つかれぐまさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

つかれぐま

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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.5

23/12/13@TOHO新宿❼

「英雄」を笑え。

波乱にとんだナポレオンの生涯をほぼ全て見せてくれた。合戦シーンも多く、シネスコ映えする大サービス。そんな惜しげない大作なのに、なぜか物足りない不
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善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

-

冷戦期の東ドイツ。
秘密警察の主人公が、反体制派の劇作家と女優のカップルを盗聴する。彼らの暮らしを聴き続ける内に、冷酷無比と思われた主人公の心が溶けていく。

正しいと信じ続けた「こちら」ではなく「あ
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ほつれる(2023年製作の映画)

-

ほぼ全シーンに主演の門脇麦がいながら、彼女の内面には決して入っていかない不思議な作品だった。欧州映画のような手触り。

それでも彼女と世界の関わり方を演出で見せていく。冒頭のグランピングは「お手軽な」
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ツィゴイネルワイゼン 4K デジタル完全修復版(1980年製作の映画)

4.0

23/12/1@ユーロスペース❶

時が止まった静かな劇場で
珍しいスタンダード画角。
異世界から生還したような不思議な感覚。昨夜は悪夢にうなされた「初めての鈴木清順」

中砂という無頼漢は、結局「文
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ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)

-

【〇〇があれば大丈夫】

やはりと言うべきか、既に結婚25年の自分には 3作中最も本作が刺さった。公式コピーの「本物の愛にたどり着く」という感じじゃないけど、なぜか救われた思いに。

自分事で恥ずかし
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ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)

-

【30代は混沌の中】

ジェシーはあの夜のことを本に書き、わざわざフランスで取材を受ける。そしてセリーヌも本を読み、彼に逢いに行く。両者が願った計画的再会だが、9年の歳月がこの話を単純にはしてくれない
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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

-

【20代は無限大∞】

切ない「刹那」。
若いっていいなと心から。
監督のリンクレイターと俳優二人の年齢差は10才。この年齢差が本作を程よくチューニングしている。青臭く哲学を語る若者を、暖かく見守る視
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アメリ デジタルリマスター版(2001年製作の映画)

4.5

23/11/20@イオン多摩❺

【幸せになる】

その資格があるアメリ。
彼女が幸せになるこの話は、観る者も幸せにしてくれる。私達にもその資格があれば。

観終わって幸せな気分に浸れる映画だ。それは
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男と女(1966年製作の映画)

4.0

23/11/20@イオン多摩❹
#午前十時の映画祭

凛とした冬の空気感。
フランシス・レイのスコア。
アヌーク・エーメの美しさ。
モネのような構図が続くアート映画。

奇蹟的に本作と『アメリ』を同一
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運動靴と赤い金魚(1997年製作の映画)

-

🇮🇷イラン映画。
タイトルの「運動靴」はすぐに出てくるが、なかなか出てこないのが「赤い金魚」。ラストシーンを記憶に残してくれる素晴らしい邦題だ。

子供が細い路地を全力疾走する姿が印象的だ。劇中主人公
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ファーゴ(1996年製作の映画)

-

ちょっとした出来心が、雪だるまのように大きくなっていき、やがて取り返しのつかないことに・・。誰もが身に覚えのある負の連鎖だが、その最悪のケースを飄々とした語り口で進めていく。

なんとも掴みどころのな
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HACHI 約束の犬(2009年製作の映画)

-

それほど犬好きではないが、これを映画館で観ていたらきっと号泣したろう。
「犬好きへ媚びるショット」を排し「犬の視点」を表現した、本当のワンコ🐕愛。

冒頭、主人公の孫である少年がハチのことを語る。だか
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過去のない男(2002年製作の映画)

-

Life as a dog

暴漢に襲われ記憶と財産を失った中年男。彼の人生が強制的に再起動される話だ。人生をやり直したいと願う時期に観るのがいい。そして最高のワンコ🐕映画(監督の愛犬だって)。
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.5

23/11/8@TOHO渋谷❸

『シン・ゴジラ』の後という貧乏くじ(メタ台詞が数回)にもめげない山崎監督。ゴジラと神木君の怖さは堪能したので「面白かった」と素直に言いたいが、擁護できない点も。惜しい
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

-

ありえない展開の話に驚き、トンデモなオチに「んなわケッ!」と笑い、最後になぜかホッコリする。このお約束がシャマラン映画のお楽しみなのだが、今回は期待外れ。ジョーダン・ピール『アス』との類似感もあり、残>>続きを読む

浮き雲(1996年製作の映画)

-

失業者たちの群像劇。
映画の中盤まではこの失業者たちにあまり同情できない。お金に困っているはずなのに大酒を飲み、プライドが高いから失業保険すら受けようとしない。そのくせ他人にたかる。それでいいのかよ!
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マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

-

「社会の底辺に属する労働者を主人公に据え、踏みにじられる人間性とその回復を描くことが多い」

Wikipediaにあるアキ・カウリスマキ監督評だ。本作もたしかにそういう映画だが「回復」の描き方がぶっ飛
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暗殺の森(1970年製作の映画)

4.1

23/10/30@イオン多摩❻
午前十時の映画祭:解説なし

🇮🇹レストア版(2022) 
格好をつけた映画。多少あざといがこれは確かにカッコいいな。Metacritics というプロのレビュー集積サ
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

