Otoさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.3

好きすぎて再鑑賞。不器用な男3人組のヴァカンスロードムービー。初めての下高井戸シネマにて。

劇的な物語の展開や起伏はないけれど、自分が普段たしかに感じていることを描いていて、しかも弱い人の側から丁寧
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バビロン(2021年製作の映画)

3.8

酒池肉林のサイレント時代から、品行方正なトーキーの時代へ。
ろくでもなくてすばらしい「映画」を主人公とした怪獣映画であり、
それでも映画という人生を生き続ける人々の盛者必衰を描く物語。
(仕事に忙殺さ
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ゴースト/ニューヨークの幻(1990年製作の映画)

4.1

オスカー脚本賞作品だけあって、ものすごくよくできた脚本。現在もリメイク企画が進んでいるらしい。

「彼女との同棲を始めたばかりなのに暴漢に殺されてしまった男が、なぜか引き続き彼女の命を狙っている暴漢か
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或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.5

久々の鑑賞だけど、やっぱり王道として完璧。
スクリューボールコメディのパイオニアであり頂点。

苦手なラブコメと続けてみたので、自分が観たいのはこういうものだな〜ってすごく勉強になった。まだ映画なんて
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婚前特急(2011年製作の映画)

3.0

映画学校に入って最初の課題で書いたプロットの添削で、大脚本家の講師に参考作品として教えてもらった作品(当時は時間が取れず後回しに...)。

前田監督&高田脚本の映画といえば『まともじゃないのは...
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恋のいばら(2023年製作の映画)

3.0

期待していただけに、すごく不完全燃焼で残念...。

ログライン「元カノと今カノが手を組んで、男のリベンジポルノを防ぐべく、家に忍び込もうとする」を聞くとすごく面白そうで、役者陣も注目度が増している方
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死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

4.0

「不倫相手の夫を殺した男が、その帰りにエレベーターに閉じ込められる」という見事な設定。これだけ聞いて観たくなった。
しかも閉じ込められている間に、別の殺人の冤罪が乗っかって...という斜め上の展開。最
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フォロウィング(1998年製作の映画)

4.0

2度目の鑑賞。1時間映画のプロットを書いているのでノーランのデビュー作を参考に。

暗い画面と音楽、シニカルな男性とファムファタールにまつわる罪の物語など、完全に「フィルムノワール」の系譜だけど、
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Movies-High(2002年製作の映画)

3.3

『透明なシャッター』(2004)

今泉力哉の初監督作品。(厳密には大学卒制の『ANTENA』という中編があるけどそのときは納得する出来にならずに一度映画を挫折したらしい)

【後の作品への片鱗】
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.6

聴覚障害のあるボクサーの物語。静かに丁寧に、一般的な映画では見逃されてしまいそうな感情の機微を、言語ではなく視線や表情や動作だけで伝えるというすごく高度な作品。

繊細な芝居と大胆な音の演出が素晴らし
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RRR(2022年製作の映画)

4.4

年末すべりこみで観た衝撃作。
『バーフバリ』はあまりハマらなかったけどレベルが違う。インド映画は多く見てきてるけどトップクラス。劇場で観ないと魅力半減なので今すぐみるべし。

「なんでもありだ」「めち
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The Dolls with Attitude(2017年製作の映画)

3.6

全てを笑ってごまかしていたら人形になってしまった女子の物語。
アイドルとしてやたら人気が出てしまって、なにをやっても神格化されてしまうという尖った展開で『世にも奇妙な物語』のような読後感。

2017
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リアリズムの宿(2003年製作の映画)

4.0


「気まずい笑い」の教科書と聞いて観たけど、むしろ「理不尽な笑い」に近いなと感じた。
釣れない魚を押し売りされて宿に戻ったらその人が主人、宿に持ち込んだ酒を隠そうとしたら主人に飲まれる、泊めてあげると
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マスク(1994年製作の映画)

3.5

トムとジェリーみたいなおバカ映画で予想外。でも犬とキャメロンディアスが最強だしツッコミながら観るの楽しい。

犬のシーン、変身以外はCG使っていないらしく、まじの天才犬っているんだなぁ。噛んだら離さな
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「スラムダンク」というマスターピースの一番美味しいところを凝縮したような映画で、宮城を主人公に据えて描くという企画は(すごく良いけど)あくまで補足に感じて、原作を読んだときの感動をより臨場感のある形で>>続きを読む

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.9

「オフィス映画」部門があるならグランプリだと思う。『アパートの鍵貸します』『生きる』とかオールタイムベスト級に好きだけど、あれらはオフィスよりは大きな規模で撮られてるし、『LIFE!』『イエスマン』の>>続きを読む

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)

4.1

「伝説の脚本」とも言われるオスカー作品賞獲得作。「真面目に生きてきた人間の爆発」映画は基本的に好き。

「美」と「悪」は近いものだ、という映画だと、自分は捉えていて、「こんな映画がこの題名なのは、アメ
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窓辺にて(2022年製作の映画)

3.9

公開初日の監督舞台挨拶にて。「妻に浮気をされたのに怒りを覚えなかった小説家の男」の物語というあらすじを聞いて、ジャニーズ主演×小説家の主人公×不倫にまつわる理解しがたい悩み、という共通点から『永い言い>>続きを読む

バンド(2021年製作の映画)

