湯のみさんの映画レビュー・感想・評価

湯のみ

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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

5.0

【世界は正直キツいけど、のその先】


リトルマーメイドでアリエルが「なぜ火は燃えるの 教えて」と歌う時、半ば反射的に目が潤む。

世界を知りたい(知らねば)と焦ったり夢見たりする気持ちは苦しいけれど
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(2023年製作の映画)

3.8

「首」ってタイトルだけに、序盤から首もげ死体の登場バーゲンセール。首をやる、首をとる、そのやりとりに自分自身の値打ちを託すように生きている男たちなのだけれど、こうもゴロンゴロンと首が出てきちゃ普通にあ>>続きを読む

BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

3.6

俊敏な安藤サクラ、ずっと見ていたい。ネリが走れば走るほど、ナイフをぶん回すほど、なぜか切なくなる。朝焼けの空にグッドラックと大声で届けたい。

ダメ弟役の山田くんは結構良かった!
あの憎めない感がある
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小説家の映画(2022年製作の映画)

3.7

ホン・サンス作品は『逃げた女』以来だけど大好きで、ただのおしゃべりを見てるだけで何でか楽しい。謎のズームは今回も健在。
「あー今スベったな」とか「お、意外と非常識だな…」とか、そういう地味な可笑しさま
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

宮崎駿、終活入ったんか?笑
宮崎じいさんの遠い日の原体験というか、精神世界をずっと見せられてるようで、なんか分からないけどずっと不穏で怖かった。
ラピュタもトトロももののけ姫も、こっから生まれたんだな
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レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)

3.5

「キムタクと信長がタメらしい」と誰かが言ったのがいまだにジワジワ面白くて笑ってしまう。

アラフィフを迎えたキムタクの恋愛ものって久々かつ貴重なのでは…?!

今回の主軸は夫婦のラブなので、史実的にど
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.9

うぅ〜怖かった〜!笑

ケイトブランシェットが指揮者役?!絶対に惚れるだろ…と思って楽しみにしてたやつ。めちゃめちゃハマってた(歓喜
さすがエリザベス女王役経験者、演技で権威を醸し出せるってすごい。
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.8

家族の物語を描きつつ、救済の意味について想像を巡らせられる作品だった。

誰しも心の内に愛情とか思いやりみたいな温もりがあるのと同じくらい、何も立ち入らせない孤独な空間やどうしようもないだらしなさを抱
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.0

ある主婦の、マルチバースを巻き込んだ覚醒の物語

笑い泣きしてるうちに本当に泣いてた(笑)

ボヘミアンラプソディーを初めて聴いたあとの感覚に似ているな。
こっちの方が元気で下品でラブリー。
目まぐる
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バビロン(2021年製作の映画)

3.7

序盤から色々めちゃくちゃですごいけど、これをわざわざ人の手で作り込んでるって思うとさらに凄みが増す。

今回、役者が好きな人たちばかりで。
やっぱりマーゴットロビーには見惚れてしまう。
彼女はほんとう
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

観て数日経つけど、うまい言葉が見つからないや
とりあえずすごく良かった。

「話したって結局一人」だという苛立ちや意固地な孤独は闘志の源。自分を救うのは自分だ。そんな中でも温かな方にゆっくりと開かれて
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2046 4Kレストア版(2004年製作の映画)

3.7

初めて観たのは高校生の時だったかな、全然意味分からなくて話も覚えてなかったんだけど、今回はちゃんと追えたので自分の成長を感じた(笑)
『花様年華』でのプラトニックラブにてすっかり性格を拗らせたトニーレ
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.9

何となく自分や世の中というものが分かりかけてきた中、今後の住処や人生における大体の方向性についてどこで手を打つか、はたまた「まだ打てぬ」と新たなコマ送りを模索したり、進むにしても勢いだけではなく戦略が>>続きを読む

オードリー・ヘプバーン(2020年製作の映画)

3.5

一通り伝記か何かで読んだことがあったんだけど、時勢も重なって結構ハードな生い立ち。
心の傷とコンプレックスに向き合いながら、それでも愛情というテーマから目を逸らさなかった人なんだと思う。
ロマンチック
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.0

ちょっと見た後言葉が出なかった。

高齢化社会が限界にきた日本で、国推奨により75歳以上の人間に自らの生死の選択権を与えるというPLAN75が制定された、一見価値観が崩壊したように思える世界。

だけ
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瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと(2022年製作の映画)

3.3

観ていると、とにかくお肉が食べたくなる。
美味しそうなごはんが繰り返し出てくるんだけど、すき焼き、ステーキ、豚カツ、などなど。この方本当にお肉が好きなんだなと思った。


17年の密着を通して、監督
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.8

斎藤工が序盤から例の数奇な運命を辿りながらも無駄にフェロモンを放ち続けるので「あぁ災難だ…ところでなんで君エロいねん?」って我に帰らされて面白かった。
そして最後はウルトラマンの生還を切に願って爽やか
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.8

さすが、仕掛け満載な構図はどこを切り取っても美しい〜。
シナリオ付きの長編ピタゴラスイッチを見ているようだった(笑)

3つの物語それぞれがとてもチャーミングで、迎えるラストは温かいほろ苦さ。
2時間
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ずっと独身でいるつもり?(2021年製作の映画)

3.0

大抵、色々周り道したけど私は私の道を歩みます、ってなるんだけど、最後「幸せです!」って言い切らないとだめなのかな?

