masatさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

物語る私たち(2012年製作の映画)

2.8

さすが、今やトップクラスの監督。
私的な内容も、仕掛けを施す。夫が編集マンだけあって、構成も観客を意識し、練り上げられている。
過去の8mmフィルムのいくつかは、なんと「再現フィルム」だったと言うのが
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.0

今イケてる監督らしい。初めて拝見。

こういう映画を観てしまうと、日本映画が異常だ、という事が解る。何をやっているのだろうか・・・その異様さとも言える有り様を痛感する。島国の島国たる、鎖国状態のノン・
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みなに幸あれ(2023年製作の映画)

1.9

どうやら世界には、新しい“システム”が根ざしているらしい。
ある地域に限定した村ホラーではなかった。
黒人の肉体に憧れるスノッブたちのコミュニティなんていうチマチマした設定ではない。ホラーというよりは
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

2.0

死んだ男が還ってきた。
ある使命から逃げた男・・・そんな“負”から始まる、なかなかの出だしだった。
彼が帰り着いた国は、アメリカによって焼け野原と化し、「0」となった国。
そこに現れたのは、かつて“煉
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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

2.0

逃亡先で、いつもの引き出しのどれを今回は開けるのか?
今回は“8”段目の引き出しを開けたが、折り合い悪く“1/2”段上だった。

そんなネタ帳から始まった“星屑の思い出たち”の断片が、ダメ男の目線を通
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フリードキン・アンカット(2018年製作の映画)

3.1

キャスリーン・ビグローなんぞを褒め称えるとは思わなかった。その後に、「彼はハリウッドを背負って立つ」とデミアン・チャゼルを上げていた。まだ『ファーストマン』(18)はおろか、『バビロン』(21)を発表>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.5

デス・ウィッシュ・ウーマン、
かと思っていた。。。

映像がキラキラすればするほど、おばさん顔の鬱屈したドス黒さが湧き上がる。
現代的な異様さを、ピカピカに魅せる、アメリカ映画って羨ましいほどに憎らし
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鉄男 THE BULLET MAN(2009年製作の映画)

3.6

デジタル3D全盛期だった2009ー10年。“爆圧体感”という触れ込みで、自力(!)でアナログ最大の“没入感”を提供してくれた本作。
今回、【高精細・高解像】版と言う事で、久々に大スクリーンで観た。その
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火口のふたり(2019年製作の映画)

3.0

怠惰な顔の気怠い男、釣れない川で釣りをする。そこに昭和の香りがする歌謡曲がかかる・・・
ああ、何かが始まっているのか、ああ、映画が始まるんだなあ。
そんな感覚を強烈に思い出したトップシーン。

何でも
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#マンホール(2023年製作の映画)

1.2

思い切った役柄とクライマックス、とでも言われたいのだろうか?

この手は、日本では映像技術、センスの限界を感じる。なので、余程面白いストーリーがないと、作りものコント臭が酷く、全く引き込まれない。殺気
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.6

没入感満載!13周目に、登場人物と同化し、新館の階段を上がっていた。
音楽のさりげないバリエーションも素晴らしい。
時間が飛んでも、意識は動く、
発生源を探り、脱出の方法を探るスペクタクル。
時のルー
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大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)

1.0

聴きしに勝る、ダメさ、でした。
闇雲に創れば良いと言うものではない、そんな象徴。

コレだけ素晴らしいモティーフが有りながら、なんでこうも野暮ったくなってしまうのか? 
シン・ゴジラへの“小馬鹿”作戦
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今朝の秋(1987年製作の映画)

3.0

82年「終わりに見た街」と言うかなりの異色作で初接触し、衝撃を喰らい、翌年「ふぞろい」でまだ遠い(と感じていた)未来へ思いを馳せ、躍動した・・・あの中学生の頃。
その後、「日本の面影」(84)「輝きた
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ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.2

オッ!コレは巧く行ってる!

原田作品の切れ味と唯一無二の反邦画的才気、その興奮を、遡るは小学3年生の頃、川谷拓三と雨の中で唄った「渋谷・東急レックス」のスクリーンから、ずっと追っかけている。

それ
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ほかげ(2023年製作の映画)

3.0

悪夢の様な映画なのに、夢のような映画だった。
映像の決め込まれたカットと、臨場感を取り逃がさない様にするその瞬間だけの躍動が絡み合う。そこに石川忠の音楽が、極端に言うとファンタジックに魔法をかける。
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サンクスギビング(2023年製作の映画)

1.9

繊細さなんて流行らねぇぜ!
と殺人鬼は言い放つ。

これぞ監督の代弁、抜け抜けと炸裂。
黒人のコメディアンやSAW集団に24が、21世紀のギミックと恐怖への飽くなき探究を繰り広げている最中、イーライ・
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Polar Night(2023年製作の映画)

