Kz氏さんの映画レビュー・感想・評価

Kz氏

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奈落のマイホーム(2020年製作の映画)

3.7

ソウルのマンションがまるごとシンクホールに落下してしまう話。
予告編やフライーヤーのルックからディザスター映画と思っていたが、かなりホンワカしたコメディだ。題名に「喜劇」と冠したくなるような、昔の邦画
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ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)

3.6

パステルカラーで左右対称に心配り、画面の隅々まで計算され尽くした構図、のウェス・アンダーソン世界。

里親に疎まれ軍隊みたいなボーイスカウトで生活する12歳の少年と、家庭に居場所がなく問題ばかり起こし
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オデッセイ(2015年製作の映画)

4.0

アンディ・ウィアーの原作「火星の人」を読みかけていて、めちゃくちゃ面白いところに、リドリー・スコットが配信された。
文系頭の私にはよく分からないのだけど、原作は、疑似科学合理性の精密さリアルさが魅力な
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REBEL MOON ー パート2: 傷跡を刻む者(2024年製作の映画)

3.0

ザック・スナイダー版「七人の侍」スペースオペラで、「野武士」(悪の帝国)との対決編。ヒーロー達が闘い、名誉の戦死を遂げる者もあるが、最後は反乱軍の応援で決着を付けるところがアメリカ映画だなあ。ベトナム>>続きを読む

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

3.8

「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」にインスパイアされて、タランティーノ作品を見返す。

「キル・ビルVOL.1、VOL.2 」の過剰なファンサービスを経て、グラインドハウス映画「デス・
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.8

クローンを身代わりにすることで罪を逃れることができるという観光立国の孤島が舞台。グローバリズム経済批判のように受け取れるが、それは型に過ぎない。
絶えず鳴り響くノイジーな劇伴、廻転するカメラ、光の瞬き
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オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

3.8

「悪魔の子」ダミアンの母親の話だから「ローズマリーの赤ちゃん」。物語に驚嘆はないけれど、恐かった。

ジャンプスケアと音効たっぷりだが、お化け屋敷映画ではなく、重厚。クローズアップが多くて、殊に、主人
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キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)

3.8

「キル・ビルVol.1」と同じ。

「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」にインスパイアされて、タランティーノ作品を見返す。

千葉真一も登場するVol.1のオーレン・イシイとの対決は「修
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キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)

3.8

「キル・ビルVOL.2 」と同じ。

「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」にインスパイアされて、タランティーノ作品を見返す。

千葉真一も登場するVol.1のオーレン・イシイとの対決は「
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ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

3.8

「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」にインスパイアされて、タランティーノ作品を見返す。

パム・グリアをリスペクトした、ブラックスプロイテーションのリブート、と評されている。ブラックスプ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

「原爆の父」ロバート・オッペンハイマーをモチーフにした、ストレートな反核映画。
広島長崎の描き方が懸念されて公開が延びたと聞くけれど、「黒い雨」に限定してしまうと、むしろ作品のテーマがぼやけてしまう。
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ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

4.0

「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」にインスパイアされて、タランティーノ作品を見返す。

公開順に見返したかったのだけど、WOWOWはすぐ配信終了となってしまうので、消えていく順に。8作
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パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.5

「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」にインスパイアされて、タランティーノ作品を見返す。

30年前の作品だけど、面白くて目が離せない。
もはや語り尽くされていて今さら感想はないけれど、古
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インシディアス 赤い扉(2023年製作の映画)

3.0

「インシディアス」5作目。 前作から6年ぶり。
「インシディアス」は、まだレンタル店が元気な頃に2~3作見たと思うが、20年以上前のことなので、事前の話をよく覚えていない。

無意識の領域まで降りて描
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クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男(2019年製作の映画)

3.7

タランティーノ作品は1991年「レザボアドッグス」以来全作を見ている。だから、総復習をするようなドキュメンタリーだった。
長編映画10作の後に引退するとのことで、2019年「ワンス・アポン・ア・タイム
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12日の殺人(2022年製作の映画)

3.4

現在の横浜ベイシェラトンの場所にあった5館の映画館を、ナンパ橋こと南幸橋先のビルに納めたのが相鉄ムービル。横浜の高校演劇がお世話になった相鉄本多劇場もあった。
横浜の封切館として中心的存在であったけれ
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宮松と山下(2022年製作の映画)

3.8

演出陣の集団創作という珍しい作品。

間で語る寡黙な映画。記憶喪失で、エキストラを務める宮松は、いつも疲れ果て諦めきった表情。斬られ殺される撮影シーンと現実との境目がだんだん不明瞭になり、時折ドキリと
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劇場版 山崎一門 日本統一(2022年製作の映画)

3.0

レンタル全盛期には、東映Vシネマのヤクザ映画をよく借りた。哀川翔、竹内力らの王道よりも、故萩原流行のようなクセのある人が好きだったけれど、もう製作されていないのだろうな。
いまだ継続している「日本統一
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青春ジャック止められるか、俺たちを2(2024年製作の映画)

3.9

1982年は就職をした年で、VHSビデオデッキを初めてのボーナスで買った。レンタルビデオ店が出始めたけれど、ロードショー館と同じくらいの料金で、そういう言い方がまだ生きているように、町中に廉価の2番館>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

