けんぼーさんの映画レビュー・感想・評価

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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

4.3

この作品が現代のアメリカで制作・上映されたことの意味を噛み締めつつ、じっくり鑑賞しました。徹頭徹尾、女性の立場・目線から紡がれるストーリーは、しかし、ほんの半世紀程前まで彼の国に実在した社会をほぼあり>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

数奇な運命を辿ったこの天才科学者を、賛否を極力交えずに淡々と描いていました。キリアン・マーフィーの本人としか思えない憑依ぶりには溜息しか出ません。ということで、明確なメッセージは感じられず、エンターテ>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.4

前作に引き続きIMAXにて鑑賞。物語の壮大な世界観にグイグイ引き込まれましたが、正直に告白すると、展開の目まぐるしさと人間関係の複雑さに、ちょっと置いてけぼりにされてしまいました😅次作鑑賞の前にもう一>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.7

めちゃくちゃ面白かった!というか、観た後にこれだけ様々な論点で語り合える映画も稀有だと思います。単なるミステリーにあらず。ベタな法廷劇にもあらず。現代的なあらゆる論点を含んだ、奥深いにもほどがある作品>>続きを読む

カラーパープル(2023年製作の映画)

5.0

死ぬほど泣きました。ミュージカル映画はただでさえ大好物ですが、本作には徹頭徹尾心を揺さぶられました。登場する全ての女性たちが掛け値なしにかっこいい!どの曲も申し分なし!黒人であり女性であるが故に二重の>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.6

こういうのを「問題作」というんでしょうか。露悪的で、途中で何度か席を立ちたくなる衝動に駆られました。エマ・ストーンの俳優魂には「そこまでやるか!」と感服するしかありませんが、昔好きだった子の醜態を見る>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

世評に違わぬ傑作でした。主人公がこのまま喋ることなくエンディングを迎えてしまうのではないかと心配になるくらいセリフが少ないのに、いや少ないからこそ、様々な信号が引っ切りなしに飛んでくる。ユーモアとペー>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.7

大作すぎて簡単なコメントですませるのは気が引けるのですが、とにかくディカプリオ氏の皮の剥け加減に瞠目しました。どこまでもダメ人間。でも憎めない。本作で完全に名優の仲間入りをしたと認定して文句はないので>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

5.0

ハードボイルド。ノワール。およそ3時間、悪い奴らが虫ケラのように蜿蜿と惨殺されまくる。ああ小気味よい(もちろん映画の中だから許されることですが)。我ながら、会社でちょっとムカっ腹が立つことのあった金曜>>続きを読む

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

5.0

大好きです。常に等身大のヒロインを共時的に追っていく手法も、思わずクスッとしてしまう上質なユーモアも、比類なき映像の美しさも、甘酸っぱい恋模様も、不器用な家族愛も。久々に「これこれ!」というツボな映画>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

4.6

こんな少年漫画みたいなストーリーあるかいな!と思いきや、実話ベースなんですよねぇ…。これまでモータースポーツに興味を持ったことはあまりなかったのですが、迫力満点のレースシーンに大興奮してしまいました。>>続きを読む

君は行く先を知らない(2021年製作の映画)

4.1

もっと起承転結のあるドラマを期待していましたが、先日鑑賞した「ソウルに帰る」同様、過去の経緯や何のためにこの一家がこんな羽目になってしまったのかについての説明が一切なく、全てを鑑賞者の想像力に委ねた上>>続きを読む

ソウルに帰る(2022年製作の映画)

3.8

心が荒みすぎた主人公フレディのあまりに無軌道で周りの人たちを傷つけまくる行動ぶりに正直引いてしまい、うまく感情移入できませんでした。「生い立ちを考えれば無理もないよな」という理屈で何とか処理しようとは>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

5.0

これを当事者であるマテル社が作ってしまうところに、やはり彼の国の民度の高さというか、ブラックユーモアの一言ではとても片づかない懐の深さ感じてしまいます。しかも笑わせまくった挙句、最後は泣かせるという…>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.8

脚本が売れっ子の坂元裕司氏というので何となく今日まで後回しにしてしまっておりましたが、すみません…やはり世評に違わぬ名作でした。鑑賞者に「あーそういうことね」と安易に決めつけることを許さない視点切り替>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.9

うーん…ウェス・アンダーソンがなんか楽しそうに映画を作ったのはめちゃくちゃ伝わってきたし、俳優陣も嬉々として演じてたので微笑ましかったけど…はちゃめちゃすぎてよくわかりましぇーん!(笑)二重三重の入れ>>続きを読む

裸足になって(2022年製作の映画)

4.2

次々と襲う絶望と悲しみに負けそうになりながらも前を向いて生き続けるフーリアの崇高な強さと美しさに、すっかりハートを射抜かれてしまいました。ダンスも白眉。一編の長編詩を映像化したような作品です。

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.6

予告編を観た時点で何が起きてしまうかは想像がついていたわけですが、むしろそれが起きてからが本作の真骨頂でした。ラストシーンに行き着くまでのレオの心の葛藤を、これでもかというぐらいじっくりと描写していく>>続きを読む

サントメール ある被告(2022年製作の映画)

