このレビューはネタバレを含みます
語るのが難しい映画だ。〝映画〟としての完成度や役所広司の演技については文句のつけようがないのだけれど。
まず、なんか、リアルじゃないと思った。
僕が言うリアルというのは、例えば、
「林檎は赤い」>>続きを読む
どうかしてるくらい素晴らしい映画だった。どうやったらこんな映画作れるの?
コメディ映画史であり、恐慌、戦争、テクノロジーの進化を踏まえた時代を描き、1人の男の年代記でもある。
それを全カット絵になる>>続きを読む
ニュースを見ていると政治の腐敗に虚しい気持ちになるのと、ここ数日体調不良でしんどかったので、何かスカッとするものを、ということで鑑賞。
予想に反してスカッとするような映画ではなかった。むしろ人間と社>>続きを読む
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まず、男であるリドリー・スコットがこの作品を撮っているというのが、自己言及的な視座があり、素晴らしいと思う。
レイプ野郎を撃ち殺し、逃避行の過程でテルマとルイーズが自由を感じ、人生を楽しんでいるよう>>続きを読む
正月なので寅さんを、ということで鑑賞。
今見ると女性観の古さがノイズになってしまい素直に楽しめなかった。
とはいえ、こう言った時代性の違いによる価値観の差異を感じるのもたまには必要なのかも知れない。>>続きを読む
Netflixでロアルド・ダール短篇集が配信していると知り、まず1作目を観る。
朗読劇であり、演劇であり、文学であり、映画と言える短篇だった。
ウェス・アンダーソンは視覚的なセンスだけでなく、ユー>>続きを読む
数年ぶりに再見。
「みんなと同じように出来ないし、なりたい自分になれない」というのって、実は全然変じゃない。
人に理解されるのが難しいくらいの特殊性を持っていると隠そうとするけれど、〝それ〟は内>>続きを読む
ついにピエール・エテックスがU-NEXTに来た!
サイレント映画的なエテックス自身の身体性が最高だったし、ギャグも冴え渡っていた。いやー、笑った笑った。
バスターキートンより、ジャックタチより、チ>>続きを読む
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鑑賞後、この映画について考えているとどんどん好きになった。ケリー・ライカートの初期作に比べるとちょっと劣るかも知れないけれど、めちゃくちゃ大好きな映画。
冒頭、女性が白骨を掘り起こす。時代が飛び、1>>続きを読む
年末がドタバタでクリスマス映画観てない事に気が付き、正月に鑑賞。
いつだって、責任逃れをするくせに手柄は自分で持ってこうとするクソッタレ管理職が全ての状況を悪くするんだよね。
愛する人のために、自>>続きを読む
僕はこういう〝映画についての映画〟が大好き。それだけでなく、メタフィジカルな構造を映画史における差別に絡ませて描くという、テクニカルな構造だった。ジョーダン・ピールの主張は作品を追うごとに鋭さが増して>>続きを読む
心の一本。憂鬱になると観たくなる映画。死と生、異常と正常の相克に苛まれ、痛みと共に開放される。そんな時に、人は何をするか。ただひたすら走るのだ。とにかく走れ。駆け抜けろ。ありがとう、塚本監督。
多分、ダーレン・アロノフスキーは『レスラー』でこの映画を参考にしていると見た。
あと、淀川長治が試写でこの映画に感動して谷崎潤一郎に勧めたらしいけれど、谷崎にはあまり響かなかったそうな。
語るべきポイントが多くて、全部を語ろうとするととっ散らかった感想になりそうだから、まずは焦点を絞ってみる。
物語の核の一つに、前作から登場したメイジーの苦悩がある。彼女は相変わらず閉じ込められた生活>>続きを読む
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大好き。バヨナ監督の作家性が色濃く反映されていた。それは、『永遠のこどもたち』や『怪物はささやく』のような、子供を軸に据えたダーク・ファンタジー的な画作りだ。
今作で登場したクローン少女メイジーが抱>>続きを読む
もはやお決まりの展開。テーマが戦争になってる部分に時代性を感じた。強欲なヤツが残酷な死に方するのはある種のカタルシスがあるからいいのだけど、市井の人々が無惨に死ぬ姿を見るのはちょっと心が痛む。まあでも>>続きを読む
90分にまとめているのが凄い。
「男の子は2種類いると思っているんだ。天文学者になりたいタイプと宇宙飛行士になりたいタイプ。天文学者とか古生物学者というのは、安全な場所で不思議なことを研究する」>>続きを読む
