矢吹健を称える会さんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

矢吹健を称える会

矢吹健を称える会

映画(1391)
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犬王(2021年製作の映画)

3.1

 まあ、あたくしがロックをもともと好まないってのもあるんでございますけれども、それにしても、もうちょっと楽曲&歌(アヴちゃんは良い)が魅力的なら……と思いながら見ていた、特に中盤。劇場のスピーカーのせ>>続きを読む

はい、泳げません(2022年製作の映画)

2.5

 『護られなかった者たちへ』と符合する点がいくつもあるのだが、ことごとく(自分の)趣味に合わない演出がなされるので、だいぶゲンナリしながら見た。プールの中で何度も幻視する件もいやらしい(というか、フラ>>続きを読む

我々の父親(2022年製作の映画)

3.2

 「まさかもうきょうだいはおらんやろ」→33人目発覚! みたいな、省略で笑ってしまう。夫側の生殖機能に障害があるケースだけかと思いきや、そうじゃないことが徐々にわかってくるという構成も心憎い。きつい。>>続きを読む

ふたつの部屋、ふたりの暮らし(2019年製作の映画)

3.9

 昨年の『ひらいて』以上の、ぶっ飛んだ恋愛映画。ローキーの画面の必然性、そしてアパートの最上階、2部屋だけが向かい合っているという舞台設定の使い倒しに痺れる。小道具(フライパン、ドライヤー、ドアベル)>>続きを読む

レオン(2018年製作の映画)

2.0

 「竹中直人を演じる」という苦行に挑む知英さんの姿に涙。もっとキャリアを大事にしてほしい。
 山崎育三郎という俳優がどんどん悪目立ちしはじめて、ムカムカしながら見ていたのだが、それを企図した役でもある
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困った時のロジャー・ストーン(2017年製作の映画)

3.2

 醜怪さに胸焼けする。さすがにここまで自分と倫理観が異なる人間は存在してほしくない。終盤に登場するアレックス・ジョーンズとかいう人物――ためしにGoogle検索してみたら、先般アメリカで発生した無差別>>続きを読む

ロイ・コーンの真実(2019年製作の映画)

3.3

 ロイ・コーン。蓮實重彦の本かなにかで名前を見かけたことがあったはずで、興味本位で観賞したのだが、一介の弁護士について、ここまで大量の画像・映像が残っていることに驚かされる。

 面構えが素晴らしい。
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英雄の証明(2021年製作の映画)

3.8

 見ていて、「一寸の虫にも五分の魂」という言葉が何度も脳裏を過った。いわんや人間をや。

 とにかく主人公が馬鹿で、やきもきするのだが、その情緒を否定するわけにもいかず、そうこうしているうちに事態がど
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.4

 中村倫也と吉岡里帆、両者チームの作品の「競争」が、とりあえず視聴率――現代では価値の低い指標という気がする――と、SNSの書き込みの多寡によって表現される。なんかアニメーションのロボットとかも出てき>>続きを読む

サイバー地獄 n番部屋 ネット犯罪を暴く(2022年製作の映画)

3.0

 なんでもかんでも映像にするのがわりかし煩わしい。「博士」がカンボジアにいるらしい→Google Mapでカンボジアを表示、中国にいると自称→Google Mapで中国を表示と、そんなものまでいちいち>>続きを読む

鋼の錬金術師(2017年製作の映画)

1.5

 不要にも思えるグロテスク描写(原作通りなのか)は嫌いじゃないのだが、画面があまりに平板で緊張感を欠くうえ、演出のテンポが悪すぎる。敵の一派がしょうもないし、リーダー松雪泰子の目むいた顔がマヌケすぎて>>続きを読む

バブル(2022年製作の映画)

1.8

 「騒がれてるけど、まあそんなに酷くもないだろう」と思いつつ見はじめたのだが……。なんか、意欲的なものを作ろうとしてるんだろうけど、色んな「できてなさ」があからさまに露呈されてる感じで、辛いものがある>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