5.0

23/10/26@新宿ピカデリー❸

【アメリカの縮図】

体調を整え、朝から水分を断って3時間半に臨んだ甲斐があった。それほど長く感じなかったのは、早からず遅からず絶妙なテンポで進んだお陰か。こんな
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シャッター アイランド(2009年製作の映画)

-

「んなわケッ!」
という結末だが、これもスコセッシ作品と驚く第一印象。反芻すると、かなり人間心理の本質をついていて、この荒唐無稽な話も飲み込めてしまう。(フランクル『夜と霧』のように)人間が内面世界を
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ディパーテッド(2006年製作の映画)

-

マフィアに潜入する警官。
そのマフィアに育てられたもう一人の警官。交差しそうでしないこの2本の線に加えて「第3の線」が浮上し・・。

スコセッシがその作家性を封印、職人技に徹した極上のジャンル映画。ス
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イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

4.0

23/10/20@シアタス調布❷

【マッコールさんの終活😭】

主人公マッコールが下す正義の正当性。そこに思いを巡らせる終章だった。

冒頭@シチリアであれだけ殺す必要はあったのか。アマルフィでは常
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ハント(2022年製作の映画)

3.5

23/10/11@アップリンク❹

「独裁者の手先は、
 独裁者よりも悪い」

🇰🇷男臭い政治サスペンス。
このジャンルはもはや「映画界のテコンドー」韓国のお家芸だが、今回も一段と熱い。

終盤のエモ
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

-

【そして母になる】

🇫🇷『燃ゆる女の肖像』セリーヌ・シアナ監督作。絵画的美しさとハイコンテクストな作りは変わらずだが、今回は「ジブリ実写版」のような、敷居の低いかわいいお話に。

昨年映画館で観よう
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ショーシャンクの空に 4Kデジタルリマスター版(1994年製作の映画)

4.5

23/10/6@イオン多摩❹
#午前十時の映画祭

【希望こそはすべて】

久々に息子からリクエスト☺
無実の罪(かどうか分からないのが本作の面白さ)で投獄された男が遭う地獄と希望。意外にもこの主人
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バリー・リンドン(1975年製作の映画)

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「これはジョージ3世の治世。その時に生き争った人々の物語。美しい者も醜い者も、今は同じすべてあの世」

キューブリック最長の上映時間にして最も不人気という不遇。人間観察に徹した「らしい」傑作と思うのだ
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.1

23/9/28@シアタス調布❶

コロナ明け復帰一本目が、今年自己最長の169分という階段222段の如き試練。でも過去作が苦手な人にも薦めたい。ここまで来たら、最後まで付き合わないのは損かも。

個人
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グッドフェローズ(1990年製作の映画)

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【神話の解体】

スコセッシがデビューした70年代。ハリウッドの中心には2本のイタリア系映画『ロッキー』と『ゴッドファーザー』があった。同じイタリア移民として悔しかったのだろうか、その後彼はこの2作へ
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FALL/フォール(2022年製作の映画)

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出オチ100%のワンシチュエーションだろうと舐めていたが、とてもよく出来ていた。低予算や演技力不足を、アイデアの数で克服。意外にも古い価値観へ着地するが、その衒いのなさは悪くない。

横に長い映画スク
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福田村事件(2023年製作の映画)

3.0

23/9/13@アップリンク❸

水道橋博士と松浦裕也が演じた二人の村人が哀れでならなかった。ルックス、肉体、知性の全てに劣る二人が、村内でのプライドを守るための「唯一の勝ち筋」があのような愚行に至る
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アルファヴィル(1965年製作の映画)

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ゴダール、唯一のSF。
といっても、セットも特殊効果もなく、全編がパリ市内のロケ。撮り方と演出だけでそこを未来都市に見せてしまうゴダールの矜持だ。

舞台となるα都市(アルファヴィル)は、α60という
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デスプルーフ in グラインドハウス(2007年製作の映画)

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『グラインドハウス』2本目

タラタラと半分以上を占めるガールズトークが、1本目の猛毒『プラネットテラー』の解毒剤になる。劇場で続けて観る客のことを考えた二本立てならではの妙だ。

前半は『プラネット
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プラネット・テラー in グラインドハウス(2007年製作の映画)

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タランティーノ『デスプルーフ』との2本立て企画『グラインドハウス』の1本目。B級映画の本質をどろっと煮詰めた、手抜きのない力作。

デジタル撮影にわざわざダメージ加工?を施して傷だらけの映像に。ゲテモ
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.5

23/9/5@イオン多摩❸
#午前十時の映画祭

アナの黒い瞳とスペインの茫洋とした荒野が美しい。現実と虚構が混濁し、生と死の概念が解らない幼児時代。その記憶を呼び起こしてくれる不思議な作品。

アナ
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

2.5

23/9/1@Wシネクイント

「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」に足を運ぶ程、彼の画は好きだが「映画は?」と言われると、実はそうでもない。観る者の没入を拒む低体温な演出があまり好きではないのだ。ジ
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ボーン・アルティメイタム(2007年製作の映画)

-

シリーズ3作目。
最初から3作の予定はなく、1作毎に製作が決まっていったそうだが、そうは思えないほどシリーズ統一感がある(そして回収もしっかり)。最初から3作と決まっていても、それが出来ない駄目シリー
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