ニルソンさんの映画レビュー・感想・評価

ニルソン

ニルソン

映画(217)
ドラマ(0)
アニメ(0)

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.6

ノーランにしては正面から1人の物理学者を描いた直球映画。
しかしフォーカスはむしろ赤狩りへと。

軍とも原爆開発とも距離を置いた科学者と、そうでなかった科学者と。
科学者達の審判はされないまま。

>>続きを読む

暗殺の森(1970年製作の映画)

4.3

しびれる程にベルトリッチの美学!

アンナとジュリア
パリの室内 窓と陰影
暗殺シーンもセンセーショナル

気のふれた父と依存症の母 普通でないのに普通すぎる空虚さのマルチェッロ。
自分に責任さえ持て
>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

コペル君と真人のいる不穏な時代

明日誰かのエゴでインコの兵になり
ペリカンのように飢えて魂を食い漁るかもしれない。
そして誰かがそれによって富を築くのかもしれない。
私たちはどういきるのか。
ファン
>>続きを読む

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)

3.8

鳥の声、虫の音、水の音
日常に潜む輝きよ。

ベトナム版陰翳礼讃
 
素直な人々の美しさ

ナイルの娘(1987年製作の映画)

3.8

日本のどこかのような気さえする

室内と窓 夜とネオン 

“もっと切ないのは、絶えず前へ進むよう僕らを追い詰める現実だ”

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

4.1

欲望と生殖
罪と贖罪
豊穣と踊りのプリミティブな神
父のない子の懐妊の予感

アイスランドの突き放すような美しい景色と
羊たちの演技?が凄い

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.1

ケイオス!!
全宇宙!
狂気!

からの
普遍的テーマへの収束

ラクーン
ベーグル
ソーセージ指
just be kind

あの時別の選択をしていたら。
結果はたぶん同じなんだよ。

ウエストワールド(1973年製作の映画)

3.8

ユル・ブリンナー無しでは成立しないほどはまり役。

人間の欲望の深さよ。

PLAN 75(2022年製作の映画)

4.2

終わりを自分で選択できる自由とは異質な何か。
無関心と格差
福祉の行き詰まった社会
逃避も解決にはならない
老いも若きもズシリと重い未来を見せられる。

サンストローク ロマノフ王朝の滅亡/サンストローク 十月革命の記憶(2014年製作の映画)

4.0

ブルジョワが歴史から排除される時
ラストの集合写真が凍りつくほどに悲しい。

歴史のうねりの中で軽すぎる人間の存在と
人生の甘美な輝きの一瞬と
その落差がニキータ・ミハルコフ

ポチョムキンの乳母車
>>続きを読む

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.5

コロンビアが美しい
マルケス様の国

外部の音と内部の音
音はイメージ 音は記憶

「妄想の深淵」に降りていく
私の記憶と出逢う

私は誰なのか
病院で寝ているのは誰なのか

過去と未来、妄想と記憶が
>>続きを読む

不良少女モニカ(1952年製作の映画)

3.3

ボートで恋の逃避行
全てが眩しいばかりの最高の一瞬。
煌めきが強いほど、代償も大きいものなんだ。
モニカには理解できない。
ジリジリ人生に詰め寄られていく感覚。

みんなの中にも潜んでいそうな感情を鏡
>>続きを読む

ざくろの色(1971年製作の映画)

4.1

赤と黒
生贄としての生

タルコフスキー的なテーマと圧倒的な絵画
アルメニアの民族と文化への強い郷愁

詩人すごいな

存在のない子供たち(2018年製作の映画)

4.2

スラムに生まれたすべての子供たちを想う。
ゼイン少年役がすばらしい。

ギリギリで生きる中で、妹を、ヨナスを思いやる少年。
人間への希望を見いだすための映画。
社会への失望を実感するための映画。

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

4.4

1人の偏執狂の身勝手な思い込みで、簡単に起こるであろうハルマゲドン。
一度発動された悲劇を止めるのはほぼ不可能だ。ちょうど今目撃している戦争のように。

我々の存在はかくも軽い。
所詮政治はコメディだ
>>続きを読む

先に愛した人(2018年製作の映画)

3.8

ストーリーは思春期の成長物語にちょっとありそうなヒューマンドラマだけど
エモーショナルでサイケデリックで
台湾すげ〜
となったな。

バリ島行きたいよね、えんうん。
みんな頑張ってるんだよね、うんうん
>>続きを読む

暗くなるまでには/いつか暗くなるときに(2016年製作の映画)

4.1

血の水曜日事件の回想からはじまり、現代の都市、貧困層らしい女の子の毎日、俳優Peterの公私の生活、その時その場所が様々に交差し、混乱させ、もはやメッセージを伝えることを拒否している。
映画の既存形式
>>続きを読む

風の電話(2020年製作の映画)

