linusandさんの映画レビュー・感想・評価

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蛇の道(1998年製作の映画)

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まさに蛇が進むような、車載主観の蛇行するカメラワークで住宅街を抜けると、蛇の道の者たちの異様な世界が始まる。

信用できない語り手たち(誰も信用できない!)による、信用をめぐる話。
誰の話を信じるのか
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

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父親との遠い夏の記憶(記録)を巡る物語。
ただ楽しかっただけとは言い切れない、長い夏休みの物憂い思い出がビデオの中から現在のソフィの前に立ち現れる。

一緒にご飯を食べたこと、プールでアフターサンを塗
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白い酋長(1951年製作の映画)

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体温が高い。細かくショットを重ねて登場人物のアクションや表情を誇張して演出。

大脱走(1963年製作の映画)

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収容所の狭い空間と開放的な脱走シーンをシネマスコープで。
それぞれのキャラクターの描き分けが巧み。
脱走して大団円かと思ったら、現実的な終わり方も良い。

ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

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アメリカに残されたものとは?
最後に頼れるのは夢(妄想)。

3-4x10月(1990年製作の映画)

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ゴダール引用、ニヒリズム(虚無主義)、暴力と笑い、白昼夢。

一晩中(1982年製作の映画)

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ある街の夜を切り取る。
いくつものカップルが出会ったり、抱き合ったり、踊ったりする様を次々にカメラは捉える。
暗く照明のない画面の中に、名もなき小さな人々が、出会って感情を静かに昂らせていることが伝わ
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カップルズ(1996年製作の映画)

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共産党と国民党のゆくえ、消費社会、近づく21世紀…これらの要素が渦巻くカオスの台湾社会に生きる若者。
クーリンチェの数十年後バージョンのような感じ。

エドワード・ヤンの映画はいつも記録性を持っている
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なまいきシャルロット(1985年製作の映画)

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自意識のめざめ、わたしは何者か?(シャルロットの場合。)

大人になる第一歩として、自意識のめざめという問題があると思う。

何故だかわからないけど、成長という名で子供だった身体が強制的に変化し、どう
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ふんどし医者(1960年製作の映画)

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江戸時代、西洋医学が本格的に輸入され、日進月歩でその思想と技術が取り入れられた。
幕府やのちの明治政府は肝入りで、新たなる医学の進展のため、人材の発掘に勤しんだ。
その潮流から自らの判断で外れ、最先
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フランシス・ハ(2012年製作の映画)

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OP、フランシスと親友ソフィーが「ケンカごっこ」をして、バンジョーを弾くソフィーの前で踊るフランシス、借り物のコイン入れを路地ミュージシャンのおじさんたちに返して走り去る二人…トリュフォーのサントラで>>続きを読む

インディアナ州モンロヴィア(2018年製作の映画)

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いつものように平均3〜4秒ほどでカッティングされる画面に、インディアナ州モンロヴィアの静かで退屈な風景が捉えられている。

この景色は確かに退屈だけれども、一方心地よさを感じられるのは、アメリカの広大
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漁港の肉子ちゃん(2021年製作の映画)

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「生きてるだけで丸儲け」の精神を、その巨体で実体化したような肉子ちゃん。
 
 若い頃からずっと続いている苦しい日々を生き抜き、全身で受け止めて、バカでデブでブスだから何だと、自虐をしたり逆にハッタリ
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

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「きみは最高だよ」とかつての恋人に言われても、「わたしは最悪」としか思えない女の物語。

学生時代は優秀で、そのまま深く考えず医者へのレールの上を突き進んでいたけど、ある日ふと、そのレールを自ら降りて
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都会の横顔(1953年製作の映画)

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見た瞬間ヌーヴェルヴァーグ的、勝手にしやがれ的と思ったけど、当然それ以前の作品。

ロケの移動撮影、トラックアップorバックの多様、ロングで街の様子と共に役者を捉えて、戦前から清水宏は卓越した撮影をし
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日本沈没(1973年製作の映画)

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特撮の完成度が凄まじく高い。
噴き出る溶岩、濁流、粉塵、津波に侵食される土地。
大画面で見てもリアリティを失わず、こちらに迫ってくるような力があった。

ストーリーは破綻気味で、藤岡弘の立ち位置はよく
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小早川家の秋(1961年製作の映画)

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家長にして造り酒屋の大旦那中村鴈治郎を中心とした家族の映画。

大旦那は資本家に気圧される中小企業としての酒屋を守りたいが、時代の風に抗えない。

そんな状況を気にも止めず、妻を亡くしている大旦那は、
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やどさがし(2006年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

女の子が荷造りをして家を出る。
轟音と共に車が激しく過ぎ去る。
都会を離れて森の方へ。
歩くテンポに合わせて、ハミングする。

小川を大魚が怪しく泳いでいることに気づくと、リンゴを投げて注意を逸らし、
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アントワーヌとコレット「⼆⼗歳の恋」より 4Kデジタルリマスター版(1962年製作の映画)

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『大人は判ってくれない』から少し大人になったアントワーヌ・ドワネルが、子供時代の悪友と相変わらずつるんでいるだけで、何か嬉しい気持ちになる。

レコード会社に就職して、親元から自立したアントワーヌは、
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あこがれ(1958年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

op正面からの自転車のショットが爽やか。
自転車のショットを重ねて、画面の中で運動が繰り返される。

子供たちは5.6人常に集団で行動する様をまとめてフレームに収める。走ったり、よじ登ったり、いたずら
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妻よ薔薇のやうに(1935年製作の映画)

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90年近く前に作られた作品とは思えないほど見やすい。

構成に無駄がなく、上映時間が短いためか、登場人物を端的に描いて、その関係性で話を繋ぐ。

また音楽の印象が強い。和歌、「私の青空」の口笛、義太夫
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アデルの恋の物語(1975年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

無知で純粋で独善的でファナティックな恋は、客観的に見ればあまりにも滑稽で情けないが、トリュフォーはそんなイザベル・アジャーニ扮するアデルをあまりに美しくフィルムに焼き付けた。

序盤トリュフォーはひた
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アンネ・フランクと旅する日記(2021年製作の映画)

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アニメーションであることを活かして、日記に登場するアンネの空想の友人キティーを、黒いインクから出現/消滅させる。

キティーを「未完」の日記として、現代の問題やアンネの行く末などを知らない前提で物語を
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MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

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記憶や経験が人間にどのような影響をもたらすのか、ということをファンタジーやSFの要素を入れて描いている。

現代批判とも読めなくはないが、ロングショット・長回し・環境音(サントラなし)の撮影は美しく、
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