ルコペトリさんの映画レビュー・感想・評価

ルコペトリ

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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.5

ヤマガの話をメタファーに音さんの本音が露わになるシーン、あまりにゾワゾワした
時計じかけのオレンジのような身近な不気味さ、アイズワイドシャットのような夫婦という他人の深い関係

いろんな対の構図が見え
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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

3.5

たいてい女子向け共感映画は、とても美人な女優さんが冴えない一般人を演じているもので、たいていこんな可愛い子がそんな状況になる訳あるか!と突っ込んでしまう。だけど本作はほんとうに普通のほんとうにありきた>>続きを読む

新聞記者(2019年製作の映画)

4.1

あくまで虚構ですが現在の日本の社会問題に斬り込んでいる、事勿れ主義民族なこの国で稀有な作品と言えるのではないかと思います。それでいて尚作品としての技巧さをきちんと持ち合わせている。
昨今の邦画の質の悪
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

1.5

あまりに鑑賞後残るものが何もなくて驚いたのですが、ジャンルを見ると"コメディ"となっていることを知り納得。どう考えてもボヘミアンラプソディに便乗してみた配給会社の汚い思惑まみれの作品にしか思えない。>>続きを読む

ダンケルク(2017年製作の映画)

3.5

戦争ものにしては然程の残酷さが無く心穏やかに観終えることが出来たものの、果たしてそれは"戦争映画"として如何なのかな…

そこはさて置いて、生きているだけで素晴らしいんだ!ということを感じさせてくれる
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菊とギロチン(2016年製作の映画)

3.9

今のこの国では馬鹿げた夢物語りをする人間すらいないように思う。いとも容易くそういう無邪気さは削ぎ落とされる。みんなで声を潜めている…

女相撲が存在していたことは知らなかったけれど、人種差別も男女差別
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雨に唄えば(1952年製作の映画)

3.6

楽曲のなんたる軽妙さ、目に優しくない鮮やかな色たち、コラージュするような映像。映画の中で演じる映画、ミュージカルの中で歌うミュージカル。当時を考えるとすごく奇抜でお洒落だったんだろうと伺える。だけど今>>続きを読む

レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

4.0

まずいちばんに思うのは音楽が良い。そして台詞の秀逸さ。山場はもちろんくだらない余白のような場面まで、役者たちから紡がれるその言葉が生き生きとしている。そして少しずつ紐解けていく物語に興奮が止まない。>>続きを読む

ブルックリン(2015年製作の映画)

3.5

「故郷を離れる」というような経験がないし、おそらく私は彼女ほどの家族愛も持ち合わせていないので、私からすると、そんなに迷うことなのかなぁ〜と思ってしまった。むしろ、迷わないでほしかった。

物語にはあ
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永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

3.5

ロレンソフェロさんの美しさプロモーションビデオ。
もうすこし狂気さを押し出して欲しかったし、ゲイということにも踏み込んでほしかった。
一般性を保った結果どれも曖昧になってしまったような印象。
ただただ
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リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

4.8

まずいちばんに、テンポが良い。長尺だけど緩急がきちんとあって、飽きさせず焦らせず、必要な間がきちんとあって無駄な描写はひとつもない。喜びも怒りも哀しさも笑いも、あらゆる感情が散りばめられていたはずなの>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

3.4

つい先日、いわゆる"無敵の人"が犯した犯罪、また当人の意見陳述書を読んだところだったのでその人のことが幾度と重なった。

個人的に、全てが全てでは無いものの身に覚えのある感情が折々にあって、それらが酷
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モーターサイクル・ダイアリーズ(2004年製作の映画)

4.2

いろんな人たちとの交流も友との友情も、まるで少年漫画のよう。これが本当に青年たちに起こった出来事なのだというから、旅に出てみようかと思ってしまう。旅に魅了される作品。
笑いも適度に挟まれていて観心地が
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シルビアのいる街で(2007年製作の映画)

3.5

ほんとうに、だれにでも起こり得る日常の1日をなんの脚色もしなきい切り抜かれたよう。
日常を日常たらしめるために、丁寧に細かく音が在る。
右から左へ、前から後ろへ音が流れていくのがきもちいい。
街の持っ
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君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

3.9

終始鮮やかなやさしい色であふれていて、それでいて尚、夜は影の存在がきれいに在る。
建物も家屋も衣装も、あらゆる小道具がどれも素敵であちこちに目が入ってしまう。

ティモシーシャラメがほんとうに魅力的。
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Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)

