オトマイムさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

オトマイム

オトマイム

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8 1/2(1963年製作の映画)

4.5

よくわからない、そして掛け値無しに面白い。天才が極上の材料(アイデア)を使って楽しんで作った、そして思い通りに仕上がった、そんな作品なんだろう。

一体何を語ればよいのか。これ以上何かいえば理解力・表
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(1954年製作の映画)

4.1

旅芸人・ザンパノと、家が貧しいためにザンパノに売られたジェルソミーナ。彼女の子供のような、天使のような無垢な瞳に吸い寄せられる。あんなろくでなし男に寄り添おうとする彼女が悲しい。

道中知り合った男が
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愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)

4.3

リマスター版を劇場鑑賞できて幸せ。でもこれ、288分の完全版もあるんですね。確かにもう少し突っ込んで描いてもらえたらいいのに…という、物足りなさを若干覚えたので納得。それでも素晴らしい作品であることに>>続きを読む

男と女(1966年製作の映画)

3.4

アヌーク・エーメの横顔ではじまるオープニングが好き。
配偶者に先立たれた男と女が出会い、お互いに惹かれていくという、いわゆるメロドラマなんだけど、端正な、気高いメロドラマとでもいいましょうか。

美し
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薬指の標本(2004年製作の映画)

3.4

標本室という密やかな響きの場所で働くことになった女性が主人公のフランス映画。これが映画デビュー作となったオルガ・キュリレンコが初々しく、その裸体は美しい。

原作は小川洋子さんの短編で、舞台は日本。鑑
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桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

4.3

ひとりの生徒が部活をやめるということが、時に周囲に多大な影響を及ぼす。桐島くんを取り巻く何人もの生徒たちの思惑が絡み合い、彼らの関係が微妙に変化していく、或いは変化しない。

バラバラに見えたものが終
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.5

いかれてる
今までに観たどの映画にも似ていなくて、わけがわからないけど、やけにカッコいい

初ゴダール。衝撃を受けた。ジャン=ポール・ベルモンドが、ろくでなしで刹那的な役にはまりすぎ。衝撃的なラストも
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カリガリ博士(1920年製作の映画)

3.5

元祖ホラーというものの、今の感覚からするとあんまり怖くない、というか怖さの質が違う。何が怖いって、カリガリ博士の顔が((((;゚Д゚)))))))
他の人も、やけに白い顔に窪んだ目元、目の黒い縁取り…
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若草の萌えるころ(1968年製作の映画)

3.6

迫る伯母の死への恐怖から逃れるように、夜のパリの街をさまようジョアンナ・シムカスの若さと危うさ。その清楚さと魔性の同居に魅了される。そして刹那的な時間が抒情詩のように綴られる。

(女)なぜ弾くの
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冒険者たち(1967年製作の映画)

3.8

微妙に揺れる三角関係にキュン〜
アラン・ドロンの美男子ぶりとリノ・ヴァンチュラの男臭さ。そしてジョアンナ・シムカスの伸びやかな美しさといったら…(〃ω〃)

本作の魅力は、ストーリー・キャスト・音楽の
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ジュリエッタ(2016年製作の映画)

3.7

アルモドバルの赤、ともいうべきギラリとした赤色が相変わらず印象的。

同じく母娘の関係を描きながら姉妹や叔母など横の関係も絡めた『ボルベール』よりも、更にふたりの関係をじっくりと炙り出している。彼の作
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トーク・トゥ・ハー(2002年製作の映画)

4.4

初アルモドバルは『ボルベール』だったけれど、本作と『ジュリエッタ』を劇場鑑賞して、がっつり彼の世界に魅了されてしまった。画面から溢れる強烈な、そして冷たい色彩。芸術的で、深淵ながら陰湿ではない、独特な>>続きを読む

ボルベール <帰郷>(2006年製作の映画)

3.8

まくし立てるようなスペイン語、風力発電できるほど強風の吹く風土、ギラリとした原色、スペイン音楽。
どれもが独特で強烈だけれど、中でもペネロペ・クルスの強さ、美しさが目に焼きつく。そして、やはり彼女はス
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トリュフォーの思春期(1976年製作の映画)

4.3

トリュフォーは子供が本当に好きなんだと思う。すべての子供たちをみつめる目が優しい。そして、リシェ先生はトリュフォーの代弁者だ。終盤、クラスの子供たちに向ける言葉。
「子供はどんなに自分の環境が嫌であっ
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幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)

3.7

ガンコで鼻つまみもののオーヴェ。近所の人たちとの交流や、亡き最愛の妻とのエピソードが展開されるにつれ、この人案外いい人だよね、って思えてくる。初デートのレストランでのシーンにはぐっときた。

彼はサー
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ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

4.0

1968年の作品だけれど、今みても古くささを感じない。衝撃的な映像があるわけではない、むしろ見せないことでじわじわと怖さを増大させる。そしてコメダの音楽が、恐怖感と品格をアップさせている。

目の下に
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ブロークバック・マウンテン(2005年製作の映画)

3.9

純粋で、あまりにも切ないラブストーリー

強烈な残像は、そびえ立つブロークバックマウンテンの厳しさ、美しさ、空虚さ
どこまでも広いアメリカ、広すぎて孤独が押し寄せてくる。

俳優たちがみんな素晴らしい
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アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)

3.8

オープニング、家庭用のビデオカメラで撮影された少女の映像から始まる。
親がうざい、私の友達を見る目がいやらしい、あれが父親だなんて信じられる?
カメラに向かって喋る少女。
このシーンからいきなり掴まれ
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アメリカの影(1959年製作の映画)

