羅武さんの映画レビュー・感想・評価

羅武

羅武

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.9

まず感じたのは今まで見てきた多くの原爆や太平洋戦争を描いた映画とはかなり異質のものであるという点。

戦勝国であるアメリカから見た当時の世界情勢、戦争を終わらせ、その後の国際社会での立ち回りまで考慮し
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ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

伝説的名作ホラーコメディの続編の続編。

前作の直接の続編になっていてキャストも多くが続投している+そもそも前作が旧2部作の続編で旧キャストのゲスト出演がウリの一つ

…という、要はファンムービー的な
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

3.3

キングスマン監督お得意のハイテンポとノリのいいスパイアクション。
最初から最後まで飽きさせることなく駆け込みで綺麗にまとまっているし、殺陣シーンの悪ノリが終盤にかけてどんどん加速する所も同じ。

脳み
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.1

アフガニスタン紛争末期、自分のせいで指名手配になった現地ガイドを救出するため、トラウマを乗り越えて再び中東へ戻る軍曹とガイドの友情物語。

…というと陳腐に聞こえるが、全編通してリアリティと不穏な空気
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ダンジョン飯 Delicious in Dungeon(2023年製作の映画)

3.8

名作グルメファンタジー待望のアニメ化。

劇場版?オリジナルなの?と戸惑ったが、来年度に始まるTVシリーズを原作が完結したタイミングで4話分繋げての先行公開だった。

基本原作に忠実で、会話劇はアニメ
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.1

フランスの英雄ナポレオンの伝記映画。だが英雄譚というよりはヒューマンドラマ。
構図としては『レジェンド&バタフライ』(信長と濃姫)と似た作りで、実は彼も弱っちい一人の人間で、最後は愛に生きた男でしたと
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翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~(2023年製作の映画)

3.4

出身地差別抗争映画第2弾。
舞台が関西に移ったことで『東京vs埼玉&関東の田舎』から『大阪vs滋賀&近畿の田舎』の構図になったが、基本的には前作と同じ。

東京在住のワイからすると前作は埼玉のご当地ネ
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.3

初めて買ってもらったファミコンソフトは『ゲゲゲの鬼太郎2 妖怪軍団の挑戦』で、アニメ第3シリーズをちょっと観ていたくらいの鬼太郎ニワカ勢です。

【記者の水木はミイラ男と不気味な女の夫婦に取材するが、
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(2023年製作の映画)

3.4

『全員悪人』的なテーマという意味では確かに戦国版アウトレイジと言えなくもないが、今作は作品全般に渡って雰囲気がコミカルかつシニカルで、北野監督の芸術的・衝撃的な暴力描写は鳴りを潜めていると感じた。>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

令和に日本でゴジラを作るということは、『シン・ゴジラ』を超えることを要求されるということ。

地上戦車部隊との戦闘がメインなゴジラのお約束をあえて破り、ジョーズさながらの海での戦闘メインという対比。
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

4.1

レースゲーマーがプロレーサーになっちゃった実話に基づいた映画。

全編通して多少の脚色はあるだろうが、インタビューできねえ陰キャを降ろそうとする上司、金ピカ車に乗るダーティ走法ボンボン、『ジョイパッド
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SAND LAND(2023年製作の映画)

3.9

個人的に鳥山明作品の醍醐味はシリアスとギャグの狭間にこそあると思っているので、正直ドラゴンボール以降の彼の短編作品は全般的に緊迫感が無く、ギャグが寒く、事の顛末に興味をそそられないものばかりだと感じて>>続きを読む

春に散る(2023年製作の映画)

3.2

夢破れた老ボクサーと最後のチャンスに賭ける若手ボクサーのスポ根和製クリード。
構成としては何番煎じだよって感じで新鮮さは無いものの、主役の2人(佐藤浩市・横浜流星)の演技は本物で、心に響いた。特に横浜
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.1

実在した神父によるエクソシストモノ。

良かった所はやはり破天荒神父モノとして綺麗にまとまっている点。こいつ本当に神父かよと思わせる際どいラインを守りつつ、ジョークと腕力で悪魔をねじ伏せる体育会系神父
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.1

ここ数年ハリウッド映画界での牽引役となりつつあるトム様の人気シリーズ新作。

シリーズの名に恥じない大ボリュームのアクション映画だった。

が、やはり2時間40分はダメ。長すぎ。アクションが壮絶で映像
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

パヤオの遺作となるかもしれないジブリ新作。

一行で言えば『少年が夢の世界で自分探しするはなし!』なのだが。。

序盤の現実世界シーンは風立ちぬや紅の豚のような『現実世界を写実的に描きつつ少しのファン
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インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.0

ジョーンズ先生の死に水を取るつもりで鑑賞。

往年の名作シリーズの俳優が事実上の引退作品を出したとき、鑑賞する側は何を期待すればいいのかというのは最近よく考える。

当然ながら全盛期のアクションを期待
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

3.5

DCサイドのマルチバース担当フラッシュくん主役のタイムトラベルモノ。タイムトラベル物のお約束イベントを踏襲しつつDC新シリーズの序章としている。映画BTFシリーズが話のネタとして出てくる所に時代を感じ>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.7

