズ(2019年製作の映画)

4.2

障害者の性だけじゃないけど、そういうデリケートなモチーフを、はいどうぞとそのままテーブルにドンと置くやり方は、日本ならではな気がする。古くは「さようならCP」とか。個人的には演出する側の不器用さが変に>>続きを読む

キッスで殺せ!(1955年製作の映画)

4.0

数年ぶりに観たけど、そういえばこんな話だったね。この映画がカルトと言われている理由をすっかり忘れていた。

世の中知らなきゃよかったなんてことは色々あるとは思うけど、これに関しては正直関わりたくもない
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周遊する蒸気船(1935年製作の映画)

3.5

一時期、アメリカ南部の音楽をよく聴いていた。ブルースやなんかをね。今はもう結構売っちゃったりしてあまり持ってないけど、マディ・ウォーターズとかまだ何枚かは残ってる。

まあ、それ自体はこの映画に何の関
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トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

4.5

何もかも失った女の凛とした美しさたるや、素晴らしいの一言に尽きる。

事故で夫と娘を亡くしたジュリー。家財道具を処分し、屋敷を売りに出し、家政婦と庭師にもこの先不足のないように計らい、自分は一人アパー
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ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を/ブラ物語(2018年製作の映画)

3.6

アンダーグラウンド好きとして、観ておきたい映画。ただ、クストリッツァのような雑多な賑やかさはなく、静かに話は進んでいく。もちろんそういうテイストなんだから当たり前なんだけど。

だから、随所にみられる
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.1

4dxで観てきました!
アトラクションのような座席の動きは、スピード感あるレースシーンにはうってつけといった感じでとても良かったです。

作品自体もストレートなアメリカ映画という感じで良かった。ヒーロ
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白く渇いた季節(1989年製作の映画)

3.9

誰だって平穏無事に暮らしたい。良心はあっても臭いものに蓋をすることで、それが叶うならそうするのが普通だろうし、責められることじゃない。でも、それが出来ない人間も少なからずいる。

一介の教員が、家族を
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麻雀放浪記(1984年製作の映画)

3.6

ギャンブルの映画というと、「カイジ」が思い浮かぶ人も多いかもしれないけど、ああいうアップダウンの激しいノリとは違う、もっと硬派な映画。勝つか負けるか、天国か地獄かだけではない、男の生き様が滲み出てくる>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 「万引き家族」に続いてまた貧困問題を扱った映画がパルムドールを獲るのかと思ったけど、テイストはまるで異なっている。

 貧困や格差社会が根底にあるのはどちらの映画も同じだろうけど、はっきりとした違い
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セルロイド・クローゼット(1995年製作の映画)

3.7

映画を観る時、作り手が作品に込めた思いをいかに汲み取れるか、自分はそんな視点で観ることが多い。何故こんなカメラワークなのかとか、なんでこのセリフなのかとか、そんなところから作り手の意図が見えた気がする>>続きを読む

追想(1975年製作の映画)

3.7

全てが分かりやすいくらいに徹底されている。

最初のシーンで描かれる、陽の光を浴び、仲良く並んで自転車を漕ぐ三人家族の姿。カメラに向かって進んで来るのは、家族が幸せの只中にあることの証か。とても温かで
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荒野の千鳥足(1971年製作の映画)

3.8

自分は元々そんなに飲めないけど、アル中が主人公の映画を観るとなんだか無性に飲みたくなる。本当はお酒を控えようって思うべきかもしれないけど、役者さんの演技が上手いからなのか、アル中ほど酒を美味そうに飲む>>続きを読む

マカロニ(1985年製作の映画)

3.8

人生を前向きに生きていく為の出会いとモラトリアム。

航空機会社の副社長として社会的な成功を収めたロバートは反面、孤独でその心は凝り固まっていた。これは見えてきた人生の終わりと虚しさの残る今の自分を示
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ゾンビランド:ダブルタップ(2019年製作の映画)

3.8

古き良きアメリカ(そこまで牧歌的でもないけど)と銃こそ正義の感じがまるだしの映画。色々な価値観が認められてきた今の社会では「良くも悪くも」と言われそうだけど、個人的にはちょっと排他的な南部アメリカの雰>>続きを読む

死の王(1989年製作の映画)

3.6

大なり小なり、皆「死」に関心を持つ。誰だっていつかは死ぬわけだからね。

そこからインスピレーションを得ることも全然あることだけど、あくまでもそれは死を後ろ暗いこととして捉えている場合が大半である。
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スール/その先は…愛(1988年製作の映画)

3.9

アルゼンチンの歴史はあまり知らないけど、これが激動の時代を描いていることはわかる。

軍事政権が倒れた1983年のある夜、死者がある男について語り出す。青白い光に包まれ、過去の亡霊のごとき幻影が浮かび
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わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

3.6

映画には原作というものがある。それはいいんだけど、原作に頼ることの出来ない若手がオリジナルの脚本で勝負して、それが評価されたのにメジャーな作品では原作物ばかり監督する。っていうのがなんか勿体ない気がす>>続きを読む

テルアビブ・オン・ファイア(2018年製作の映画)

