genarowlandsさんの映画レビュー・感想・評価

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気のいい女たち(1960年製作の映画)

3.7

初クロード・シャブロル監督。おしゃれなジャケで、お年頃の同僚4人の恋とおしゃべりがかしましいほどキャッキャとしていて、画はヌーヴェルヴァーグらしかったが、思いがけない展開にぞわっとした。「女たちは気は>>続きを読む

君が君で君だ(2018年製作の映画)

3.7

ストーカー歴10年にわたる3人が、彼女好みの坂本龍馬、尾崎豊、ブラピに成りきって生きるというキモさからも観る人を選ぶと思うけれど、余韻が爽やかな不思議な作品だった。

未レビューですが、松居大悟監督の
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北極星(2022年製作の映画)

3.7

船長として世界の海を航海する姉とその妹のドキュメンタリー。グリーンランドの映像が美し過ぎてこの世とは思えない。世界の涯にいるかのよう。複雑で苦難の背景が二人の日常会話からうかがえる。

氷河からの流氷
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春のめざめ(2006年製作の映画)

3.8

タイトルどおり思春期の少年の性と恋のめざめを美しくも残酷に表したロシアの油絵調のアニメーション。アレクサンドル・ペトロフは、ノルシュテインの弟子。

良家のお坊っちゃまが隣家の年上の女性と、同い年の住
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フィッシャー・キング(1991年製作の映画)

4.1

テリー・ギリアム天才!と思った。先が読めないめくるめくストーリー展開は言わずもがなだけど、多幸感に包まれるおとぎ話がたまらない。風が吹けば桶屋が儲かる式のロマンチックファンタジー。いや、友情がメインか>>続きを読む

かづゑ的(2023年製作の映画)

5.0

ハンセン病で10歳から瀬戸内の長島に住むかづゑさんに密着した四年間のドキュメンタリー。ハンセン病のこと、知っているつもりでいて、何も知らなくてごめんなさい。

90歳を超えたかづゑさんの子どものような
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いわさきちひろ 〜27歳の旅立ち〜(2012年製作の映画)

3.8

淡い色彩のなかでこちらをまっすぐに見つめる少女。海に向かって走り出す少年。雨の日に憂いている少女。いわさきちひろさんの描く子どもたちは忘れ難い。詩情あふれる作品を描いたちひろさんはご自身も絵のようにふ>>続きを読む

ゆるし(2023年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

カルト宗教二世の女子高生の苦悩を描いた啓蒙映画。監督本人も学生時代に新興宗教に勧誘され入信した経験をもつ。宗教二世であった友人の苦難の実話と数多くの取材を元に制作されている。

啓蒙映画なので、映画の
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

5.0

何から何まで<命の力>に圧倒された。生半可な言葉では表せない。あらすじをなぞることしかできない。これがアートの力か。

写真家ナン・ゴールディンは、50万人が薬物中毒死した鎮痛剤の製薬会社の富豪一族が
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フォート・サガン(1984年製作の映画)

3.7

『Dune2』に触発され、砂漠の美しさを描いた作品を観たくなり鑑賞。アラン・コルノー監督は作り込みが徹底しているので、本作の砂漠も『Dune』に劣らず、本当に美しかった。このシーンが撮りたかったんだろ>>続きを読む

越前竹人形(1963年製作の映画)

3.7

水上勉の同名小説が原作。純情過ぎる竹職人喜助と遊女玉枝の悲恋。しっとりとした小説を読みたいと思っていたのに、先に映画を観てしまった。

悲話なのに、さばさばした印象は、玉枝演じる若尾文子さんのさばけた
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セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ(2000年製作の映画)

3.8

狂ってておもしろかった!

アンチ・ハリウッドのセシルBを教祖監督としたシネマテロリストによるハリウッド女優の誘拐とゲリラ撮影。

クルーたちのタトゥーに実在の映画監督たちの名前が入っている。

誘拐
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あとがき(2024年製作の映画)

4.3

青春映画の傑作だと思う。端役しかもらえない役者と吃音のミュージシャンのシモキタを舞台にした8年間、青春の一ページ。夢への不安や迷いと葛藤をリアルに真摯に丁寧に描いている。(熱くなって長文です)

夢を
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ヒロシマモナムール/二十四時間の情事(1959年製作の映画)

3.7

マルグリット・デュラス脚本、アラン・レネ監督。戦後14年、心に傷を負ったフランス女性と日本人男性が広島で一夜を共にする話かとわかりにくい会話を読み解きながら理解したつもりになっていたら、ラストの会話で>>続きを読む

マッチ売りの少女(1928年製作の映画)

3.7

ルノワールの前衛的な解釈がおもしろい。儚い話なのに、サイレントの劇伴にロックやテクノっぽく聞こえるものも採用。後から入れたものだろうが、よく合っている。

マッチを擦って見る幻影がかなり不気味で、光の
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チキ・チキ・バン・バン(1968年製作の映画)

4.0

楽しかった~ 歌は聴いたことあったけど、エンジン音からきた改造車の名前だったのね。発明家の父親と子供たちの夢ある冒険ミュージカル。同時代の「メリーポピンズ」もそうだけど、子供を大切に、というメッセージ>>続きを読む

肖像(1948年製作の映画)

3.8

黒澤明脚本、木下恵介監督という夢のコラボ。戦後3年、自由が丘のアトリエ付き住宅から画家一家を立ち退かすのを企み、間借りした不動産ブローカーとその妾ミドリ。純朴な家族と共に暮らし、画家のモデルになること>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.0

映像でなければ表現できない間合いや空間、余韻、残像--心から消えない残像を描いた素晴らしい作品でした。と同時に娘が父を理解するときがやってきたのだと、時間をかけて紡いだ織物のように、織り上がってはじめ>>続きを読む

