科学者の功名心。傲慢。暴走。そして不測の事態。案の定、手に負えなくなって悲劇を招くのだ。なぜ造った。浅薄な人間が手を出してはいけない領域がある。望んでいないのに無理やり生命を与えられた”怪物”は間違い>>続きを読む
神への、人への礼節は、手の触れ合いは失われた。人は損得で人間関係や物事を色分けする。貪婪、怠惰、自堕落は身によく馴染み止め処ない。公は個の意志を掠め取り支配する。皆がそうと気付かぬまま同じ方向を向かさ>>続きを読む
立て続けに起きる少女殺人事件に警察は手をこまねくばかり。街中に恐怖と怒り、疑心暗鬼が蔓延している。それでも口笛のペールギュントからついに足が付く。背中に押された殺人者の烙印。社会から逸脱してしまった犯>>続きを読む
1932年の伝説のカルト映画。真実の障碍者の出演による説得力は演技によるそれを軽々と凌駕する。因果応報。平生から彼らを異形者だと見下し蔑み嘲り侮り利己に溺れた女が辿る凄絶な末路。どんな容姿であろうと人>>続きを読む
ありきたりな物語の主人公を子ぐまに置き換えてなぞっただけに感じてしまうような心ない者には観る資格なし!はい。言うまでもなく私のことです。
同い年なのに男子と女子とではどうしてこうも違うものか。いつまでも子供っぽいままの男子どもと比べて女子の時間は少し早く進んでいるよう。それにしても”なずな”の大人っぽさ女っぽさはどうだ。ただ可愛いだけじ>>続きを読む
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こういうタイムトラベルものは設定が複雑で筋を追うのが面倒臭く、大抵は一周回って結局自分に返ってくるオチが定番であってこれもご多聞に漏れずだけど、最後の主人公の選択はその生き様を帳消しにする美しいものだ>>続きを読む
これは愚直に映画愛を謳ったものではないだろう。人生と映画とは別物なのだと言っているように私には思える。トトは幼少から映写室に入り浸り、小窓から夢中で観た映画に己の人生をなぞらえていた。恋に落ちた瞬間が>>続きを読む
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毒を盛られた殺し屋が特殊な状況を乗り越え己が手で復讐するまでを描くアクションコメディか。その毒の効きを遅らせるにはアドレナリンを出し続けなければならない。その為に車で暴走し町中を破壊し公衆の面前でまぐ>>続きを読む
戦時下だと言って世の中が沈滞ムードに覆われる訳じゃない。人はいつも通り悲喜交々に生活している。様々な制限や不自由さは増えていくがそれに我が身を合わせるように知恵を出して。不満や我慢が無い筈ないけれどそ>>続きを読む
新海作品らしく映像の美しさについては言わずもがな。加えて水にまつわるそれの質感は目を瞠るほど。様々に描き分けられる雨!ほんまびっくりぽんや。未来を真剣に見据えた主人公の一本筋が通った考え方とその通りの>>続きを読む
ベタだ。ベッタベタだ。ツッコミどころもある。でも。ありかなしかで言うならあり。大ありだ。否。むしろ大好きだ。ナメてかかったら返り討ちもいいとこ。焦れったく少しずつ距離を縮める二人の初恋とおバカ仲間達と>>続きを読む
突然の癌告知だ。気も遠くなるさ。行きがかり上付き添いを申し出る恋人は面倒臭そう。案の定浮気だ。友らは他人事めいて通り一遍。認知症の父を介護する母はヒステリー。セラピストは研修医で覚束ない。それに5年生>>続きを読む
「ミザリー」をどこか彷彿とさせるスペイン製のサイコホラー。この手の話の基本を押さえたしっかりとした作りだ。この「意外な結末」はありがちではあるがそうするよりほかないだろうもの。不可抗力だった母の死への>>続きを読む
一枚の古い写真。若い母親とその腕に抱かれた赤ん坊が写っている。それはとても幸福そうに見える。出生はいつでも必ず祝福されたものなのだ。家族の人生はその後試される。艱難辛苦は引きも切らず。たくさんの辛み苦>>続きを読む
娼婦によって一家コンプリートされ家庭はしっちゃかめっちゃか、思わせぶりな性病云々の件りのせいで鬱鬱とした救いのない展開を予想したが肩透かし。まさか純愛物語に落着するとは。しかも恐怖映画の語り口によって>>続きを読む
好きになるほどに悲しくなる。想うほどに淋しくなる。世界が一変したように見える不思議。縮まらないその距離はまるで秒速5センチメートルずつしか近寄っていないかのような焦れったさ。ただ小学生で芽生えた恋心を>>続きを読む
家父長制、家族主義の一家の冠婚葬祭を通して、戦後大きく変わる社会のありようや新しい考え方を受け入れかねた旧弊な名門の家族が、変化する外側と変化を拒む内側との齟齬によって瓦解していく様を描いた(のかな?>>続きを読む