2.4

 『シン・ゴジラ』はよく出来たリミックスだったが、ああいう発想の転換を二度はできまい。とはいえ何かしら別種のアイデアが盛り込まれるのだろう、なんたって『シン』なのだから――とわずかに期待していたのだけ>>続きを読む

恐れずに(1950年製作の映画)

3.4

 サリー・フォレストの見事な舞踊と、それを奪われて動けなくなった状態の、コントラストが痛ましい。キーフ・ブラッセルがよくわからん同僚(部屋に日本刀が飾られていてぎょっとする)になびくシーンは不要と思う>>続きを読む

知られざるマリリン・モンロー 残されたテープ(2022年製作の映画)

1.6

 マリリン・モンローについて関係者に取材したテープ。なるほどそれは面白いかもしれない。だがそれを聞かせるのに、俳優にわざわざ口パクさせることはないんじゃないか。この映像がまた、テレビの「再現ドラマ」み>>続きを読む

ナチに愛された女(1943年製作の映画)

3.4

 シネマヴェーラで見たのだが、上映素材はBlu-rayとあるものの、ものすごい画質(悪い意味)で、目がバチバチに疲れてしまった。途中で画面の一部が明らかにモザイク処理されている箇所があり、いったい何が>>続きを読む

我等は楽しく地獄へ行く(1932年製作の映画)

3.4

 アル中としては、しみじみ共感せずにはいられないシーンがいくつもある。『素晴らしき休日』以来だぜこんな気持ちは、と思っていたら、まだ端役時代のケイリー・グラントも出てきた。みんなで楽しく地獄に行こうじ>>続きを読む

破滅への道(1934年製作の映画)

2.6

 中学校の道徳の時間に流れるような映画で、主人公がだんだんはすっぱになっていくのが楽しい。飲酒・喫煙に加え姦淫も犯すとなれば当然起こりうる事態が、案の定という感じで進展していくのは辛いものがある。しか>>続きを読む

クレイグの妻(1936年製作の映画)

3.8

 ロザリンド・ラッセルの冷たい美貌が最大限に活かされた傑作。終盤の畳み掛けに喝釆せざるをえない。扉の演出も素晴らしい。

砂に咲くバラ/強く、速く、美しい(1951年製作の映画)

3.9

 これも『暴行』に劣らぬ素晴らしさ。アイダ・ルピノは現代的だなあ。
 最初はあまりにポンポン主人公が勝ち進めるうえ、その説明にクレア・トレヴァーのナレーションが多用されるのに違和感をおぼえたのだが、そ
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危険な場所で(1951年製作の映画)

3.9

 再見。アイダ・ルピノ登場(「盲者視点」斬新すぎる)から濃密な恋愛ドラマに変わるのが堪らない。

 ……んですが、「ラストで悪役が死ぬシーンで、重機がゆっくり迫ってくるのがすごく怖かったなあ」と思って
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ポルチシの啞娘(1916年製作の映画)

2.8

 主役のアンナ・パヴロワが、ハリセンボンの箕輪はるかに似ている。なので(と言うのも失礼な話かもしれないが)序盤の「クッソ明るい娘なの私!」みたいな演技が、なんだか痛々しく見える。しかし終盤になると、ほ>>続きを読む

鳩の撃退法(2021年製作の映画)

2.3

 原作は未読なのだが、そもそも映画に向いていないか、あるいは映像化にあたっての処理が不出来か――たぶん両方なのだろう。「3万円」の経緯を追うシークエンスなんて何をやってるんだと呆れてしまった。
 いち
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劇場霊(2015年製作の映画)

2.4

 オープニングが異様なテンションで驚く。人形のクローズアップのときのデーンってSEがアホすぎるが、もしかしてこれは期待できるかも、と思っていると、主演の島崎遥香の顔面が、なんか、ずしんと来る存在感。こ>>続きを読む

