遊さんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

笑の大学(2004年製作の映画)

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細かいところまでゆきとどいていて気持ちよすぎる役所広司の喜劇役者っぷり
劇団主宰として文化庁との補助金申請のやり取りにここ2年間死ぬほどやきもきしてるから気持ちが死ぬほど分かりすぎた 稽古中に役者から
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群盗、第七章(1996年製作の映画)

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凄惨な内容を「悲しげなBGMや激しい泣きの演技などをあえて入れずにニュートラルに語ってます」って感じの映画は今までにも観たことあるような気はするが、胴体チョンパとか頭潰し処刑とかをここまで平熱テンショ>>続きを読む

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

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最後まで面白いと思えるところが全くなくて、よかった
おれに子供が生まれたらFPS?とか、人が人を銃で撃つゲームは本当にやらせたくない ダルい親にカテゴライズされるんだろうが、そこに絶対に楽しみを見
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冷たい水(1994年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

愛に対するスタンス
愛を自分にとって絶望的に足りないものとして苦しみながら渇望しつづけるか、ある程度は満たされてるから余裕を持って更なる高みを目指すのか 人生の種類を決定しうるそのスタンスが思春期まで
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北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)

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終盤で急に出てくるマイクロフィルムが何の説明もない清々しいほどのマクガフィンで笑った
ラシュモア山を見てあ、ナルトの火影岩のやつだってなるのは何歳以下なんだろ
もう使わない中古の飛行機を実際にぶっ壊し
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聖なる酔っぱらいの伝説(1988年製作の映画)

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淡々と進むのに息もつかせぬ展開、という見たことのない温度感の作品だった 過去の回想も未来の妄想も前触れなくフラットに突入して、気づくと夢から現実に戻っている 混濁した酔っぱらいの意識と自然に同化して>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.7

終わってほしいところで完璧に終わった

無人島に漂着して資産の多寡からサバイバル能力の多寡へとヒエラルキーが逆転しても、集団で生活するためには「政治的な知性」が有用なのではないか、「勉強してきたヤツ」
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木靴の樹(1978年製作の映画)

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ラストの がらん、とした空気

遠ざかっていく馬車の音だけがほのかに聴こえる夜更け

見送ることもできず、かと言って部屋の中で聞こえないふりしてやり過ごすこともできず、意味もなく外に出て立ち尽くす
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ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

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アートを愉しむ知的富裕層の鼻持ちならなさにも、激しい言葉で文句をつけるだけの貧困層のルサンチマンにもイライラしてしまった。たぶんこの映画を観てそうなるのは当然で、特定の視点から特定の欺瞞を喝破するよう>>続きを読む

バニシング・ポイント 4Kデジタルリマスター版(1971年製作の映画)

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この時代に流れていた空気、この時代を生きていた人々の精神のありかた、ニューシネマという一単語一括りでわかった気になっちゃいけないな、と思いつつ とりあえず劇場で売ってたZINEを買う
劇場のみんなで逃
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ヒューマン・ボイス(2020年製作の映画)

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4年も付き合ったのに別れるときは電話一本なんてありえない、っていう議題 電話が発明される前には当然存在しなかったわけで 100年後にはどんなたぐいの新しい別れ際揉めが生まれてるんだろ
 
こんな経験今
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.9

世界というのは"なんでもあり"の、太刀打ちできない混沌で 人間ひとりでどう足掻いても波紋ひとつすら起こせないように思えるけれど、だからと言って なにをしたって無意味だ、って窓から飛び降りるのは待ってよ>>続きを読む

宋家の三姉妹(1997年製作の映画)

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エブエブ予習② ミシェル・ヨー

孫文と蒋介石という20世紀前半の中国史において最重要のふたりを描くってだけで歴史映画としては充分なカロリーなのに、ふたりの妻は実の姉妹で、姉妹の視点で描かれる政治も恋
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グーニーズ(1985年製作の映画)

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エブエブ予習① キー・ホイ・クァン

「すべての少年少女」に向けてつくられたようなド直球アドベンチャー映画

同じ「子どもたちの冒険」ものでも「スタンド・バイ・ミー」(ほぼ同じ製作年代で、コニー・フェ
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

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スピルバーグの自伝的作品というから勝手に「映画人生を振り返った集大成的映画」をイメージしてたけど、「今回は自分の人生をネタにしてみました」くらいの通常運転だった、別にここでフィルモグラフィに区切りをつ>>続きを読む

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

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登場人物にのっぴきならない激しい感情を生じさせるための最短距離な設定と展開は相変わらず「物語のための物語」という感じだが、それが言うまでもなくアルモドバル節であり、いつもどおり全てのショットが原色のカ>>続きを読む

オリ・マキの人生で最も幸せな日(2016年製作の映画)

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パンダのシャツがやけに似合ってた、星条旗のタオルではしゃいでた、カメラ向けると変な顔をした、いつもいつもいつも可愛かった

スミス都へ行く(1939年製作の映画)

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政治活劇・報道活劇の古典
熱くて無垢な、経験の無さを補ってあまりある気概を持った若者が腐った権力構造に大きな一石を投じる、胸がすく勧善懲悪の名作 
主人公以外の議員が全員ゴミ、でも議長だけは主人公
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恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