栄光に忍び寄る凶兆。彼は感情を制御できなかった。そして不幸が重なった。あっという間に落ちぶれ友が離れて行き皆が敵に見え荒み生きる希望を見失い家族にすら愛想を尽かされ一人ぼっち自己憐憫の酒を呷る。それで>>続きを読む
谷崎潤一郎の原作。新藤兼人の脚本。宮川一夫のカメラ。増村保造が監督。傑作になりそうな要素がいっぱいだ。原作小説で背中に女郎蜘蛛の刺青を彫られた”女”のその後を描く。女郎を演じた若尾文子のはすっぱな物言>>続きを読む
反ファシズムの英雄だった父の死の真相を追う息子。町の人は昔のことを掘り返す彼に拒絶的。町の中は常に誰かが監視しているような不穏な空気だ。父は本当に英雄だったのか、それとも。オペラの響くの中での父の死。>>続きを読む
自由恋愛は、性の解放は、それ自体が思想たり得るのか。性の妄執に憑かれた大正と昭和それぞれの若者たちの今が並行し交錯する。自由恋愛の思想家を巡る3人の女たちは、新しい時代の独立した自由な女性像の謳い文句>>続きを読む
瀬戸内の小島に生きる一家の毎日は、自ら漕いで本土へと舟を渡し水を汲んは戻るを繰り返す。それは島の痩せた畑への水やりと自分たちの生活の為。水をなみなみと湛えた二つの桶を天秤棒で担いで険しい小径を一歩一歩>>続きを読む
ポーの幾つかの短編をモチーフにした伝説的サイレント映画。見せ方に工夫があり幻想妖美な世界が立ち現れる。ローアングルやスローモーションの多用が広壮なアッシャー家の中で跳梁跋扈する見えざる魔性の視線や気配>>続きを読む
センス!寡聞にして知らなかった映画だけれどこれはヌーヴェルヴァーグの傑作の一つだと思う。全編が静止画と語りだけで構成された現在と過去、未来が入り交じる近未来の物語だ。そして男女の出会いと別れの。画の一>>続きを読む
山崎豊子の意図通りに医療裁判での財前の勝利と里見の失脚までが描かれた1966年映画版(著者は続編を書きたくなかったらしい)。冒頭から実際の手術の光景を映す強烈さ。大学病院という伏魔殿に横行する権謀術数>>続きを読む
戦後の混乱期の貧窮した生活に人々の心は荒み、犯罪に手を染める者が多かった時代。それは自分が生き抜いていく為にやむを得ない行為だ。自分ひとりを生かすだけで精一杯の時に他人に優しくあろうとすることの意味。>>続きを読む
市川崑のフィルモグラフィの中でも最初期のアニメ映画。ディズニーの影響を強く感じさせる作画。面白さはいま一つ。
映像の質感はすでに新海誠らしさがあって素晴らしいが、個人的には物語がつまらない。例えば、幼さを引きずったロマンチックに過ぎる三角関係とか、SF的設定とか、二人の青年のわかりやすい天才性とか、大人を巻き>>続きを読む
凄い!何だこの瑞々しい感性は!映像と音が完璧にシンクロナイズした全く新しい感覚、これまでに観たことないセンス!彼は誰(かはたれ)。誰そ彼(たそかれ)。でもこれはリュミエール兄弟がキネマトグラフを生み出>>続きを読む
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誘拐殺人犯に仕立て上げられた女の復讐劇。犯人を拉致するまでは展開がスピーディで良かったのだけれど、それまで淡々と計画をこなしていた彼女が復讐を躊躇してしまって以降、物語が一気に失速する。結局は遺族らが>>続きを読む
乱歩原作を増村保造が美学的に実写化した"変態性愛映画"。盲人の主人公の愛し方。それは触覚が頼みだ。拐かした女の身体の隅々まで触って触って触り抜く。あまりの嫌悪感に鳥肌立てて逃げ惑い何度も脱走を試みるが>>続きを読む
三島原作の2度目の映画化。滅びゆくものだけが湛え得る美を描くというより、コンプレックスと性欲の妄執とに囚われた青年が失墜していく様をジメジメと暗いタッチで描いた青春映画だろう。モノクロの美しい市川版と>>続きを読む
いつの世も女は逞しく男はひ弱だ。だがこのぼんちならぬぼんぼんは、ふわふわ、なよなよ、飄々に見えこそするが、なかなかどうして芯はしっかりしている。代々の家業、家族への気遣い、妾たちや彼女らに孕ませた子供>>続きを読む
ドイツ表現主義映画の衣鉢を継ぐような、1926年の日本最初の伝説的な前衛映画。脚本には何と川端康成が参加している(「掌の小説」所収)。精神病院を舞台に患者の眼に映る世界を歪曲された映像で表現。コントラ>>続きを読む
私にはこれを楽しむだけの素養がないよう。一っっっっつも面白くない。主人公や王女のいい加減な性格設定にも、ふざけすぎのランプの精にも白けてしまう。お話が予定調和なのは仕方ないか。スミマセヌ。