4.2

ジャンルとしては法廷ミステリーだと思っていたのですが、たくさんの疑問符を頭の中から消せないまま、エンディングまで連れて行かれてしまいました。ネグレクトや偏見等の重いテーマも織り交ぜられてはいますが、社>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

5.0

昨日トム先輩の超絶大傑作を拝見した後だったので少々心配していましたが、全くの杞憂でした。エンターテインメントの塊です。テンポよく移り変わっていく冒険の舞台がそれぞれエキゾチックな魅力に溢れている上、ジ>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

5.0

えーっと5.0と表示されてますが、本当は50,000点です。面白すぎて感動の涙が出てきたのは人生初だと思います。いや、感謝の涙だったんでしょうね、こんなにすごい映画を作ってくれたことに対する。スパイ映>>続きを読む

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

4.6

アルコールでズタボロになりながらも根底にある尊厳を失わず、息子への忘れ得ぬ愛を糧に辛うじて生き抜いていくレスリーを演じ切ったアンドレア・ライズボローが本当に素晴らしかったです。スウィーニーとの距離の縮>>続きを読む

テノール! 人生はハーモニー(2022年製作の映画)

4.6

正直ベタなストーリーだし、伏線も回収しきれていない気がしないでもないですが…。そらあんな最後見せられたら泣きますがな!!ずるいです。登場人物も全員愛おしい。今年のフレンチは豊作すぎて本当にやばいです。>>続きを読む

時代革命(2021年製作の映画)

5.0

当時の香港で実際に起きていたこと。こんなにシリアスな状況だったとは…。恥ずかしながら全くわかっていませんでした。このあと、日に日に悪化していく(「大陸」と同化していく)彼の地の今と将来を思うと虚無感に>>続きを読む

⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

4.5

ミナの愛が海よりも深い…。前作「モロッコ、彼女たちの朝」に勝るとも劣らない傑作を届けてくれたマリヤム・トゥザニ監督に感謝です。「モロッコ〜」では無愛想ながら心根は温かい気丈なシングルマザーを見事に演じ>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

3.8

うーん、こんなもんなのかなあ…。面白くなかったとまでは言わないけど、スカッと感をあまり感じませんでした。ストーリーも抑揚がなく散漫な印象。どうも最近のMarvel作品からは期待どおりの手応えが得られま>>続きを読む

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.2

もっと劇的な展開および凄惨な描写があるものと覚悟していましたが、肩透かしに遭いました。想像力が試される映画ですね。宗教劇のような味わいもある、不思議な作品。オーガスト役のベン・ウィショーがすばらしかっ>>続きを読む

ウィ、シェフ!(2022年製作の映画)

5.0

ファーストカットを見た瞬間に感じた「きっとよい映画に違いない」という予想が的中しました。「こりゃお互い絶対に分かり合えないのでは?」というどうなることやら感満載の冒頭からは想像もつかないほど、いつしか>>続きを読む

パリタクシー(2022年製作の映画)

5.0

何という素敵な映画!ちょっと小粋なロードムービーかな?ぐらいの心構えで観ていたら…とんでもない傑作でしたぁぁぁ‼️わずか1時間30分の中に92年の人生が見事に詰め込まれています。ああ、ここでフィナーレ>>続きを読む

それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

4.2

フランソワ・オゾン監督の「すべてうまくいきますように」と同じテーマを扱いながらこちらはそこまで重たくなく、テンポのよいカット割りも相まってすいすいと観られました。生半可な製作者が手がけたら下卑た印象に>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.7

まず特筆しなければならないのは、ケイト・ブランシェットの鬼気迫る憑依ぶり。実在したモデルがいたわけではないリディア・ターという人物を完全に「本人」として演じているとしか表現できない、圧巻のパフォーマン>>続きを読む

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

4.5

前半はちょっと物語がチープかな?と思いながら観てましたが、最後はしたたか泣かされました。マイケル・B・ジョーダンのクリードは死ぬほどかっこよかったわけですが、七変化ならぬ三変化するデイミアン役をやって>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

5.0

失敗しました。週のど真ん中にチョイスする映画ではありませんでした。衝撃が大き過ぎて、明日会社に行けないかもしれません。色んな意味で写ってはいけないものがたくさん写ってしまっているし、劇中で死んだ人は全>>続きを読む

セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

4.7

傑作です。アダルトショップを舞台に繰り広げられる甘酸っぱい青春映画というあり得ない着地点を見事に実現した稀有な作品。謎の中年女店主カティアと、心に様々な葛藤を抱える女子大生サロールのえもいわれぬ不思議>>続きを読む

トリとロキタ(2022年製作の映画)

4.0

尺が短いのでもしかしたらとは思ったが、あまりにも救いのない結末。体調があまり優れない中で観たので、余計に堪えました。しばらく立ち直れないかもしれません。個人的には、トリとロキタがいかにして出会ったかも>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.6

極度の肥満が故に自由に動き回ることができない男が主人公とあって、映画の舞台は基本的に常に自宅の中(と、せいぜいベランダ)。このミニマルな設定の中で、かくも深く心を抉ってくる本作を生んだダーレン・アロノ>>続きを読む