寂しい時は誰かとくっつけばいいし、違うと思ったら別れればいい。
気持ちの変化を恥じ
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偶然と想像(2021年製作の映画)

3.8

意味を見出せない体験、宙に浮いたままの白黒の仕分け。
分かりやすいラベルを貼れない不安を抱えながら、同時に自分なりの愛着を持って胸に留めていたりする。

形が無いと思っていた領域が、ある偶然によってポ
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音楽(2019年製作の映画)

3.7

おもろい、かっこいいのシンパシーのみで全員が進んでくのがいい。
あと森田くんのモードチェンジっぷりが証明する、彼の音楽への造詣の深さ。さすが3万枚のCDを聴いているだけあって幅が広い(笑)
バンド再結
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.8

村上春樹の物語っていつも、他人の気持ちが分からなくて苦しいとか、後悔してるとか死にたいとか、普遍的な感情をわざわざ回りくどい暗喩で描いてる気がするのだけど、とりあえず想像を巡らせてるうちに自分の不安と>>続きを読む

私をくいとめて(2020年製作の映画)

3.3

脳内に相談役住まわせてるところ、ファンタジーとは切り捨てられぬ。

かなりデリカシーに欠けてるこの渡る世間、油断してると勝手に心を踏みにじられる怖さがある(という気持ちに多々なるのは、すでに色々拗らせ
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映画 太陽の子(2021年製作の映画)

3.7

何も成し遂げられないのが人生だ、という語りがあったけれども、
戦争には本来意味など持たない人間の命が、まるで意味とか目的を持つかのように錯覚させる作用があったのかもしれない。

幼馴染3人の会話中、こ
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TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

3.7

トーベには芸術家としての野心、埋め方の分からぬ好奇心と寂しさが漂っていた。
自分の心から目を逸らせないからこその自由と孤独。その正直さが魅力的な人だった。

思い通りにならない自他の情熱に揉まれる中、
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

4.0

あぁよかった、かなり不穏だった…親指が…
親指の位置をあんなに怖いと思ったことはない。
鈴木亮平のオーラがマジすぎて文字通りブルブル震えながら観た。

前作は大上とのバディな日々を通した日岡の成長譚的
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逃げた女(2019年製作の映画)

4.0

友達と自然に人生の話をできるようになったのは、いつ頃からだろうか。

わたしにもあの子にも、それぞれに心地よい形があるんだな
そんなことをやっと実感として憶えつつある中で、言葉にできなくてもいい優しさ
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.0

中村佳穂、友達のすすめでライブに行ってから好きになって、そんな彼女が主役なら間違いない!と思って劇場へ。
いやほんと、歌声を堪能するためだけでも、映画館で見る価値があると思う。
それくらい歌の力がすご
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ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

3.5

ナイトタウンでゴジラのネオンブルーが映えるって気づいた時、大発見だっただろうな🤔
コングが可愛くて頭いい愛されキャラだった(笑)

個人的にはvsムートーの時のような渋かっこいい感じが好きなんだけど、
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HOKUSAI(2020年製作の映画)

3.8

北斎ってこだわりつよつよ面白じいさんのイメージだったんだけど、柳楽くん演じる若かりし頃の北斎は意外にも、自らの承認欲求に翻弄されたり人との才能の差に苛立つなどしていて、しっかり青い時代を経ていたのがよ>>続きを読む

クルエラ(2021年製作の映画)

4.0

泥棒業のかたわらデザイナーになる夢を抱く女の子エステラが、ある時から復讐の炎を燃やして邪悪なクルエラへと変貌を遂げる。
いや〜むっちゃかっこよくて可愛かった!
エマ・ストーンのヴィラン最高。

使える
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人間失格 太宰治と3人の女たち(2019年製作の映画)

3.3


太宰が創作に際し、実体験をどれくらい混ぜ合わせ切り離していたかは分からない。彼がこのような人物であったとは言い切れないし、あたり前にこの映画も考察の一部に過ぎない。

だからここは真偽から一旦離れ、
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オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

3.8

チャーミングなビルマーレイに愛着を感じずにはいられない。
どちらかというと父親っ子として育った身としてはなかなかキュンとくる作品だった。

プレイボーイで陽気な父親は冒険を共にする相棒として、娘を色ん
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メアリーの総て(2017年製作の映画)

3.7

フランケンシュタインの作者が女性だなんて知らなかったけど、メアリーの女性としての体験がないと書けなかったんだな…としみじみ。
そんな傑作の(←説得力)誕生秘話を作者の人生をなぞらえて描いた物語。
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.3

自分の境遇を受け入れきったようでありながら、その内には脆く繊細な心を抱える凪沙。その危うげなバランスで気高く生きる彼女の姿が見ていて刺さった。
草彅くんの視線、指の先、肩の揺れ全てに凪沙を感じた。素晴
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

4.3

期限つきだからこそ、青春にかける情熱はミラクルを孕んでる。
少しの一歩が連鎖を呼び、いつの間にかこわごわしたスクールカーストも、HIPHOPに乗せてびゅーんと飛び越えて。見たことのない素顔、思いもしな
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