3.2

バンドのギタボがボクシングを始めたら思いの外強くて、バンドを辞めることになりベースと喧嘩になる物語。

演奏シーン以降の奇想天外なクライマックスがよかった。シュールなだけにも見えるけど、共通の敵を持つ
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千年女優(2001年製作の映画)

3.7

千年間の時代を演じてきた大女優のインタビューを通して、彼女の敵わなかった恋愛と人生を追体験する映画。今敏作品ももう少しでコンプリート。

いわゆる「サンドイッチ回想」という方式で、『シザーハンズ』や『
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永い言い訳(2016年製作の映画)

3.9

『窓辺にて』のあらすじを聞いて題材が似てるなと思ったり、とある映画祭のグランプリの監督がオールタイムベストで挙げていたりしたので観てみた。

設定も構成も完璧だしセリフは天才的。書き起こしたくなるシー
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男の子の名前はみんなパトリックっていうの(1959年製作の映画)

3.9

ロメール脚本&ゴダール監督の、初期のポップな短編。ゴダールが亡くなってからずっとセルフゴダール映画祭をやりたいな...と思っているけど忙しくてなかなかできていないので短編から。
タイトルの通り、ルーム
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優しさのすべて(2021年製作の映画)

3.0

演技っぽさをあえて映画に取り込むという選択があるのかという発見があった。日記にも書かれた"偽物"の日常(指ピストルやニッポン応援)と、素で踊るシーンとの対比もそうだけど、全体を通じて不思議な気持ち悪さ>>続きを読む

永峰中村飯塚(2021年製作の映画)

4.0

すごく好きな等身大の会話劇。下北映画祭でも個人的にはベスト。

・ミニマムな構成の中で、ダメな主人公による気まずい対立を描く。コメディではないけれど、笑いを題材としていたり、今泉監督が褒めていて興味を
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走れ!走れ走れメロス(2022年製作の映画)

3.6

学校生活に馴染めずに「分校」に進んだ生徒3人と顧問からなる演劇部を追ったドキュメンタリー。下北沢映画祭4冠。

・映画に対してというよりキャストに対して、なめてました...という気持ちになった。練習の
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最も無害で、あまりにも攻撃的(2022年製作の映画)

3.5

制服のスカートに耐えられなくなったクィアの少女が、病の母親とバカンス(別荘?)に。父も途中で加わるが離婚の話が進み、自身は撮影を通して交流が進むが…。

・美しい情景と対比的に人の鬱屈とした心情が描か
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17クラブ(2022年製作の映画)

3.8

漫画×映画というか、スクリーン上で動的な実写漫画を読むという初めての体験。ハードから企画してるという意味ではすごくユニークだし、縦型映画は増えてるけど企画モノ映画ってこれくらいまでやらないとだめなんだ>>続きを読む

サイドミラー(2022年製作の映画)

3.1

鏡を集める女の物語。「どの鏡に映る自分も違う気がする」という気持ちわかる。

・正方形比の画面で、虚ろな芝居をさせているのは感覚的には印象的な絵だったけど、心情は読み取りづらい。鏡割るのはサイコパスす
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MY HOMETOWN(2022年製作の映画)

3.3

下北映画祭グランプリ。

女だけの親子3世代が地方で暮らす中、孫は大学上京を控えて母親との対立を繰り返し、元父と秘密で会っていたことから溝が深まる。地元への嫌悪感から幼馴染とも対立してしまうが…。
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いつも難しそうな本ばかり読んでる日高君(2022年製作の映画)

2.8

田舎の駅が舞台のワンシチュエーションの短編。コミカルな演出が得意な監督という印象だったけど、わりと悲劇的な作品。

・読む本を変えていたりしてるところから、どうやら読んでないなというのは想像がつくし、
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

3.6

屋敷さんと尾崎世界観の映画。売れて友人と名刺が多い監督は、当て書きで遊べるんだな。「ほな、交換しといた方がいいんちゃいますか。多い方がいいっすよ、LINEは」

今泉映画でもそうだけど、出会いの場の最
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X エックス(2022年製作の映画)

3.7

性欲おばあちゃんの暴走。ホラーというジャンル映画をフリにして予想外の方向に逸脱していくという意味ではジョーダンピールの作品にも近いと感じた。

①映画についての映画
ファーストカットの画角やラストの刑
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.3

「令和のJAWS」であり「令和のナウシカ」。わからないものをわからないまま享受できる映画ならではの圧倒される感動。1000考えたうちの10しか提示してないんだろうという奥行きがあって、『バーニング』の>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.9

表現的な面白さと、ドラマ的な面白さが入り乱れていて、観たことないくらいにアンバランスな映画。ブニュエルとロメールが交互に撮っていったのか?みたいな面白さ。

【ブニュエル×ロメール】
冒頭は日常描写な
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神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.6

吉田監督は相変わらず「性悪説」的というか、人のいやーなところを描くな〜と感心したし、タイムリーだけどまだ描かれてないテーマ設定も面白かった。見てて心地いい作品ではないし大きなカタルシスもないので、どこ>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

3.7

「スタジアムロックミュージカル」というか、「アヴちゃんの時代劇MV」というか。

クイーン、ディープパープル、ジミヘン…実際のバンドからの引用も多くてロックファン的にも楽しめた。エレクトリックな音がす
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