Sosekiさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

Soseki

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ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

3.7

とても美しく官能的な作品。ゴージャス。
何より男たちを振り回すクロチルドが魅力的。ローレン・ハットンが男に依存せず男を虜にする女を説得力をもって演じていた。

しかし妙に明るくさっぱりした結末がしっく
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ハイゼ家 百年(2019年製作の映画)

4.2

ドキュメンタリーなのだけど、表現が独創的。

ハイゼ監督は1955年、東ドイツ生まれ。その祖父母の時代、第一次世界大戦のころからの、ハイゼ家にかかわる手紙や日記や履歴書の下書きやらを淡々と読み上げる(
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チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密(2012年製作の映画)

3.5

原題は「スターレット(チワワの名前)」で、まあ確かにチワワは事態を見てるんだけど、この邦題は何とかならなかったのか。だいたい微妙にネタバレしてるし。

内容はいたって真面目な女の(未亡人とポルノ女優の
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.0

この映画の良さは、若い人にはわかりにくいかもしれない。
結論出ないし、過酷なノマド生活に特に前向きでも後ろ向きでもなく、ノマド生活をする高齢者を淡々と描いているだけ。
しかし、何かしら大切なものを喪っ
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ビバリウム(2019年製作の映画)

3.5

托卵モノか〜と思いながら観てたのですが、事後に公式WEBの解説読んでみたら、ちょっと違う、ポイントはそこじゃない、だった。言われてみればなるほどねなんだけど、そのポイントに共感はしないかな。

それは
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キリング・タイム(1996年製作の映画)

3.1

ゴダールの言葉として

All you need to make a movie is a girl and a gun

が最後に引用されているのだが、まさに主演女優と銃撃戦だけで成り立っているよう
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わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

4.0

さよなら恵比寿三越のついでぐらいのノリで見たのですが、見てよかった。

端的に言うとヤングケアラーのお話ではあるのですが、それを絶対悪とするわけでもなく、叔父との信頼関係やデンマークの農村の暮らしや猫
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ファブリックの女王(2015年製作の映画)

3.5

マリメッコの創業者である女性、アルミ・ラティアの一生を劇中劇として描く、なかなかユニークな映画。

しかし、その内容はマリメッコのカラフルで明るいイメージと真逆なのに驚く(冒頭、自分の人生は何もない、
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アポロンの地獄(1967年製作の映画)

4.5

ソフォクレスのオイディプス王を割とそのまま映画化。
なんだけど、冒頭とラストに現代の部分が加わることで唯一無二の、パゾリーニの作品となる。クセは強いが、ラストの諸行無常感はオイディプス王の物語の本質か
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天国にちがいない(2019年製作の映画)

3.0

ナザレ、パレスチナへの愛情たっぷり。
檸檬の木と小鳥が良かったな。

全体的に脚本が(笑わせようとしてるんだろうが)ゆるめなのと、エピソードが細切れで関連がわかりにくいので、途中うとうとしました。スミ
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.0

残念ながら退屈してしまった。

階級差のある恋愛、同性愛作品につきものの葛藤は少なめで、それは今っぽいと思いつつも、正直なところ二人の関係に障害が少ないと緊張感を維持しにくい。

あとエロイーズの性格
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365日のシンプルライフ(2013年製作の映画)

3.9

モノを所有するってどういう意味があるのかを1年かけて徹底的に考えるドキュメンタリー。

そして、モノのことを除けば、普通の若い独身男性の一年間の生活記録であり、それを面白いと感じるか否かで評価分かれそ
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ハッピー・オールド・イヤー(2019年製作の映画)

3.0

年末に断捨離意欲を高めるべく拝見。バッドジーニアス風の小気味良い展開なのかなと勝手に思い込んでいたが、想像以上にウェットだった。

何となく人生をリセットしたい、生まれ変わりたい、そのきっかけとして断
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未来を花束にして(2015年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

原題はサフラジェット、意味は女性参政権論者、特に英国では、急進的な女性参政権運動団体のメンバーを指すそう。
邦題は明るく正しい印象を与えるが、もっと過激でぎりぎりのところを描いている。

個人的に主義
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国葬(2019年製作の映画)

3.5

スターリンの葬儀に関するアーカイブフィルムの再構成。スターリンの死を悼む人々の顔、顔、顔。ロシア以外の民族も例外ではない。その後の歴史を顧みると嘘くさすぎる言葉の羅列。
集団行動が苦手なタイプなので、
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ウルフウォーカー(2020年製作の映画)

3.0

物語の構造がおおよそ分かった時、さてこの物語をどうやって〆るのかなあ、とそこに一点集中。とても難しい課題を提示していたので。

人間はどこまで自然に手を入れて良いのか、違う宗教・価値観の人々との共生は
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メメント(2000年製作の映画)

3.8

見かけはTENETだけど、実はインセプション、という印象。

襲われた後遺症で10分しか記憶が持たなくなってしまった男が、殺害された妻の復讐を遂げようとする話。彼が10分しか記憶が持たないことを逆手に
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レディ・マクベス(2016年製作の映画)

3.9

原作はロシアのレスコフ作、ムツェンスク郡のマクベス夫人。ショスタコーヴィッチがオペラ化し、スターリンの逆鱗にふれて上演禁止となったことで知られる。

映画化に当たって舞台はロシアから英国になり、不倫相
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マーティン・エデン(2019年製作の映画)