3.7

マンハッタンに住む3人きょうだいが、肌の色への根強い偏見や差別に傷つき葛藤する。

黒人の血が流れていても、漆黒に近い黒さから白人に近い色まで、肌の色は様々であることを改めて知った、当然のことなのに。
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グロリア(1980年製作の映画)

3.9

私の好きなペドロ・アルモドバル監督がジョン・カサヴェテスが大好きだというのを知って、本作を鑑賞(以前に『アメリカの影』を観てはいたけど)

ジーナ・ローランズが、親友の頼みを聞いて6歳の坊やの面倒を見
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ひつじ村の兄弟(2015年製作の映画)

3.4

この映画の驚きポイント
①アイスランドってこんなにいっぱい羊がいるのか
②羊って走るんだね

アイスランドというよく知らない土地の話だったせいなのか、口数が少ない独特の民族性のせいなのか。不思議な、独
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孤独のススメ(2013年製作の映画)

3.7

面白かった。丁寧な暮らしをする男を映すまじめなドラマという仮面を被って、内包する毒が次第に現れてシュールな展開になってゆく。

神妙な顔をしてカエルやら何やらの芸を磨いたり、何ともいえないおかしみが
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打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993年製作の映画)

3.4

‘もし、あの時こうしていたら、こうだったとしたら’
そんなタラレバがふたつの話となって展開する、小学生の夏休み。

こういったプロットの映画は特に目新しいものではないけれど、本作は同級生のマドンナ・奥
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Love Letter(1995年製作の映画)

3.6

やっぱり、岩井俊二監督は子供や思春期を描くのがいちばん得意なんじゃないかと思う。よって、中山美穂とトヨエツの‘大人の現在’よりも酒井美紀と柏原崇の回想シーンの方が私はだんぜん好き。このふたりのシーンだ>>続きを読む

花とアリス(2004年製作の映画)

4.3

いくつか未見のものはあるけど、今のところ岩井俊二監督作品の中でいちばん好き。
ある意味ファンタジーなので、若干無理がある展開も許せる。

ほんの一瞬で過ぎてしまうレアな時期の、花とアリスふたりのみずみ
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サーミの血(2016年製作の映画)

4.1

サーミ人というのがラップランドの先住民だということを今まで知らなかった。そして、彼らがこれほど蔑まれ差別されていたことも。
自由を渇望して集落を飛び出した少女。彼女の狂おしいまでのエネルギーと、ラップ
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朝食、昼食、そして夕食(2010年製作の映画)

3.5

食事シーンを視点にした群像劇。
美男美女が揃っている訳じゃないし顔のクローズアップが多かったりで、やけにリアリティがある。
浮気願望のある清楚な主婦の悶々とした表情が生々しい。ヤケクソになってサラダに
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人生フルーツ(2016年製作の映画)

3.9

もっと丁寧に暮らそう
もっと身近なひとを大切にしよう
観終わって、そんなふうに思った。

なかよしのおふたりが本当に可愛らしい。
二人とも若い頃よりも高齢になってからの方が、断然いいお顔をしていらっし
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ヘヴン(2002年製作の映画)

4.4

劇場鑑賞できなかったことが悔やまれる。
殺人犯と憲兵の究極のラブストーリー。これ以上の純粋な愛はないのではと思うほど。
ギリギリまで追い詰められていくケイト・ブランシェットが、化粧っ気もないのにそれは
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萌の朱雀(1997年製作の映画)

3.8

鉄道開通の予定が中止となり、山村に残った無用のトンネル。トンネルの映像がこんなにも美しいと思ったのは初めてだと思う。
目に痛いほどの夏山の濃い緑。そして、少女が従兄弟のお兄ちゃんに寄せる、淡く一途な恋
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LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

3.5

インドの貧困・誘拐事情(オドロキ)を垣間見ることができただけでも、価値のある作品だった。サルー少年役の子が素晴らしい

私にとっての驚きポイント
①インドの子供誘拐の実情
②こういう考えで養子をとる人
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殺したいほど愛されて(1984年製作の映画)

3.7

かなり昔に観て面白かったんだけどレンタルがずっとなかった(たぶん)。でも最近?発掘良品とかでDVDレンタル見かけたので、コアなファンはいるんだなーと嬉しくなりました

ダドリー・ムーア扮する世界的な指
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裸足の季節(2015年製作の映画)

3.6

結婚前の処女性が絶対視されるトルコの小さな村。
娘たちを傷ものにしないために家に軟禁。処女検査。本人の意思はほぼ皆無の見合い結婚。そんな姉たちを見て末っ子のラーレは籠の中から逃げ出す決意をする。

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100歳の少年と12通の手紙(2009年製作の映画)

3.5

タイトルから想像していたお涙頂戴の作品ではなくて、ちょっと弾けた展開やポップな色あいが予想外^ ^素直に心にしみた。

1日に10歳ずつ年を取り、ギッュと濃縮された人生を全うしたオスカー少年。彼の姿は
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わが谷は緑なりき(1941年製作の映画)

4.3

19世紀末、イギリスの炭鉱の町。この時代設定の話って無条件に弱いんです( ´・‿・`)家族が家族としての尊厳を保っていた時代。両親や兄たちへの愛、そして緑が美しかった故郷への愛があふれている。

学問
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エディット・ピアフ愛の讃歌(2007年製作の映画)

3.6

シャンソン歌手として大成功を収めながら身を滅ぼしていったピアフ。
まさに身を削って歌い続けるピアフの姿は痛々しく、崇高だった。でも彼女が本当に手に入れたいものは手に入らない。

マリオン・コティヤール
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