猫背さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

猫背

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湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

3.6

宮沢りえの母性が不特定多数の人間に作用して跳ね返ってくる…みたいな話。常識に頼らないスタンスが格好いい。

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

4.1

ゾンビ映画だけど死を前にした諦めムードがだらっと漂っていて、脈絡も意味も無いような出来事が愛おしく思える。思い返せばティルダウィンストンは面白いだけ&セレーナゴメスは可愛いだけだったし、少年院の3人組>>続きを読む

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2017年製作の映画)

4.0

デモを行う市民と暴力で制圧する軍隊(警察)という構図、もう40年前の話だが今と変わらない。市民がスマホで撮る時代、告発は容易になる一方でなお言論統制や情報操作のようなものはあり、いっそう情報を受け取る>>続きを読む

アウトレイジ(2010年製作の映画)

3.8

バラエティに富んだ暴力…登場人物それぞれが凝った痛めつけ方を披露する中で加瀬亮だけがひたすら沸点低くキレ散らかしていて面白かった。クールなのに舐められに対する過剰反応が人間くさく、親しみを感じる。

ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

3.8

動植物や自然の造形が斬新…口笛で割れるクリスタルや虫をキャッチしては捨てる植物、筒から長い舌を出す鳥。わくわくする仕組みと残酷が共存している。

オルメイヤーの阿房宮(2011年製作の映画)

3.5

美しい娘ニナが男達の所有欲によって振り回され心を失っていく話、のように思えた。マレーシアの熱帯雨林、あんなに水浸しになりながら暮らしている人達が居るのか…濁って底の見えない川や夜の森に不安な気持ちにさ>>続きを読む

127時間(2010年製作の映画)

3.7

挟まった段階でもう先が見えてしまう。「それ」をやるんだろうな、やだなあ…と思いながらも映像としては極限状態が軽快な演出で映し出され、自然は圧倒的な美しさを持っているからなんとも複雑な心境に陥る。

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

4.2

時間の流れが静止し円環になったような時間感覚。男が女を探し出し、年輪の外から来たよと告げる。博物館の剥製。男の一生と死と愛が飛行場の一瞬に詰まっていて美しかった。

ザ・ブック・オブ・ヘンリー(2017年製作の映画)

3.8

天才少年ヘンリーの人生に対する答え。普通ならクライマックスになるような悲劇をさくっと描き(それさえ踏み台にした上で)、あくまで暴力を受ける隣人を救うことに徹するスタンスが新鮮で、滅茶苦茶なようで筋が通>>続きを読む

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

3.8

愛とは…みたいな話、全て言葉にしてしまうのは野暮かもしれないけど、状況の違う3人の若者がそれを懸命に捉えようとするのが清々しい。
漠然とした問題をテーマに掲げる一方、田舎町で暮らす彼らの生活の描写はミ
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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

4.0

気の向くままに遊ぶ子供と、それをなんとか制御したい大人の攻防。茶目っ気のあるエピソードが子供の頃の感覚を思い起こさせる。落書きも脱走も盗みも、暴力に近い圧力からの軽やかな抵抗で、躍起になって追い詰める>>続きを読む

ジャックは一体何をした?(2017年製作の映画)

3.4

短編ということもあり、気張らず自由にイメージを繋いだような作品。猿がふわふわで可愛かった、作るの楽しかったんだろうな…

最初の晩餐(2019年製作の映画)

3.7

家族ってなに?という問いを抱えながら、それぞれが関係を築こうと努力する姿が微笑ましい。考えるほどに分からない、他者である家族に、料理を作り食卓を囲むことで少し近づくことが出来る。

COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

4.0

度重なる侵攻によって失われ、再興してきたポーランドの地が、このふたりの物語にぴったり合う。時代や環境が変化する中で、繰り返し歌われる民族音楽。説明的なセリフがなく、美しい白黒の映像で物語ってくれるのが>>続きを読む

アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

3.2

演出が過剰なのはどういう意図なんだろう…恋人を追いかける場面、交通安全ビデオのBGMみたいなのが流れてて轢かれるんじゃないかとひやひやした。やいやい突っ込みながら観るのが楽しいと思う。

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

3.6

背伸びして傷ついてを繰り返す思春期の女の子。喋り方をマネて人気者の型を身につけるより、目の前のダサい男の子を大切にするほうがクールへの近道な気がする。

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)

3.8

泣き喚く声と散らかった部屋、でっぷり太った母が搾乳機つけて放心している図がショッキングだった。
壮絶な育児をこなす母親はまともに眠ることも気晴らしに出掛けるとこも出来ない…人として当然の欲求が抑圧され
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(1954年製作の映画)

