・黒沢清は「人はドアの向こう側に恐怖する」という。空っぽの箱なのに、箱だと知覚した瞬間、中身を意識し、意味を見出してしまう。
ホラー表現に留まらず、そもそも映画は作り物の箱だ。それでも私たちは映画に>>続きを読む
面白かった。岡田茉莉子の演技がすごい、役者の映画なのかなぁとぼんやり見始めて、実際彼女の演技は素晴らしかったけれど、それ以上に今作は、構図とアクションで人の心を描いている。好きなタイプの作品だった。日>>続きを読む
サメの群れが自分の血に興奮して共喰いする、というエピソードを軸に、全員が泥沼にハマっていく。市民ケーンでやりすぎたウェルズは編集権を奪われており、オリジナルの155分が87分に短縮されている。制作経緯>>続きを読む
都会の女と田舎の男がたまたま出会って結ばれかけるが突然の雨で断ち切られる(ほんと急に天気悪くなる)。図式的、寓話的な内容だが、例によって複数人が同時に動き、外ロケで背景の草木も揺れているからわちゃわち>>続きを読む
原作は未読。シンプルな会話劇だったおかげか、ノーランの中では好きな作品になった。藤永茂の「愚者としての科学者」を読み直しながら2回見た。
・「我は死なり、世界の破壊者なり」を、セックスの後に雑に言わ>>続きを読む
熊井啓のシャープな映像。前進座や劇団民芸の役者が多く出ている。
オッペンハイマーのさまざまな感想や批評を見ていて、「日本人として」という言葉を連発するのもどうなんだろうな、と考えている。被爆2世、3>>続きを読む
何年後かに見返してまた考えたい。
多くの映画ネタが入っており、私はリオブラボーに脊髄反射のように喜んでいたが、テレビから聞こえた飼い主の声に反応する犬に「あ、俺はこの犬と同じなんだな」と思ったりした>>続きを読む
今年はMGM創業100周年だけど、ザッツ・エンタテインメントPart4の需要はないだろうな…
MGM50周年作品。名作ミュージカルの総集編+MGMのスターによる解説付き。MGMと一緒に育った人には堪>>続きを読む
ノーラン汁が濃い映画でした。
演出、科学技術(アンジャー=ヒュー・ジャックマン)
発想、アナログな頑張り(ボーデン=クリスチャン・ベール)
双方を組み合わせて映画を成立させるのではなく「対立する概>>続きを読む
池袋に行くタイミングがなかなか無く、我慢できずに通常版を見てしまった。IMAXで見たら加筆します。
・巨大な物体がぐわああと動く快楽を浴び続け、ポールが初めてサンドワームに乗る場面で涙が流れてきた。>>続きを読む
ノレなかった!いろいろ見落としてそうなので皆さんの感想読みます…。
夫を殺す動機がある=有罪に近づくという前提が理解できなかった。フランスの裁判ってあんな感じなのだろうか。「見えなかった息子が物語を>>続きを読む
短評。未見と思っていたが女の子と水辺で遊ぶ場面で見たことあるなこれ…と思い出す。花びらを投げて浮かべる楽しさを共有したのも束の間、花が無くなったので女の子を池に放り込んでしまう。
少女の死をきっかけ>>続きを読む
久しぶりに見返したので再投稿。
私はリビングにロッキーのポスターを貼っているのだが、スタローンの写真と共にこのキャッチフレーズが書かれている。
His whole life was a milli>>続きを読む
鍵を失いパニックになる短編Beauを引き延ばしたような作品だった。ミッドサマーで「同じアイデアを繰り返しすぎ」と感じたが、過去の短編が切り刻まれ、そのイメージが悪夢のように現れる今作で、これが彼のスタ>>続きを読む
幽霊の声を聞こうと、死に取り憑かれた中砂(原田芳雄)に対して、冒頭で盲目の旅芸人を見ている主人公青地(藤田敏八)は、社会の側に生きている。ヤバそうな場面では毎回律儀に引き返す。語り部である彼の視点がし>>続きを読む
DVDで過去2回鑑賞、初めての劇場体験。
メンバーが増えながら音楽(トーキングヘッズの音楽性)が変化していく前半が何度見ても素晴らしい。デヴィッド・バーンを軸にカメラが動き、メンバーが背景に映り込む>>続きを読む
夜明けのすべてと一緒に公開されている不思議
流れる車窓から見える、真っ直ぐに進む時間は刹那的。終わりが見えているからこそ、少しの間だけでも円環に入り、永遠を閉じ込めたいと願う。
都市を覆う環状線、>>続きを読む
三宅唱ありがとう最高だ
過去から放たれた光は、今の暗闇を照らしてくれる。映画に救われる優しい話だった。スペースカウボーイも見たことがなかった山添(松村北斗)に光が差し込んで、夜明けを迎える。「太陽は>>続きを読む
