サザンガクさんの映画レビュー・感想・評価

サザンガク

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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

5.0

記録の中に、本当の「対話」があった。

私は30代で、当然学生運動の機運は知らない。幼少期に何度か安田講堂事件や浅間山荘事件の映像を見たぐらいで、それも最近はとんと放送されていない。
父は1969年に
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ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「リーマン・トリロジー」(2019年製作の映画)

5.0

3000円で、英国劇場にトリップできる最高の体験。
演出は「1917」のサム・メンデス。

ガラス張りのオフィスを模したセットに、スーツの俳優3人だけ。
シンプルな構成なのに、バックスクリーンの映像と
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キャッツ(2019年製作の映画)

1.0

ミュージカルだけでなく演劇を映画にするに当たって、舞台の上の虚構をどう現実にするのかはとても重要だと思い知らされる。

本質的にキャッツは「役者の身体能力の高さ」と「歌唱の素晴らしさ」を楽しむミュージ
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

3.8

冒頭、キャラクター同士の関係性が少しわかりづらく感じたが、ケンとシェルがタッグを組んでマシンの改良を始める頃にはその展開と二人のやりとりに夢中になって気にならなくなった。

とにかく音響と映像がすごい
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ラストレター(2020年製作の映画)

3.5

雨の中に佇む、白いワンピースの少女二人。
岩井さんこの絵が撮りたかったんだろうなあと思わせられた。

正直想像以上のものはないけれど、安定して良い作品として見ることが出来る。
感情を追う人物をうまく途
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

かつて「プライベート・ライアン」は「彼の映画に足りないものは血と硝煙の香り」という評価を貰った。

高台で陽の当たる爽やかな豪邸と、日の当たらない半地下の空気が停滞したような家。
あきらかに半地下の家
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劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~(2019年製作の映画)

3.5

テレビシリーズ視聴者のための映画としては百満点!

ひとつの映画としては、ゲストキャラ(とくにジャスティス)がそんなに物語をかき回してくれなくて残念。
話もスタートとオチのところで春田の感情の変化みた
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さよならテレビ(2019年製作の映画)

4.0

これはドキュメンタリーなのか?ドキュメンタリーの真実とは何か?

テレビ放送で話題を呼んだ東海テレビが自社内にカメラを向けたドキュメンタリー。
テレビの内情を暴く!的な期待をしてみると、めちゃくちゃ手
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ルパン三世 THE FIRST(2019年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

みんなが見たいルパンがそこにあったのに、次元の顔がやたらオープンなのと、ルパンの体毛(脇毛)がツルツルだったことに一番ガッカリしました。
ルパンシリーズといえば男キャラどいつもこいつも原人タイプかっつ
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

3.8

もしもビートルズが世界から消えたら?
まるでラノベみたいな設定を、うまく料理していたように思うし、興味深かったのは無くなったものがビートルズだけでは無かったこと。
失くしてしまった芸術を再び光のもとへ
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ジョーカー(2019年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

【バットマン未見】
これは環境のせいで歪んだ人間の物語なんかでは無かった。

アーサーは、ずっと違和感を抱え続けて生きていた。
キッズに舐められ、同僚にも舐められ唯一優しくしてくれていたのは同じく差別
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アナと雪の女王2(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

アナは城で、私は自然の中で暮らそう。会いに行くよ、水の馬に乗って……


とまあ、まさにこんな感じの映画だった。
シリーズ二作目としては申し分なく、自分のルーツを探し、世界(アレンデール)の外へ目を向
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盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲~(2018年製作の映画)

3.5

人生は悲劇か!?喜劇か!?
サブタイトルの「狂想曲」にふさわしい、サスペンスドタバタ劇。
自分の命を守らねばという必死感と、そこから機転をきかせたり無理やり逃げようとする主人公や犯人たちの転げ落ち方が
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映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ(2019年製作の映画)

5.0

可愛らしいキャラクターの可愛い日常…と侮るなかれ。
7年間キャラクターとして愛されてきたすみっこたちのキャラを変に崩すことなくナレーションと書き文字で感情を見せていく様はお見事。
絵本に吸い込まれたす
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台風家族(2019年製作の映画)

3.0

MEGUMIさんの肢体がとにかく美しい。だらしない役似合うなあ!
揃いも揃ってクズばかりの家族の、クズな心意気を積み重ね積み重ね、そこに家族の真実が見えた時人間の本性はどうなるのか?
あのラストにあの
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エヴェレスト 神々の山嶺(2016年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