3.3

これはダークヒーローの類なのかもしれませんが、私は無血の和平なんてものがあり得るのかと疑うタイプなのでVを肯定します。

本当の世界でおぞましい力が立ち込めたとき、この映画のように争う人々が現れれば素
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羊の木(2018年製作の映画)

3.0

サスペンスにしては推理性に欠けるし、ドラマとしても起伏が乏しいかと。全体的に見て話はのっぺりしている。
正直どうしてこのタイトルに至ったのかわからなかった。

ただ、音楽の挿し方(?)がすごくいいなぁ
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

4.0

今現在の自然や動物を脅かしている我々人間が思い出された。
73年からも人間は変れていないのかな…

とにかく絵の美しさに驚く。細部にわたって繊細で緻密。すぐさま世界に引き込まれる。
音の使い方が上手
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メメント(2000年製作の映画)

4.4

始まってすぐこれは…と、理解するとともにひどく興奮する自分がいた。
時系列の交錯した映画というのは少なくはないとおもうが、こういった時間の混ぜ方をしたうえでこれほどの謎解きを作り上げられるのは脚本の秀
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戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

4.5

あまりにも、そこに映る痛ましさに何度も目を背けたくなった。目を開けているだけで正直精一杯だった。

人間の悪意も善意もありのままに映っているようにおもう。
戦争を知らない大人たちに、子供たちに、「戦争
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フルートベール駅で(2013年製作の映画)

3.9

ビリーアイリッシュが勧めていたことでこの作品を知った。

冒頭からほんとうに衝撃だった。
肌の色の違いに気を留めて暮らすことのない私には、知り得ない世界がそこにあった。
いかに"あたたかく"生きられて
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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

3.5

部分的に気に入るシーンは数箇所あったものの、全体としてはかなりのっぺりとしている。
嫌いじゃないけど特別好きにもなれなかった。

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.5

(あくまで私に問題があったのですが)劇中からずっと、シャイニングとの違和感が拭えず、あまり気持ち良く観れなかった。

本作を観てやっと私は、キング原作のシャイニングではなく「キューブリック作品のシャ
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ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)

4.0


きちんと良い映画だった。
真っ直ぐで、"あかるい"話だったけど、素直に綺麗だなぁと思えた。理想幻想ばっかりじゃ却って馬鹿らしいと思えてしまうけどそうじゃなく程良い薄暗さもきちんと持っている。

登場
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サウンド・オブ・ミュージック(1964年製作の映画)

4.0

子供たちとの友情(?)、身分差のある恋愛、戦争、そしてミュージカルと物語のテーマがこんなにも凝縮されていて、けれどどの側面を取っても精巧にできていることがこの映画の愛される所以なんだろうと思う。

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シャイニング(1980年製作の映画)

4.0

カメラの追い方(置き方?)、リズムのある挿し絵、恐怖心を煽る音楽、秀逸な技術が多様に重なり合わさって、劇中ずっと緊張感が満ち満ちている。

初めから狂人として完成していたけれど、"狂っていく様"も見て
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アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)

4.0

性の表現がこの上なく美しい、そこに下品さがまるで無い。これはニコールさんとトムさんの麗しさの賜物かと。

正直にいるばっかりが善ではないというのがよくわかる。これは夫婦に限らず友人同士でも言えることな
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時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

4.9

鮮やかすぎるフィクションだった。
虚構であるくせによっぽど現実味を帯びている。ここにある悪意や憎悪はあくまで作り物だけど、でもきっと私たちの世界に存在するものだと思った。だからこそとても怖くなった。
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スティング(1973年製作の映画)

4.0

これぞエンターテイメント。裏の裏の裏の裏をかく、みたいな。
挿絵をはさんで区切りされて、わかりやすく起伏があって、"映画の優等生"みたいに感じました!
おじさまがカッコいい…

ある船頭の話(2019年製作の映画)

3.8

先ずは圧倒的映像美。映し出し方も、切り抜き方も只々美しいなぁと感服。そして音楽も作品に寄り添いながら綺麗だった。
平坦なお話のように思うけど、"作品の言わんとすること"は、思っていたよりも、わかりやす
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ベニスに死す(1971年製作の映画)

4.0

昨今見て聞いたものをそのまま感受するというある意味でのエンターテイメント的な作品が多いのに対して、この「ベニスに死す」は台詞も少なく情景や音楽、役者のつくる表情で表現され、解釈を全てこちら側に委ねられ>>続きを読む

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