3.6

ザンパノを呼ぶ声が耳に残っている。不器用も怠慢も言い訳にはならない、ジェルソミーナにとっては差し出されたものが全てなんだぞと自分の中のザンパノに言い聞かせたい。

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.3

静雄が良かった。素直で他人を思いやるが故に少し傷ついてる。僕は二人の邪魔をしていないかな?と訊ねるカラオケの場面が印象的だが、そこに居ていいむしろ居てほしい。昼間に道を歩いたり花を飾ったりびよびよ笛を>>続きを読む

ワイルドライフ(2018年製作の映画)

3.8

家庭崩壊と山火事が似ているという話。空に煙が広がる不穏な様子や、木々がごうごうと燃える光景が印象深く、映像的な語りが寡黙な少年の心情をうまく表している。こんな状況で粛々とできることをして受け入れるのは>>続きを読む

髪結いの亭主(1990年製作の映画)

3.8

女性の身体の美しさ柔らかさなどへの愛、執着。老いによって失われることを恐怖した妻がとった行動はあまりにも男性本位に思えるが、最高の状態で彼から奪い苦しめるというのはある意味フェアなのかもしれない。

タイラー・レイク -命の奪還-(2020年製作の映画)

3.5

舞台がインドなのがうまい。ごちゃごちゃした街中を走り回るだけで異国情緒を満喫でき、麻薬王のぼっちゃんとストリートの子供達が登場する展開もオリジナリティがあった。

ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年製作の映画)

4.2

最初のワンカットでしまった観たことあるやつだと気付いたがそう思えるのがかえって見事、全くドラマチックじゃないのに映像だけは鮮烈だった。
関係と呼ぶほどでもない人間同士のゆるい掛け合いや痴話喧嘩が心地良
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

3.6

スポ根映画みたいな風情だった。フォード一丸となって…というわけでもなく各々のプライドと利益のための戦い。社内政治に嫌気がさす中で二人の友情が際立って尊いものに思える。

ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

3.7

ジムジャームッシュの人間への眼差しが温かい…女の子の整備士になるという夢が尊重されるところ、英語と運転が下手な運転手とガラの悪い客との子供じみた掛け合いが好きだった。
夜が更けていくにつれ、満身創痍で
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未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)

3.8

近未来都市の造形がいちいちチャーミングでわくわくする。朝ごはんの全自動調理システムや邪魔すぎるダクトや内臓のように動く配管。技術の進歩によって思い描く未来はこんなに独創的で温かみのあるものだったなんて>>続きを読む

君が君で君だ(2018年製作の映画)

4.4

アパートの一室で姫を見守り続ける男たち。姫の好きな人物になって盗撮して祈祷をしてブラをつけ髪を食べる…奇行の数々は爆笑ものだが、同一化の願望も不可侵の掟も彼らの言ってることはかなり理解できる。ホモソー>>続きを読む

美味しい美女/グルメな歯医者(2017年製作の映画)

3.4

女を食いたい男がにんじんに食われている。恋愛のあれこれを具象化させた作品。

37セカンズ(2019年製作の映画)

4.0

過保護な親に育てられた子が街に出る。歌舞伎町やら新橋やら…無防備に冷たい人間に出くわして、まともに傷つくからひやひやするのだが、同時にすっと収まる場所が見つかるのが東京らしいなあと思った。だてに人が多>>続きを読む

ゴースト/ニューヨークの幻(1990年製作の映画)

3.8

シリアスめの恋愛映画を想定していたが違った。幽霊があの手この手で世界との接点を手に入れ、彼女を狙う悪の一味と戦う。霊媒師役のウーピーゴールドバーグが良い味出していて、霊を映像化する際のオーバーな演出も>>続きを読む

存在しない夢の国(2012年製作の映画)

3.2

ディズニーランドも平穏な家庭も虚構であることを意識させられる1日。秘密を知った後はit's a small worldの人形達も恐ろしく見える。

ジュディット・ホテル(2018年製作の映画)

3.9

視覚的なセンスの良さ。短編だからそれだけで充分観ていられるのにストーリーも上手いこと纏まっていて完成度が高い。脇役もそれぞれ良い味出していた。死にたい元気な女の子、青い塗料を食べている男、キュートで残>>続きを読む

プレステージ(2006年製作の映画)

3.5

不思議な作品だった。妻を殺した復讐の連鎖の話なのに手法に手が込んでいるのが滑稽で非現実的。真面目に観てると面食らう。映画自体がイリュージョンだからおおーってなればそれで良いのかもしれない。

地上の星たち(2007年製作の映画)

3.7

陽気なパフォーマンスとは裏腹に真面目な問題提起がなされてた。画一的な教育システムからあぶれてしまう子供たちをどう救うのか…障害だといって一箇所に押しやるのは効率的だけど、そういう子が一人や二人居る集団>>続きを読む