RyotaKondoさんの映画レビュー・感想・評価

RyotaKondo

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テイク・シェルター(2011年製作の映画)

5.0

傑作。
人間の心は映画の画面には映らない。とされている。
でもこの映画には心が映っているんじゃないかと感じる瞬間があり、これもそういう映画である。

他愛のない悪夢。しかしその実感があまりに生々しく、
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変な家(2024年製作の映画)

1.0

あのスタイルでなぜか生配信風味だったり、というか単なる実話怪談を紹介するだけっぽかったり、そこそこ人気という割に余裕で不法侵入したり、とりあえず主人公の設定部分と原作者のイメージの乖離が、それ自体は致>>続きを読む

誰も助けてくれない(2023年製作の映画)

3.2

超変な映画。
サインのクライマックスのような場面を冒頭20分で切り上げて、宇宙人とか関係なしにそもそも味方が一人もいない田舎町で、どうやってUFOの襲撃に備えるのか?

というところからまたさらに一段
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.5

神か悪魔の使いとしか思えないバリー・コーガンの発見。

めっちゃ洗練された「生きてるものはいないのか」みたいな映画。

キャラクター(2021年製作の映画)

2.5

なんか凄かった。セブンみたいなことをしたいという気持ちのみで物凄い豪華なキャストでめちゃくちゃ金をかけてfukaseまで呼んできて、全部のクオリティがしっかりしてるけどホントに凄いセブンみたいだ!とし>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.5

「観たかったゴジラ」というのはもはや一種類ではなく、一本の映画の中で「観たかったゴジラ』を描くのは無理なので、だからこの映画の描くものもまた、少なくとも僕にとっては「観たかったゴジラ」のひとつである。>>続きを読む

オクス駅お化け(2022年製作の映画)

3.5

井戸が出てくるのは実際のオクス駅にかつて井戸があったかららしい。
呪いの法則性とかラストのオチの部分とかはいずれも韓国サイドのリライトに伴う改変らしい。
まぁおそらくリライトの意図的に「なるべくリング
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わたし達はおとな(2022年製作の映画)

3.2

コミュニケーションにおけるみんなそれぞれちょっとずつズルい部分を、ここぞとばかりに見事に暴き出す手腕はそりゃまぁ凄いけど、
それらは異性愛における拙い恋愛や妊娠みたいなことじゃないことで描けないものな
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gerry ジェリー(2002年製作の映画)

4.6

何も起きない、が起きている映画。

僕たちは何をするでもなく死に向かっている。

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

2時間半以上の尺をかけて語られる物語が、揃いも揃って大人が「鍵のアレをソレすると大変らしくて...」みたいな漠然とした話を定期的に場所を変えて集まってはするだけ、というシリーズ随一の空虚さであることを>>続きを読む

DASHCAM ダッシュカム(2021年製作の映画)

3.7

POVホラーにおける問題点は概ね以下の3点ではないかと思う。

①主人公がカメラを回し続けるのは何故なのか?が話が進むにつれて謎になっていく
②前半部分はあまりやれることが少なくダラダラとした日常描写
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怪物(2023年製作の映画)

3.5

家庭の辛いひとときに束の間の笑顔を与えるのがテレビのバラエティであれば、同じ内容で自身のセクシャリティに悩み苦しむ人に「コンテンツ」として笑い飛ばされるセクシャリティを目撃させる装置もまたテレビのバラ>>続きを読む

J005311(2022年製作の映画)

4.2

許可の取れない東京の路上や停まってやり直しというわけにはいかない高速道路、人の出し入れをコントロールしづらい駐車場に、極め付けはラストの樹海と、物理的にワンテイクしかやれない状況を課した上でのワンシー>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.4

記憶と記録の間にいる魔のようなものが描かれている。

観ている側から記憶に変わっていく映画。
1秒前に観ていた画面だってもうそれはあなたにとっての記憶なのだ。

曖昧でとらえどころのないひと夏を見届け
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ノスフェラトゥ(1978年製作の映画)

4.0

ドラキュラはある意味誰よりも恐れている。
不死であること。醜い姿で生き続けること。陽の光を浴びずに疫病を蔓延させ、棺の中で眠る存在でいること。そんな状態で孤独に何世紀も生き続けること。

存在自体が恐
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バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

4.3

あまりにも面白い。
リンクレイター映画特有の人生の輪郭に触れるような最高の人間ドラマ。

自分は、母は、妻は、隣人は何者なのかを探すための彷徨い。

自分は紛れもなく選んだ人生を生きてると見つける話と
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.8

基本的に好きな映画だし肯定派なんだけど、すごい悪い言い方をすると奇跡待ちをして奇跡が起こらなかった映画みたいなところはある。

ブギーマン(2023年製作の映画)

