矢吹健を称える会さんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

矢吹健を称える会

矢吹健を称える会

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妻二人(1967年製作の映画)

4.0

 増村に外れなし(まあ、あるけど)。岡田茉莉子・若尾文子の美しさは完璧だし、高橋幸治(身のこなしが抜群)の異様な無感情演技もラストまで徹底的で本当に良い。また高橋に対置される伊藤孝雄の酷い行動がいちい>>続きを読む

GOEMON(2008年製作の映画)

2.2

 クオリティが高いとは言いがたいCGと実写映像が混ざる様に、キッチュな趣がある。さすがに信長の写真燃やすシーンくらい実写にせえよとは思うが。でもアクションシーンの設計は(一部)見ごたえがあって、船上の>>続きを読む

ロングショット(2017年製作の映画)

3.4

 出来事が10年以上前ということもあって、出演者全員「いや~あんときゃ大変だったね」みたいな軽いノリなのがすごく良い。公判中の涙の痛ましさから、偶然撮影してたドラマの内容のしょうもなさまで、まるっと含>>続きを読む

アメリカン・マーダー: 一家殺害事件の実録(2020年製作の映画)

3.4

 序盤で、なるほど、と感心した。こういうドキュメンタリーが作れるのか、と。事件の凄惨さ以上に、作品の構成に驚かされた。
 ただ、捜査の経過の途中にSNSに上げられた動画を挟み込む(時系列を行ったり来た
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なぜ殺したの?(2021年製作の映画)

2.3

 語り口が混乱していてよろしくない。インタビューももっと削れるだろう。しかしラストで逮捕されるアイツは結局何をしたわけ。
 被害者の母親が暴走し出すあたりは面白い。

SHINOBI(2005年製作の映画)

1.6

 山田風太郎ファンとして――それこそ、原作の漫画化作品であるせがわまさき『バジリスク』で山風作品と出会ったものとして――いつか見ようとは思っていた作品。前評判どおりの底抜け映画で感心した。原作から登場>>続きを読む

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)

3.2

 おでこが髪で隠れたキャスリン・ニュートンが、無声映画のスタアを思わせる可憐さで、陰ひなたに咲く花といった趣がある。ここの暗さ(文字通り顔に光が全然当たらない)があるからこそ、入れ替わり後の展開を期待>>続きを読む

騙し絵の牙(2021年製作の映画)

3.2

 本作の予告を見すぎて大泉洋のことをだいぶ嫌いになっていたのだが、本編を見たら、やっぱりこの人いいなと。まあ、アテガキに近かったらしいから当たり前といえば当たり前なんだけども、本作の主役にふさわしい押>>続きを読む

砕け散るところを見せてあげる(2021年製作の映画)

2.7

 珍作だと思う。オープニングの「ヒーローが云々」いうモノローグの時点で、めちゃめちゃ歪なものを見せられているという気持ちになるし、中川大志がトイレに閉じこめられた石井杏奈を助けるシーンの演出とか、なん>>続きを読む

パッション(2012年製作の映画)

2.5

 ノオミ・ラパスがなんか、ぬぼーっとした外見。「パンツの尻ポケットに携帯入れて云々」というアイデアのしょうもなさも相まってアホにしか見えないのだが、そういうキャラクター造形で見せる映画じゃないんだろう>>続きを読む

遅すぎた涙(1949年製作の映画)

3.3

 フィルム・ノワール界隈ではかなりの悪女として有名らしい本作のリザべス・スコット。実際見てみると、ファム・ファタルというよりは「欲の皮のつっぱった、だいぶ頭(と間)の悪い人」で、リザべス・スコットの容>>続きを読む

四月は君の嘘(2016年製作の映画)

1.4

 演奏シーンの途中で、審査員の反応を映す……それはまだしもだが、「なかなかやりますなあ」みたいな台詞を言わせるのは、駄目でしょう。しかもこの台詞が、けっこう多いんだこれが。"愛の悲しみ"を弾くシーンに>>続きを読む

エイプリルフールズ(2015年製作の映画)

-

 虚無すぎて途中で見るのを止めた。すごいな。狙っても作れないレベルの酷い映画だ。大丈夫なのか。

The Guilt of Janet Ames(原題)(1947年製作の映画)

3.1

 これもBlu-rayボックス『Noir Archive 9-Film Collection』に収録された一本。全く期待していなかったが、なかなかの珍品で、一見の価値はある。

 事故に遭い病院に運ば
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ノマドランド(2020年製作の映画)

-

 ひさびさに途中退場した。

 マーヴルが新作をまかせると聞いたのでジョン・ワッツ『コップ・カー』程度には刺激的な演出が見れるかしらと期待したら、こんな下らない映像を見せられるとは。嫌いな映画です。

男度胸で勝負する(1966年製作の映画)

2.5

 それっぽいことが色々起きるのだが、繋がってないので全くピンとこない。
 ラスト、金平ミサの台詞に込められた批評性をちゃんと演出してほしい。

バーシティ・ブルース作戦 裏口入学スキャンダル(2021年製作の映画)

2.1

 主犯の男の日常描写から犯行シーンまで映し出されるので、『クローズ・アップ』的な、本人が本人として犯行を再現するドキュメンタリーなのかと思いきや、役者だそうである。登場する共犯者とかCIAの捜査官とか>>続きを読む

ビバリーヒルズ・コップ(1984年製作の映画)

2.7

 全編、えらく緩慢だが、エディ・マーフィの小賢しさが伝わるシーンは良い。終盤の侵入シーンまで緩いのはちょっと……。ホテルのチェックアウトのくだりがキッチリ締まらないのも感心しない。

