美しい映像に惹かれて観るようになったアンゲロプロス作品ですが、これは現代のギリシャ悲劇を描いた大作であり、いちばん難解でした。ギリシャの近現代史をおさらいしてから、小国ギリシャの辿った悲劇を心構えをも>>続きを読む
初アモス・ギタイ監督。ドキュメンタリー出身だけあって、思っていた以上にリアルなイスラエルの姿でした。ジュリエット・ビノシュがガザに生き別れの娘を探しにいく話で、紛争はまったく見せないのに、ガザの緊張感>>続きを読む
邦題つけた担当者出てこい、です笑。日本に最初に紹介されたベルイマンのネオレアリズモ作品で、重さを覚悟していましたが、希望ある純愛物語でした。余韻のいいベルイマン作品は久しぶりです。
「不良少女モニカ>>続きを読む
定期的に観たくなるゴダール。ゴダールとアンナ・カリーナの別離を映画化したのだと思われますが、タイトルを「男と女」にした方がいい。普遍的なすれ違いと別離にみえます。おもしろくて、書きたいことがたくさん湧>>続きを読む
ジャン・ギャバンとアラン・ドロンのおしゃれなクライム。オープニングからカッコいい。あの有名な曲がこの作品の劇伴だったのね。
画がいちいち決まっている。しかも最後までハラハラさせる展開のうまさ。名作と>>続きを読む
児童文学者エーリッヒ・ケストナーの同名原作を現代の設定でギムナジウムの生徒たちの学園生活を描いています。これは気持ちいい音楽もののジュブナイルでした。
寄宿舎の生徒たちは少年合唱団で有名な本校の合唱>>続きを読む
文化的で前衛的な昔(1946年)のサンジェルマンと商業化・都市化の進んだ当時(1966年)を比べている作品。どちらも昔なので、私には、新旧対決の勝敗はわからず、どちらからも十分フランスの文化と香りを感>>続きを読む
尊敬するイ・チャンドン監督が自ら作品の背景を語ります。遅咲きの監督で6本と数少なくはありますが、小説家だった視点で撮られた作品は心理描写、社会背景の描き方が卓越していて、人間愛を感じ、魂が震えます。ど>>続きを読む
大ファンのイ・チャンドン監督の作品で機会のなかったデビュー作を観ることができて、これでイ・チャンドン監督コンプしました。どれも心のひだをざわざわさせられ、胸の奥を締め付けられる傑作ばかりです。
スト>>続きを読む
ジョージアの伝統舞踊を初めて観た。力強く、大地を踏み鳴らし、身体を大きく見せ、衣裳を翻す。キレッキレの動き、上下、回転。とにかく激しい。打楽器のリズムが、ずいぶん離れているが、ポリネシアのリズムに似て>>続きを読む
1600本目のレビューに因んで160分のこの作品を選んだのは大正解でした。ほんわか余韻に包まれました。鑑賞中も、自然と口角が上がっていて、目尻は下がり、ぬるめのお風呂で長湯したみたいに心の芯までぽっか>>続きを読む
アピチャッポンと「もののけ姫」「追憶の森」を思い出す、森の精気を感じる作品。小栗康平オリジナル脚本。そのどの作品よりも先に制作されている。
言葉にするのが難しいが、男が昏睡しているこの村の森に誘われ>>続きを読む
宇宙からやってきた記憶のない鉄人と父を失った少年が心交わす友情アニメ。ET、スーパーマン、キングコング、鉄人系と既視感ある題材が集まっていて子供向けに安心して観られる作品だけれど、銃を捨て、非戦の非武>>続きを読む
フィル友みんとさんの素敵なレビューに惹かれて鑑賞。静かに沁み入る作品でした。余韻が覚めやらぬままにレビュー書いています。ピンと張った冬山の空気、雪解けの小川のせせらぎ、人を寄せ付けない険しい頂、容赦な>>続きを読む
題材は重いのに、少女を凛々しく軽やかに描いた秀作。病で脚を失った義足の少女がモデルとしてランウェイを歩くまでの道のりをフラットに描いています。海外の実在の義足のモデルにインスパイアされた作品。
途中>>続きを読む
内田裕也、也哉子の親子出演に惹かれて鑑賞。二人のシーンは一場面だけで、佐渡島を舞台に行方不明の夫を子供たちと待ち続ける役の也哉子さんと、裕也氏は娘と父役でした。
曇天と吠えるような荒海の海鳴り、閉塞>>続きを読む
併映された「ブルー・ウインド・ブローズ」よりこちらのショートが先に上映された理由が「ブルー・~」観てわかりました。バスが連れていくのは異世界へなんでしょう。現代の銀河鉄道のようでした。行き詰まった人び>>続きを読む
コーポという名の安アパートの住人たちの群像劇。これはなかなかじわりと来ました。大阪の人情小咄といったところでしょうか。
主人公ユリは父亡き後にホステスの後妻とうまく行かずに家を飛び出し、共同アパート>>続きを読む