4.0

1876年生まれのジャック・ロンドンの自伝的小説マーティン・イーデンをイタリアで映画化。

時代は曖昧になり、舞台はサンフランシスコからナポリになったが、違和感はないというか、むしろ合ってる。貧しい水
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

過去の特定時点に飛んだ上での時間の逆行と、普通のタイムトラベルは別物のはず(酸素吸入の有無)。そして物語の鍵となるのはタイムトラベルの方?時間の逆行ってどういうルール?意味ある?などと考えてるとモヤモ>>続きを読む

ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)

4.1

アメリカがビンラディン殺害に至るまでの経緯を描いた作品。実話ベースだが、フィクション。ゼロダークサーティとは午前0:30、米軍の俗語で未明の作戦を指すようだ。

こういうの見るとアメリカという国、CI
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ヴィタリナ(2019年製作の映画)

4.1

数十年離れて暮らす夫の突然の死。夫のいない部屋で彼を想い、また、彼を知る人々と話をし、彼のことを理解しようとする。それは好ましい話ばかりではない。
しかし、彼女の想いは変わらない。

舞台はリスボンの
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灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)

4.2

第二次世界大戦におけるドイツ降伏直後のポーランド某都市。ポーランド独立派(右派)とソ連傀儡政府(左派)が対立する中で、独立派の若者たちの一夜の物語。歴史が示すように、その末路は悲惨。夜明けまで踊り明か>>続きを読む

イサドラの子どもたち(2019年製作の映画)

3.0

ドキュメンタリーではなく映画。
踊ることの本質みたいなものを描こうとしているようだ。
青を基調に赤がアクセントとなった画面は美しい。あと、数々の手。

主体的な見方を要求されるので、見る人を選ぶかなと
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グラン・ブルー完全版 -デジタル・レストア・バージョン-(1988年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

シチリアのタオルミーナに行くと「グラン・ブルーのレストラン」という観光スポットがある。それで長く気になってた作品。

それをようやく視聴したところ…1980年代のノリ(日本だとバブル期)にうんざり。
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シチリアーノ 裏切りの美学(2019年製作の映画)

4.0

シチリアのマフィアで最初に裏切り者となった男の物語。

男は決してヒーローではない。ブラジル滞在中にシチリアに残した息子を含む身内が殺されても、帰国を迷うぐらい。警察に寝返ったのも保身が大きいだろう。
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8 1/2(1963年製作の映画)

3.5

彼には話すべきことがないのよ!

フェリーニの8.5作目。
よく調べてないが、恐らくご本人スランプ中のできごとを映画化。ということで、とにかくうんざりするエピソードが延々と続き、見ていてただただ辛い。
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フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

5.0

米国海兵隊×ベトナム戦争映画。

やはりキューブリックはすごいとしか言いようがない。
登場人物に戦争反対のたぐいの言葉は一切言わせず、軍隊や戦争がどうやって人を兵器に変えていくかを淡々と描く。あるのは
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オンリー・ザ・ブレイブ(2017年製作の映画)

3.8

2013年にアリゾナ州で発生したヤーネルヒル火災に立ち向かったグラナイト・マウンテン・ホットショット(森林消防団)の実話を映画化。

前半は、消防団がホットショット(エリート部隊)に昇格するまでのお話
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ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち(2017年製作の映画)

3.8

ネイティブ・アメリカンの音楽が米国のロック、ブルースの源流にあることを示すカナダ発のドキュメンタリー。

洋楽は全く馴染みがないので、登場人物や語られていることの凄さが今一つ理解できてない感はあるが、
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黄金のアデーレ 名画の帰還(2015年製作の映画)

3.4

事前情報は予告編の記憶ぐらいで、爽快な絵画奪還劇かと思って視聴したが、ちょっと違った。
ナチスとユダヤ人と戦後処理の問題のど真ん中のお話。実話ベース。

「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代
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アイリーン・グレイ 孤高のデザイナー(2015年製作の映画)

4.5

「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」の関連作品として、忘れないうちに視聴。

結論。アイリーン・グレイの人となりも、コルビュジエとの複雑な関係も、こちらの方がよほどわかりやすい。彼女の人生や
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ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ(2015年製作の映画)

2.8

家具デザイナーとして著名なアイリーン・グレイは、建築家としても類まれなる才能を持っていたが、時代もあり、代表作E.1027の所有権を失い、作者としても名前を消され、E.1027は長くコルビュジエの作品>>続きを読む

映画 聲の形(2016年製作の映画)

3.5

登場人物が皆、自責思考が強すぎる。それは他人に厳しいことと裏表だから、そんな褒められたことではないかと。土下座とかホントやめてほしい。

人間ミスはするし、それを責め続けても何も良くならない。許すこと
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はちどり(2018年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

ウニと家族の日常を淡々と描き、その向かう方向は定かではなく、何より家族関係がギスギスしているので、居心地の良い作品ではなかった。

そしてやはり長すぎる。自分なら、少なくとも後輩女子とボーイフレンドの
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レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

3.0

色々考えなければ軽く楽しめると思う。
ティモシー・シャラメとエル・ファニングは眼福だし、今では夢のようなニューヨークの風景も素敵だ。

しかし、個人的には#MeToo騒動が頭にチラついて色々考えてしま
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