しゅーげさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

しゅーげ

しゅーげ

映画(1098)
ドラマ(4)
アニメ(0)

二十四の瞳(1954年製作の映画)

4.4

情感がショットから染み出してくるような、美しい映画。子どもたちにはそれぞれの人生があり、先生はその人生と関わりあうことで、子どもの生を生きる。と同時に先生自身の生も生きる。時代を先生・子どもの二つの側>>続きを読む

ルパン三世 カリオストロの城(1979年製作の映画)

4.0

宮崎駿らしさが所々に見え隠れしている。美しく若い囚われの身の娘を強欲な男が支配しようとするが、主人公に助けられる、という構成などである。特にラピュタとの相似が見える。

拝啓天皇陛下様(1963年製作の映画)

3.8

戦争をこのようにコメディ調に扱えたことは、日本映画史において重要な意味を持つであろう。左幸子は相変わらず艶めかしく、西村晃も好演。戦争に巻き込まれたひとりの愚直なまでの男を市井の目線で描いた名作。『真>>続きを読む

八つ墓村(1977年製作の映画)

3.6

橋本忍の過去と現在を行き来する素晴らしい脚本によって、呪いある村で起きる惨劇が描かれた上質の映画。しかし金田一先生はやはり石坂浩二がよい……。ぶっきらぼうで右往左往させられるショーケンがいい味を出して>>続きを読む

愛のむきだし(2008年製作の映画)

1.3

人間の感情の中で一番厄介で激しい愛というものを、剥き出しで撮るとこうなるのかという感じではあるが、ラストシーンのためにこれだけの尺は必要だったのかと思う。監督の感性とは合わず。

ヘヴンズ ストーリー(2010年製作の映画)

2.0

どうして少年犯罪者の名前と居所を知ることができたのか、なぜ電話番号を知っているのか……など細かい点はいい加減、リアリティがないので、全体で時間軸を操ろうという努力が空回りしている。長いだけの作品。

宇宙からのメッセージ MESSAGE from SPACE(1978年製作の映画)

3.5

明らかに不必要な登場人物やコッテコテの河内弁のにいちゃん、原発廃棄物を掴んで楽しんだり、宇宙で飛行船が炎の中爆発したり……突っ込みどころしかないカルトもカルトSF。スターウォーズの向こうを張ったものだ>>続きを読む

世界大戦争(1961年製作の映画)

3.7

東宝らしい家族愛や日常がテーマで、戦争はそれを壊すもの、という道徳観に支えられている。第三次世界大戦がどのような経緯で始まってしまったのかが深く切り込めていないのはいささか。しかしバッドエンドで終わる>>続きを読む

宇宙人東京に現わる(1956年製作の映画)

3.4

色彩監督に岡本太郎を起用した日本初のカラーSF映画。荒唐無稽なストーリー展開だが、パイラ人がちょこちょこしてかわいい。50年代の東京がカラーで映っておりそれも貴重。

炎628(1985年製作の映画)

5.0

ナチスの戦争犯罪を描いた映画だが、生の意味を教えてくれる。登場人物がカメラを「見て」いるので、台詞の意味すらなくなる。目と皺。ヒーローのいない戦場。日常の中に入り込んでくる戦争の狂気が、じわじわと観る>>続きを読む

英国王のスピーチ(2010年製作の映画)

4.4

トム・フーパーらしい美しいショットがいくつもあり、題材も友情を主題にしたところから、魅力が溢れ出ている。傑作の見本のような映画。

ガス人間第1号(1960年製作の映画)

3.7

ガス人間(!)が恋をする能の女師匠、八千草薫の美しさよ……。能というのは、あの世=幽霊の物語であるから捕まえることのできないガス人間と同じフィールドに立っているわけである。ニクい構成に唸ってしまう。

邪魔者は殺せ(1947年製作の映画)

1.3

懸賞のかかっている瀕死の主人公を巡る人間模様。主人公の見る幻想や時々現れる表現主義的な画面は見所としてあるが、極めて退屈。主人公がIRAの支部長であるにもかかわらず弱く、実に邪魔者で観ているものをイラ>>続きを読む

蛇の穴(1948年製作の映画)

3.9

この時代にこれだけの精神病院を映した映画が撮れたというだけで素晴らしい。オリヴィア・デ・ハヴィランドの内的独白は彼女の前意識であり、彼女の無意識は精神科医によって説明付けられ治療される。フロイトの肖像>>続きを読む

ロジャー&ミー(1989年製作の映画)

3.7

マイケル・ムーアの謎めいた正義感は鼻につくが、クリスマスの日、GMの大量失業に関して社長に直談判する時のモンタージュが素晴らしい。

スパイナル・タップ(1984年製作の映画)

4.9

最高だ!本当に最高だ!これぞロックン・ロール!日本でチャート入りするのも常套!ボーカルの彼女がバンドを壊すのも常套!あらゆるロックバンドの抱えるであろう舞台裏の問題がコメディとして描かれている。歌詞も>>続きを読む

大魔神(1966年製作の映画)

3.7

特撮ものを代表するカルトシリーズ一作目。大映らしく丁寧な時代劇がまずあり、その上に民間信仰を据えることで、重厚な作品となっている。ゴジラよりも大魔神!遠藤太津朗の演技も良い!

