Manabuさんの映画レビュー・感想・評価

Manabu

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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

4.5

いま、ここにある、行き先のない、出口のない、ことばたちが、浮遊している、スクリーンと、映画を見る私との間に、漂っている、光や土埃、俯向く表情のやるせなさに、思わず咳込んだ。

2017年、この映画に出
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東京日和(1997年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「追憶」

今はもう懐かしい記憶が、そよぐ風になびく旗のように遠くで揺れ、追えば追うほど掴もうとする掌からするりと落ちてしまう。掬い取ろうとうつむいた後、ふと見上げれば、眩い陽の光の中に白い影のよう
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精神(2008年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「カーテンの向こう側を見つめる」~想田和弘監督『精神』~

 季節の移り変わりを観察しているかの様に想田和弘監督はカメラを回す。きらきらと反射する水面にたゆたう船、快晴の空を舞う渡り鳥の群れ、路地裏か
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ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して(2013年製作の映画)

4.5

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原作は本作にてマチュー・アマルリックが演ずる文化人類学者”ジョルジュ・ドゥヴルーの著作による「夢の分析・或る平原インディアンの精神治療記録」を元にした実話である。

第二次世界大戦に於いて負傷し、退役
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野のなななのか(2014年製作の映画)

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生と死の絵画「シネマ・ゲルニカ」という映画作品___大林宣彦監督『野のなななのか』

本作は大林宣彦監督が「映画」という手法を用いて描いた「シネマ・ゲルニカ」という作品である。「ゲルニカ」とはスペ
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あの娘が海辺で踊ってる(2012年製作の映画)

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映画と出逢い、映画を巡る旅をする___山戸結希監督『あの娘が海辺で踊ってる』


運命の映画と出逢った。かも知れないと思った。感動したとか、涙したとか、面白いとか、名作と呼ばれる傑作とか、世の中、い
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そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)

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作家・左藤泰志という光と闇___呉美保監督『そこのみにて光輝く』

 光が輝く場所、そこには暗闇が必ず存在する。この映画が制作、公開された事によって、原作者の佐藤泰志が賞賛という光を受け、今まさに
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ライブテープ(2009年製作の映画)

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『フラッシュバック¨前野健太¨メモリーズ4D〜映画「ライブテープ」を再生する私の身体2014夏〜』


2009年元日、私は一度死んだ。

奇しくも同日同時刻、映画監督である松江哲明氏とシンガーソング
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眠り姫(2007年製作の映画)

4.0

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七里監督はこの映画を音(サウンドトラック)から制作している。二年かけて音作りをし、映像に二ヶ月費やした、という事だった。

率直な感想として、作られた音の物語に映像を当てはめる事で、音の物語が持ってい
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長江哀歌(ちょうこうエレジー)(2006年製作の映画)

4.5

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この映画は、中国、三峡地区に建設された、巨大なダムを舞台とした壮大な映画です。

原題は『三峡好人』“中国の南西部、長江中流域周辺、三峡地区に住む親切な人々“の意味がある。2006年にジャ・ジャンクー
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マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

4.5

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冒頭にマッチの製造工場が出てくる。
私は今回、この映画を観て始めてマッチがどうやって製造されるのかを知る事ができた。
ポコポコと次々に作られるマッチ箱達を見ていると、何故か気持ちが安らかに落ち着いてし
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青の稲妻(2002年製作の映画)

4.5

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この映画をはじめて観たのは、たしか僕がまだ19歳の時だった。と、書くと、いかにも原田宗典的な青臭さがあり気持ち悪い。

だが、この映画は青いのだ。

で、この映画を観ていた当時の自分こそ、なによりも青
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コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

何やらスモーキーで香ばしいブルースのセブンスコードから始まる映画のイントロダクション。いつものエイトビートやスィングするシャッフルブラシ、この映画の世界に似合いそうなクール・ジャズの雰囲気すら微塵もな>>続きを読む

闇の中の眠り姫(2007年製作の映画)

5.0

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この作品は果たして映画と言えるのだろうか?

それはともかくとしても、末恐ろしい体験でした。
この映画は『眠り姫』という映画から映像だけ取り払った作品です。原作は山本直樹の漫画作品。原典は芥川龍之介の
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かしこい狗は、吠えずに笑う(2013年製作の映画)

4.5



犬とせず狗としたところに、渡部亮平監督の、この作品と、主役の女子高生、清瀬イズミに対する思いが、全て込められていると思います。

『かしこい狗は、吠えずに笑う』

強くて硬い響きを、何か確信を持
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ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)

4.5

この映画で、1番好きな靴磨きのシーンは、劇中に一瞬だけ登場する通り掛かりの僧侶が、靴磨きを主人公のマルセルに頼む場面でした。

その方が履いている靴(2.5秒くらい映る)がとても素敵でした。その靴は「
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レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

4.5

とにかく最初のシーンから自分の笑いのツボに入ってしまいました!理屈抜きに楽しかった!!!でも、ただ楽しいだけじゃなくて、途中途中で印象に残るシーン満載でした!