4.0

もうずっと会えないという事の重さ。
光でも空気でもなくやっぱり風なんだその電話は。
痛みを分かち合える人とばかりの邂逅は現実的でないとしても、リアリティを感じさせるのは良いキャストのおかげ。
出来事た
>>続きを読む

Family Romance, LLC(英題)(2019年製作の映画)

4.2

fakeだけど本物
本物だけどfake

Tokyoの中の緑、ロボットの魚、恐山のイタコ、風の電話 
全てが空々しく、しかしそこでのみその瞬間でのみ真実

本物と偽物を行き来するうちにいつか地図を無く
>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

3.6

誰かと出会い何かを分かち合う

透明感のある画の向こうに、病んだ社会が霞んでいる。
「それでも世界は不思議で美しい。」

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

3.8

自分の気持ちに嘘のつけない不器用な主人公像は魅力的で。
個人的に女優のしっかりめアイラインが妙に気になってしまいそこについ目が行ってしまう羽目に。鏡の前で塗り込むであろう姿と主人公像が相いれず。たかが
>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.8

ミステリアスで評価の高い原作。
砂虫シャイーフルードを映像化した途端、陳腐なイモムシSFに転落する罠に落ちたリンチ版と違いCGが成功しているドゥニ・ビルヌーヴ版

砂漠ネズミと牛のイメージ
誘導ハンタ
>>続きを読む

ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.2

馬乗りだけが知っている
馬と一つになる完璧な瞬間
生きる喜び
荒々しい心の昂り
伝えてくるクロエジャオの手腕がすごい

リアルなキャストのそれぞれの人生が尊く眩しい
自然の中に馬が美しい
良い映画
>>続きを読む

マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

3.0

なんでだろう、タッチパネルのウィンドウからMsDOSに舞い戻っちゃった懐かしさ

難しい単語使いたがる思春期男子と話してへえ〜と相槌うってるあの感じ

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.3

伝わらない何かを伝えるという事について。
オーガズムから紡がれるおはなしについて。
チェーホフがかくも迫る台詞だったという事について。
世界がまがまがしく変貌する瞬間について。
繋がっているようで孤独
>>続きを読む

ばるぼら(2019年製作の映画)

3.9

ムネーモシュネーが螺髪頭のWillendorfのヴィーナス

クリストファードイルの切り取る空。
カットがいちいち素晴らしい
空気人形のような二階堂ふみの裸体は一見の価値あり。

芸術よ、その狂気よ、
>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.6

昔々には姥捨の習慣が日本各地にあったわけで。

自然融合や信仰の名の下に行われる残虐性は結局のところ、人間の悪質さ、エゴイズムにコミュニティが支配されて起こるんじゃないだろうか。

世界はいつかこの命
>>続きを読む

エレニの帰郷(2008年製作の映画)

4.2

Siberia,December ‘56 に響くパイプオルガン
雪の広場に集まる黒い人々の影
天使は叫ぶ「第三の翼」
雪のブランデンブルグ門

動乱の時代にそれぞれ愛を全うするということ。
ベルリン天
>>続きを読む

グッバイ、レーニン!(2003年製作の映画)

4.0

東と西と。政治に翻弄された国の人々。
優しさ
豊かさとは何だろう。

ロケット花火の散灰、理想的なのでは。

黒猫・白猫(1998年製作の映画)

4.0

ストレスいっぱいの悩める現代人に効きそうなシッチャカメッチャカ人生讃歌

メアリーポピンズ親爺がまさかのbody
切株から運命の人
ヒマワリ畑で捕まえて

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)

3.9

想像の斜め上をいく世界観

美しさと醜さ、人間と自然、善と悪
あらゆる常識を超えるよう試されているかのよう。

凄いキャスト見つけたもんだと感心していたら、特殊メイクだったと知って二度ビックリ。

>>続きを読む

ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

3.9

豪華キャストで王道的ドラン映画
キャストも音楽もカメラワークも文句なし

ドランに何を求めるか?で評価が分かれるところ。

とてもパーソナルで特別でヒリヒリするようなドラン映画の時は終わり次のステップ
>>続きを読む

象は静かに座っている(2018年製作の映画)

4.3

他者はアウトフォーカスされたカメラワークのように、誰もが癒えない傷を抱え自分の事だけで精一杯。
閉塞感で満ちた世界 
闇に伸びる道はどこに続くのだろう。
ラスト、象の鳴き声にはっとさせられる。

魂の
>>続きを読む

神々と男たち(2010年製作の映画)

4.1

そこに留まる理由がある。
不条理も御心のうちなんだろうか?

ごくたまに
遠い彼らの生き様が不意によぎったりするの不思議だな。

ベートーヴェン、交響曲第7番:第2楽章

ノマドランド(2020年製作の映画)

4.2

朝日と夕陽とこの瞬間があれば、
大切な人との思い出があれば、
それでいいのではないかと思えてくる。

GAFAのこの世はヘビーだけど、
自然は淡々と美しい。
エイナウディのピアノが美しい。

>|