23/12/13@TOHO新宿❼
「英雄」を笑え。
波乱にとんだナポレオンの生涯をほぼ全て見せてくれた。合戦シーンも多く、シネスコ映えする大サービス。そんな惜しげない大作なのに、なぜか物足りない不>>続きを読む
冷戦期の東ドイツ。
秘密警察の主人公が、反体制派の劇作家と女優のカップルを盗聴する。彼らの暮らしを聴き続ける内に、冷酷無比と思われた主人公の心が溶けていく。
正しいと信じ続けた「こちら」ではなく「あ>>続きを読む
ほぼ全シーンに主演の門脇麦がいながら、彼女の内面には決して入っていかない不思議な作品だった。欧州映画のような手触り。
それでも彼女と世界の関わり方を演出で見せていく。冒頭のグランピングは「お手軽な」>>続きを読む
23/12/1@ユーロスペース❶
時が止まった静かな劇場で
珍しいスタンダード画角。
異世界から生還したような不思議な感覚。昨夜は悪夢にうなされた「初めての鈴木清順」
中砂という無頼漢は、結局「文>>続きを読む
【〇〇があれば大丈夫】
やはりと言うべきか、既に結婚25年の自分には 3作中最も本作が刺さった。公式コピーの「本物の愛にたどり着く」という感じじゃないけど、なぜか救われた思いに。
自分事で恥ずかし>>続きを読む
【30代は混沌の中】
ジェシーはあの夜のことを本に書き、わざわざフランスで取材を受ける。そしてセリーヌも本を読み、彼に逢いに行く。両者が願った計画的再会だが、9年の歳月がこの話を単純にはしてくれない>>続きを読む
【20代は無限大∞】
切ない「刹那」。
若いっていいなと心から。
監督のリンクレイターと俳優二人の年齢差は10才。この年齢差が本作を程よくチューニングしている。青臭く哲学を語る若者を、暖かく見守る視>>続きを読む
23/11/20@イオン多摩❺
【幸せになる】
その資格があるアメリ。
彼女が幸せになるこの話は、観る者も幸せにしてくれる。私達にもその資格があれば。
観終わって幸せな気分に浸れる映画だ。それは>>続きを読む
23/11/20@イオン多摩❹
#午前十時の映画祭
凛とした冬の空気感。
フランシス・レイのスコア。
アヌーク・エーメの美しさ。
モネのような構図が続くアート映画。
奇蹟的に本作と『アメリ』を同一>>続きを読む
🇮🇷イラン映画。
タイトルの「運動靴」はすぐに出てくるが、なかなか出てこないのが「赤い金魚」。ラストシーンを記憶に残してくれる素晴らしい邦題だ。
子供が細い路地を全力疾走する姿が印象的だ。劇中主人公>>続きを読む
ちょっとした出来心が、雪だるまのように大きくなっていき、やがて取り返しのつかないことに・・。誰もが身に覚えのある負の連鎖だが、その最悪のケースを飄々とした語り口で進めていく。
なんとも掴みどころのな>>続きを読む
それほど犬好きではないが、これを映画館で観ていたらきっと号泣したろう。
「犬好きへ媚びるショット」を排し「犬の視点」を表現した、本当のワンコ🐕愛。
冒頭、主人公の孫である少年がハチのことを語る。だか>>続きを読む
Life as a dog
暴漢に襲われ記憶と財産を失った中年男。彼の人生が強制的に再起動される話だ。人生をやり直したいと願う時期に観るのがいい。そして最高のワンコ🐕映画(監督の愛犬だって)。>>続きを読む
23/11/8@TOHO渋谷❸
『シン・ゴジラ』の後という貧乏くじ(メタ台詞が数回)にもめげない山崎監督。ゴジラと神木君の怖さは堪能したので「面白かった」と素直に言いたいが、擁護できない点も。惜しい>>続きを読む
ありえない展開の話に驚き、トンデモなオチに「んなわケッ!」と笑い、最後になぜかホッコリする。このお約束がシャマラン映画のお楽しみなのだが、今回は期待外れ。ジョーダン・ピール『アス』との類似感もあり、残>>続きを読む
失業者たちの群像劇。
映画の中盤まではこの失業者たちにあまり同情できない。お金に困っているはずなのに大酒を飲み、プライドが高いから失業保険すら受けようとしない。そのくせ他人にたかる。それでいいのかよ!>>続きを読む
「社会の底辺に属する労働者を主人公に据え、踏みにじられる人間性とその回復を描くことが多い」
Wikipediaにあるアキ・カウリスマキ監督評だ。本作もたしかにそういう映画だが「回復」の描き方がぶっ飛>>続きを読む
23/10/30@イオン多摩❻
午前十時の映画祭:解説なし
🇮🇹レストア版(2022)
格好をつけた映画。多少あざといがこれは確かにカッコいいな。Metacritics というプロのレビュー集積サ>>続きを読む
23/10/26@新宿ピカデリー❸