4.5

めちゃくちゃ良かった。

ある種のジャンル映画には70点満点中90点を出してしまうような傑作があり、これもそういう類の映画だと思う。シンプルで力強いトラウマ克服の物語と、存在自体は怖くはない"何か"を
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パラノーマル・アクティビティ(2007年製作の映画)

3.8

今となっては散々語られているけどもDVDの「稲川淳二と観るパラノーマル・アクティビティ」に関しては5点では足りない。

開始から5分も経たないうちに、「部屋の向こうの影は怖いなァ~これは絶対怖い!」「
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ミンナのウタ(2023年製作の映画)

4.6

監督本人が散々嫌がってきた「ジャパニーズホラーの巨匠」の矜持をもって、企画のスタートラインなどおかまいなしに「怖い映画」を本気で作っており、怖がりつつ感動してしまった。

たまたまという話だけど、俊雄
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スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

5.0

オールタイムベスト。

人生の分岐点。
田舎町の小さな小さなコミュニティで「未来」は無限に開かれた可能性などではない、と突きつけられている少年たちが、事故死で未来を閉ざした少年の死体を探して短い冒険の
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クリスティーン(1983年製作の映画)

4.0

なぜかずっと『ザ・カー』と混同しており完全に観たつもりになっていた。


カーペンターの音楽がかかった瞬間に映画のエンジンも見事に全開になるのが最高。

主人公がアーニーなのかデニスなのかが絶妙にどち
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ニンフォマニアック Vol.2 ディレクターズカット完全版(2013年製作の映画)

4.1

2023年現在にみると寧ろ同時代的な内容になっていて、「間違った価値観」みたいなものに対して、それとどう向き合うのかというそれ自体人生訓みたいな話にvol.2はなっている。

人間のどうしようもないと
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ニンフォマニアック Vol.1(2013年製作の映画)

3.8

無修正ディレクターズカット版で観た。画面や編集は丁寧なんだか荒っぽいんだかよくわからないものの、本当に性器が画面に映って、それがはっきりと反応している、という点が作劇上重要なあたりは面白かった。

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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.5

やっぱりジェームズ・ガンは映画が上手い。

なんたってソ連に片道切符のロケットに乗せられた宇宙犬にまでセカンドチャンスがある世界なのだから、デストロイヤーもラクーンも地球人も、みんなそれぞれのセカンド
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.7

理に落ちないことが映画にかける魔法みたいなものを感じる。

なるべく説明を排した語りはこの後の作品も一貫しているけども、恐らくは脚本レベルではもう少し明瞭だったはずの行動原理がぼかされた結果、ただ不気
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エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

3.8

「前作と同じだけど少し違うやつをくれ」という無理難題を前日譚というイチかバチかのアイデアともうひとつのプロット上の(無理矢理といえば無理矢理な)捻りを加えることで見事にこたえており、ジャンル映画の続篇>>続きを読む

邪願霊(1988年製作の映画)

3.7

日本でまだまだCDが売れてた頃の景色(広いフロアいっぱいにびっしりCDがある)に、そこらへんで平気でタバコを吸う人々がフェイクドキュメンタリーとして記録された結果その点はドキュメントになっている。>>続きを読む

ハロウィン THE END(2022年製作の映画)

4.5

第1作の『ハロウィン』のラストカットで、「不在」をみせることによって終わらない恐怖を描いた。
スラッシャー映画におけるファイナルガール=サバイバーが囚われる恐怖心の牢獄。
『チャイルド・プレイ』第1作
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Single8(2023年製作の映画)

4.6

本当に素晴らしかった。

スピルバーグのような天才にはなれない、「俺には才能はないと思う。でもこのシーンだけは撮ってみたい」という映画に取り憑かれる人間のもう一つの側面を見事に描いており、8ミリカメラ
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.3

人生が続く限り分岐世界は分岐し続けていて、あなたが選ばなかった世界もあなたが選べなかった人生もあなたを選ばなかった世界もありうる。
完璧な人生じゃないかもしれないがこれも悪くないだろう。

そこには1
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バビロン(2021年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

勝手なことを言うけど、映画史の表現が更新された作品をあげつらうなら「回転」も「たたり」も「リング」も「ブレアウィッチプロジェクト」もないのはどういうことだろう。
単に恐怖表現はどうだってよかったんだろ
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

なぜ俳優への演出なんてものが必要なのか?
役者にボーッと60秒見回してくれと言っても何も生まれない60秒が映る可能性があるが、君のせいで数十名の部下が死んだんだ、と伝えると思いもしないようなものが映っ
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エゴイスト(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

僕自身がどちらかというとこういう施すことで親愛を示してしまう節があり(貧乏人だからたかがしれてはいるけれど)、だから一体何がエゴイストなのか全く理解できずに観終わって、後で他の人の感想を見たりしてあぁ>>続きを読む

エレナの惑い(2011年製作の映画)

4.6

モーニングルーティン描写の細部の変化一つで伝わる隠してた心情の数々。

凍てつくような本音と建前の交差する地獄の家族関係。