moimoiさんの映画レビュー・感想・評価

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在宅ワーカー主婦。映画館のない街に住み、スクリーンで観るために遠征する日々。仕事の合間にNetflix。

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大人のためのグリム童話 手を失くした少女(2016年製作の映画)

5.0

全編が手描きのアニメーションだからこそ生み出せる〝間〟の美しさが素晴らしかった。
自分を見失った父の顔、悪魔から見えなくなる少女の姿、逃亡する母子、そしてあの詩的なラストシーン。
ときに繊細に、ときに
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美女と野獣(2017年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

ベルが感じる抑圧、野獣の家庭環境、ガストンの帰還兵設定、ルフゥの献身の裏にある恋情など、アニメ版よりも繊細に描かれた部分がより物語を深くしているように思った。
女性の解放、ルッキズム、多様な人種と性、
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タンジェリン(2015年製作の映画)

4.5

かっこよくも素敵でもない、しょうもない日常が転がるLA。
トランスジェンダーの娼婦ふたりの友情が痛々しくも可愛い。
性の在り方も国籍も人種も愛し方も人生の諦め方もそれぞれ、ありのままに。
誰もが抑えら
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かくも長き不在(1960年製作の映画)

5.0

本当に夫だったのか、夫であってほしかったのか。
音楽もブルーチーズも引き寄せられない愛が哀しく、少し怖い。

黒い牡牛(1956年製作の映画)

5.0

大衆や社会構造を変えるのは不屈のTheBraveOneだ。
大人も権力者もあてにならない。
赤狩りに屈さなかったトランボを、どうしてもヒタノに重ねてしまう。

僕のワンダフル・ライフ(2017年製作の映画)

2.3

犬の正体は犬の形をした愛だ(と言ったのは糸井重里だったかしら)、というおはなし。
子どもと犬と牧場と青春の痛みと人生の苦味というラッセ・ハルストレム全部盛りで涙のカツアゲをしてくるので、遠慮なく泣く。
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ゲッベルスと私(2016年製作の映画)

4.1

ナチスドイツの宣伝大臣にして〝プロパガンダの天才〟ゲッベルスの元秘書が語るのは「知らなかった」「流されるしかなかった」。
インタビューの間に差し込まれる強制収容所の映像が、彼女にも観る者にも「知らなか
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ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

5.0

「ビューティフル・デイ」しぼられた言葉と情報、襲いくるフラッシュバックと幻影、〝そこ〟に引きずり込む音と音楽。
深く深く没入してしまい、帰ってくることが難しかった。
ホアキン・フェニックス演じるジョー
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万引き家族(2018年製作の映画)

5.0

「万引き家族」社会からこぼれ落ちた人たちが、都会のすきまで生きる。
それぞれがまったく正しくなく、嘘でつくりあげた家が、〝正しさ〟により変えられていく。
「幻の光」の頃の静かな痛み、「ディスタンス」「
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BPM ビート・パー・ミニット(2017年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

生きるために戦い続け、愛し合った者たちの物語だった。
ショーン役のナウエル・ペレーズ・ビスカヤードの演技が生々しく、酸で心を焼かれるような感覚があった。
死をの目前にし愛と生と性を必死で謳歌する姿がか
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ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

4.6

人間はなぜ物語が必要なのか?という〝物語のものがたり〟だった。
大切な光だったはずなのに、自分を閉じ込める枠として存在した物語を、己の肉体をもって語り直すことで他者と繋がり新しい人生を拓いていくジェー
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スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

2.4

ダニエル・ラドクリフの死体を使ってポール・ダノが生き延びる話、程度の予備知識でのぞんだら、とんでもないハートフルサイコラブストーリー!
極限状態において自分と他者の境界線が崩壊、しかしそこにいたのは己
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フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

3.9

妻であること、夫であること、男であること、それぞれの〝あるべき〟がつらい。
執拗なビヴァルディ「夏」と長回し、空胞の音が不穏さをじわじわかきたてる。
「北欧のハネケ」の字名は伊達じゃない!

心と体と(2017年製作の映画)

5.0

「心と体と」雪の森で寄り添う雄鹿と雌鹿、牛の命が肉になっていくさま、白と赤の対比が美しかった。
屠畜場という死と生を内包した場所で出会い、互いの〝わからなさ〟と共鳴に戸惑いながらも惹かれ合う二人が、も
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

3.3

犬たちが哀しく、可笑しく、愛おしい。
ウェス・アンダーソンなので寓意が重要ではないかもしれない。
が、どうしても、国粋主義、全体主義、区別のオブラートに包んだ差別心の政治利用、政治家の保身と隠蔽、など
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三月生れ(1958年製作の映画)

3.7

夫が求めたのは、家で笑って待っていてくれるお人形のような妻。
幼かった妻は、孤独を深めるとともに自己実現を求めていく。
当たり前のようにすれ違うふたり。
若くして結婚するとはどういうことか、差自立とは
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ラブレス(2017年製作の映画)

5.0

人生を自分の成したものとせず、『私のせいじゃない』と目を瞑り他者を攻撃し、虐げられるものをから目を背ける。
その〝愛なき〟末路。決して他人事ではない。

窓の外の景色を室内から映したカットが多用される
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女は二度決断する(2017年製作の映画)

