ケーティーさんの映画レビュー・感想・評価

ケーティー

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

イノベーションの光と闇を描いた作品


オッペンハイマーを若干美化している気もするが、イノベーションは人類の歴史に進化と同時に、新たな闇をもたらしてきたという普遍的な問題を描く。

日本での公開前には
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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

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エブラヒミさんの芝居が印象的だった。しかし、本当に描きたかったのは犯人なのでは……


エブラヒミさんの迷いのない芝居が素晴らしい。その求心力で、映画をどんどん見せていく。

はっきり言って、犯人が捕
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零落(2023年製作の映画)

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演劇と映像のセリフ回しの違い


商業演劇でも活躍する劇作家・倉持裕さんが脚本を担当する本作。雑誌に脚本が掲載されていたので、読んでから鑑賞した。

倉持さんの作品と言えば、戯曲でもシュールな笑いが面
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

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岸井ゆきのさんの芝居は素晴らしいけど、結局作者は何をしたかったのか……


正直なところ、岸井ゆきのさんの芝居が素晴らしく、彼女の心揺さぶられる姿に感情移入してしまえば、映画としては観れてしまうのかも
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ハッピーニューイヤー(2021年製作の映画)

4.4

人間のみっともなさをちゃんと描いた作品。
だからこそ、愛おしい。

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

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意味のないことのすばらしさ


合理性や効率性から考えれば、意味のないことばかり繰り返しているのだが、それが美しい。目標や目指すべき結果から逆算して行動することのなかった少年少女の時代の発想で描かれて
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グッド・ナース(2022年製作の映画)

-

無駄のない脚本。しかし、終盤のクライマックスのシーンは俳優の芝居で成立している。


最小限のセリフでサクサク進むが、それでいて、それぞれの人物の事情や人柄を初めにわからせるあたりがうまい。

もっと
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今夜、世界からこの恋が消えても(2022年製作の映画)

4.4

誰かのために生きる、そのシンプルなテーマを一貫して描いていてよかった。

みずみずしく、純度が高い作品。


主演の2人もぴったりだし、2人のための映画と考えても、これは成功例だろう。
脇役なども含め
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ダ・ヴィンチは誰に微笑む(2021年製作の映画)

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ダ・ヴィンチ最後の絵?をめぐるストーリーは、美術市場の全体像を明らかにするだけでなく、今の世界で誰が儲けているのかも浮かび上がらせる


一枚の絵の顛末を描く中で、美術市場とは何かを説明していく鮮やか
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.8

途中まで松本清張と思わせて、スカッとするラスト
愛の映画


作品中一貫して、セリフと行動の設定がとにかくうまく、実に引き込まれるのだ。
ストーリーは、途中まで松本清張先生の小説みたいな話の趣もあるの
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

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ポピュリズムの肯定とも受け取られかねない作品?
入り口の問題設定は極めて現代的だったのだが……


劇場で観ていて、観客が一番注目していたシーンは序盤の炎上シーンだった。他人の小さな女の子を救うため、
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

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モチーフの選び方がうまく、一つ一つのエピソードに映像になった時の面白さがある。それこそ、タイトル通り花束のような彩りをもった映画。


主要人物の趣味やエピソードを設定するとき、エピソードや設定として
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ヒーロー 靴をなくした天使(1992年製作の映画)

4.8

「白か黒か割りきれないところに、世の中はある」ということを伝える傑作。


※テーマには、「レ・ミゼラブル」を現代に置き換えた要素もあり、誰もがヒーローになれるというメッセージがアメリカ的な博愛精神も
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

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終盤で、現実味のない嘘が続いて失速したのがもったいない。カットバックを使ったオープニングを始め、終盤手前までのテンポある展開は今の時代向けでいい。


冒頭のカットバックによるテンションの上げ方や、終
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ボーン・スプレマシー(2004年製作の映画)

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ラストのセリフを含めてスマートなタッチとイメージを多用した見事な構成


フラッシュバックのようなイメージで、過去の音や映像を随所に入れ込み、それでいて説明シーンを最小限におさえ、アクションで見せてく
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パンチライン(1988年製作の映画)

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「人間はみな神の描いたマンガだよ」という台詞が象徴するように、芸人の悲喜交々も垣間見せていく作品


アメリカの寄席で漫談するコメディアンを描いた映画。売れない主婦の芸人が、医学部を退学になった若者の
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用心棒(1961年製作の映画)

4.1

時代劇への徹底的なアンチテーゼ


本作は、華麗な集団の殺陣、圧倒的なヒーロー、ヒロインの存在等々、そうした歌舞伎由来の伝統的な時代劇の型を徹底的に否定し、ある種その逆を行くことで、真実に迫ろうとした
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リベリオン(2002年製作の映画)

-

感情を表に出せない中で、主人公の揺れ動きをどう表現するか


感情をもつことを禁じられた世界を描くSFアクション映画。当然のことながら、主人公も感情を表すことができないので、それをどう描くかが難しいの
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福耳(2003年製作の映画)

4.1

言葉遊びや詩、それぞれの風情など脚本に味わい


公開が2003年なので、制作されたのはそれよりも前になる。まだ、個人情報保護法が制定される前だし、プライバシーの問題が声高になる前だからか、本作はどの
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マーウェン(2018年製作の映画)

