レインウォッチャーさんの映画レビュー・感想・評価 - 31ページ目

RENT/レント(2005年製作の映画)

4.5

あああーこりゃーだめだー曲がよすぎるー。

開幕早々、正面から弩名曲「Seasons of Love」でぶん殴られるため、後はもう意識朦朧、前後不覚、茫然自失、涅槃寂静。
後半やけに駆け足で色々投げっ
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アンテベラム(2020年製作の映画)

2.5

はじめての、ぶらっくらいぶずまたー。

若手R&B / ソウルアーティストの代表格、ジャネール・モネイが主演を務め、南部プランテーションで奴隷として搾取されるエデンと、現代で扇動的な思想家かつ母親とし
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ファーザー(2020年製作の映画)

5.0

あまりの衝撃に、言語化して投稿するまでにしばらく時間がかかってしまった。
現在のところ、2021年日本公開・配信の映画作品中ではぶっちぎりベスト。劇場鑑賞を逃してしまったのが我ながら信じられないと同時
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ロアー(1981年製作の映画)

3.5

悔恨キング。

かつてヒッチコック映画で名の知れていた女優ティッピ・ヘドレンが、夫とともに製作。ライオンや虎をはじめとする大型ネコ科を中心に200頭以上の動物を「NO調教、NO合成」で出演させ、夫妻の
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ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012年製作の映画)

4.0

極限サバイバル?それともアニマルファンタジー?
ノンノン、哲学じゃよ。

タイトルやジャケから所謂ジャンル映画的な仕上がりを想像するけれど、もちろんそういった面白さも一定保ちつつ、実はかなり深いところ
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エターナルズ(2021年製作の映画)

3.5

宇宙創生神話規模の「他人事」。

以前わたしは「ホワット・イフ」のレビュー(https://filmarks.com/animes/3037/3840/reviews/1598448)で、MCUの何よ
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.5

「エターナルズ」前夜鑑賞。

さまざまな事情から、定住する地をもたずキャンピングカーでアメリカ各地を転々とする放浪者=ノマドとして生きる人々の姿を描く。
登場人物たちは、フランシス・マクドーマンド演じ
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スウィート・シング(2020年製作の映画)

4.0

ああー「映画」を観たなあー…という、小さくもじんわり余韻がある作品に出会った。たとえば誰かに贈るため丁寧に包まれたチョコレート・プラリネの複雑な香気が、お腹から五感へ広がりやさしくほぐしていくときのよ>>続きを読む

アリス(1988年製作の映画)

4.0

数多ある「アリス」作品の中、ひとつの極北であろう作品。チェコの鬼才で奇才で忌才、ヤン・シュヴァンクマイエル。チェコの土にはよっぽど黒々した物質が混じっているようだ。

ストップモーションアニメと実写を
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ふしぎの国のアリス(1951年製作の映画)

5.0

Goodness!
まさかこの映画がディズニープラスでR指定じゃあないなんて…それくらい、こころに何か忘れられない痕を残してしまう、つまりまだ柔らかい魂の形を変えてしまうような力のあるファンタジック・
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ザ・ベビーシッター ~キラークイーン~(2020年製作の映画)

3.0

ハロウィンもいつのまにか過ぎてしまったのでネトフリホラーを消化しよう⑤

劇中でかの「ターミネーター2」について語られる場面があって、「オリジナルを超えた続編映画だよ」と表現される。メタとも取れる発言
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ザ・ベビーシッター(2016年製作の映画)

3.5

ハロウィンも近いどころか当日なのでネトフリホラーを消化しよう④

いじめられっ子の少年コールが留守番するときは、ベビーシッターのビーが来てくれる。もう12歳なのにベビーシッター頼りなのは少し恥ずかしく
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闇はささやく(2021年製作の映画)

2.5

ハロウィンも近いのでネトフリホラーを消化しよう③

田舎の古い屋敷に引っ越したら夫はずっとニヤニヤしてるしステイホームもうんざりだから降霊会でもやってみた件。

…この作品はひとえにペース配分が失敗で
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ブラッド・レッド・スカイ(2021年製作の映画)

3.5

ハロウィンも近いのでネトフリホラーを消化しよう②

飛行機サスペンス×感染系モンスターパニック×母子愛 fromドイツ。
ホラーをはじめとするいわゆるジャンルもの映画って、シチュエーションや要素のかけ
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クラシック・ホラー・ストーリー(2021年製作の映画)

3.0

ハロウィンも近いのでネトフリホラーを消化しよう①

イタリア産痛い系スプラッター。境遇の異なる男女がカーシェアに乗り合わせ、道中で謎の森に迷い込み恐怖に巻き込まれる。

「まさに典型的なホラー映画だよ
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.0

そうか。この国における家父長制は、戦後がはじまったとき既に一度ゆっくりと死んでいた。
そこから世紀を跨いでもなおわたしたちの一部がどこかで信じ、縋っているのはその残滓に過ぎなくて、小津安二郎というひと
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ランナウェイズ(2010年製作の映画)

3.5

70s、当時はまだ珍しかった女子だけのロックバンドの先駆けとなったランナウェイズ。ChChChChChChCh、チェリー・ボム!はいまでも多くの映画・ドラマの中で引用されるほか、当時は日本でのヒットが>>続きを読む

マネー・ショート 華麗なる大逆転(2016年製作の映画)

3.5

世界恐慌の一歩手前とも言われた巨大な経済危機。アメリカの住宅バブル崩壊にはじまり日本ではリーマンショックとも呼ばれた、21世紀史に残るであろう事変の顛末と、その兆候を事前に察知した男たちの苦闘を描く。>>続きを読む

