よーすけカサブランカスさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

よーすけカサブランカス

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3時10分、決断のとき(2007年製作の映画)

4.5

これも久々に。これほど様々な層からの物語を差し込んた多層的な西部劇もないのではないか(西部劇の基本である復讐のカタルシスは一切ない)。不甲斐ない父と息子、鉄道による経済の変化、南北戦争による国の傷、そ>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

4.0

夜の森といういかにもホラーな舞台にふくよかなラッセル・クロウがスクーターで現れるその瞬間にこの作品の色調が決まるあ、これは「勝ってるな」と確信する。
悪魔憑きに対する「基本は信じない」というスタンスも
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トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)

4.6

久々に見たがやはり凄い。なんと言っても長回し。だが単に長回しだから凄いだけではない。これほど手持ちによる長回しにこだわるのは常に内戦状態にある緊張感をこちら側に味わわせるためだが、フィッシュ及び難民た>>続きを読む

ほの蒼き瞳(2022年製作の映画)

4.0

こういうちょうどいい規模の大袈裟でないミステリーはもう配信でしかおめにかかるのが難しくなってきた(だが今回のストライキによって配信が生み出した歪みもまた明らかになった)。
雪景色に髭を蓄えたクリスチャ
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.8

まだ全体を消化できたとは到底言い難いけども。
戦争に対する恐怖、怒りと後妻(叔母)の受け入れ難さ(父に対する釈然としなさもある)というミクロとマクロ両面の厭世観からの回復、といえるのだろうか。
死後の
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ウォッチメン アルティメット・カット版(2009年製作の映画)

3.7

こっちは初見。アメリカの各所にウォッチメンが登場するオープニングはやはり興奮する。だがこれはさすがに長すぎると思う。ジャスティスリーグの方は長さに説得力があったが、こっちは劇場公開版ほのうがベターに思>>続きを読む

囚われた国家(2019年製作の映画)

3.9

ここまで直球に?エイリアンを単なる隠喩として使っているSF映画も珍しく清々しいなと思いながら見た(第9地区よりもエイリアン無しで成り立つ度合いは高い)。
すべてが監視されているなかレジスタンスが追っ手
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戦火の馬(2011年製作の映画)

3.6

内容忘れてたので再見。
人間にとって馬ほど従順かつ力の強い動物はいないので結果戦争にまで駆り出されてしまう。また馬を通してWW1を俯瞰しようとする物語でもある。感動の再会の後でも結局競り、かと思いきや
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Pearl パール(2022年製作の映画)

3.7

ミア・ゴスのミア・ゴスによるミア・ゴスのための……と言いたくなってしまうほどの作品。老老介護という現代的な問題も散りばめながら、若い女の抱く夢、夢を捨てざるを得ず老い、慎ましい妻として家に閉じ込められ>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.5

比較的牧歌的な話かなと思ってナメていた。スリービルボードのマーティン・マクドナーなのに。
初めはパードリックの退屈さが分かってコルムの気持ちも分かったりして2人の痴話喧嘩に笑ってたんだが、指のあたりか
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

3.4

正直嵐莉奈目当てで見た。のだが、あまりに入管のシステムがクソすぎて申し訳ないという以外の感情が持てず映像作品としての評価が難しかった。ただ嵐莉奈は終始美しく、演技も想像以上に良かった。
あと初めてルー
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地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

4.5

これが4Kで観られるようになるのはほんとに良いこと。
十年以上ぶりに見返したが、すべてが王なるための道のりなのだと確認できた(カーツ大佐は金枝篇を所持していた)。序盤の何がなんでもサーフィンしたいおじ
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アポカリプト(2006年製作の映画)

3.9

マヤの首都?の祭壇に連れていかれるときの住民たちの熱狂、狂信ぶり、迫力は凄まじく恐ろしいのだが、僕らと同じ表情をしている捕虜の彼らは、これが文明か、と憧憬の気持ちもあるのでは、と思う。とにかく首を切り>>続きを読む

ソラリス(2002年製作の映画)

3.7

宇宙へ飛び出し惑星ソラリスに近づくまでの描写をまるごと省いているので、ほとんど全編がステーション内で繰り広げられる。しかもコピーとはいえちゃんと人が演じているので、ガワを見れば低予算の会話劇みたいにな>>続きを読む

セデック・バレ 第一部 太陽旗(2011年製作の映画)

3.6

勿論日帝の警官の横暴は目に余るし復讐されてもまあ仕方ないのだが、蜂起しても無駄死にだ、若者の命を粗末にできない、という協力を拒んだ他の頭目の言葉に頷いてしまうなあ、思っていた。そしてクライマックスに起>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.0

マルチバースという言葉はもうヒーロー映画というコンテンツが総決算を行なうためのものでしかなく、ノーウェイホーム然りスパイダーバース然り絶妙なサプライズを仕込みながら大人の事情によって歪んだ歴史をうまく>>続きを読む

悪の法則(2013年製作の映画)

4.3

そろそろ見返さなきゃなと思っていた矢先のコーマック・マッカーシー死去である。
公開当時流行りのジャンルだった麻薬戦争ものの一つだが、そのカルテルの恐ろしさを描写するのは共通しつつもテーマは暴力と命その
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ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