-

想像の世界を人形の世界とつなげたうまさ


まず、本作が実話であることに驚いた。しかし、取材はあるにせよ、登場人物たちに寄り添いつつ想像を膨らませてつくっている感じが好きだ。

本作は、現代をどう生き
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大阪物語(1999年製作の映画)

4.4

本当の意味で芸人の生き様、芸人讃歌を伝えようとした映画
池脇千鶴さんの輝き、田中裕子さんと沢田研二さんのうまさも光る


「火花」や「芸人交換日記」など売れない若手漫才師の青春を描いた作品は多々あるが
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レインマン(1988年製作の映画)

4.5

自分の強さは何か?
それをだれのために使うか?
大切なものは何か?
そんなことを温かみをもって語る作品


親の車を内緒で乗り回して拘置所に入れられた過去から、実業家の親を見返すべく野心たっぷりに生き
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サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)

4.4

青春の頃に思い描いたように生きることができなくても、人は強く、輝いて生きていける
そんなことや、仲間への感謝の大切さを教えてくれる映画


この映画を初めて観たとき、現実の厳しさを描いているのに、それ
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アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング(2018年製作の映画)

4.4

引き算の発想の見事さ
企画倒れには終わらせない人間ドラマがある


この作品を劇場予告で観たとき、絶対に観たい!と思った。しかし、実際はどうなんだろう、後半が尻すぼみだったり観たら期待はずれかなという
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火花(2017年製作の映画)

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元々あらすじ・ストーリーのない原作をそのまま映像化することに無理がある
しかし、菅田将暉さんの名演は必見


原作を読んだとき、これはストーリーがないので、映像化は抜本的に構成を変えないと無理だろうな
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ラブ×ドック(2017年製作の映画)

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傑作・名作ではないが、要所要所のツボはおさえている映画


テレビドラマっぽいつくりだし、ポップな小道具やセットは漫画っぽい。しかし、名作映画を熟知している鈴木おさむさんが監督・脚本だけに、要所要所の
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(1954年製作の映画)

4.8

シンプルだが、普遍的で、外連味もあり、無駄のない天才的な映画


一言で言えば、人身売買の話(そう書くと嫌悪感を抱く人もいるかもしれないが、奉公も日本でごく最近まであったし、必ずしも特別な話ではない)
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クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)

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全体の構成や各々のシーンの作りなど、アドリブも功を奏した隙のない名作
ただし、今となっては古典で新鮮味や衝撃が当時の人のようには感じられないのかもしれない……。


訴訟社会のアメリカで本作のような作
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坂道のアポロン(2017年製作の映画)

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佐世保のロケーションの魅力、監督と出演者の才気、音楽もいいが、脚本が三角関係の描き込み不足でもったいない


澄んでいてどこか温かな映像は青春映画を得意とする三木孝浩監督の作風だろう。本作でもそのよさ
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ボクたちの交換日記(2013年製作の映画)

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映画でモノローグは諸刃の剣
本作は原作を尊重しすぎるあまりそこで失敗しているが、ラストに抜群のシーン


例えば、映画でも舞台でも、ラストでいい切り口があると、全体もよく見えることがある。本作は、私に
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嘘はフィクサーのはじまり(2016年製作の映画)

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ラストの切なさ
主人公のメンタリティに、日本人に通じるものがあり、日本ではウケなかったのかもしれない


本作は凄腕のフィクサーやロビイストの話ではなく、それに憧れ、実力不相当な運が転がり込んだフィク
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男はつらいよ 奮闘篇(1971年製作の映画)

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方言の強烈さ
親と子、あるいは家族との関係を描いた作品


「男はつらいよ」は、シリーズ化されてからは、落語のように枕が入って本編となるスタイルが多いが、本作はそこがよく効いている。まず枕として、ミヤ
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ミッドナイト・ラン(1988年製作の映画)

4.5

ラストのセリフがしびれる一作
構成・展開のうまさと俳優のよさが一体化した娯楽作だが、男の正義と友情という骨太なテーマが根底にある


賞金稼ぎで荒くれ者の元刑事が、賞金首の几帳面な会計士を連れて、アメ
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笑う招き猫(2017年製作の映画)

4.3

主演二人の熱演が、ポテンシャル以上の魅力を作り出す作品


これはすごい。主演二人の魅力が想像以上の出来を作り出している。はっきりいって、脚本や演出、撮影、編集など作品の基本となる部分はうまくない。各
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椿三十郎(1962年製作の映画)

4.4

展開・アクションで心情や人間像をみせていくすごさ
奥方と姫の設定の絶妙さ


この作品のストーリーは、ラストで悪党のもとへ乗り込んだ若侍たちに、椿三十郎が発する一言のために、全てが進んでいくといっても
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PARKS パークス(2016年製作の映画)

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生きることは楽ではない。しかし、誰にでも光る一瞬はある。
そんな温かなメッセージを井の頭公園や吉祥寺のやさしさで描く作品


井の頭公園をテーマに映画をつくるとしたら、ミュージシャンやバンドを題材にす
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