空のジョーズ。

縄張りを守ろうとする白馬ゴーストは亡き父のメタファーであり、
差別を売りにしたコメディ番組と猿は迫害され続けてきた黒人のメタファー。5セントは奴隷制を導入したトマス・ジェファーソンの
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.9

原作読んでから視聴。
題材がジャズなのでロックやメタルに比べて映像化による『熱量』の表現が難しいと思っていたが、とても良かった(語彙)。

劇場版が故の早送り感はどうしても気になるけどとても良かった(
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

3.8

サノス編終わってからのMCUはあんま好きではないし、前ほど情熱をもって追いかけてなかった。ましてここ2~3年のマーベル映画はマンネリだけでなく色々な綻びが出てきていて、ぶっちゃけもう観なくていいカテゴ>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.5

古典TPGの何度目か分からないくらいの映画化だが、ワイの知る限り一番出来がいい。

ビジュアル的にも成功していて、レギュラーメンバーを下手にキラキラの冒険者ではなく薄汚れた賞金稼ぎにしたおかげでコスプ
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名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)(2023年製作の映画)

3.2

コミックス30巻くらいまでは追いかけていたニワカです。

なんかしばらく見ないうちにガンダムになっていた。
主人公サイドにコナンと小竜姫さまと切嗣と綾波が据えてあるのに加え、アムロとシャアとミサトさん
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.9

地球で最も愛されたゲームの映画化。

一言で表わすならとんでもなく『手堅い』作りだった。

3Dアニメの強みでキャラの造形は(最近の)ゲームのマリオそのままだし、ゲームそのままのテンポの良さと爽快感。
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

3.7

ドイツ兵の若者の主人公の視点から、第一次大戦を描いた古典戦争映画。

戦闘シーンは多いが描写は凄惨というより陰惨な物が多く、激しさよりも悲しさや虚しさが強調されている。有名所で言うとプライベート・ライ
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RRR(2022年製作の映画)

4.4

ナートゥそれは英雄の詩

バーフバリよろしくマッチョなインド人が歌って踊るだけなんやろと思って観に行ったら、差別や右寄りの思想強めなテーマ描写が多く、おや…思っていたより重い映画なのか?と一瞬思わされ
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

4.3

映画ヲタの陰キャが監督になって映画撮る話。

創作モノは外さないというが、映画製作という過酷で非情なテーマに絶妙な匙加減でファンタジーを盛り込んでいるので、リアリティとファンタジーのどちらも失うことな
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

2.9

最近マーヴルでよく見るマルチバースアクション。
タイムスリップではなく世界線改変モノなので、マトリックス・シュタインズ・ゲートあたりに近い。

なので上記作品を観て育ってきた人達には今更感があるかもし
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

2.3

このレビューはネタバレを含みます

そびえ立つクソを観た。

確かにシンゴジラ・シンエヴァ・シンウルトラマンで期待のハードルが上がっていたのはある。だがどう贔屓目に見ても駄作と言わざるを得ない出来だと感じた。クソを列挙する。

■アクシ
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Winny(2023年製作の映画)

4.1

2chでは神格化されている47氏の生涯を描いたドキュメンタリー映画。
今30~40代の20年前PCにかじりついていた世代には刺さりまくる内容である。

多少の脚色はあれど『フィクション』の記述は無くあ
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レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

織田信長といえば現代の日本人が好きな歴史上の人物ランキング不動の1位なわけで、当然映像化の回数もハンパではない。しかし今作はそれらと比べても異彩を放つ新解釈・織田信長。信長を凡庸なパンピー・濃姫を超絶>>続きを読む

非常宣言(2020年製作の映画)

3.2

航空機+ウィルスのパニックアクション映画。
…というと90年代ハリウッドが擦り尽くした題材な気もするが、単純にダイ・ハード2+アウトブレイクというわけでもない。

ストーリーは無敵の人による飛行機テロ
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ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY(2022年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ホイットニー・ヒューストンの伝記。

一般日本人には『ボディーガードの人』っていう印象しかないだろうしワイも当然そうで、ここまで王道なアーティストの栄光と破滅路線を歩み、既に故人になっているという事を
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機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島(2022年製作の映画)

3.5

原作では『作画崩壊回』『本筋に関係ない』という、どちらかというと不名誉な評価をよく聞くククルス・ドアン回の映画化。

元の話は作画はともかく話の筋はしっかりしていて、名作になる土台はあったと個人的には
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

スラダン読んで中高バスケ部だった原作直撃世代です。

作者本人による新訳リバイバルということで自分としては『約束された作品』という気持ちで観ました。

良い意味でシャープにブラッシュアップされており、
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

家出JK日本全国行脚ロードムービー。

新海監督の持ち味は健在で、背景やスマホの画面に至るまでまさに芸術と言える綿密な描写に臨場感、既視感、ノスタルジーを感じることができる。ストーリーは良くも悪くもご
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