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ビル・マーレイLOVERなのに観そびれ続けてた、映画館で観れてよかった〜 あーこの人おっかし、ってみんなで声上げて笑ってナンボなタイムリープ・コメディでした

アンディ・マクダウェル、80年代アメリカ
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

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映画館でバイトしてたから、ポップコーンは古い方から入れるとか、飲食物持ち込み禁止でゴネる客とか、映画が好きそうな感じには見えないエラそうな支配人とか、わかるわかると思って観てた

オリヴィア・コールマ
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快楽(1952年製作の映画)

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現代の映画でもよく撮ったなあと思えるレベルの緻密カメラワーク長回しが何回もあって、古い映画を観ている感じがあまりしない ブギーナイツやバビロンのオープニング大宴会シーン長回しのルーツがこの映画だったら>>続きを読む

ロード・トゥ・パーディション(2002年製作の映画)

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エンパイアオブライトの予習を兼ねて
最後まで普通の範疇に収まるストーリーを飽きずに見させるのはサムメンデスの監督としての力量なんだろうな 要約すればAfter all, you're my wonde
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夜の浜辺でひとり(2016年製作の映画)

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キム・ミニと一緒になってカップルが急に始めた痴話喧嘩をクスクス笑ったり、かと思えば酔ったキム・ミニの怒号を浴びてシュンとしたり キム・ミニの隣に居たり向かい側に居たりするような感覚になる映画 キッチン>>続きを読む

有頂天時代(1936年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ララランドからミュージカル映画に入ってるから、陽気なテンションで楽しませてくれてたのが最後「儚い夢の終わり」感で泣かせてくるパートに入ると 来た来た☺️と嬉しくなるんだけど、その後にそれをぶっ壊すよう>>続きを読む

フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

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しょっぱなからハネケみたいな不穏さと緊張感でワクワクしたけど、「とっさの行動」というワンアイデアで2時間引っ張るのは厳しい、40分くらいの短編としてか、そのアイデアをふさわしい物語に埋め込んだものを観>>続きを読む

暗殺者のメロディ(1972年製作の映画)

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ラスト15分のための緊張感の積み上げ
特に見せ場のない役どころになぜロミー・シュナイダー?って思ってたけど最後の咆哮は引きのカットにも関わらず映画のハイライト感があってやっぱロミーでよかった 前フリの
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カンダハール(2001年製作の映画)

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去年までは全然興味持ってなかった中央アジア映画祭に今年は行ってみたいなと思うし、図書館の映画棚に行くたびに 前回来た時には知らなかったから価値がわからなかった貴重なタイトルが普通に置かれててこれ無料で>>続きを読む

カポーティ(2005年製作の映画)

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多かれ少なかれ創作というものは必ず現実に立脚/現実を侵食するわけで、その作品が世に広まることで迷惑を被る現実の誰かが存在する、これってたとえば映画を撮影するとそのロケ地に住む人々の邪魔になる、とかも同>>続きを読む

アレクサンダー大王(1980年製作の映画)

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帝国主義と社会主義それぞれに侵食されてどこにも光を見出せない疲弊しきった民衆は、頼れそうなカリスマ的リーダーにいとも簡単に自らの人権を明け渡してしまう、みたいな流れを3時間半かけてなんとなく感じ取った>>続きを読む

ドラブル(1974年製作の映画)

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マイケル・ケインにも若い頃があったんだなあ〜
カンヌとかで評価されるような「いわゆる芸術性」みたいなものを徹底的に排し、無駄を省いて省いて娯楽性を極限まで突き詰めた先に生じてくる別の芸術性、っていうの
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.7

どんなに面白くてもオールドボーイやお嬢さんを超えるのはさすがに難しいだろ、なんてナメてかかってすみませんでした 今まで観た映画の中でいちばん(精神的に)エロティックだった 難しい言葉は分からないから、>>続きを読む

月曜日に乾杯!(2002年製作の映画)

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普通、映画に登場する役たちはみんなそれぞれ物語を進めるための「役割」を文字通り担っている、だけどイオセリアーニの映画ではみんなそういう構成上の責任から解き放たれて「ただ生きている」感じがする(もちろん>>続きを読む

歌うつぐみがおりました(1970年製作の映画)

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なんか話が散逸してて集中しづらいな〜と思って寝落ちたんだけどあとからここのレビューを見ていると「何にも集中できないADHD」の話だったらしい この映画に共感しうるやつはこの映画に集中できないだろ 要デ>>続きを読む

海の上のピアニスト イタリア完全版(1998年製作の映画)

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ポール・オースターが繰り出す魅力的すぎるホラ話を完璧に視覚化して3時間浸らせてくれる、みたいな映画だった
笑えるくらいスケールがデカくて、あり得るかあり得ないかみたいな次元を軽く飛び越えて ものすごく
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我等の仲間(1936年製作の映画)

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宝くじで当たった10万フラン
当時、その通貨単位でその額ってどれくらいのモンなのっていう疑問 古い映画観る人は絶対みんな何度も抱くよね この年はこの国でパンが一斤いくらで売られてました、みたいな早見表
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ウィ・アンド・アイ(2012年製作の映画)

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学校最後の日の帰りのバスでみんなわちゃわちゃしながら1人ずつ降りていって徐々にガラガラになって日が暮れていって気づいたらアンタとアタシだけ、なんてちょっと状況のイデアにもほどがある
大学のとき行った
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