かの有名な枕投げの場面はもう、圧巻。ぐちゃぐちゃに散らかった寄宿舎の寝室に、透けて光ってふわふわと舞う羽根が幻想的で、モノクロームとスローモーション効果もあってその美しさは神々しいほどだった。
そして>>続きを読む
水が吸いつくような筋肉の美しさ。世界チャンピオンのジャン・タリスがニコニコと楽しそうに色んな泳ぎをみせてくれる。サメ泳ぎや横泳ぎも!
水中撮影の楽しさを存分に味わえる。今の世界的な選手と比べるとざっく>>続きを読む
ヴァカンスに訪れる人たち、そこに暮らす人たち。風光明媚な海岸の観光地に交錯する生態を、例によってカメラがダイナミックに軽やかにあぶり出す。上から下から、斜めから。カメラ自体が躍動的ないきものみたい、そ>>続きを読む
ダイナミックでのびやかなフレーミングの連続にワクワクした。水際でのショットがこんなにも表情豊かだなんて。自由自在に伸び縮みするカメラが大空から川面を、さらには水中までも嬉々として捉え、気持ちのよいサイ>>続きを読む
掛け値なしにまるごと大好き。
スタッフ&キャストの紹介から消防隊員たちが次々に登場するファーストカット…トリュフォーのオープニングってどうしてこんなにワクワクするんだろう。
本を読むことも所持するこ>>続きを読む
アニメーションと実写の融合がみごとで、ちょっと毒のあるなんとも不思議な描写にひきこまれる。並んだ兵士たちの首がスパスパと落ちていくアニメがよかった。子供の頃みたら良くも悪くも強烈に影響を受けそう。>>続きを読む
トリュフォーは子供を撮るのが本当に上手い。演出は淡々としているのになんだかずっと泣きそうだった。話は『ジャングル・ブック』の少年版『奇跡の人』みたいな実話ベース。森でひとり生きのび人間の言葉を解さず聴>>続きを読む
『あこがれ』のきれいなお姉さんがこんなアバズレのすれっからしの役を⁇と意外だったけど、じつは彼女はこんな役どころが定番なのですね。悲劇をものともしない野生児のようなたくましさと奔放さ。ベルナデット・ラ>>続きを読む
踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損♪踊るほうが観るより楽しいにきまってるけど、中でもサルサをじょうずに踊れるって最強かも。ナタリーのダンスが最高にセクシー(*˘︶˘*).。.:*キューバ人の>>続きを読む
もしプールに金魚がたくさん泳いでいるシーンがあったらぜんぜん印象の違う作品になっていただろうな。川を泳ぐクラゲがきれいだった『アカルイミライ』みたいに心震えただろう。スパークする色彩とかアップテンポの>>続きを読む
気が遠くなるほど深い奥底に眠っている、自覚すらない記憶。それにそっと爪を立てられるような、ひんやりした郷愁が立ちのぼってくるような感覚。そんな映画だった。
行ったこともない国や時代の映像に無性に郷愁>>続きを読む
何かを「見る」には必ずしも目は必要ではないのかもしれない。
たとえばよく通る道に新しい店を見つけたとき。あれ、ここは以前何のお店だったかな?と考えても思い出せないことはないでしょうか。私はよくあるん>>続きを読む
『祈り』トロリジー最終作である本作は前2作とは作風が異なり、時にコミカルな描写もある現代ドラマ。緻密な構成の中に様々な寓意が含まれているようでたいへん見応えがあった。
夫が奏でるピアノの音をバックにし>>続きを読む
大地に耳をあて革命が近づく足音を遠くに感じても、彼らが愛を成就させるには時代が早すぎた。引き回しの刑に甘んじても泥を投げつけられてもその姿はどこまで高貴で、その魂をだれも汚すことはできない、そして魂は>>続きを読む
全編、詩のようであり激流のようだった。目も眩むような幻想的なファーストカットに始まり、視点が自在に変わるナレーションが彼らの心情を代弁し、ほぼ会話はなし。キリスト教とイスラム教との対立を軸に人間の尊厳>>続きを読む
浴びるようにパワーをもらった。曲がかかる場面はずっと鳥肌。
曲が生まれる瞬間とかハーモニーを複雑に重ねる録音風景とか、そんなエピソードから実際の歌に切り替わる演出がとても印象的だった。私はQueenは>>続きを読む
初ギトリ。監督による、ひょうひょうとした立て板に水の如きナレーションが病みつきになりそうなほど心地よい。
家族全員毒キノコで死んだのに盗みを働いた罰(食事抜き)によってただひとり生き残った少年。罪の>>続きを読む
寝ても覚めてもチェスのことが頭から離れない強迫症気味の男をめぐる短編サイレント喜劇♟チェスボードのチェック柄モチーフをネタにしたギャグがなんともスタイリッシュです。極寒のロシアの古い街並みとか、モスク>>続きを読む