3.0

ラブストーリーを手際よくイキたいのか、
異様な“吸血地獄”を味合わせたい、のか?
なかなか悩むところだが、短中編の前2作におけるこの監督の強引で太々しいタッチは、あまり発揮されていない様だ。
初長編の
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

2.9

“死体と遊ぶな子供たち”ならぬ、
霊を弄ぶな子供たち。
死者の霊に悪戯してはならないという事を、絶望的なエンディングを持って、警告している様だ。
かつてホラーで散見した定番、ヒロインが身をもって人柱と
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108~海馬五郎の復讐と冒険~(2019年製作の映画)

2.6

煩悩の数は、イイねの数、
復讐に課した数、
その数に囚われた地獄めぐり、ラブ・アドベンチャー。
小粋にやりたいんだなあ・・・
なのに、臭いのキツいチーズみたいになってしまうのは、それこそ性、滲み出る作
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エクソシスト 信じる者(2023年製作の映画)

2.0

なかなかの工夫をしようとする脚本なのだが、粋を感じないんだよなあ。
それもこれも演出と画が、一昔前のフレーズだと“テレフューチャー”、終始テレビの特番ドラマって感じなのですわ。

このフリードキンが逝
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隣人X 疑惑の彼女(2023年製作の映画)

2.1

プロットは面白いのでしょうか。
冷戦期、アメリカで流行った“インベーション”モノ、と言えば“ボディスナッチ”だが、こちらはどちらかと言うと“ゼイ・リブ”と言ったところ。

知らない内に人類に入って来た
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(2023年製作の映画)

2.8

相変わらずさすが芸人!しつこい!そして“見世物”性、趣向を良く解っておられる。
しかし、
驚くべきバイタリティは満々だが、緩急がもう失われてしまっていた。
無理もないと思う。それでも楽しく振り回し、愉
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サスペリア・テルザ 最後の魔女(2007年製作の映画)

1.5

ダリア・ニコロディが観たら泣くぞ、
と思っていたら、霞の中から驚いた顔して登場した。

フェティシズムも美意識も枯れてしまった。娘まで担ぎ出したが、熱情すら取り戻せない始末。

浮きまくる殺戮カット、
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マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

2.9

戦中戦後の女の生き方モノ。その逞しさ、と言っては、ありがちに聞こえてしまうか。

結婚一日目から始まるが、
翌日から予期せず始まる“人生より長い”、“永遠より長い”「数年」を通過し、
結婚2日目を迎え
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

3.0

園子温が一番好きな監督、と豪語していたのを憶えている。
遅ればせながら、初めて観た。

やはり、映画は、そのキャラクターの皮を剥ぎ、剥き出しにする。そして、カメラは、その演じ手そのもの、その人をレント
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飢えたライオン(2017年製作の映画)

2.5

5年前の映画だが、つい5年くらい前まで、ついこの間まで、学校の有り様は、こんな感じだったのだろう。
フェイク動画にすぐ踊らされる餓鬼たち、それに対応できない大人たち、特に教師たち。映画、演出上の誇張は
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罪の声(2020年製作の映画)

2.0

1984の残骸、いや化石の話。
いや、60-70年代に無惨に砕け散った事の残穢、化石、呪い。
遠く昔の話、だろうか?いや、として忘れよう。

ほど良く、驚きがない映画で、残念ながら全てが出来過ぎでテレ
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伝染歌(2007年製作の映画)

2.7

”リング”が書かれて、映像化され、彼此10年が経つ頃、確かに“自殺”が社会問題化されていた頃だったと思うが、そんな空気を敏感に感じ取った秋元ヴィヴィット何某が、思い付いた企画。
ただ、3年前に先手が打
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SCOOP!(2016年製作の映画)

1.8

男女における情欲を超えるストイシズムを描けないのだろう、か?
日本映画における男女の有様の酷い例。

主人公の、狙いが解り過ぎて解らない演技を筆頭に、演出や画、共演者の調和含め、グルーヴ感がなく、ソリ
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

3.2

兎にも角にも、
かつてない映画、
それを産み出そうとするエネルギーと、
それへと向かう徹底した作家性に、
相変わらず圧倒される。
またしても、こんな映画観たことない、かつてなかった・・・ブレない、ブレ
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

2.9

たったワン・オフィスの壮大なSF。
小さいナリで巨大に見せる、愛すべき映画へのオマージュ。

ヒロインが逸脱し怯みコンフューズするポイントがチト弱いので、グググっと感情が持っていかれないが、
会社員、
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そばかす(2022年製作の映画)

3.2

すきー。
と幼稚な吐露で始めたくなる。

恋愛感情もなく、性欲も湧かない、そんなシンデレラなんて存在するのか?
21世紀には、存在した、のであった、目出度目出度。

身の回りにある、ささやかな驚きや幸
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