 というわけで映
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ハリエット(2019年製作の映画)

2.6

 脚本家いわく、ジュリア・ロバーツが主人公ハリエットを演じるかもしれなかったらしい(制作会社の社長がそう言いだし、誰かが注意して没になったらしい)。それはすごい。
https://variety.co
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Address Unknown(原題)(1944年製作の映画)

4.4

 米Kit Parker Filmsが出しているBlu-rayボックス『Noir Archive 9-Film Collection』に入っていた作品だが、これは傑作です。凄い美術、凄い撮影(ルドルフ>>続きを読む

プロジェクト・グーテンベルク 贋札王(2018年製作の映画)

2.4

 香港映画らしいというのか、だいぶメチャクチャである。なにシリアスぶっとんねん。

 物語が雑というのはまだしも、演出も……。例えば冒頭、アーロン・クォックの取調べ中にチョウ・ユンファが署内に侵入して
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.0

 この監督って『永い言い訳』もそうだったけど、キャラクターの性格がシーンによってころころ変わる印象がある。それが、個々人がごく自然に内包する多面性というよりは、なんか場当たり的な感じに見えてしまう。役>>続きを読む

ヲタクに恋は難しい(2020年製作の映画)

1.3

 これ劇場でやったの? すごくね?

 福田雄一監督。いずれ一度は立ち向かわねばと思っていたのでチャレンジ。冒頭5分見た段階で耐えがたいのでストロングゼロをあおった。これでも持ちこたえたほうだが。佐藤
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Fukushima 50(2019年製作の映画)

1.7

 オープニングの地震シーンでカメラが揺れていて「それは違うんじゃないか……」と違和感を覚えずにはいられなかった。

 前半の主な見せ場が「バルブを開けに行く」という何とも地味な行動なのだが、しかし、放
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.3

 これは近年屈指の傑作ですね。もう、門脇麦が最初にフレームインするショットからして素晴らしい。タイトルが出る瞬間が素晴らしい。この冒頭たかだか十数分だけで、この映画が、きわめて丹精に作られていることが>>続きを読む

ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)

2.7

 「仲間集め」≒「玉のかけら集め」パートがすっごいスピーディ。テンポが良いとも言えるのだろうが、むしろ性急と言いたい。キャラが弱い。特にナマーリという主人公のライバルは、もっとちゃんと描いてほしいと思>>続きを読む

FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー(2019年製作の映画)

3.5

 事実としてすごすぎる。

 頓挫したフェスというのは珍しいが、とはいえ「Woodstock 50」なんてのもあったし……などと思いながら見始めたのだが、想像をはるかに超える、あまりにもすさまじい惨状
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サンティネル(2021年製作の映画)

2.4

 上映時間80分は偉いのうと思いながら見始めたが、あまり面白くない。まず、オルガ・キュリレンコが全く有能に(強そうに)見えない。じゃあ弱いなりの奮闘を描くかというと、そうでもない。何を描きたいのかが見>>続きを読む

イニシエーション・ラブ(2015年製作の映画)

2.3

このレビューはネタバレを含みます

 過剰な演技から視覚効果、フヌけた音楽の使い方まで、この監督らしい幼稚な演出が多くて嫌な感じだが、ミステリ的な興味からラストまで観賞。結末はたしかに予想外で驚かされたけれど、我孫子武丸『死に至る病』や>>続きを読む

ラブ・クリニック(2014年製作の映画)

3.0

 オ・ジホがカン・イェウォンのクリニックにウェブ経由で相談してた件とか、もうちょっと物語に有機的に組み込めそうなものだが、とはいえこの手のラブコメをしっかりと撮っているのは本当に偉い。ただしところどこ>>続きを読む

カンフー・モンスター(2018年製作の映画)

-

 冒頭からCGの程度がかなり低く、しかもそれをカメラ揺らして誤魔化しているフシがあり、たいへん不安になる。そして月が顔文字みたいに笑う謎演出……これもしや……ダメダメ映画では……。
 ストーリーテリン
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ブルータウン 青い街の狼(1962年製作の映画)

2.4

 お話がこみいりすぎてて全くついて行けないが、マフィアの怖い人たちがカメラを爆弾の起動装置にして、「機内から富士山が見えたら撮影しろ」と命じたのかと思うとなんとなく愉快である。芦川いづみ(吹き替えのよ>>続きを読む

力道山物語 怒涛の男(1955年製作の映画)

2.5

 力道山が本人を演じるという珍しい映画である。しかもラストで美空ひばりも本人役で登場。「リキ」「ひばりちゃん」と呼び合うのだが、マフィアの首領どうしの挨拶を見ているような気持ちになる。

 ご本人パー
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山家の娘(1913年製作の映画)

2.7

 ジョルジュ・サンド『愛の妖精』が原作の映画。わたくしこの原作が好きなんですが、意外に映画化されていないようである。IMDbで調べると、1912年に最初の映画が、その3年後にメアリー・ピックフォード主>>続きを読む

空母いぶき(2019年製作の映画)

1.4

 観念的・抽象的にも程があり、スリルがまったくない。なにしろ「敵」が描かれないのである。いや、意図やら何やらが描かれなくとも、圧倒的な脅威として演出されていればそれでいいと思うのだが。ついでに言うと「>>続きを読む

恋文(1953年製作の映画)

3.0

 宇野重吉が代筆屋を構える「すずらん横丁」の狭い通りへ、最初にカメラがわけいっていく長めのショットでちょっと身を乗り出す(もっとこのセットを活かしてほしかったな)。代筆屋の中はカーテンで仕切られていて>>続きを読む