しんたろーさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ミュージアム(2016年製作の映画)

3.8

SevenとSAWの要素を日本漫画で味付けしたような、サスペンスとしての息を呑む要素満載な作品。
真相に辿り着いてからラストまでの流れがサスペンスを通り越して、序盤のグロさやエグさなんか気にならない程
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仮面病棟(2020年製作の映画)

3.6

分かりやすくこれが伏線ですよって感じで張りに張った違和感を最後に一気に回収するべく両手両足全て使って無理矢理にでも詰め込んで、はい、綺麗に収まったでしょ?って言われて、その勢いに気圧されて、そうだねっ>>続きを読む

黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)

4.2

かなり杜撰で差別のフィルターで物事を見ているこの時代の冤罪に巻き込まれた死刑囚達の計り知れない辛くて壮絶で哀しい人生に寄り添って、同じ目線で立ち上がり戦い続けた1人の弁護士の実話に基づいた法の物語。>>続きを読む

恋は光(2022年製作の映画)

4.0

何とも甘酸っぱく、何とも歯痒く、純粋で無垢でキラキラしているのに、少し捻くれてて、少しだけおかしみを帯びた、本当に小さくて壮大な恋のお話。
繰り広げられる理屈じみた議論は、一見哲学的で分かりづらそうに
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映画 聲の形(2016年製作の映画)

3.7

前評判とか雰囲気とかで所謂” 良い映画”みたいな気持ちで軽はずみに見始めてしまったが、想像以上に、いや、想定外に、余りにもヘビー。
(最終的にはハッピーエンドと呼んでいい終わり方をするのは作品として完
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哀愁しんでれら(2021年製作の映画)

3.7

前半は割とコメディタッチで土屋太鳳演じる小春に降りかかる不幸からの幸せを掴むまでといった解りやすい現代版シンデレラストーリーを描き、後半からは一転、不穏な空気が全てを包み込み、今までの何だか必要無さそ>>続きを読む

最初の晩餐(2019年製作の映画)

4.1

家族って何なんだろう。そんな誰にも分からないし正解もない果てのない問題を、2つの家族が少しずつ1つになっていくプロセスを食卓の風景と共に回想して、今一度最初の疑問に立ち帰る、そんな結局のところ何の解決>>続きを読む

星の子(2020年製作の映画)

3.8

どうしたらいいかわからないやり切れなさや葛藤から逃げる先に手を差し伸べてきたものに縋ってしまう弱さと脆さが産んだ信仰という盲目的な狂気に気付きながらもまた違った意味で盲目的に育っていくことを選択してし>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.6

時代背景や技術の未発達、粗末な程に旧態依然とした取り調べ体質などによる捜査の限界を無情なまでに描ききり、観ている側にも先入観を植え付け、まるで目の前のニュースでこの事件が報じられているかのようなリアリ>>続きを読む

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)

3.9

震災が産んだ抗えないほどの被害と自らの力ではどうしようもなく無力に立ち尽くすしかないその現実と、生活保護というもしかしたら何かのきっかけで避けられたかもしれない哀しい現実を対比させることによって、あま>>続きを読む

火花(2017年製作の映画)

3.5

原作は未読なのでこの作品の話にはなるが、芸人が作ったということで芸人の葛藤や苦悩、笑いに対する姿勢なんかは(ある意味綺麗すぎる程に)美しく描かれていて、雰囲気もある映画のはずなのに、ちょいちょい挟まる>>続きを読む

キャラクター(2021年製作の映画)

4.2

起承転結しっかりとさせて伏線回収もぬかりないストーリー展開、マンガと現実(この表現が正しいかは別として)を行き来する事件の見せ方、そして菅田将暉とFukaseの狂気、全てが交錯して、間延びすることなく>>続きを読む

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

4.1

日本の歴史においてさまざまな形で切り取られ映像化され続けている戦争映画をまだ新しい切り口で描くことが出来るのか、と感嘆が漏れてしまうのと同時に、他国との駆け引きではなく自国内の政治的抗争に数学というエ>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

5.0

MCUという壮大なプロジェクトが始まり、アベンジャーズエンドゲームという大団円を経て、その意志を注ぎ次世代のマーベルを担う存在としてスタートを切ったトムホランド版スパイダーマンに期待し胸躍らせる一方で>>続きを読む

恋する惑星(1994年製作の映画)

4.5

タイトルや評価は勿論周知の事実ではあったが、最近やっとアジア映画に抵抗が無くなってきたことを機に何気なく鑑賞してはみたが、いやはや、何とも言い表し難い感情に苛まれる作品であった。
今見てもユニークで斬
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るろうに剣心 最終章 The Beginning(2021年製作の映画)

4.0

前作にて集大成としてしっかりと帰結した物語の始まりをあくまでスピンオフという立ち位置で丁寧に描くことによって、よりそこに眠る深い哀しみや憎しみ、執念や誓いが浮き彫りにされるラストにしてターニングポイン>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

3.5

アベンジャーズという余りにもスケールのデカい世界を巻き込んだ戦いの裏側にはまだまだ知られざる歴史と隠された真実があった、といったサイドストーリー(にしては壮大すぎる)的な側面を前面に押し出しながら、結>>続きを読む

るろうに剣心 最終章 The Final(2021年製作の映画)

3.9

全ての物語が帰結する場所として、時代が築き上げてしまった哀しき負債の清算として、罪を償うためのここから長く続く人生の再出発のための終焉として、集大成に相応しい明治剣閣浪漫譚最終章、ここにあり。
佐藤健
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アンブレイカブル(2000年製作の映画)

