めしいらずさんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

カレイドスコープ(1935年製作の映画)

2.4

寡聞にして初めて知ったレン・ライ作品。意味も脈絡もない不思議なアニメーション映像と、リズム感に自然と身体を揺らしてしまうような楽しい音楽。昔の教育テレビの子ども番組に時折挟まれていたものを想起させる。>>続きを読む

オーバー・フェンス(2016年製作の映画)

2.6

男には何もかも言わなくたって分かってもらえる筈だという甘えがある。女は問い詰めたい気持ちを押し堪え溜め込んでいつか爆発してしまう。女は率直な態度や魂のぶつかり合いを欲しているのに、男は逃げ腰でトラブル>>続きを読む

現金に体を張れ(1956年製作の映画)

3.0

どんなに完全無欠な計画だと本人たちが思っていたところで、何処かから必ず水が漏れてしまうもの。ほんの些細なことを一つでも見逃したり疎かにしたならば、最初はどんなに小さな綻びであっても、少しずつほつれが大>>続きを読む

赤毛のアン/完全版(1986年製作の映画)

4.0

当たり前に正しく生きているつもりでも失敗はつきもの。アンはまだ子供なのだから浅慮は致し方ない。でも失敗したその時にどう振る舞うのか。そこにこそその人の真価が問われている。アンは如何なる時も真剣そのもの>>続きを読む

蜘蛛女のキス(1985年製作の映画)

2.4

ほぼ房内の二人の会話劇。トランスジェンダー役を演じたウィリアム・ハートのニュアンス表現に尽きる。個人的にはそれ以外に引っかかりを覚える部分はなかった。

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

3.6

容易く他人との距離を縮められる人がいる一方で、遠慮がちに話しかけながら目を合わせられない人もいる。クラスの中では声が大きい者同士、声が小さい者同士で自然に棲み分けがなされている。しかし得てして”いじめ>>続きを読む

アンタッチャブル(1987年製作の映画)

3.0

禁酒法などという愚にもつかぬ悪法があったせいでアル・カポネのような悪しき傑物が暗躍する訳であり、沢山の悲劇が生まれてしまうのである。カポネを狂気と理性が相半ばする奇妙に魅力的な人物として演じたデ・ニー>>続きを読む

(1973年製作の映画)

3.4

言わずもがなの原作小説であるけれど、それを若い男女三人の残酷な青春物語として切り取った新藤兼人の才覚が光る。男二人と女一人の微妙な均衡。たとえ親友同士であっても、否、そうであれば尚のこと、その関係に深>>続きを読む

赤毛のアン(2015年製作の映画)

2.2

とても真面目に作られているとは思うけれど、短尺の為か一つ一つのエピソードの描き方が簡略に思え、何となくあらすじを追っているような気分になってしまう。例えばレイチェルとの和解シーンなどがそれであって、後>>続きを読む

遊星よりの物体X(1951年製作の映画)

1.5

昨日のリメイク版から続けて鑑賞。まあ凡庸で心底面白くない。

遊星からの物体X(1982年製作の映画)

4.0

中学時分に確かゴールデン洋画劇場で観てハマったのも懐かしき名作中の名作ホラー。ストーリーがまず抜群に面白いのがそんじょそこらのホラーと一線を画するところ。誰が物体に乗っ取られているのか判らない疑心暗鬼>>続きを読む

ほんとにあった!呪いのビデオ THE MOVIE2(2003年製作の映画)

2.7

投稿された心霊ビデオの投稿者に取材する体の擬似ドキュメンタリー。それぞれのビデオに写り込んだ不可解な事象。それが投稿者の身に迫ってきて…。この手は演出が過剰になりがちで怖がらせようとされるほど白けるも>>続きを読む

(1959年製作の映画)

3.8

其処此処が暗い日本家屋の中で繰り広げられる心理サスペンス劇であり、シニカルなコメディである。妻も娘も若き掛かり付け医にぞっこん。性と嫉妬の妄執で生に縋りつき老いを遠避けんと目論んだ老人だったが、結局は>>続きを読む

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

5.0

荒んだ近未来のありよう。主人公アレックスは不良仲間たちとドラッグ入りのミルクでばっちりキメて夜な夜な街へと繰り出していく。そしてホームレス老人を、別の不良グループを叩きのめし、歌いながら夫を打ち据えそ>>続きを読む

アリス・スウィート・アリス(1977年製作の映画)

2.7

聖体拝領の日に殺される少女。容疑の目を向けられる姉アリス。平生から素行が悪い彼女が見せる危うさ。悪戯っ子の範疇を逸脱する振り切れたその言動の数々。彼女なら如何にもやりそうなのだ。目撃された黄色いレイン>>続きを読む

レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う(1994年製作の映画)

2.8

今度はアメリカから故郷へと向かう楽団一行。宗教的なメタファーのことはよく判らないけれど、信心者と共産主義者の一向に噛み合わぬ思想対決に、側で聞いていた団員が言い放つ「くだらない」のタイミングが、鑑賞者>>続きを読む

スーパーマン(1941年製作の映画)

1.6

”罪を憎んで人を憎まず”なヒーロー像。スクープ狙いの女性記者は勇敢なばかりでいつ如何なる時も足手まとい。強い女性像を受け入れるクラーク・ケントの鷹揚さ。荒唐無稽でマンネリで面白いとは思えないけれど、そ>>続きを読む

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)

3.8

好きな人と一緒に観るからその映画は面白いし、そのディナーが楽しいと感じる。若い二人が一緒にいたから日々が輝いた。しかし女は二人の男を天秤にかけ愛人の元に走り、男は恋敵が誰かを知り身を引く。そして時を経>>続きを読む

ジャバウォッキー(1971年製作の映画)

