ニシカワリキさんの映画レビュー・感想・評価

ニシカワリキ

ニシカワリキ

映画(122)
ドラマ(0)
アニメ(2)

勝手にしやがれ 4Kレストア版(1960年製作の映画)

3.0

映画を見る余裕がずっとなかったのだが久々に見ようと思い立ち、どうせなら見ることに意味があるタイプの作品群のビンゴカードを空けていこうと思い視聴(失礼)。
映像の批評言語は相変わらず持っていないので語り
>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

これはごくごく個人的な感性の問題やから勘弁してほしいねんけど、やっぱワシ怪獣そのものゴジラそのものに全く乗れん、ということを再確認した。それがなんらかの表象なのだとして(まあだいたい分かってはいるのだ>>続きを読む

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.6

やはり今敏に顔の演技で右に出るものはいるまい。モンタージュ的に忙しなく切り替わり続ける映像やアニメーションならではのチェイスに手に汗握った。
夢と現実が混濁し自我が崩壊しかける女優、というストーリー自
>>続きを読む

キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)

4.6

美しすぎて、人に言われるまでこれがアクション映画の範疇であることを忘れていた。こんな脚本が書ける人間になりたかったしこんな映像が撮れる人間になりたかった(が、それはそれとして、ユマサーマンの告発したエ>>続きを読む

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

3.9

繰り返される音楽、繰り返されるセリフ、繰り返されるカット。同じ顔の女。侵襲しあうふたつの家族。人は生まれ、死に、もともとの構成員ではない、血も繋がらない、奇妙に遺されたふたりが「中砂」を名乗る構図。し>>続きを読む

夢二(1991年製作の映画)

4.1

お葉は平田玲於奈か。声が良すぎて登場シーンずっと気持ちよかった。
3部作で比較したとき、映像のパンチはちょっと弱いんだけど、脚本における耽美とトボケとウィットとエスプリとのバランスはいちばん好みかも。
>>続きを読む

陽炎座(1981年製作の映画)

4.3

寺山の草迷宮もそうだが、鏡花にはこういう映像を撮らせる魔力があるのだろう。学生時代には取り合えなかったがそろそろ再挑戦すべきかも。
舞台演劇のように自由に行き来するカットは唖然としたし性表現はこんなん
>>続きを読む

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

3.8

そういえば恥ずかしながらちゃんと見た記憶がなかったので。
散々オマージュされきった時代から遡って見るとまあこんなもんかと思ってしまうものの、同時代の作家はやられてしまうだろうなあと頷ける。例のサイケデ
>>続きを読む

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)

4.3

ボケッと見てるだけでなんか気持ちいいっていうのは娯楽としても芸術としても素晴らしいことだと思う。映像への偏愛、音楽への執心をただ浴びるのでよい。それらを事細かに読み解いていくのもまた一興だが、残念なが>>続きを読む

グリーンマイル(1999年製作の映画)

3.3

スティーブンキングはさすがだなあという気持ちと、この長尺を映像化して否応なしに見せつけてくれる映画というフォーマットへの感謝が改めて湧き上がった

アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

ごく単純なエンタメとして鑑賞したとき、不幸にも昨年、すっかり世界的アニメーション作家と成り果てたあの男による、絵面やらモチーフやらが近しい作品がクリティカルヒットを決めていってしまったものだから、そこ>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

3.3

まさしく蜂蜜色の光に包まれた映像が美しい。イサベルとアナの演技は大人顔負け。読み解かれるのを待つタイプの筋書きも詩的でよかったのだが、まともに眠れないまま見るにはしんどかった……完全にこちらのコンディ>>続きを読む

俺たち喧嘩スケーター(2011年製作の映画)

4.2

約90分のわかりやすい映画はオアシスなんだよな(某氏曰く)。本作はもはや砂漠のオアシスを超えて、極楽のようなエンターテインメントであったが。

腕っぷし以外自信がないロクデナシがスポーツ界でのしあがる
>>続きを読む

トータル・リコール(1990年製作の映画)

3.1

リアリティ+に出てきたので記念に。記憶と夢と分裂症、といった語彙が精神分析的で当時代のSFらしいなと思うし、結局なにが現実でなにが嘘なのかわからないまま走り抜ける構成も興味深かった。全体としてフィリッ>>続きを読む

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

3.9

ようやく見れた〜。それも劇場で。クライム・ムービーはやっぱり密室の逃げられなさのなかで共犯関係を結んで見るのがいちばんだなと実感した。家で見たら面白さ半減だったと思う。
「パルプ・フィクション」とかい
>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

大傑作じゃないのこれ? 落としにいくまでが若干冗長かなあと思った(泣かせるには必要なシーケンスではあったしその点ではいいエンドだった)のとか、プロモーションの件とかこの映画からなにも学んでいないSNS>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

予告から観念的な内容になるとは想定していたが、決してそれだけでなく、サスペンス調のストーリーを一本走らせていた。それだけに、かえってなんらかの解決というか、いわゆる「しっかりとしたオチ」を期待しまった>>続きを読む