さよなら ほやマン(2023年製作の映画)

4.1

過去鑑賞です。
評判が良いので劇場鑑賞。東日本の震災後を描いています。島に住み続けることができるかどうか、ほのぼのとした日常の延長線上にあるシリアスなテーマでした。

その土地から離れて行く人、やって
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.1

砂嵐の日にIMAXで鑑賞。映像の迫力はすごいし、本当に砂嵐に巻き込まれそうになるし、三時間は長くは感じませんでした。

劇場体験としては良かったけど、皆さん高スコアのところ、ストーリーについては消化不
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すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

3.8

五月の風に乗って多摩丘陵の周遊散歩したみたいな作品。たまたま、先日この辺りに出かけ、街の新陳代謝を感じたばかり。本作は多摩ニュータウンの女性三人の日常を追っただけなのに、最後まで飽きさせない、斬新な作>>続きを読む

星くずの片隅で(2022年製作の映画)

4.2

こういう厳しい社会の中で人の優しさを描いたリアルな作品が観たかった。コロナ禍の香港が舞台。清掃会社を営むザクがそれまでどんな人生を送ってきたかは語られないが、苦労人の寛容さと社会を生き抜いてきた誠実さ>>続きを読む

花椒の味(2019年製作の映画)

3.9

家族の再生ものとして、非の打ち所がない。うまくまとまっている。それが唯一の非かな。亡き父が遺した異母姉妹三人と香港の火鍋の店。姉妹が憎しみあうことなく、知らなかった父の過去の欠片を埋めていき、自らの欠>>続きを読む

ハンズ・アップ!(2010年製作の映画)

4.2

チェチェンからの移民の、フランスの不法滞在者の少女が経験したひと夏を瑞々しく描いている。同級生との淡い恋と、まるでレジスタンス気取りの子供たちのいきいきした描写。演技に見えない。

少女を守り、根本的
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ハーミド〜カシミールの少年(2018年製作の映画)

4.1

イスラーム映画祭にて。カシミールと映画についてのアフターレクチャーつき。(長文です)
インドとパキスタンの境の山岳地帯、カシミール地方がまだ自治区だった頃、行方不明になったムスリムの父を神さま(正確に
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カドリーユ(1937年製作の映画)

4.5

ギトリの魅力にはまりました。
犬も食わないなんとかを落語か、漫談か、男女の絶妙な会話に聞き惚れてしまう。夫婦喧嘩を題材にした対話系の作品はいくつかあるけれど、元祖バトルもの、ただしコメディで、浮気した
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とらんぷ譚(1936年製作の映画)

4.3

サッシャ・ギトリが監督兼主演。噂に違わずおもしろかった。笑った~。原題は「あるペテン師の物語」。巻き込まれ型のコメディで、回顧録を執筆している男の人生をギトリがナレーションしている。品を落とさない笑い>>続きを読む

季節のはざまで デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.0

ダニエル・シュミットの半自伝的作品で、ホテルの支配人であった祖父母と過ごした子供時代の美しい思い出をノスタルジーたっぷりに描いている。ベルイマンの「ファニーとアレクサンデル」を思い出す。

華やかなス
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デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版(1987年製作の映画)

4.1

初のダニエル・シュミット。ミステリーとしてもおもしろかった。歴史に残らないが、圧政や横暴に抵抗し権力者を葬り、社会を変えた無名の英雄が数多くいるのだろう。ある記者が、人類学者にその暗殺者の謎解きを託さ>>続きを読む

怪談雪女郎(1968年製作の映画)

3.8

あまりに日本的な雪女。妖怪にも魔物にもなりきれない。人間を愛したことで深い情と慈悲が生まれ葛藤する。儚げで透明感のある藤村志保さんが健気な雪女にぴったりだった。でも、カラーコンタクト姿はかなり怖いです>>続きを読む

マチネの終わりに(2019年製作の映画)

3.7

やはり映像の方がしっくりくる。原作はセレブ感が気になり感情移入できず、上流社会の記号的用語とブランドに、かつての「なんクリ」が思い起こされたが、映画では主役二人(天才ギタリスト・福山雅治と国際ジャーナ>>続きを読む

トリュフォーの思春期(1976年製作の映画)

4.5

文句無しに愛の映画。トリュフォーを大好きなのは愛を描くから。人間を愛し、命を愛し、人生を愛した監督。先日観た悲劇のユスターシュと比べてしまうが、同じような辛い子供時代を過ごしても、トリュフォーは人生を>>続きを読む

コントラ KONTORA(2019年製作の映画)

3.9

高評価がわかる。演技派の円井わんさん目当てで鑑賞したが、想像していた以上の余韻だった。 インドルーツの監督が描く特攻隊兵士の霊を鎮魂する作品。後ろ向きに歩く現代のホームレスという奇抜な設定がシュー>>続きを読む

ミカエル(1924年製作の映画)

3.8

ドライヤー特集にて。ドラマチックなストーリー展開だったのに、ええっーという終わり方でカタルシスを感じられず、物語を反芻しながら帰途につきましたが、ということはそういうことだったんですね。観る側はすっき>>続きを読む

あるじ(1925年製作の映画)

4.3

<昭和のお父さん>がお灸を据えられるお話(100年前のデンマークですが)。とっても面白かったです。足繁く通ったドライヤー特集、観た作品は女性賛歌が多かったです。女性の生き方をさまざまな角度から先進的に>>続きを読む

サントメール ある被告(2022年製作の映画)

3.8

人が幸せに感じる音はなんだろうか。こんなに身近にあったのに気づかなかった。ラストの効果音がとてもよかった。

フランス人からの無意識の差別をセネガル人が描く作品は三作目。

法廷劇ではあるけれど、セネ
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