5.0

観る者を共感で囲い込みながらも、カタルシスをゆるさない、壮絶な映画だった。
レイシズムと暴力が奪い去るものを描きながら、裁きとは?法とは?正義とは?人であることとは?女とは?多くのことを問うてくる。

ウイスキーと2人の花嫁(2016年製作の映画)

3.5

ただウイスキーが呑みたい、そのためならなんでもやってしまう島民のみなさんが可愛くて愛しい。
大義の名のもとに振るわれる理不尽に屈しない物語でもあった。
「ウェイクアップ!ネッド」をちょっとだけ思い出し
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ダンガル きっと、つよくなる(2016年製作の映画)

3.5

レスリングを始めた姉妹に向けられる嘲笑や、彼女たちの友人が語る女として生まれる地獄、それからのクライマックスでマハヴィルが説く勝利の意味を思うと、これが父親が支える〝女の子の闘争〟の物語だとわかる。>>続きを読む

フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

5.0

綿毛が舞い冬が終わりを告げた日から、輝く夏、深い霧、雪、そしてまた巡りくる春。
性愛、酒、病、ファシズムの影。
幾度も繰り返される同じ旋律の中で、子供も大人も老人も、男も女も、美しく愚かにしたたかに生
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アルビノの木(2016年製作の映画)

4.2

外界と分断された老人だけの郷、鉄分で染まった赤い川、木の魂を送る儀式など、近代日本の〝裏歴史〟とフォークロアを骨格にした架空のムラ。
その社会構造に触れながらも夢を見るように話し振る舞うナギ。
水の青
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パシフィック・リム アップライジング(2018年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

前作にあった重厚感はなくなるも、スピード感のあるアクション、若手俳優のフレッシュさ、青春ドラマという新しい魅力が生まれていた。

女性の描き方はアップライジングのほうが好みだった。
デルトロ作品の女性
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サクロモンテの丘 ロマの洞窟フラメンコ(2014年製作の映画)

3.2

グラナダでフラメンコを踊る人、歌う人、奏でる人の歩みをたどる。
洞窟での暮らしと文化が失われた今も、高齢のダンサーが舞う傍らで子供たちがパルマを打ち歌を口ずさむ。
変わり続けながらも永遠に喪われないも
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ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

3.1

胸くそ悪くはあるけれど、勝つ人のお手本。
マイケル・キートンが店に来たら私なら厨房には入れない。

セブン・サイコパス(2012年製作の映画)

5.0

他者の生をものがたることの責任と覚悟を考えさせられる。
そして、自分の生を他者に委ねものがたられることで、救済されるものもあるのだと知る。
マーティン・マクドナーは優しい。

パターソン(2016年製作の映画)

5.0

同じことを繰り返す毎日の中には、繰り返しの韻がある。
同僚の愚痴、犬の散歩、バーで飲むビール、妻の珍料理。
パターソンはそれを一つ一つ拾い上げて詩を編む。平凡は美しいのだと教えてもらった気がする。

女神の見えざる手(2016年製作の映画)

5.0

登場人物だけでなく、観客もまたスローンに嵌められ、叩きのめされる。

アメリカの銃規制にまつわるロビイストの話なのに、今の日本の現状と繋げざるを得ない。
醜悪な事実から目を背けず、自浄と内省と啓発の作
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ドリーム(2016年製作の映画)

3.9

差別構造に実力で立ち向かう女たち。
冒頭のチョークを手渡されるシーンが中盤につながっていたり、扉やコーヒーのマグなど、抑圧と解放の象徴になるアイテムが印象に残る。
ファレルの60sテイストの音楽がいい
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ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)

4.7

体が男性で心は女性のマリーヌが、たったひとりのオルランドを愛し、傷だらけなりながらも〝私〟として生きる姿が美しかった。
マリーヌが鏡の中の自分を無言で見つめるシーンが何度も出てきた。
「どれだけ蔑まれ
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はじめてのおもてなし(2016年製作の映画)

3.7

1人の難民を受け入れたことで、壊れかけていた家族の本当の問題が生々しくたちあらわれていく。
難民問題や人種差別だけでなく、老年期のアイデンティティクライシス、夫婦間の断絶、鬱病、自分探しという名のモラ
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

5.0

青と緑とあたたかい闇に縁取られた世界で惹かれ合う孤独な魂。
ファンタジーのような語り口で、実はとても肉体性の強い愛と生を描く、甘くない物語だった。

イライザは不美人という人もいるが、私は彼女の全身か
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北の桜守(2018年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

普段観ないタイプの映画だったためか、入り込みにくかった。

冒頭、吉永小百合と阿部寛が夫婦という設定に、さすがに名優同士とはいえ、映像作品では無理があると感じた。
序盤にケラ演出の舞台パートが入ること
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サーミの血(2016年製作の映画)

4.0

差別と因習の大地から逃れることを渇望する少女の姿が痛々しく、強い瞳と逞しい肉体が心に焼き付けられた。

ヨイクは山や大地や空などを歌い、歌うことでそれらを存在させ、物理的に離れていても、歌えばそこに立
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ブラックパンサー(2018年製作の映画)

3.4

アメリカを中心としたブラックコミュニティが抱える問題とポピュリズム、世界規模での格差問題、自国ファーストの排外主義などをさまざまなメタファーで提言しながらも、底抜けに面白いヒーロー映画になっていた。>>続きを読む

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