キャンディマン(2021年製作の映画)

3.0

伝播する恐怖、連鎖する憎悪。

1992年作のホラー映画「キャンディマン」はその後2や3が作られたものの形式だけを継いだようなもので、ある意味今作が精神性も含めた正当な続編という印象。
なぜいまキャン
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鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ラストはなんとも…な後味だけれど、解釈としては色々な方法があるようだ。監督の「これはハッピーエンド」発言だったりも影響してなのか、実は再会ENDとか時系列シャッフル説までいろいろな考察が溢れてる。好み>>続きを読む

リザとキツネと恋する死者たち(2014年製作の映画)

4.0

ハンガリーより(誤字だらけの)愛をこめて。

70年代のブダペスト。純真すぎるゆえに孤独な在宅看護師のリザは、30歳の誕生日を機に一念発起、運命の人を探すことに。しかし彼女の唯一の友だち、日本の歌謡歌
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ブラ! ブラ! ブラ! 胸いっぱいの愛を/ブラ物語(2018年製作の映画)

4.5

はずす瞬間こそ最もパトス高まる、というのはきっと多くの紳士諸氏から賛同を得られるであろうことからして、やはりBraはただの布を超えて人類の繁栄を支えてきた聖域への扉なのである。

主人公は初老の男で、
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アンジェリカの微笑み(2010年製作の映画)

2.5

あらすじから、青年を魅了する黄泉の微笑みとはいかに儚く・妖しいものかと期待するのだけれど、想像の3倍ニッコリ・ガッツリで椅子からずり落ちそうになった。歯茎見えそうなタイプの熱帯型スマイル。お、おもてた>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.0

圧・倒・的。

とんでもない映像密度。間違いなく最新型のドゥニ・ヴィルヌーヴを浴びることができる。
彼が描きだす広大な風景や遺跡のような建造物と登場人物の対比は、雄大さよりも容赦のない圧迫感をもって迫
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.0

いくつか原則として観ないようにしているタイプの映画があって、そのひとつが戦争もの、特にWWIIの日本・ドイツ絡みの作品だ。ひとえに「火垂るの〜」とか「ライフイズビュ〜」のような想いをするのはもうたくさ>>続きを読む

東京物語(1953年製作の映画)

3.5

紛うことなき古典。
なのだけれど、登場人物たちが言葉にしない間だったり、低く固定されたカメラが映す空っぽになった部屋の風景などが語る抒情性には新鮮な驚きがある。

育て、見送り、託す。人生の仕事をひと
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

3.5

タイトルどおり、90年代半ばの空気をパックしたタイムカプセルのような映画。
ファッションや音楽(流れ続ける当時の西海岸らしいピースなヒップホップが最高)をはじめとするカルチャー面はもちろん、映像も16
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ジェクシー! スマホを変えただけなのに(2019年製作の映画)

3.0

仮にあなたが、「明日までにAIがテーマのパニックコメディを考えてきて。できなかったら一生地下でじじいの肛門をスケッチする仕事な」と言い渡されたとする。ド素人のあなたがなんとかかんとか捻り出したとして、>>続きを読む

フェアウェル(2019年製作の映画)

4.0

新しく学んだ直後だったり、関心をもった言葉やものごとがやけに周囲に溢れているように思える認知のはたらきを「カラーバス効果」と呼ぶらしい。
冒頭から「これは実際の嘘に基づく物語」と宣言される。実はこの瞬
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.5

これはミステリーではないし、ジャーナリズム/マスコミ論を問う映画でもない。この映画を見終わった後からでは、ポスターにある「正しさとは、何なのか?」というコピーは的をはずした、陳腐なものにさえ映る。
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Melanie Martinez: K-12(2019年製作の映画)

3.5

女の子って何からできてる?
お砂糖、スパイス、すてきなぜんぶ。

この数日クルエラマラソンが続いていたのだけれど、最後にもうひとつ、かつてクルエラにインスパイアされた少女が生み出した作品を観て終わりに
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クルエラ(2021年製作の映画)

4.0

プラダを着なくても悪魔。

まずは何をおいても美術点だけで3億点とれている。
エステラ=クルエラ(エマ・ストーン)の衣装は毎シーンごとと思われるくらいくるくると変わり、「眠れる森の美女」の舞踏会から変
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102(2000年製作の映画)

3.5

グレン・クローズという女優について、どれだけのことを知っているだろう。
御歳74さいの大ベテランでありゴリゴリ現役、映画も舞台もテレビまでこなす全方位全天候対応、アカデミー賞こそ何度もノミネートされつ
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101(1996年製作の映画)

3.0

犬犬犬犬。といえば、かの大槻ケンヂが筋肉少女帯とは別に主催する文系ヘヴィロックバンド・特撮の代表曲「アベルカイン」。もしくはこの映画であろう。

101匹のわんちゃんを実写で撮るために連れてこられたリ
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THE GUILTY/ギルティ(2021年製作の映画)

3.5

わたしは演技論なんてまったく体系立てては語れないのだけれど、それでもジェイク・ジレンホールさんの「顔力」がファンタスティックであることはわかる。
イケメン…でありつつとっても似顔絵に描きやすそうな天賦
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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

4.0

夢と創作行為を重ねあわせる構図は古今東西さまざまな作品で見られるけれど、1984年の、しかも一般にも広く観られるようなアニメでここまできれいにまとまっていることに驚いた。

夢と創作は、どちらも閉じら
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