しんたろーさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

3.9

原作小説がとても素晴らしいものであり、活字のみであまりにも壮大で深みのある音像を表現していたからこそ、普通であれば活字では表現でき得ないものを映画として表すことが出来るはずなのだが、その活字を超える、>>続きを読む

ファーストラヴ(2021年製作の映画)

3.7

果たしてファーストラヴとは、初恋のことではなく、”初めて触れる愛の形”のことであり、決して愛とは真っ直ぐで素直なものではなく、歪みながらもがきながらそのいびつな形を無理矢理嵌め込んでそこに居座ろうとす>>続きを読む

心が叫びたがってるんだ。(2017年製作の映画)

3.6

最近なんだか芳根京子が気になって仕方がないので鑑賞。
眩し過ぎて目を背けたくなるほどに甘酸っぱい青春。あまりにも自分が経験したことのない輝き。何とも言えない荒削りな演技もむず痒くなるようなミュージカル
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キングダム(2019年製作の映画)

3.9

原作漫画ファンが故に納得できない部分も多々あれど、今現在の邦画の実写化の中ではトップクラスのアクションとスケールを以ってして世間を黙らせた力作。
日本版(正確には中国版)マーベル作品のような迫力と興奮
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あん(2015年製作の映画)

4.1

とても静かに無駄なものを削ぎ落として、結果的に普段目を向けていなかった色んなものが鮮明に見えてくるような、そんな何とも言えない空気を目で耳で感じられる丁寧な映画。
無駄に語ることもなければ説明すること
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泣く子はいねぇが(2020年製作の映画)

4.1

大人になることも父親になることもそんなに簡単なことじゃなくて、いくら覚悟が必要とはいえ生温い日常の中でその感情をしっかりと芽吹かせることは甚だ難しい。
それでも何とか生きている自分達から見て、そこから
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シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

4.6

時代背景はあれど現代にも通ずる(いや2020年代だからこそなのかもしれない)不条理な政治と差別が蠢く法廷会話劇をこの熱量でこのキャストでこの脚本でこの演出で魅せることに大いなる意義を感じるし、エンタテ>>続きを読む

ヴェノム(2018年製作の映画)

3.6

マーベルお得意のシリアスとコメディの丁度中間的なスタンスはしっかりと踏襲しているのだが、ヴェノムの立ち位置がヴィラン/ダークヒーローであるはずなのに、それにも増したヴィランがいたり、ヴェノム自体のキャ>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

5.0

約25年という歳月をかけて、数多の人々の心に燻りとしこりを様々な形で残してきた”誰にもわからない物語”に対しての終劇の形としてそこに正解や不正解があるという議論自体がそもそも間違っていて後はそれを各々>>続きを読む

望み(2020年製作の映画)

3.9

やるせない事実とあまりにも凄惨な現実。
様々な人々の切実な”望み”はその人の立場に立ってみれば至極真っ当で真っ直ぐな”願い”。
家族だって親だって一人の人間であり、そこに生まれる思惑の数々は実際にそう
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gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)

4.1

様々な”与えられた”ものに対しての考え方や行動について深く考えさせられる名作。
“与えられた”存在をいかに愛することができるか。
“与えられた”才能をどのような形で愛することが正解なのか。
“与えられ
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マイ・インターン(2015年製作の映画)

4.1

果たしてこんなにも温かく優しさ溢れるロバートデニーロを見たことがあっただろうか。(こんなにもキュートなアンハサウェイを見たことはある。)
決して難しくない言葉を丁寧に紡ぎながら美しくハッピーに締める。
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アトミック・ブロンド(2017年製作の映画)

4.0

どこか冷めた空気と押さえつけられた鬱屈とした熱量がカオスにうごめくベルリンという都市の世界観、壁が崩壊する時代背景とその裏に隠されて(いたであろう)様々な下心と欺瞞、騙し合いと化かし合いの応酬。
それ
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響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)

3.5

原作は未読だし、映画という限られた時間パッケージの中での表現には限界があるかもしれないが、鮎喰響という天才小説家の人間性にフォーカスを充てるのであれば、感情の赴くさまを暴力という表現をしてしまう齢15>>続きを読む

見えない目撃者(2019年製作の映画)

3.7

全体的なストーリー展開や映像の撮り方なんかは悪くないし決してつまらなくはなかったが、随所に見られる演出や脚本の穴が若干気になってしまうのがとても残念。
猟奇的な犯人の前での甘めな行動やそもそも視覚障害
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search/サーチ(2018年製作の映画)

4.5

ネタバレになってしまうから多くは語れないけれど、今という時代(公開された2018年現在)の時代背景やSNS時代を上手いこと反映させながら、斬新な映像表現で終始展開する演出の妙も勿論だが、根本的にストー>>続きを読む

記憶にございません!(2019年製作の映画)

3.7

芸達者な大御所や有名俳優達が真剣に茶番劇を行なっている好例。
最近の三谷幸喜はなんだかがっかりなことが多かったけれど今作は割と良さがしっかりと出てたように思えた。
エンドクレジット出るまでROLLYと
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.5

凄いものを見た。
正直韓国の情勢や実情に関しては無知だが、それでもこの作品の至る所で表現される貧富の差やアイロニーに満ちた一挙手一投足、地上・半地下・地下という層の絶妙な撮影表現、そして根本的に面白い
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新聞記者(2019年製作の映画)