【アメリカの縮図】
体調を整え、朝から水分を断って3時間半に臨んだ甲斐があった。それほど長く感じなかったのは、早からず遅からず絶妙なテンポで進んだお陰か。こんな>>続きを読む
「んなわケッ!」
という結末だが、これもスコセッシ作品と驚く第一印象。反芻すると、かなり人間心理の本質をついていて、この荒唐無稽な話も飲み込めてしまう。(フランクル『夜と霧』のように)人間が内面世界を>>続きを読む
マフィアに潜入する警官。
そのマフィアに育てられたもう一人の警官。交差しそうでしないこの2本の線に加えて「第3の線」が浮上し・・。
スコセッシがその作家性を封印、職人技に徹した極上のジャンル映画。ス>>続きを読む
23/10/20@シアタス調布❷
【マッコールさんの終活😭】
主人公マッコールが下す正義の正当性。そこに思いを巡らせる終章だった。
冒頭@シチリアであれだけ殺す必要はあったのか。アマルフィでは常>>続きを読む
23/10/11@アップリンク❹
「独裁者の手先は、
独裁者よりも悪い」
🇰🇷男臭い政治サスペンス。
このジャンルはもはや「映画界のテコンドー」韓国のお家芸だが、今回も一段と熱い。
終盤のエモ>>続きを読む
【そして母になる】
🇫🇷『燃ゆる女の肖像』セリーヌ・シアナ監督作。絵画的美しさとハイコンテクストな作りは変わらずだが、今回は「ジブリ実写版」のような、敷居の低いかわいいお話に。
昨年映画館で観よう>>続きを読む
23/10/6@イオン多摩❹
#午前十時の映画祭
【希望こそはすべて】
久々に息子からリクエスト☺
無実の罪(かどうか分からないのが本作の面白さ)で投獄された男が遭う地獄と希望。意外にもこの主人>>続きを読む
「これはジョージ3世の治世。その時に生き争った人々の物語。美しい者も醜い者も、今は同じすべてあの世」
キューブリック最長の上映時間にして最も不人気という不遇。人間観察に徹した「らしい」傑作と思うのだ>>続きを読む
23/9/28@シアタス調布❶
コロナ明け復帰一本目が、今年自己最長の169分という階段222段の如き試練。でも過去作が苦手な人にも薦めたい。ここまで来たら、最後まで付き合わないのは損かも。
個人>>続きを読む
【神話の解体】
スコセッシがデビューした70年代。ハリウッドの中心には2本のイタリア系映画『ロッキー』と『ゴッドファーザー』があった。同じイタリア移民として悔しかったのだろうか、その後彼はこの2作へ>>続きを読む
出オチ100%のワンシチュエーションだろうと舐めていたが、とてもよく出来ていた。低予算や演技力不足を、アイデアの数で克服。意外にも古い価値観へ着地するが、その衒いのなさは悪くない。
横に長い映画スク>>続きを読む
23/9/13@アップリンク❸
水道橋博士と松浦裕也が演じた二人の村人が哀れでならなかった。ルックス、肉体、知性の全てに劣る二人が、村内でのプライドを守るための「唯一の勝ち筋」があのような愚行に至る>>続きを読む
ゴダール、唯一のSF。
といっても、セットも特殊効果もなく、全編がパリ市内のロケ。撮り方と演出だけでそこを未来都市に見せてしまうゴダールの矜持だ。
舞台となるα都市(アルファヴィル)は、α60という>>続きを読む
『グラインドハウス』2本目
タラタラと半分以上を占めるガールズトークが、1本目の猛毒『プラネットテラー』の解毒剤になる。劇場で続けて観る客のことを考えた二本立てならではの妙だ。
前半は『プラネット>>続きを読む
タランティーノ『デスプルーフ』との2本立て企画『グラインドハウス』の1本目。B級映画の本質をどろっと煮詰めた、手抜きのない力作。
デジタル撮影にわざわざダメージ加工?を施して傷だらけの映像に。ゲテモ>>続きを読む
23/9/5@イオン多摩❸
#午前十時の映画祭
アナの黒い瞳とスペインの茫洋とした荒野が美しい。現実と虚構が混濁し、生と死の概念が解らない幼児時代。その記憶を呼び起こしてくれる不思議な作品。
アナ>>続きを読む
23/9/1@Wシネクイント
「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」に足を運ぶ程、彼の画は好きだが「映画は?」と言われると、実はそうでもない。観る者の没入を拒む低体温な演出があまり好きではないのだ。ジ>>続きを読む
シリーズ3作目。
最初から3作の予定はなく、1作毎に製作が決まっていったそうだが、そうは思えないほどシリーズ統一感がある(そして回収もしっかり)。最初から3作と決まっていても、それが出来ない駄目シリー>>続きを読む