ブニュエル、タルコフスキー、黒澤明をごた混ぜにしたうえで解体し、いびつに組み立てたような印象。社会主義の抑圧や宗教的受難を背負わさせたマルケータ。幸せになって欲しい…。と願わずにはいられなかった。>>続きを読む
新作のための準備。
スピルバーグは怪獣映画を撮りたかったのかな、と思った。Tレックスがアメリカに降り立つシーンはテンションあがる。ローラ・ダーンがいない分ちょっとだけマイナス。3からは未見なので、楽>>続きを読む
再鑑賞。イ・チャンドンは本当に川が好きだな〜。
神を信じたうえで、神に対して背くという在り方もある。無神論よりも苦難な道だと思う。そんなイバラの道を一緒に歩く存在、すなわち隣人の存在が、何よりの救い>>続きを読む
新作のための準備。
大人になりきれないオタクのおっさんの成長譚という、いかにもスピルバーグらしい映画。いま鑑賞しても、匂い立つような恐竜の実在感が本当にすごい。あと、やっぱりローラ・ダーンの顔だよね>>続きを読む
田舎のトチ狂った家庭に銀行強盗の爺さんが迷い込む。そこにいるマフィアに憧れる少年(ブリキの太鼓のオスカル君)が、本当に素晴らしい。少年かくあるべし。ラストシーンを繰り返し見たくなる一本。
クーパー・ホフマンの微笑みで涙ぐむ。
『リコリス・ピザ』はPTAのフィルモグラフィーでも最も軽い映画だと思うので、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』や『ザ・マスター』系が好きな人が肩透かしを食らうだろ>>続きを読む
車椅子モノの元祖なのだろうか。『何がジェーンに起こったか?』がこの翌年に公開だし。『バニーレークは行方不明』も影響受けてそう。
兎にも角にも丁寧に作られてるな〜と思った。カメラの視点がほぼほぼ車椅子の>>続きを読む
まさに熱病に浮かされて見る悪夢のような映画だった。現実と幻想、現代と過去がかき混ぜられ、境界が曖昧になっているので、観ている最中は間違いなく混乱する。自分がどこにいるのか分からなくなる。訳わからね〜、>>続きを読む
怖くない幽霊映画。ジャック・タチ演じる幽霊が微笑ましい。幽霊が誰にも視えない、という部分がとても大事なのだなと思った。視えてしまうと別れが必要以上に感傷的になってしまうためだ。人知れず幽霊が去っていく>>続きを読む
記録は大事だなと思い返し再開。
とんでもない映画だった。ヤクザ映画にして青春映画。ラブストーリー、さらにはドキュメント的な要素まで。昭和から平成の変遷を全力疾走で駆け抜ける164分。
社会が変わり>>続きを読む
再見。僕はリーガンが検査されるシーンが一番怖い。フリードキンの鬼のような逸話を知ってこの映画を観るとところどころ笑えます。
・カラス神父が電話でびっくりするシーンは、監督が拳銃をぶっ放してびっくりさ>>続きを読む
すごい世界観。これぞダークファンタジー。この世界を観てしまうと、同じようなジャンルの映画が色褪せてしまう。細部にまでこだわってこだわって世界を作らなくてはいけないと思った。
夢を見ることができないと早>>続きを読む
待ちに待ったオリヴィエ・アサイヤスのブルーレイボックス。カラックスの『汚れた血』を思い出した。誰もが書くと思うけど、音楽が良い。レナード・コーエンとかニコが流れて嬉しい。監督の自伝的な映画だから、きっ>>続きを読む
ロメロのゾンビ映画の足元にも及ばない感じはあるが、こういう映画を撮る人がいないとつまんないよね。ありがとう、ジャームッシュ。こういう映画を映画館で観たいのよ。あと、あのスタンドの兄ちゃんと友達になりた>>続きを読む
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暴走する妄想。次第に現実との区別がつかなくなる。それは誰にでもあることだと僕は思う。僕は小学校のころいじめにあっていて、本当にニコラのように荒唐無稽な妄想に逃げていた。まぁそれはいいか。
ニコラの場合>>続きを読む
映画において『見せない』ことはとっても重要だと思う。見えないことによって人は想像する。それが恐怖を生むのだと思う。さらには見えない部分の余白が物語に深みを与える。
光と影の使い方もお手本のよう。研ぎ澄>>続きを読む
何もかもうまくいく、不自由のない人生。そんなものは多分ありません。誰しも、辛い時期や不条理や不自由に喘ぎながら過ごす時期はあるのではないでしょうか。そんな時に心に寄り添ってくれるものこそが、芸術なの>>続きを読む
例え家の中にいても映画は広い世界に連れ出してくれる。ヴェルヌがこの物語を書いたのは19世紀。その時代でも想像力が物語を創造していたのだろうと思う。