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)

3.6

回答の全てにストーリーをつける。運命的なクイズ解答は、自身の過去へと向き合わせる。答えが当たっていても喜びを見せない点に過去、スラムの重さを感じる。

第9地区(2009年製作の映画)

3.9

とても良くできた映画。エイリアンになりかけの主人公がエイリアンと親交を結ぶあたりは面白いし、エイリアンの居住区はアパルトヘイトの名残でありエイリアンは隠喩となっている。モキュメンタリーになっている点も>>続きを読む

アンヴィル!夢を諦めきれない男たち(2009年製作の映画)

4.9

夢を追い続ける人生の苦さ・甘さ・素晴らしさの全てがこの映画にはある。メタルという音楽ジャンルだからこそのアツさがその思いを掻き立てる。紛れも無い名画であり、アンヴィルはメタルキングだ。

マグノリア(1999年製作の映画)

1.2

評価が高い映画だが、全体的に退屈。見せ場を作ろうとしても、あまりにも作為的であり、メタな演出にも辟易してしまう。

プロジェクトA2 史上最大の標的(1987年製作の映画)

3.3

三つ巴の戦いからジャッキーは味方を探さなくてはならない。ストーリーそのものよりもはやコメディとなっているジャッキーの戦いっぷりが素晴らしい。

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐(2005年製作の映画)

3.8

テンポも良く愛する人を守るために暗黒面に堕ちたアナキンの思い、いくばくか。だんだんと目つきが悪くなっていくのも興味深い。

スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃(2002年製作の映画)

2.3

設定上の様々な単語のせいで物語を追うことが苦痛になって、鑑賞ストレスはとても大きい。ここまで来るとカルト映画の域を出ない。

スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス(1999年製作の映画)

3.5

オリジナルシーズンの前日譚ということで、「いままでなにがあったのか」という謎解きとして観てしまうので物語として楽しめない。

ポエトリー アグネスの詩(うた)(2010年製作の映画)

3.9

詩を題材にしたならばもっと重厚なストーリーが描けるはずだが、ある女性の決心への物語と捉えれば一級品。イ・チャンドン監督映画はいつもラストが素晴らしいのだが、この映画もそうであり、詩という物語を、死者で>>続きを読む

オアシス(2002年製作の映画)

4.0

時折挟まれる夢のような描写が素晴らしい。そこには全てが自由で白昼夢を思わせる世界が広がっている。障害者の視線は「普通の人々」の世界から離れれば離れるほど美しい。「映画」という一つの「謎」を叩きつけられ>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還(1983年製作の映画)

3.8

[再見]
要するに宇宙を巻き込んだ壮大な親子喧嘩なのだが、それに付帯する小さなストーリーと「画面からいかに目を離させないか」といったアクションの連続であっという間の2時間半。

スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(1980年製作の映画)

3.6

[再見]
ルーカスの想像力は幼児がベッドルームで描いた世界を宇宙にまで広げる。それは理想郷としての共和国であり、『アメリカン・グラフティ』の古き良き50’sだ。

スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(1977年製作の映画)

3.8

[再見]
スターウォーズが他のSF作品と違うのは、明らかに気味の悪い宇宙生命体や、高さ、狭さ、速さ、有名な「あの」音楽など人間の知覚に訴える刺激をスクリーンに映したことであろう。これを感じてしまったら
>>続きを読む

折れた矢(2012年製作の映画)

3.9

崔順実ゲート事件で全てをさらけ出した韓国という国のかたちを実際の事件をもとに告発している映画。名優アン・ソンギの演技が光る。

ジェイコブス・ラダー(1990年製作の映画)

3.3

キリスト教のモチーフ(ヤコブ・イゼベル)や様々な映像手法を使って虚実入り混じるサスペンスな展開を演出しているようであるが、とどのつまり死んだはずの人間が彷徨うというお話。

狼男アメリカン(1981年製作の映画)

3.8

最良のホラー映画はある種のコメディ映画でもある、ということを立派に証明した作品。「英国田舎伝説モノ」にアメリカ人が関わるという構図も面白いが、とにかく狂騒的なギャグもあり面白い作品。音楽、中でもCCR>>続きを読む

ヤング・フランケンシュタイン(1974年製作の映画)

3.0

『フランケンシュタイン』のパロディであるが、メル・ブルックス特有のコメディセンスがわからないと辛い作品。セクシュアルなギャグはおもしろい。

赤い影(1973年製作の映画)

3.5

現実を解体していくモンタージュにより不安が増幅されていく。画の洪水ともいうべきか。ヴェニスという猥雑で宗教的な町の表す死の影が、見るものを閉所恐怖のような気分にさせる。

コースト・ガード(2001年製作の映画)

3.6

軍隊というホモソーシャルを崩すのは「頭がおかしくなった」元・兵士と、女である。民間人に対する発泡問題から軍の内部崩壊まで、鬱々とした感情をただひたすらに描いている。