この映画はレニングラード・カウボーイズ
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おばあちゃんが伝えたかったこと カンボジア・トゥノル・ロ村の物語(2011年製作の映画)

4.5

『おばあちゃんが伝えたかったこと』

この映画は地味ながら、物凄いドキュメンタリー映画です。

来週公開の『アクト・オブ・キリング』は確実に観客を大動員するでしょうが、この映画はその影に隠れてしまうで
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5つ数えれば君の夢(2014年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

『5つ数えれば君の夢』

この世には、自分にとって、決して、触れられず、手に入れられない、ある特定の「美」が確固として存在している。

それらは、手に入れられないからこそ、自分には常に美しく思われる。
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夢は牛のお医者さん(2014年製作の映画)

4.5

『夢は牛のお医者さん』

1987年―昭和62年、新潟県の山間にあった、小さな小学校が舞台となり、ある少女とその少女が通う小学校に”入学”する事になった「三頭の牛」を記録することから始まる、ドキュメン
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パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

4.5

『パラダイスの夕暮れ』

ゴミ収集員役のマッティ・ペロンパーとスーパーのレジ娘役のカティ・オウティネンが描く、哀愁に満ち溢れた、しかし、やさしく、くすぐったい笑いのある2人の恋を追った映画です。

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トータル・バラライカ・ショー(1994年製作の映画)

4.5

『トータル・バラライカ・ショー』

旧ソ連赤軍の退役軍人で結成された、「アレクサンドロ・レッド・アーミー・アンサンブル」という楽団と「レニングラード・カウボーイズ」(フィンランド出身の全員巨大リーゼン
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愛の渦(2013年製作の映画)

4.0

『愛の渦』

日本人は引きのノコギリ文化。
西洋人は突きの文化。

刀も、引いて斬ります。

門脇麦さんは、引きが非常に鋭く強い女優さんでした。

この映画を鑑賞中、なんとなく気まずかったのは、満員の
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アメリカン・ハッスル(2013年製作の映画)

4.0

『アメリカンハッスル』

「世界にひとつのプレイブック」が自分的にクリーンヒットした映画でしたので、この映画は続き、というか、デビットOラッセル劇団が演じる喜劇を、観てる感が非常に強くありました。
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隣る人(2011年製作の映画)

5.0

『隣る人』

血よりも家。

血族より、その子どもが育つための「家」が大事なのだということ。

そして人。

産みの親、育ての親。

食べる、寝る、抱きしめる。
家族ってなんだろうか?家ってなんだろう
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劇場版 テレクラキャノンボール2013(2014年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

『劇場版 テレクラキャノンボール2013』

ネタバレ絶対厳禁とのことでしたので、以下、非常に観念的な感想を記載します。ご容赦下さい。


自分は迷わず「食べる人生」を選びます。
食べることで、その「
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あの日、欲望の大地で(2008年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

『あの日、欲望の大地で』

物語の序盤で銃が登場する場合、その世界の中では八割の確率で誰かがその銃弾に倒れる。と、言ったのは確かチャンドラーだったはずだ。映画の序盤に悲痛な表情を魅せるシャーリーズ•セ
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最後のマイ・ウェイ(2012年製作の映画)

3.5

『最後のマイウェイ』

世界で最初の「マイウェイ」を歌ったクロード•フランソワという偉大な歌手の、実際にあった話を元に作られた、栄光の軌跡を描いた映画です。

〈2014.02.28.早稲田松竹〉37

かみさまとのやくそく~胎内記憶を語る子どもたち~(2013年製作の映画)

4.5

『かみさまとのやくそく』

この映画は、どこか、夢を見ているような、不可思議な映画でした。
しかし、鑑賞する人によっては、何かの大きなヒントになり得る、非常に貴重なドキュメンタリー映画であると思います
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ホームレス理事長 退学球児再生計画(2013年製作の映画)

4.0

『ホームレス理事長』

この映画は、毎日、数多く誕生している愛すべき映画達の中に、確実に埋もれるであろうドキュメンタリー映画の秀作であり、事実、メディアに拒否されTVで放映できなくなった貴重な映画です
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ハロルドとモード/少年は虹を渡る(1971年製作の映画)

4.5

ハロルドとモード

以前観た時に気になっていた、モードの腕の数字?の意味が、今回、なんでなのか分かったので、ハッとして少なからず衝撃が走りました。

この映画そのものが、そして、モードが、語っていた大
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ラッシュ/プライドと友情(2013年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ラッシュ

男根映画です。
顕示欲バリバリ。
体感速度ビリビリ。

ハイブリット&電気、電気、電気!な今日。「車を所有する」ことの意味が、技術の発展とエコロジカル思想への変換がますます進み、ギアのシフ
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ケンタとジュンとカヨちゃんの国(2009年製作の映画)

4.0

大森監督による、モーターサイクルダイアリーズです。松田翔太と高良君が盗んだバイクで走り出します。

救い様もなく、どうのしようもない残念なストーリーでしたが、それにもかかわらず、最近の邦画の中でも、自
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コーヒーをめぐる冒険(2012年製作の映画)

4.5

酒はどこまでも甘くまどろむ。

コーヒーは苦いほど頭が冴える。

〈2014.03.08.イメージフォーラム〉

世界にひとつのプレイブック(2012年製作の映画)

4.0

世界にひとつのプレイブック

あーこの映画みてよかったなあ!って素直に思いました。

自分では選ばなそうな映画でスルーしていましたが、自分がフォローしてる方のレビューをみて、楽しそうだったのでみてみま
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ベティ・ブルー/インテグラル 完全版(1992年製作の映画)

4.5

自分は依存心の非常に強い一人遊びをしている人間である、という事が、鑑賞後、よりはっきりとわかってしまったな。という感想の、映画ではありましたが、それはそれとして。この映画をみることができて、非常によか>>続きを読む

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