2.6

ジャバウォックというのはルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」に登場する怪物であるらしいけれど、未読であるためどう結びつくのか理解不能。否、既読であっても到底理解できそうもない。手も足も出ないとはこれ。>>続きを読む

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

2.9

襲撃事件からリレハンメル・オリンピックでの大悶着までの流れや、彼女を稀代の悪女のようにスキャンダラスに切り取った報道のことは大まかながら記憶しているけれど、これを観る限りではやはり主人公自身も被害者で>>続きを読む

悪童日記(2013年製作の映画)

2.8

アゴタ・クリストフの原作は未読だけれどずっと映像化不可能と言われ続けてきたらしい。おそらく倫理観をいくらか逸脱した部分があるからだろうと想像する。あるいは原作にはもっと酷い描写があるのかもしれない。で>>続きを読む

黄色い傘(2019年製作の映画)

1.7

黄色い傘に、黄色い長いマフラーに結び付いた記憶。難民船、ひもじさ、孤児院、あの人のこと…。ずっと探し求めているその色は年老いても尚鮮烈である。凡作。

満員電車(1957年製作の映画)

3.2

社畜たちは満員電車に押し込められて今日もぞろぞろと会社へ向かう。秀でることより調和を重んじ目立たぬことが美徳とされ、高学歴は寧ろ出世の邪魔になる。”怠けず休まず働かず”。仕事をテキパキこなすことも無駄>>続きを読む

TOKYO!(2008年製作の映画)

2.8

ミシェル・ゴンドリー「インテリア・デザイン」。ラッピングされた夢の街は一見すると美しいけれど余所余所しく、その核心にはいつでも触れられない。馴染めぬ者の疎外感は背景化することで消えるやも知れず。自己肯>>続きを読む

イージー★ライダー(1969年製作の映画)

3.2

西から東へ向かう若者たちの旅の途上と、通りすがりに出会った人々とのちょっとした関わりが点描される。筋書きはほぼない。ヒッピーを受け入れる者と受け入れられぬ者。その反応はそれぞれ。概ね若者らは肯定的であ>>続きを読む

かたつもり(1997年製作の映画)

2.4

生き別れの母は誕生日に手紙こそくれるけれど来はしない。河瀬は両親になり代わり育ててくれた祖母の日常にカメラを向ける。祖母への慈しみが画面越しに伝わってくるよう。祖母も孫がカメラを持ってついて回るのを五>>続きを読む

母を恋はずや(1934年製作の映画)

2.7

先妻の子を長男として実子と隔てなく育て上げた後妻の母。でもそのことを息子たちに知らせなかった。実母と思っていた母は継母だったこと、実子でなかったことを知り兄はショックはを受ける。それが後の軋轢の種とな>>続きを読む

鶴は翔んでゆく/戦争と貞操(1957年製作の映画)

3.5

始まった戦争に志願して離れ離れになる恋人たち。召集日は女の誕生日だった。行き違って会えぬままの出立。男がプレゼントにこっそり忍ばされておいた手紙に彼女は気づかない。機に乗じて彼の従兄弟が彼女を横取りし>>続きを読む

妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ(2018年製作の映画)

3.0

家族がつつがなく続いているのは当たり前のことではない。そんなことはみんな分かっている。それなのについそれを忘れてしまう。近しさゆえについ甘えが出てしまう。有り難みに慣れきる。謝意を忘れる。敬意を欠く。>>続きを読む

デスペレート・リビング(1976年製作の映画)

4.4

巻頭から妄想を根拠とした罵詈讒謗を夫に我が子に浴びせかける精神病患者の凄まじい剣幕にいきなり度肝を抜かれるのだけれど、物語の異常さはこの後にどんどん上書きされることになる。次々に立ち現れる異常者の群の>>続きを読む

キートンのセブン・チャンス/キートンの栃麺棒(1925年製作の映画)

3.6

恋に奥手の主人公。彼の会社はいま倒産の大ピンチ。そんな折に舞い込む巨額の遺産相続の話。ただし誕生日の夜7時までに結婚するのがその条件。千載一遇の大チャンス。彼は道ゆく女性を捕まえては結婚を申し込む。ス>>続きを読む

On Your Mark(1995年製作の映画)

2.5

チャゲ&飛鳥のミュージックビデオとして制作された7分弱の短編アニメ。寡聞にして知らなかったけれどナウシカの前日譚的な位置付けではと巷間で囁かれている作品なのだそう。チェルノブイリの石棺を思わせる禍々し>>続きを読む

ダンケルク(2017年製作の映画)

2.5

ドイツ軍の猛攻に晒された連合軍が撤退していく様を描いており物語はないに等しい。戦争映画だけれどいわゆる戦闘シーンもほぼない。一方で兵士たちと一緒にその場所にいるように強烈な臨場感がある。着弾音の肌感覚>>続きを読む

巴里の屋根の下(1930年製作の映画)

2.3

げに恐ろしきは女の思わせぶりと移り気の早さである。遠くにいる男よりもそばにいてくれる男。そんな風だから男同士の諍いは絶えないのであった。しかし喧嘩にナイフだの拳銃だのと何とまあ物騒なことよ。決闘文化の>>続きを読む

風立ちぬ(2013年製作の映画)

4.5

大人になってもつい女の子ばかりを目で追ってしまうような子供っぽさ。何につけても無知蒙昧。正義感はあるけれどどこかひ弱で頼りない。そんな主人公である。でも好きなものに熱中すると脇目もふらぬ。いつか美しい>>続きを読む

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

2.0

これ、162分も要りますか?世界観は素晴らしい。映像もワンダフル。で物語はどこですか?「内容がないよう」なんてクソつまらん駄洒落が頭の中で延々リピートされるくらいには無内容に感じました。一見するととて>>続きを読む