3.5

いやなんで犯人に従っちゃうんだよ、と普通は思うがどうもそういう映画ではない。大学に勤める犯人の動機は一切描写されない。意図的に女を標的に選んでいるが、性欲とはどうも違う。後半になると犯人が犯行を練習し>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.3

初っ端の企業ロゴから他ユニバースタッチを挟み込むイカれた情報量が140分続くというのは本当に凄まじい(少し疲れた)。観客が追いつけないことを恐れず隅々まで盛り盛りのアニメーション、会話を繰り広げるこの>>続きを読む

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.6

優れたホラーは現代人の不安をそれとなく写し出してしまうものだが、この作品に関してそれは育児の不安ということになる。文字通りアクシデント的に叔母は姪を家族に迎えることとなるが、仕事に生きてきた彼女はなか>>続きを読む

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.6

内容忘れてたので再見。油も人もおどろおどろしい。ダニエル・デイ・ルイスは演技が上手いとかどうこう以前に狂ってるようにしか見えないほとだった。息子の事故のあとポール・ダノを泥の中で痛めつける場面があるが>>続きを読む

PIG ピッグ(2021年製作の映画)

3.1

浮浪者的ルックスの男があまり愛でられる対象ではない豚を使って(ほんとはめっちゃ可愛いんだが)、お高くとまった者たちの高級食材トリュフを見つけて、という題材はなんかすごい広がりそうな予感があったが、そん>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.5

自伝的と言うのなら自身の成功(あるいは失敗)に至るストーリーか家族にまつわるストーリーになるが、まあ家族の話ではあるものの、芸術を志すものが背負うことになるカルマをこれ以上なく鮮やかに描いている。
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ダーク・アンド・ウィケッド(2020年製作の映画)

3.4

結局敵が何なのか説明はないが、状況としては老老介護を強いた子たちへの恨みに悪魔がつけ込んだ、と言えるかもしれない。
攻撃が遠回しなのは精神をじわじわ攻めるためだと(死霊館のロジック)理解できるが、あま
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.5

祖母に「さよなら」を言えなかった後悔から始まる物語だが、次に起こるタイムスリップは単にそれを挽回する単純なものでは無い。
それは母のかつての姿であると同時に自分と母のコピーでもあり、祖母のかつての姿に
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.6

ライダーは平成の前半しか観ておらず、エヴァは履修済みという状態での鑑賞。テレビシリーズの二時間編集版という印象だった。良くも悪くも僕がハリウッドの構成に慣れすぎているのだが、説明から怪人5人(サソリ除>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.9

思ったより笑いが下品めだったりで、ビデオスルーになりそうなインディー良作(いい意味で)な雰囲気だと思ってたら最後は結構綺麗に収まったのでいい驚きで観終えた。マルチバースのミシェル・ヨーの映像の挟み方も>>続きを読む

アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

3.4

序盤の劣化SWみたいな舞台設定には失望したが(お決まりの部族社会なレジスタンスと高度文明都市)、ジョナサン・メイジャーズの好演に救われた。カーンが映るだけで画面に緊張感が生まれていた。稀有な役者だと思>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.8

信仰、レズビアン、という筋より僕はシャーマン映画という筋で観ていた。あまりに敬虔すぎて無自覚にトリップ、キリストを降霊できる体質のベネデッタ。
だがそんなB級ホラーテイストな主人公が本物かどうか、だけ
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LOOPER/ルーパー(2012年製作の映画)

3.5

2回目。1回目ほどにはインパクトは感じなかった。アイディアはかなり奇抜で面白かったのだが。
タイムリープだけじゃなく超能力まで出したのはやはり詰め込みすぎ、というか物語はいわゆるTK能力がなくても成り
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

4.3

貴種流離譚、ということになるのだが復讐の果てには名誉も王座の奪還もなく、(GOTとは違う)仇のフィヨルニルもすでに王ではなく彼もまた復讐を企む立場と言える。なので復讐の場としてスケールはかなり小さい。>>続きを読む

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.6

初回は字幕で見たんだが今回は吹替。これは正直日本語話者なら吹替で見るべきだと思う。なんと言っても金内吉男のHALの吹替が凄まじい。あの声の低さ、無機質さ。少しづつ機能を落とされている場面も同情と怖さが>>続きを読む

ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

4.0

4Kで久々に鑑賞。レイチェルの美しさが際立っている。
今でこそ「なんで社長はレプリカントが自分を攻撃できないようなコードを仕組まなかったんだ天才のくせに」とか思うのだが(ウエストワールドを観てると余計
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MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.9

彼氏の典型的なDV彼氏っぽい言動とロリー・キニア演じる特に神父の発言に同じ男でも嫌悪感があった。執念を感じる脚本だった。
最後の無限出産編は特定の男を弾いてもああいう男は湧いて出るように産まれてくるよ
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.5

映像作品でここまでバスケットボールそのものという絵を見たことがない。というのはスポーツのテンポを持ち込もうとすると映画の技法から逸脱する、と思われてたからだが、いやはや、ここまでやっても映画だった。伝>>続きを読む

マクベス(2021年製作の映画)

4.0

こんな予言の自己実現的な話だったんだな、と改めて思った。口にするのも恐ろしいから噤む、なんて場面もあるがそれのこと。
ほとんどがマクベス邸での出来事なので肝はその家の構造だが、長い階段、謎の吹き抜け、
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