アルゴ探検隊の大冒険(1963年製作の映画)

3.3

浅学にして"Jason"の語源となるギリシア語読みがイアソンであることにようやく気づいた。
古き良き映画という感じで、よく撮ったなあとは思う。対ストップモーションのアクションシーンは凄いっちゃ凄いのだ
>>続きを読む

ひまわり(1970年製作の映画)

3.4

前半と後半で撮った時期が20年違うんじゃないかというほどの役者の変わりようがすごい。そのせいか画面の色味や構成なんかも徐々に近代化していくような印象がある。やはりターニングポイントはひまわり畑というこ>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

絵が、ものすごい。ただただすごい映像を見せられた。
児童文学集成のような趣がある、というコメントを他SNSで目にしたが、モチーフもストーリーもまさにそういう構造主義的なものが散りばめられていたように見
>>続きを読む

しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

う〜んクレしんも3Dになる時代か、と色眼鏡を通しつつ、空き時間を潰すために見たつもりが、どうして自分はこんなに泣いているんだろう。5歳児がこんなに頑張ってるのに、ぼくは……ぼくはいったい……

怪物の
>>続きを読む

地球防衛軍(1957年製作の映画)

3.5

不朽の名作が不朽と言われる所以は随所に感じた。特撮ってスゲーの感性をあまり持てないまま大人になってしまったので、そこで加点されることはないが、時代を思えばよくここまで派手な絵を作れたものだと感心。撮影>>続きを読む

タワーリング・インフェルノ(1974年製作の映画)

3.7

「このビルはこのまま残したほうがいいかもな 人類の愚かさの象徴として」……そんな締めのセリフが全てを物語っている。ただその一言のための2時間半、と言えなくはないが、今現在も世界各地で競うように建設され>>続きを読む

アラビアのロレンス/完全版(1988年製作の映画)

3.8

「いまので同意が形成されたんか?」という会話の連続で終始ようわからんかったが、これもブリテンらしさというべきか。事実ベースの物語の筋書きを云々しても仕方ないにせよ、ロレンスが一貫した言動をしているよう>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

冒頭はもう、安藤サクラと一緒に怒りっぱなしで、その後のシーケンスはまあよくあるどっちにも言い分はあって〜パターンだなと察し、前半相当くらいの時間は体験としては少々イマイチかな……という感じだったのだが>>続きを読む

女は二度決断する(2017年製作の映画)

3.7

現実の情勢についてのテキストを画面に表示してしまう社会派しぐさは内容の如何に依らず失望してしまうのだが、誰がどういう形で視聴するかわからない以上、こうするしかないのだろうな。おおむね地に足着いた筋書き>>続きを読む

書を捨てよ町へ出よう(1971年製作の映画)

4.0

津軽弁がわかる人間でよかった。映像が凄すぎて他に何も言えることがない

さらば箱舟(1982年製作の映画)

3.7

そりゃ寺山修司って名前があったら何しても許されるよな、みたいな見かたをしてしまったけど、そういえば原作が百年の孤独ということになっているのか。そりゃ投げっぱなしジャーマンにもなるわな。かなりの数、宗教>>続きを読む

草迷宮(1979年製作の映画)

4.8

好きなタイプのアングラ演劇が天井桟敷意識してそうだった。まさにこんな感じ。
BGMの煽りとカットアウトでビビッドに行われる場面転換とか所々の節回し、カットに演劇的な部分を垣間見たものの、実際に空間を跳
>>続きを読む

グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

最初の30分くらい(?)は正直、これでホンマに大丈夫なんかと思いながら見ていたのだけど、六花の父を名乗るアレクシスが現れたあたりから風向きが変わり、あれよあれよという間に泣きのエンドに導かれてしまった>>続きを読む

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

4.0

テスラ・コイルのくだりだけ異様にも映るけれど、「ニコラ・テスラは地球を一つの共鳴振動体と考えていた」が本作を最も象徴する言葉で、世界中どこにいたって人は似たり寄ったりなことをしているんだよな、というの>>続きを読む

パーマネント・バケーション(1980年製作の映画)

3.6

アンニュイでポップでリリカルな始まりかたはいかにもアメリカ文学という感じでよかった。そこから先の筋書きに明瞭でとっつきやすい面白さを求めてはいけないと頭ではわかっていつつも、なかなか快適とは言いにくい>>続きを読む

ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

3.7

フロントガラス越しの車内のカット、巧みな会話劇というジャームッシュの、いいとこだけ集めた短編集という趣なんだけど、生クリーム好きだからと言って一食まるまる生クリーム舐めていられるかというのに近いクドさ>>続きを読む

ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

4.0

いいですね〜こういうの。同じ日、同じ場所、同じキーワードで交差する連作短編という作りで、日常とドラマの隘路をいく、含蓄と笑いの混在する、肩の力の抜けた純文学的な作品。80年代末でメンフィスくらいの街並>>続きを読む

>|