絢爛豪華なグリーナウェイ版テンペストは申し訳ないくらいハマらなかった。豪奢に描けば描くほど、雑な扱いの個所が目に飛び込んできた。
そしてジョン・ギールグッドとワダエミの無駄遣い感が半端ない。シェークス>>続きを読む
ラストはまさにピーター・グリナウェイの真骨頂。
完全にアウトな描写もあるので、もうきっとこんな思うがままの展開の映画は出てこないかもしれない。
寡黙の人、ビクトル・エリセのデビュー作。アナの印象が強くて、これがフランコ政権批判の映画だとは以前はまったく思わなかった。実はこの家族が当時のスペイン人の4つの象徴としてとらえられていたそう。アナはス>>続きを読む
ファーストシーンを見て展開と結末を思い出した。貫かれる「腐敗とシンメトリー」 。シンメトリーは腐敗によって崩れる、とはまさに言い得て妙。
この徹底した英国のシニカルさと知識のひけらかしは好き嫌いが分か>>続きを読む
時間軸を操るクリストファー・ノーランの原点であり、上質な佳作。
恐ろしいほどの映像美と漂うエロティシズム。構造物と人との絶妙な距離感とバランス、光の取り入れ方など、強烈なこだわりが終始貫かれていた。
このレビューはネタバレを含みます
「here」に続けて鑑賞。
見終わった直後よりも数日後に深い余韻が半端なく押し寄せてくる映画。期せずして起こったある夜の出来事から、夜明けとともに、普段のルーティンに戻る清々しさ。ただ、彼女の気持ちは>>続きを読む
ベルギーのブリュッセルを舞台に移民の現状をストレートに描きながら、人々のささやかな日常と主人公の心の機微が繊細に物語られていた。この地がこれほど多国籍の人たちの上に成り立っているとは思わなかった。彼>>続きを読む
映像は限りなく美しい。
「ピアノは私」というようにピアノを通して主人公の性と自立が丁寧に描かれている。
ただ、今見るとツッコミどころ満載。波打つ砂浜とピアノという情景を映したかったのだろうが、ピアノの>>続きを読む
ロッタちゃんにいらつくか、癒やされるかはその人の度量次第。でもみんな大なり小なり、子ども時代、こんなことしていたんだよなぁ。
話の内容よりファション、インテリア、車、暮らしぶりが強烈に刺さった。ごくご>>続きを読む
14歳のリアル。とがって、傷ついて、誰もわかってくれない、もういいや…と。
50日間の密着とはいえ、よくここまで言葉を引き出せたと思う。感受性が強くて言葉の武装もまだまだだけれど、誰もがストレートにキ>>続きを読む
ビクトル・エリセが随所に自分自身を色濃く投影させた映画。彼の映画に対する情熱(このままで自分は終わらないという強い思い)が痛いほど伝わってきた。
子どもの頃の出来事や当時、目にしていたものが無意識に次々と思い出された。家族や近所の人との関係、暮らしや昔からの風習を慈しむところなど、めちゃくちゃ既視感があると思ったら、まさに昭和。「サザエさん」「>>続きを読む
父のスペイン南部への失意と強い郷愁、娘のまだ見ぬ地に対する憧憬。詩的な印象を醸し出しながら圧倒的な静謐さをまとい、繰り広げられる父娘のストーリー。
こっくりとした色調の映像はとめどなく美しい。特にファ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
ミステリー仕立ての様相のヒューマンドラマ。妻の歯に衣着せぬ言葉の波状攻撃が、さすがカンヌ受賞とも言えるが、法廷シーンはなんとも腑抜け。
事件の真相は見る人に委ねるというスタンスが、今どきというべきか。>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
初めて見たとき、30分後に爆睡し、目覚めたらエンドクレジットだった…、ということで、仕切り直して8日後に再鑑賞。
凄い、凄すぎるの一言に尽きる。内からの告発というのはこういうものなのか。気を抜くとお>>続きを読む
俳優も映像も申し分ないのになぜかストーリーに厚みがないのはあまりに物事がうまく運ぶ展開のせいか、あえて章ごとに分けて見せる構成のせいか? それにしても後半の無駄のない行動を見るにつけても、主人公の最初>>続きを読む
3時間半があっという間。主役であるレオナルド・ディカプリオを連邦捜査局のトム・ホワイトではなく、事件の加害者に変更し脚本を変えたことで、封印されていた闇をより一層深く描ききったと思う。それにしてもあま>>続きを読む
流行りのダッフルコート欲しさに一生懸命バイトで小銭を稼いだのに、いざ買ったら旬は過ぎていたという、あるある。ファーストシーンの2人の黒人男性のダッフルコート姿は確かに格好よかった。
アホなんだけれども>>続きを読む
歩くときも、座る位置も、考え方もすべて横並びの2人組のナンパ顛末記。モン・サン・ミッシェルのダンスホールへ行ったのは(登ると言っていたのが可笑しい)、スリをした後、転がるように坂道を駆け下りるシーンを>>続きを読む
ユスターシュのヰタ・セクスアリス。美しい田舎の風景は光の職人と言われるカメラマンのネストール・アルメンドロスのなせる技。ロメール作品のような美しい情景はこれだけでも見る価値あり。ユスターシュの作品の中>>続きを読む
顔だけが取り柄で、女性に依存しているヤサ男のパリの日常。一方的にひたすら話す、話す。カフェや自宅で5月革命、文化大革命と今どきのワードを並べて知識をひけらかしているが、上澄みだけで中身はない。
ドゥ・>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
タイトル通り、昼夜問わず飲む。どこでも飲む。片道切符を買い、酒を飲むベルリン旅と言うだけあって終始一貫、無言で浴びるように飲んでいた。だらし無さを感じないのは、舞台衣装のような派手な服を取っ替え引っ替>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
そこから逃げ出したのに、洗脳から逃れられず、自ら戻るという挿話をそのコミュニティの紹介ビデオ風に(皮肉たっぷりに)作った映画。彼女は今や献身的にコミュニティのために尽くしていますと、手に負えなかった要>>続きを読む
申し訳ないが、アリ・アスターのゴリ押し感が出ちゃっているとしか思えなかった。いろいろ中途半端。
「オオカミの家」がよかったからこんな感じで作って…、みたいな。
ジャーナリズムの根幹を問う映画。
根強くはびこる女性蔑視とアウト・カーストという二重差別に真っ向から立ち向かい、タフに取材を続ける彼女たちに希望に満ちた未来とともにこれから先、決して危害が加わらないこ>>続きを読む
これは実験的な映画なのか? 恐怖よりも主人公の生々しさだけが妙に残った。スザンナ・ヨーク自身が脚本にも携わり、劇中で語る児童小説も本人が書いたという。どうりで。意欲作だというのは認める。でもカサヴェテ>>続きを読む
好奇の目から生まれる無意識下の優位性と悪気のない差別が充満していた。人間の愚かさを嫌というほど見せつけられた気がする。「本人が幸せならそれでいいじゃないか」と劇中のセリフがあったが、70年代当時のドイ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
まずは約15時間を完走した自分を褒めてあげたい。もちろん、睡眠もそこそことっていたことはここだけの話。ダラダラと始まった内容は回を進めるごとにギアがかかり、フルパワーで面白くなっていった。ラスト2話の>>続きを読む
3重の入れ子構造のストーリーは現実がモノクロで劇中劇が天然色。独特の可愛らしいレトロな色調マジックにかけられながら50年代のアメリカの虚構とちょっとした闇がポップに繰り広げられていた。絶妙なさじ加減。>>続きを読む