貞子(2019年製作の映画)

1.9

 池田エライザは眼福だと思いますが……。

 貞子をタイトルロールに用いる必然性が乏しい。貞子がテレビ画面から出てくるおなじみのシーンで、襲われた女性が生存してしまうので驚いた。それでいいのか。
 清
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暴行(1950年製作の映画)

3.9

 誰しも思うことだろうが、マーラ・パワーズが「暴行」されるまでの描写が凄まじい。めちゃ怖い。靴音、口笛、クラクションの強烈な音響。そしてその音に気づいて窓の外をのぞいた老人が、事態に気づかず、すぐ窓を>>続きを読む

シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

4.1

 この傑作を映画館で見られたことを誇りに思う。そして、たとえポジティブなニュアンスがこもっていたとしても、「B級」という語彙で本作を無自覚に貶める人たちを嫌悪する。

狂った殺人計画/インパクト(1949年製作の映画)

3.1

 「そうはならんやろ」という展開の連続、面白く見ました。ブライアン・ドンレヴィ好きとしては、奥さんにガチ恋してる姿、消防団に入って浮かれる姿など、かなりたまらんものがある。
 序盤はヘレン・ウォーカー
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ホワイト・ホット アバクロンビー&フィッチの盛衰(2022年製作の映画)

3.0

 「アバクロ」という名前だけは聞いたことがあったものの、こんなトチ狂ったブランドだとは知らなかった。店員が半裸て。

 「服を売って大儲けしたけど、広告じゃ誰もその服を着ていなかった」とのたまう元店員
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ジム&アンディ(2017年製作の映画)

2.3

 『マン・オン・ザ・ムーン』撮影時の、ジム・キャリーの奇行・狂気が映し出される。でも身も蓋もないこと言うと「常時カメラ回ってんじゃん」と思った。つまり「役に入り込むあまり、映画撮影中以外の時間もアンデ>>続きを読む

THE MOLE(ザ・モール)(2020年製作の映画)

3.5

 映っていることはともかく、やっていることの頭のおかしさでいうと映画史上でも屈指じゃないかと思わせる。ウルリク・ラーセン氏もさることながら、指示を行ったマッツ・ブリュガー監督、そして「ジェームズ氏」を>>続きを読む

ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実(2019年製作の映画)

2.7

 感心しない。回想や音楽の使い方が面白くないと思うし、なんか、えらく楽天的っていうか、呑気な話になってしまっている。
 例えば、帰還兵のひとりをベトナムに訪ねてみると、(自分が死にかけた)戦場だった場
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懐しのブルース(1948年製作の映画)

2.6

 平板な演出だが、高峰三枝子(当時30歳)はやっぱり存在感がある。あと意外にグラマーだという発見があった(スケベ)。帰宅してからふと調べてみたら、水着姿の高峰三枝子が浜辺でよこたわっているカラーのグラ>>続きを読む

Look for a Star -星を探して-(2009年製作の映画)

2.0

 その場のノリっぽいというか、至極テキトーに作ってある。「アンディ・ラウが最初はめっちゃ嫌なヤツ」とか、せめてそれくらいのテンプレはなぞらないと面白くならないだろうと思うのだが……まあでも、アンドリュ>>続きを読む

夜叉 容赦なき工作戦(2022年製作の映画)

3.0

 冒頭のアクション・シーンに――CGなどを含めた出来はともかく――しみじみと感じ入る。ソル・ギョングがリーアム・ニーソンばりのアクション・スターになっている。
 その後は、スケールが大きくなるのに反比
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やがて海へと届く(2022年製作の映画)

2.7

 鈍い。ひとつひとつのショットが長いのなんの。音楽ふくめ「心理的」という形容がぴったりの演出・画面だと思った。
 終盤で浜辺美波の「視点」が描かれる。これがまた予想外の長さ(そして描写から得るものの少
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