3.5

実体験以外の事を書くって難しい。知らないんだから。

だから、頭の中で如何様にも組み立てられるはずのものなのに、勉強しなきゃいけない。で、新たに知った事実が頭の中で出来つつある物語の根幹を揺るがしたり
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インビクタス/負けざる者たち(2009年製作の映画)

3.7

ワールドカップは終わりましたが、ラグビー熱は未だ冷めやらぬ感じですね。少し遅いですが、南アフリカ優勝おめでとうございます。にわか以下の素人な自分も友人に勧められ、なんやかんやでワールドカップ観てました>>続きを読む

楽日(2003年製作の映画)

3.8

らくび。これは最後の日のこと。古びた映画館。そこでかかっているのは、往年の名作映画。しかし、観客もまばらで一見するとスクリーンの内と外とが大きく乖離したような寂しさが漂っている。セリフもストーリー性も>>続きを読む

ブリキの太鼓(1979年製作の映画)

4.0

無垢なる存在であらんとして、3歳で自ら成長することを止めたオスカル。

何者にも汚されまいとする彼は図らずも太鼓を叩き、声でガラスを破るという特殊能力に目覚める。現実にはあり得ない突飛な設定だが、これ
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バジュランギおじさんと、小さな迷子(2015年製作の映画)

4.1

すごく温かくユーモラス。

主人公の彼女役が同じなこともあってどうしても「きっとうまくいく」がチラついたけど、学歴社会を風刺し、鬼校長に結果という分かりやすい形で応えていった同作に対して、この映画はイ
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カビリアの夜(1957年製作の映画)

4.3

日々過ごしていく中で、ふと自分を俯瞰で見て幸せか不幸せかどちらだろうと考えてみる。幸せな人間は何故自分が幸せなのか分析してみようとは思わないが、そうでない人は幸せになる為に何をもって自分は幸せだと言え>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.4

冒頭にある自分と世間、狂っているのはどっちだ?的なセリフが全てな気がする。

つまり普通の人が普通に出来ていることが出来ない自分と自分を受け入れてくれない社会、どちらが正しいのかということであり、貧富
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帝都物語(1988年製作の映画)

3.6

昔、シャドウハーツというゲームがあって、それは珍しく現実の世界を舞台にしたRPGなのだが、その「2」のラスボスが加藤という日本人の軍人だった。面長で背が高く、軍服姿で妖術に長けたその姿は魔人・加藤保憲>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.0

タランティーノ!
文字通り映画史を塗り替えるまさかな結末!掟破りなことした映画だなー。でもだからこそワンスアポンアタイムインハリウッドなんだな。虚実が表裏一体となって人々を呑み込んでいく映画の都らしい
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風と共に散る(1956年製作の映画)

3.5

「去りぬ」の方は有名ですが、こちらを知ってる人は少ないのでは?似たような邦題ですが、関連性はないし、パロディでもありません。バッタものかと疑う人もいるかもしれませんが、すぐにカメラアングルなどしっかり>>続きを読む

ドッグマン(2018年製作の映画)

3.7

逆らうことの許されない暴力的な飼い主に支配された犬、若しくは決して鎖に繋げられることのない猛犬に振り回される飼い主。どちらにも言い表すことの出来る二人の関係性。

背丈も腕力も性格もまるで違う二人は人
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鉄道運転士の花束(2016年製作の映画)

3.4

人を轢き殺しても罪に問われんのかい⁉というツッコミはブラックユーモアということで目を瞑るとして、どんな仕事でもついて回る責任とどう向き合うかは誰しも一度は考えたことがあるのではないか。

実際に列車で
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世界の涯ての鼓動(2017年製作の映画)

3.6

この世界は余りに広い。でも一人一人が生きる世界は存外狭い。目一杯手を伸ばしても届かない世界のことは分からない。外側に暮らす人々に気を払えるような余裕もないかもしれない。しかし、それでもほんの少し指と指>>続きを読む

マイライフ・アズ・ア・ドッグ(1985年製作の映画)

3.7

全然そんなつもりもなく観たんだけど、何となくぼくの夏休み的な内容。

薄幸で不器用な少年は抑圧された環境から解放されたかのように、新たな友と出会うことで少しずつ成長していく。青春、憧憬、喪失の痛みと犬
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ラルジャン(1983年製作の映画)

4.2

最近、老後に2000万要るとか言う話もあったけど、実際どうなんですかね?お金の話になるとどうも金額というか数字ばかりが先行してしまうけど、そうではなくお金そのものについて考えてみるのも面白いかもしれな>>続きを読む

無防備(2007年製作の映画)

3.2

千夏が出産を控える女性というだけになってしまっていたりと、物足りない部分も多いがこういう映画を撮るというところに監督の気骨を感じる。

こんなことやる必要もないし、やらなくても成立するはずなのにやって
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天気の子(2019年製作の映画)

3.7

洒落で観に行ったら面白かった。新海誠は日本の文化、習俗に興味があるんだろうね。ヒロインの女の子はつまり雨乞い師なわけで。そういうのを上手いことアニメって形に収めている感じがして、作り手の意思が汲み取れ>>続きを読む