「デューン 砂の惑星 PART2」(監督・脚本:ドゥニ・ビルヌーブ)於:Tジョイ横浜

PART1から3年、前作説明抜きで物語が始まるので困ったなと思ったが、アレハンドロ・ホドロフスキーのドキュメンタ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

邦題は直訳。落下死を探究するという意味か。
事件・捜査・裁判の単純な三幕構成で、大きな変化がない静かな映画。それが2時間半もあるが、退屈しないのは、さすがアカデミー脚本賞。
何が妙味なのだろう。裁判に
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

3.0

原作は紫金陳(ズー・ジンチェン)著「悪童たち」で、 ハヤカワ・ミステリ文庫刊。ともに数学的思考に長けた、完全犯罪犯とその上手を行こうとする犯罪者気質の天才少年との、命がけのコンゲーム。「新青年」にあり>>続きを読む

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「レオン」を引き合いに出して、主人公をダークヒーローと呼ぶ、戦闘シーンの予告編から、犬を使うドラッグクイーンの殺し屋の話かと思ってしまった。ダグラスは脊椎損傷で歩行が困難な身障者なのだが、車椅子の場面>>続きを読む

赤毛(1969年製作の映画)

3.9

1969年は東大安田講堂事件のあった年で、学生運動のエポックメイキングとされている観があるけれど、むしろその終焉の象徴ではないのかと、一世代下の三無主義シラケ世代の私は思う。
東大生以外の「外人部隊」
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(1965年製作の映画)

3.8

何回も映画化され歌もある「侍ニッポン」だけど、「人を斬るのが侍ならば恋の未練がなぜ斬れぬ」という話には見えない。桜田門外の変に名を上げんがために参画したニヒル浪人の数奇な運命、よりは、水戸浪士一派のス>>続きを読む

ジェサベル(2014年製作の映画)

3.0

YouTube無料配信を初めて見てみた。レンタルか放映かで見た記憶があると思ったが、違法ULでないラインナップはそんなものなのだろう。
いかにも低予算の家憑きホラーだけど、そつないまとめ方で最後まで見
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銀平町シネマブルース(2022年製作の映画)

3.7

映画自体ではなく、映画館を主人公とするメタ映画が、一つのジャンルになっていると思う。私のベストムービーの一つ「ニュー・シネマ・パラダイス」はパラダイス座が主役であるし、敬愛する大林宣彦監督遺作「海辺の>>続きを読む

嘘八百 なにわ夢の陣(2023年製作の映画)

3.5

中井貴一+佐々木蔵之介のコンゲーム3作目。
プログラムピクチャー感が楽しい。第4作は台湾編か。

ブルークリスマス(1978年製作の映画)

4.0

WOWOW配信。「スター・ウォーズ」第1作「エピソード4/新たなる希望」公開の年に、「特撮を一切使わないSF」として東宝が製作した映画。反戦反権力の岡本喜八イズムに溢れる。

UFO襲来という1978
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CODE 8/コード・エイト Part II(2024年製作の映画)

3.3

2019年作日本未公開のPart Iを見ることができないのだけど、大体のあらすじは説明される。格差の物語で、ニール・ブロムカンプ監督の「第9地区」を彷彿とさせる。貧困層の暗喩はエイリアンではなくエスパ>>続きを読む

犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.5

何でも拳で解決するマ・ドンソクのマ・ソクト刑事第3弾。
1作目は東映実録路線で、2作目は東宝怪獣映画だったけど、今回はアクション・コメディ。マ・ソクト刑事は、ラブホテルの回転ベッドに腰掛けてクルクル回
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炎のデス・ポリス(2021年製作の映画)

3.5

kino cinéma横浜みなとみらいでポスターを見かけて、ジョン・カーペンターの「要塞警察」みたいだと興味をかき立てられたのだが、見逃してしまった。

小さな警察署というワンシチュエーションは同じだ
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ブラフマーストラ(2022年製作の映画)

3.5

歌って踊ってアクションありロマンスありのインド映画だから長い。しかも3時間弱の本編はまだ第1部だ。

闇の勢力と光の戦士の闘いで、アベンジャーズだと自ら台詞にしている。けれど、プロフェッサーXみたいな
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

アリ・アスター3作目は、オデッセイ(長い冒険や放浪の旅)・スリラーという売り込みのロードムービーで、かつ、スラップスティックコメディ。ドタバタの仕掛けがたくさんあるけれど、「オオカミの家」の監督クリス>>続きを読む

レオン 完全版(1994年製作の映画)

4.0

この名画を未見と思って、配信を検索したけれど、たぶんTV放映で見たことがある。実質ギャングの悪徳麻薬捜査官ゲイリー・オールドマンが、殺しの前にドラッグを決めるシーンに見覚えがある。職務中もLSDらしい>>続きを読む

野獣の血(2022年製作の映画)

3.0

韓国ヤクザ映画。
何だか往年の東映実録路線を見ているような気分になる。地縁血縁(親分子分の疑似家族だが)が複雑に絡み合ってストーリーがよく掴めないのも、「仁義なき戦い」世界と同じ。ラストシーンの銃弾も
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