3.5

設定とか世界観はとても良いものだと思うのだが、何故か入り込めないのはストーリーのせいなのか、要所要所の不可解な点のせいなのか。
マーベルやDCが席巻するよりもだいぶ前に、アンチ王道ヒーロー的な視点で描
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鳩の撃退法(2021年製作の映画)

3.9

原作小説の時点でめちゃくちゃカオティックでおそらく理解する人を選ぶ作品だったのだから、ましてやそれを映像化するとなれば、おそらく理解が追いつかない人が頻出するであろうことは分かっていたことであり、そん>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.9

ある視点から見たらただの若気の至りで頭の片隅に追いやった些細な思い出。ある視点から見ればそれは自らの全てを賭けてでもうやむやにせず、つまびらかにしたい悲しく凄惨な事件。
ただ単純な復讐劇にならないよう
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

4.0

騙して騙されて、嘘ついて嘯いて、裏をかいて寝首をかいて、次々に起こりくるどんでん返しの応酬。
日本独特な出版業界のもつ古い商習慣、長きに渡る大企業に蔓延る政権争い、様々なエンターテインメントを雑誌とい
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スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼(2020年製作の映画)

2.6

誘拐する時口塞がなかったり、みんな1発の殴打で確実に相手を気絶させる凄い技術持ってたり、成田凌をレクター博士みたくしたいのか割と序盤で自分達のスキルに諦めをつけて簡単な警護で連続殺人犯頼みになったり、>>続きを読む

前科者(2022年製作の映画)

4.3

どこかで掛け違えてきて気がつけば一つ余ったボタン。同じようにして誰かが持て余したボタンホールに出会うことで意味が出来るはずもなく、その掛け違えは余りにも哀しい悲劇を生み出してしまう。
法を犯すことは悪
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あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)

4.1

圧倒的なまでに不器用で真っ直ぐでがむしゃら。結果的にボクシングというフィルターを通して圧倒的なまでに生きることに執着した2人は最終的にその命を懸けて拳を交わす。
前後編合わせて5時間弱。だれることなく
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あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)

3.9

怒り、憎しみ、妬み、憤り、どこにぶつけていいかわからないぐちゃぐちゃになった感情をただ吐き出す場所としてボクシングを選んだ2人の青年。
まだ吐き出しきれず、成長しきれず、それでもがむしゃらに生きていく
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シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

3.6

アクションシーンやファンタジー要素を感じさせるVFXなんかは流石のクオリティだし、マーベルに新しい風を吹かすアジア圏ヒーローの登場はフェーズ4の割と重大なトピックスとなることは必至なのだが、残念ながら>>続きを読む

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

4.8

役所広司演じる大上亡き今、原作にないオリジナルストーリーによる続編、などといったどちらに転ぶのかという不安は全て杞憂だったと言わざるを得ない程に圧巻。
前作が持つスリリングでヒリついた空気感はそのまま
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先生、私の隣に座っていただけませんか?(2021年製作の映画)

3.7

どこまでが現実でどこからが妄想か。どこからを現実として受け入れなければいけなくて、どこまでを妄想と片付けて楽な気持ちになれるのか。
錯綜する2つのシーンがシームレスに違和感なく、でもどこか違和感を孕ん
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子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

4.0

勿論原作ほどではないが、それでも沖田修一作品としての空気感にストーリーが見事にマッチしていてこの映画はまたそれで素晴らしい作品に昇華されている。
重くなりすぎず、軽く見せ過ぎず。
多くを語らず、ただ委
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街の上で(2019年製作の映画)

5.0

基本的に今泉監督のファンであるからこその贔屓目はあるであろうことは重々承知の上で言わせていただいても良いのであれば、本当に素晴らしすぎるの一言。
今までの作品よりも更に会話劇の様相を呈していて、その一
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長いお別れ(2019年製作の映画)

4.6

家族のかたちも多種多様だし、その描き方も数えきれないほどある。どれが良くてどれが悪いとかではないけど、ここに出てくる家族はとても丁度良い距離感と節度で、その上でとてもチャーミング。
微笑ましくて、優し
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罪の声(2020年製作の映画)

4.0

原作の重厚で緻密な世界観を上手いこと映画という短い中に収めていて、複雑で難しい展開や時系列、人間関係をとても解りやすくでも決して雑にならずに丁寧に描いている良作。
哀しくて切なくて苦しい。社会や警察、
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MOTHER マザー(2020年製作の映画)

3.7

あまりにも救いようのない、荒んで滑稽で醜くて、どこにも感情移入なんて出来るわけもない胸糞の悪い母親と、頼れるものも信頼できるものも楽しいことも温かい心すら、全てを知らなくて分からなくて目の前にいる、た>>続きを読む

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.3

ありそうで絶妙に無いゲームのモブキャラがプレイヤー側の自我を得るという設定と、それらを肩肘張らずエンターテインメントとして魅せる脚本が共に秀逸。
あくまでアメコミ的な立ち位置で進むストーリーなんだけど
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るろうに剣心 伝説の最期編(2014年製作の映画)

3.9

実写化作品としては稀有なほどにハイクオリティな水準を保ち続けているのは確かだが、原作のファンだからこそ(映画というパッケージの中では仕方ないのはわかっているが)、志々雄一派との戦い、過去、そしてそれに>>続きを読む