4.0

まるでノンフィクションのようなリアリティーの香りで全体を燻した社会派フィクションムービー。
割と凡庸なストーリー展開をギュッと締め直しているのは完全に主演2人の演技。そして何となく近年の幾つかの疑惑を
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劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん(2019年製作の映画)

3.7

割と分かりやすくステレオタイプな無口で寡黙な仕事人間を父に持つ、何とももどかしい関係性の息子との相互理解を深めるというあまりにも使い古されたストーリーに、ファイナルファンタジーという斬新かつ今どきなオ>>続きを読む

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

4.9

あまりにも愛に溢れていてあまりにも幸せに溢れていてここに出てくる全ての人たちに称賛と喝采と賛辞を贈りたいと思える素晴らしい作品。
2時間弱では足りないくらいいつまでもオギーとその周りの人々(特にジャッ
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

3.9

何とも評価が難しい。
どんなに理性的であろうと踏ん張ってたって、どんなに己の感情が清らかであると言い聞かせていたって、そんなアンバランスに積み上げたもの、ほんの些細なきっかけで音を立てて(或いはその大
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ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

4.6

一見するととても単純でありふれた小さなラブストーリーかもしれない。でもそんな簡単に片付けられない、いや片付けたくない程に愛おしくて切なくて繊細で、それでいて厄介で大胆な愛の物語(≠ラブストーリー)。>>続きを読む

さよならくちびる(2019年製作の映画)

3.6

今をときめく若手俳優3人の共演と秦基博とあいみょんが手掛ける流石な楽曲が掛け合わさることで産まれるに違いない、と期待していた化学反応は正直見当たらず、少し拍子抜けしてしまったところは否めないが、あるデ>>続きを読む

しあわせの隠れ場所(2009年製作の映画)

4.1

まるでフィクションみたいなノンフィクションを上手い具合にフィクションとして落とし込んでいる良作。
どんなきっかけでどんな人がどんなしあわせを手にするかなんて誰にも分からないし、それが正解なのかどうかだ
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コーヒーが冷めないうちに(2018年製作の映画)

3.7

4回泣けます、はあまりにもハードルをあげすぎではなかろうか。
タイムリープを軸として日常的な後悔や思い残しに向き合う4篇のオムニバスストーリー。主役級のキャストを軸とした話を2時間弱に収めているから決
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デッドプール(2016年製作の映画)

3.9

他のX-MEN作品を全て見たわけではないが空気感が違いすぎてシリーズとしては見れなかったのが実際のところ(良い意味で。)
A5ランクのB級映画とでも言うべきか、下品で下劣で皮肉だらけのセリフの数々は振
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レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

4.8

オープニング・エンディング・会話劇・バイオレンス・ストーリー・音楽・一つ一つのセリフ・画角。処女作にしてあまりにもタランティーノ。
ここから始まったのか、はたまた既にこの時全てが見えていた上でここから
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コンフィデンスマンJP ロマンス編(2019年製作の映画)

4.2

ドラマシリーズから言えることではあるが、大胆且つ巧妙なトリックと伏線の見せ方が日本の作品としてはかなり高レベルであるにも関わらず、そこに絶妙な塩梅のキャスティングと演技・演出を加えることによって振り切>>続きを読む

ラストレシピ 麒麟の舌の記憶(2017年製作の映画)

4.0

料理が紡いできた人々の記憶。
戦争という時代が産んだ哀しい事実。
そしてその小さくも大切な連鎖を途切れさせないための健気で愛おしい策略。
伏線の回収もそれの見せ方もとても秀逸でとても楽しめた。
インス
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ジョーカー(2019年製作の映画)

5.0

やっと鑑賞。
確かに歴史に名を刻むべき作品。
ジャックニコルソンやヒースレジャーが紡いできた(ジャレッドレト版は認めたつもりはない)ジョーカーというアメコミ史上最もアイコニックなヴィランを今までの系譜
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人魚の眠る家(2018年製作の映画)

3.8

あまりにも辛くて苦しい気持ちになる。
何を以ってして人の死と捉えるのか、医学なのか法律なのかはたまたそこに寄り添う人の気持ちなのか。本人の意思は置いてきぼりのまま、命の扱い方に対しての様々な思惑と感情
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エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE(2019年製作の映画)

4.3

ドラマ史上に燦然と輝く素晴らしき作品ブレイキングバッドの後日譚ということでドラマファンからしてみたらそこにウォルターとジェシーが存在しているという事実だけで満足。
ドラマ同様の空気感と伏線の張り巡らせ
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検察側の罪人(2018年製作の映画)

3.6

正義のための悪・悪のための正義。結局そんなこと綺麗事で悪は悪であると痛感させられる。
淡々とした空気感ながらも要所的に緩急つけた演出、複雑に絡み合った幾つかの事件、ミステリーとしてとても上質であるが故
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劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-(2018年製作の映画)

4.0

過去3シーズン同様に主要キャスト各々にフォーカスし見せ場を作る演出や要所要所で泣かせるストーリーがふんだんに散りばめられていて、ドラマファンをしっかりと納得させる2時間。
個人的には馬場ふみかが優勝。
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七つの会議(2018年製作の映画)

4.0

TBS日曜21時のオールスター総動員で固めた企業版(池井戸潤版)アベンジャーズ。
原作を上手いこと2時間に凝縮して上手く魅せることに成功した好例。原作未読の人もエンタメ作品として楽しめる演出と続々と現
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