積み上げていったものを一瞬で笑いに変える氷漬けの阿部寛

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

5.0

2019年邦画暫定ナンバーワン。
「てんさい」とは、天からもたらされた「才能」なのか、はたまた天から落とされる「災厄」なのか。
しかしそれを観測するのはいつだって外側で、「天才」は自分で自分を観測でき
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108~海馬五郎の復讐と冒険~(2019年製作の映画)

3.5

脚本が読みたくなる、細かいセリフが松尾節全開!!
画面の中を所狭しと動き回る松尾ちゃんを笑いつつ、夫婦ってなんだ?と思わされる一作。
中山美穂さんの存在感と説得力が素晴らしいし、女優さんの体当たりっぷ
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永遠に僕のもの(2018年製作の映画)

3.5

実際の事件を元にした映画だけど、まさに事実は小説より奇なり。
美貌を持ち合わせた少年は、善悪の判断がつかないわけではなく、線引きができないのだろうと思わされた。
印象的だったのが、友人宅で彼の父親と会
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華氏 119(2018年製作の映画)

4.0

WOWOW放送視聴。

数年前のアメリカの話が、今の日本に重くのしかかる
数年後、日本でもせめて同内容のエンタメになることを祈る。
エンタメにすらならなかったら、それこそ文化が死ぬときだ

記憶にございません!(2019年製作の映画)

4.0

記憶をなくした総理大臣が政治改革!?
予告通りの三谷さんお見事というべき傑作コメディー。

ただ、官邸のシーンでゲラゲラ笑いながら、現実はこれよりもっと酷いんだろなあと思うと笑えなくなったり。
悲劇と
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.0

これは、ハリウッドが見たかった夢の物語。
誰もが明日にはスターになれて、しかしその栄光もいつかは途絶える場所。
タランティーノが幼い頃に通い憧れたハリウッドがこれでもかというくらいに盛り込まれていたの
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赤い雪 Red Snow(2019年製作の映画)

4.0

かつて弟が誘拐されて人生が変わった男。
かつて母が幼児誘拐の疑惑をかけられた人生が歪み続けている女。
それを追うルポライター。

三者の抱える心の澱が、関わり合うことで徐々に浮かび上がり混ざり合う様が
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リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

4.0

死者が特定の日付に帰ってくる(お盆)、という行事自体がキリスト教圏には馴染みが薄いのではないかというのと、当時から揺らいでいるメキシコとの危うい関係を思うと、異文化をわかりやすく美しく知ることが出来る>>続きを読む

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

4.0

牛丼を求めて牛丼屋に行ったら、予想を超える牛丼が思い描く味で提供された。そんな気分。
キャラクターの行動としては首を捻る部分や、復活したラドンの意義とは?みたいな誰もが疑問に思う部分はあるものの、昭和
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ザ・ファブル(2019年製作の映画)

3.8

アクションは現時点での日本最高峰れべる!
岡田准一の格闘マニアを越した本物の追求に脱帽。
さらに「ディストラクション・ベイビーズ」から続く柳楽優弥の暴力性の表現が素晴らしい。

シナリオは、原作を活か
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アラジン(2019年製作の映画)

5.0

アニメでお馴染みのナンバーがアニメのファンタジーに負けじと極彩色でやってくるのは流石!!
さらに、アニメーションには盛り込まれなかった現代にも通じる社会問題や時代の流れを盛り込んだのは、より人間を身近
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天気の子(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ゼロ年代にオタクカルチャー(サブカルチャー)で流行したいわゆる「セカイ系」ジュブナイル。
世界は滅ぶけどキミとボクは幸せ。
離島という「ド田舎」の閉塞感から逃げ出した少年と、社会の当たり前から逃げ出し
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モアナと伝説の海(2016年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

少女ジュブナイルとしても、バディアクションとしても魅力満載!!
紡がれる伝統とはなんのためにあるのか、先駆者を笑うことは誰にもできない。
村のみんなのために頑張りたい長としての責任と、しかしそれでも不
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新聞記者(2019年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

「この国の民主主義は形だけでいいんだよ」
「真実を決めるのは国民だ」

CM放送など妨害も多い中、この映画がヒットしてくれることは少なくとも日本人はまだ政治に無関心になり切っていないのだなと安心できる
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Diner ダイナー(2019年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

映像の派手さはさすが蜷川さん。
蜷川実花による、蜷川幸雄追悼映画だったな、という印象でもある。

キャラクターの濃さでいえばもうオタクの好きなそれ過ぎて、窪田正孝の寡黙な殺し屋や、殺し屋軍団宝塚とも言
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