固定カメラの舞台演劇スタイルで好みの作風でした。
戦地に夫と息子5人を送り出した、旧家に嫁いだ三人の義姉妹。息子の戦死の知らせで狂ってしまった長男の妻チエ。次男の妻ヨウコは現実から逃げるな、演技するな>>続きを読む
初ツァイ・ミンリャン、期待していたのに、意識遠退いてしまいました。言い訳をさせてもらうならば、閉館する台湾の映画館が最後の1作を上映しているという設定で、劇場内が暗く、時々映る作品はアクション史劇で、>>続きを読む
ロッセリーニが妻イングリッド・バーグマンを主役におき、不和となったイギリス人夫婦がイタリア旅行を通して再び結びつくまでの数日を生々しく描いている。ネオ・レアリズモの監督だけあって、重要なシーンの台本は>>続きを読む
猫を探すゆるいストーリーに、めちゃめちゃセンスいい劇伴。セドリック・クラピッシュ監督のおしゃれで、ちょっと切なくて、寂しがりやの人たちがたくさん出てくる作品。猫を探すことで、今まで出会ったことのない人>>続きを読む
感情移入し、リチャードの決意と言葉すべてにイエスと答えていた。タバコを吸わないのに、突然、肺がんで余命宣告を受けた大学教授リチャード(ジョニー・デップ)は、治療することなく、残り半年を自分らしく生きよ>>続きを読む
久しぶりのトリュフォー。複雑なフランスのアムール事情で、原題の「ジュールとジム」の方が合う。ジュールお気の毒。いや、ジムがお気の毒。カトリーヌは(邦題のごとく)恋の衝動のみに突き動かされて生きている。>>続きを読む
頭をかき混ぜられたくて難解と言われる本作に挑戦。後半からストーリーというか、意味がつかめたけれど、ここまで細切れ映像を散りばめた表現は好みではなかったです。余韻はよかったのですが。
ハリウッドを背景>>続きを読む
フリッツ・ラングのノワール。端的にまとめられテンポよく、次の展開が読めず、おもしろかった。
刑事の自殺からギャングにつながるまで、同僚刑事バニオン(グレン・フォード)が勘を働かせて、細い糸を手繰って>>続きを読む
芦川いづみが美しい。それに尽きる。
子供の頃から鋭い感受性で家庭内に漂う無言の不和を感じとっていたアキ子(芦川いづみ)は結婚に二の足を踏んでいる。
そんなアキ子がさまざまな夫婦のあり方、女性の生き>>続きを読む
ホラーというより悲しい人間ドラマだった。「私が生きる肌」の元ネタにみえる。事故で顔を損傷した娘は外科医の父の手術で顔を蘇らされるが…
昼間のシーンもモノクロだからか、ずっと薄暗い印象。
地下室に飼>>続きを読む
日本返還直前の沖縄の人々の思いを琉球の表現で描いたファンタジー。われわれは日本人でもアメリカ人でもない、琉球人であると、琉球の神話や民話の世界をまとって表しています。
皆、琉球の言葉で話すので、大和>>続きを読む
連投すみません。
何度観ても目頭が熱くなるあのシーン。結末がわかっていても、幸せを見届けたくなる。山田洋次監督が描く日本の風情と木訥な高倉健さんがベストマッチしたロードムービー。
公開された年に夕張>>続きを読む
整形して長年逃亡していた福田和子事件からインスパイアされた阪本順治監督の作品。藤山直美さん主役なので、クライムとはまた違った、人情話となっています。ハラハラとほっこりが同時にやってきて、おもしろかった>>続きを読む
あの厳しい人間の心理を描く小林正樹監督がこんなに優しく温かい家族劇を作っているとは、と思ったら、師事していた木下恵介監督の元から監督となったばかりの頃の作品で、木下恵介監督の妹(楠田芳子)がオリジナル>>続きを読む
イギリスを堪能できる心洗われる物語でした。製作指揮はコッポラ、映像美を極めていました。
イングランドの美しい風景の中にぽつんと立つ由緒ある古城。孤児となってやってきた姪の少女が、入ってはいけない奥の>>続きを読む
ヒューマンドラマになっていておもしろかったです。「シン・ゴジラ」では国が無策でしたが、こちらでは民間人が力を合わせるのがいいですね。
ゴジラ三作連続して観て、得体の知れない不気味な存在なのはやはり初>>続きを読む
「ゴジラ-1.0」観たいがための鑑賞。途中から、ながら見してしまいました。(説明が多いので)言わんとしていることはよくわかりましたが、ゴジラは全然怖くないし、神獣には見えませんでした。ゲームっぽかった>>続きを読む
ゴジラは一回も観たことがなかったのに、「ゴジラ-1.0」をなぜだか無性に観たくなり、それなら元祖初代のゴジラからと、初鑑賞。今まで観なかったことを後悔しました。第五福竜丸が被爆した年に作られ、ゴジラに>>続きを読む