はっきり言ってアベル・ガンスは映画のヘンタイです。やりたい放題暴れ放題で相当ラディカル、映画の可能性の飽くなき追求をコテコテに見せつけられてもう胸がいっぱい、お腹いっぱい^ ^;;
まず少年時代の雪>>続きを読む
フランス国歌ラ・マルセイエーズはフランス革命の時に誕生した。地方の小さな軍隊で歌われはじめた名もない歌が南仏マルセイユから徐々に広まり革命家たちの士気を鼓舞する力となる、その様子はちょっと感動的です。>>続きを読む
すばらしすぎる。劇場鑑賞おすすめ度最高レベル。完全版の再映に奔走したフリードキン監督の熱意と労力にはただただ、敬意と感謝を表したいです。
ひょっとしたら、これほど心酔できるアクション&サスペンス映画は>>続きを読む
憧れの異国を旅する。言葉の片鱗しか解せなくとも彼らの会話や息づかいに耳を傾け、街の匂いを思いきり吸いこみ、彼らの日常にすこしでも溶けこみたいと願う。字幕なしで観た本作はみずみずしくて切なくて、心わきた>>続きを読む
アラン・ロブ=グリエ初鑑賞。パズルのようにばらばらに配置されたイマージュが繰り返され、流れるように音楽のように展開し、それはデュラスの小説を読んでいる感覚と似ていた。
『去年マリエンバートで』の脚本を>>続きを読む
モラトリアムな映画にありがちな生々しい嫌らしさを感じさせず、驚くほど清々しい空気が流れているのはなぜだろう。そしてこの時期特有の刹那的な気持ちが痛いように伝わってくる。彼らはキレキレの美男美女ではない>>続きを読む
スコリモフスキ監督のイギリス時代は傑作揃いですね。『早春』と似た、なんともいえない黄色味がかった色彩と質感が味わい豊か。
男4人がロンドンに来て不法労働している最中に故郷ポーランドで戒厳令が敷かれる>>続きを読む
初めからツィブルスキが81/2のちょっと情けないマルチェロ・マストロヤンニにみえてしまって(醸し出す雰囲気が似てる気がする。あんなに二枚目じゃないけど)、そしたらなんと81/2みたいなダンスが始まって>>続きを読む
映画祭のパンフによるとワイダ監督の最高傑作とも言われているらしいがその真偽のほどはともかくとして、政府から潤沢な予算を受けて制作された渾身の力作であることは確か。要所要所でドラマチックにぐいぐい引き込>>続きを読む
寂寞とした冬景色とイーダの出自を辿る旅が一貫してフィックスのカメラで捉えられ、その構図ひとつひとつが卓越している。空間の取り方がたいへん個性的。そしてラストだけは移動カメラ。その静謐な映像は何か神話の>>続きを読む
涙を見せずに泣いているあなたを抱きしめてあげたいけれど、あまりにも無防備で痛々しくて触れると壊れてしまいそうだから。だからせめて並んで歩いたり、同じ電車の向かいの席に座っていよう。ひとりきりじゃないと>>続きを読む
永遠にひとりを愛せる人ってどれほどいるのか。迷いなく結婚に踏み切れる人ってどれほどいるのか。それより、永遠に愛するなんて言葉をどうして言えるんだろう。この作品はアイロニーに満ちている。新婦・新郎・家族>>続きを読む
染谷将太と石田法嗣が水と魚/魚と水/水と水…みたいに溶けあったり離れたり。触れそうで触れないふたりのダンスの圧倒的な支配力。触れたくて、逆に触れるのが怖くて、それでも触れないでいる時がいちばんエロティ>>続きを読む
"人生には夜と昼がある"
19世紀末に始まり半世紀にわたる、ある家族の大河的ドラマ。
ポーランド映画には強い女性が多く登場する。早口でまくしたてるヒロインはクセが強く、ある意味魅力的(昔の男を忘れら>>続きを読む
クリスマスに突然故郷に帰ってきた男を驚きつつも温かく迎える大家族。しかし男にはある秘密の計画があって…という『たかが世界の終わり』的なシチュエーション。
テレビやスマホへの意識の違い、兄弟間の確執、>>続きを読む
初・濱口監督。質感とか温度とかがすごく好き。自分とはまったく交わらない世界のはずなのに竹箒みたいなものでざざっと心の中を撫でられたようなかんじがした。それぞれの孤独や欲望が絡み合いそうになるものの言葉>>続きを読む
これいいなぁ、大好き!素人俳優たちの自然体の演技と16ミリフィルムのくすみを帯びた色彩、そして流れるようなカメラワークがみずみずしく伸びやか。ハッとするような素晴らしいショットがたくさんあって差別・偏>>続きを読む
ベルリン、パリ、ニューヨーク。それぞれの街に夏は必ず訪れる。生命力を放つ木々の葉、行き交う人々の笑顔、光の目映さや熱を帯びた空気。それらはすこしずつ異なっても美しい季節であることに違いはないはずなのに>>続きを読む