猫背さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

猫背

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コンテイジョン(2011年製作の映画)

3.5

感染症で人が亡くなっていく。近いことが身近に起こってしまったこの状況で楽しんで観れるはずもなく、現実のツラさを希釈したように見えてしまう。
実際はウイルスそのものへの恐怖に加えて政府の対応に怒ったり呆
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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

4.0

シェフの再出発ロードムービー。外出自粛で気が滅入っている最中に観て正解だった。フロリダの開放的な雰囲気と中米の不思議な食べ物と活気ある厨房…遠い国の景色を眺めてるだけでもう嬉しい。キャラクターも人情味>>続きを読む

最初で最後のキス(2016年製作の映画)

3.7

クラスメイトや大人からの評価vsガガ様の教え。同調圧力には屈しないぞと結託できる仲間を見つけたところで、価値観の押し付けはすでに自分の内面まで侵食してきている。もっと広い場所に出れば楽になる話だけど、>>続きを読む

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)

3.5

酒を断つための12のステップ。酒浸りのダメ人間がグループセラピーによって良い人間に成長する…と言うとむず痒くなってくるが、思考の変化によって本人の気分が良くなったならそれで良かった。
怪我して変な体勢
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.2

幽霊が妻をじっと見ているだけ、会話もほとんどないような作品なのに胸を打つ。
幽霊にとって彼女は存在しているんだろうか?触れ合うことも話すこともできなければ、存在しないも同然なんじゃないか?悲しげな彼の
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キャスト・アウェイ(2000年製作の映画)

3.6

時間と効率化の鬼みたいなトムハンクスが無人島に流される。島を脱出するでは予想通りだが、戻ってからの展開が渋い。目的地がなくなってしまった後の空白の話。もう息してるだけでいいやと達観した後の道、どっちに>>続きを読む

翔んで埼玉(2018年製作の映画)

3.6

関東圏の内輪ネタ。ほんとくだらない映画だが近隣県の知人の顔が浮かんでめっちゃ笑ってしまう…邦画らしい演技の過剰さもここまで吹っ切れるとアリだった。ちらっと登場する群馬が秘境なところ、麻生久美子がガラの>>続きを読む

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

4.1

すごいものを観た…アニメ化ということでいくらか端折られているはずで、示唆的な発言もちらほらあって難解な部分が多いのだが、その分からなさが絶妙な具合でリピートしたくなる。
ぞっとさせる描写が上手い。いま
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アンタッチャブル(1987年製作の映画)

3.8

捻りのない王道の刑事モノ。駅の階段での銃撃戦はかなり見ごたえがある。落ちていく乳母車をキャッチする相棒の得意げな表情がキュートで笑ってしまった。引用元となったオデッサの階段のすごさについては、大学の授>>続きを読む

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)

3.5

こんなシンプルなストーリーで160分近くやるとは。寒いだとか痛いだとか、彼の生きている感覚を味わうには没入感が必要で、これは家の小さな画面でなく劇場で観たほうがよかった…。

危険なプロット(2012年製作の映画)

3.8

パラサイトでは…?もちろん社会的意味合いとかの作品のコアな部分は全く違うが「家庭教師的な立場で一家に入り込み、脚本と現実が重なっていく」という建て付けがかなり似ていた。あと音楽も。
教師が生徒の週末の
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ミッドサマー ディレクターズカット版(2019年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

通常版で府に落ちなかったところが全部クリアになった。(ダニーがクリスチャンに不信感を抱くわけや、卒論をめぐる突然のいざこざの必要性、何も考えてなさそうなクリスチャンの行動規範…)こっちのほうが完成形に>>続きを読む

ハッピー・デス・デイ 2U(2019年製作の映画)

3.7

マルチバース設定によって、何度も見てすっかり愛着が湧いてしまった悪役寄りのキャラクターたち(主にダニエルとロリ)の救済がなされるのが良い。時空を操るサイエンスのチープさも相まって、前作より軽やかな雰囲>>続きを読む

少女邂逅(2017年製作の映画)

3.5

蚕が少女のメタファー。主演ふたりの程よく力の抜けた演技が良い味出してるが、言葉とイメージが少し説明的に感じた。こういう話は写真と同じくらい寡黙なほうが心地良い、彼女たちが写ルンですで撮ってた写真をもっ>>続きを読む

Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)

3.6

政治の腐敗。民衆に広がる不安を利用して支持を獲得し、言論統制する様はナチスドイツへの批判であるが、今の日本社会とぴったりと一致するところがあって怖い。

ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

4.0

若くして亡くなった俳優の話。下世話にならないように私生活の決定的なシーンを排除したままで、彼の置かれた環境のいやーな部分や苦悩だけを繊細に描いていて、さすがドラン。
ジョンとルパートの2つの物語を書簡
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エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)

4.0

ぺらぺらの美術セット、黒衣、オペラ口調の母親…自伝的なのに「これは作り物です」と言わんばかりの過剰な演出が愉快だった。舞台っぽい違和感満載の表現に意味なんてないのかもしれないけれど、アートでもって現実>>続きを読む

グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)

3.6

母の信じる社会主義を守るためにうそをつく。西ドイツの瓶のラベル貼り替えたり友達とテレビ番組を収録したり、偽物の世界を作り上げていくのが楽しそうだった。映画を作るのに似ている。

HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ(2017年製作の映画)

4.2

ティモシーの夏休み。青春ラブストーリーとか成長譚と括りきれないから、見終わった後にあれ?結局なんだったんだろう…となるけどそれが良い。ハリケーンが直撃した後の町みたいに、色んな出来事に巻き込まれて訳わ>>続きを読む

ガリーボーイ(2018年製作の映画)

3.8

貧しくて自信無さげな男の子が見よう見まねでラップしてバトルして、ヒップホップの形式が精神面に影響を与えてくのが面白い。相手の中傷なんか気にしないぜ、これがストリートの声だと社会に対抗していくのが頼もし>>続きを読む

ある少年の告白(2018年製作の映画)

3.7

主人公が厳格な父親の歩み寄りを拒絶するシーンが印象的だった。同性愛は理解できないけどそれはそれでお前を尊重するよ、という父親のポーズ。差別をおおっぴらにできない時代だから、こういうスタンスの人は多いん>>続きを読む

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

4.0

ぼうっとしていて乱暴で性欲の塊みたいな男が、フィリピンの貧しい女の子を買う…というなかなか大変なストーリーで、二人の愛が芽生えたところで良い感じに終わるんかな?と思ってたら、その先まで責任持ってやるの>>続きを読む

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.7

シャイニングの次に怖かった。この悲劇はすべて悪魔ペイモンの仕業として読み解けるけれど、夢遊病だとか妄想だとか、わりと説明可能な精神の錯乱の集積でもある。スピリチュアルな存在よりもむしろ人が狂っていく様>>続きを読む

叫びとささやき(1972年製作の映画)

3.7

人の罪を背負って死に復活する、という流れはキリスト教的だが特に救いはもたらされない。信じるものは救われる訳でなく、うわべを取り繕ったところで欲も猜疑心もそこにある。相手の頬に触れる瞬間だけが純粋な慈し>>続きを読む

The Strange Thing About the Johnsons(原題)(2011年製作の映画)

3.5

子が父を!というのはセンセーショナルだけど、この類の暴力はどういう立場においてもダメなので…このホラーが現実にそこらじゅうで起こっているのが怖い。

ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.2

こんなにすっきりした気持ちで観終わるとは思ってなかった。辛すぎるこの世からのトリップ。回って反転して…という映像的な仕掛けと共に死生観や倫理観も揺らいでゆき、村に取り込まれることで救いがもたらされる。>>続きを読む

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

伝令ってそういうことね…!1600人の命を救うという壮大なミッションを達成した時のあっけなさと、ひとりの人間の最期を伝える重み。カメラワークでもって徹底的に個人にフォーカスする試みはここに捧げられてい>>続きを読む

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ(2017年製作の映画)

3.5

「欲望のめざめ」ってちょっと恥ずかしくなる邦題だけどそこまで生々しい話でもない。
ヴァージンスーサイズとかと比べると見ること傷つけることの主体が女であるという点で共感しづらいし動機となる感情も全然深掘
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TOKYO!(2008年製作の映画)

4.0

ポンジュノはやっぱり良い。「東京」がテーマなのに舞台がひきこもりの部屋、人の居ない住宅街。紋切り型のイメージ付けを行わず、でもそこは確かに東京で、この大都会の問題に切り込んでる。
暑さも人もいやになっ
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レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

3.8

虐げられた弱者の怒りが爆発するというまさに2019年の映画。韓国の半地下の住人、ニューヨークの道化師、パリ近郊の犯罪地域の子供…と世界のいろんな場所でこういう作品が同時多発的に作られたことは興味深い。>>続きを読む

ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.7

スリラーの娯楽の中に現実味を帯びたレイシズムが潜んでいて、たまに心が冷やっとする。笑顔の裏にある蔑視、アジア人の場違いな発言、黒人の前に止まったパトカー。

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

3.6

自我の混み入った部分をビジュアルにする試み…最初のシーンから前衛芸術ぽさが全開で不安になったが、ストーリー自体は纏まっているから見やすい…のかな…。言葉で語ってしまう部分も多いからガイドになるが、解釈>>続きを読む

サタンタンゴ(1994年製作の映画)

4.1

上映時間と長回しの映像は想定していたほど苦痛ではなく、自然をぼーっと眺めているような感覚でいつまでも観ていられる不思議な作品だった。
ただ描かれる村の様子が悲惨。長い雨が続き道は泥でぬかるみ町に出るこ
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テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018年製作の映画)

3.8

ぜんぶ偽物なのに、本気になっちゃって、バカみたい!…と笑われてしまう映画人へのラブレター的作品。虚実が入り乱れていて錯乱させられるのだが、最終的にもうどっちでも良くない!?という気分になってくる。映画>>続きを読む

グッド・タイム(2017年製作の映画)

3.7

兄の機転の効きっぷり、大胆さ、弟への愛情、前世が犬なところがいい、愚かだが応援したくなるキャラクターでシンプルに逃走劇として楽しめる。
弟の特別支援学校のシーンでぐっと現実に引き戻されて辛かった。家族
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アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

4.3

アダムサンドラーは今回も右往左往してる。人生の何につけても賭けに出る人間の話。勝っても負けてもオールインでよくここまで生きてこれたな…という感じなのだが、大チャンスとやらかしの連続、成り立たない会話の>>続きを読む