新しいものに出会い、何度も目を見開く。体は自分のものなのだから、最大限使って道を切り開く。ベネデッタに近いものを感じた。身体から主体性を立ち上げる。バービーとは逆の形。
(脚本と主演はクルエラのコン>>続きを読む
「登場人物を演じるうちに虚実の狭間に迷い込むミステリー」で言うと、昨年の水曜日のダウンタウンの「名探偵津田」があまりに傑作だったので、あちらがおすすめです(確認したら今月中はTVerでタダで見られる)>>続きを読む
英国映画協会(BFI)2022年ベスト映画100のうち、見やすい未見作を埋めていきます。
「ネオレアリズモは生きていると答えろ」
米国から来た女優のインタビュー中、マネージャーが指示するこのセリフ>>続きを読む
冬の雪山で展開する「白い西部劇」。主演がなぜかトランティニャン、悪役にクラウス・キンスキーという異色のマカロニ。
土や埃は皆無で、雪と山と血が広がっている。美しい遠景を多用し、雪原を進む馬の姿(疾走>>続きを読む
堅気に片足を突っ込みつつ、ギャング生活から抜け出せず、その間で引き裂かれていく。ジェームズ・キャグニー十八番のパターンにして代表作。
冷酷なギャングでありながら、自由な人生にプライドを持ち、友人や子>>続きを読む
恋愛を否定し、人工授精を奨励するインテリ博士と、博士に賛同して実験台になろうとする農家の娘が出会ったら何故だか恋に落ちてしまう。博士の本来の婚約者はドイツ貴族のガールスカウトで、軍隊のような振る舞いは>>続きを読む
刑事(丹波哲郎)が全国を電車で移動し、殺人事件の手掛かりを追い求める。旅情たっぷりの自然と、地道な捜査の積み重ねが楽しい。警察署や宿屋、農家と行く先々でお茶や酒を振る舞われ、オープニングから後輩と飲食>>続きを読む
身代金を要求され、犯人に一方的に弄ばれる前半は、靴メーカー常務(三船敏郎)の葛藤に集中する。室内の会話劇で登場人物が少ないにも関わらず、セリフに連動する体や目線、移動するカメラが、変化する人物の立場や>>続きを読む
ブルジョワジーの秘かな愉しみを見たらこの映画が見たくなった。こっちは食べることを通して人を描く
「食人族こえー」とモンド映画をきっちりやる前半から、後半は「食人族みたいな映画を撮るやつも見るやつも最>>続きを読む
「食べられない」不条理劇。暗闇を走る冒頭から暗中模索。戦争もあり、テロもあり、途上国に対する見下しも、無意味な知識マウントもある。死への不安が意識のどこかで爆発しかかっているのだが、夢か現実かも分から>>続きを読む
ストレートな反ナチス映画でありながら、ナチスを生んでしまう民衆の恐ろしさを同時に描いている傑作。
占領下のプラハ。地下組織は副総統ハイドリヒの暗殺に成功するが、ナチスは犯人逮捕までの間、無関係な40>>続きを読む
2023年のベスト10をコメント欄に載せました。
黒柳徹子が自ら出資して制作にも相当関わったそうで「黒柳徹子」が「製作委員会」と横並びでクレジットされている。
アメリカでストがあったり、テイラース>>続きを読む
これ見るためにApple TV +に入った。はじまりのうた、シングストリートで行けるとこまで行った感はあり、安定のジョン・カーニー節ではあるが、予想を超える驚きはなかった。
音楽を視覚化し、2時間か>>続きを読む
例によってどこにも行けないアメリカ人の話なのだが、オープニングでそれが確定してしまうのは流石に笑った。「牛とか出る前に終わった…」と思った。
・ワイドな荒野ではなく、狭めの画角に身を寄せ合う人々。持>>続きを読む
後年の派生作品を見過ぎていて元ネタを見ても「うん…」となる現象。男の欲望で女のアイデンティティを塗り替える話なのでやっぱりヒッチコックっぽいが、同じジョージキューカーで言えばマイフェアレディの最悪の翻>>続きを読む
視線の断絶とフレーミングでディスコミュニケーションを描く作品は数あれど、2時間ここまで視線が合わない(切り返しは序盤の夫との会話1回だけ?)絶望的な映画は見たことない。疲れ切ったしまるで掴めた感じがし>>続きを読む
「プロミシング・ヤング・ウーマン」のイメージをミスリードとして軽く消費してくるエメラルド・フェネル監督、底知れない人だと思いました。
これは映画館で見たかった。赤い部屋で展開される地獄のランチはベル>>続きを読む
加藤拓也監督、初めて見たけれど絵作り素晴らしい。これで長編2本目かー。
「任せるよ」を繰り返していた綿子(門脇麦)が自分の足で歩くまでのお話。話としては何てことないのだが、見せ方がとても丁寧。
旅>>続きを読む