masatさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

3-4x10月(1990年製作の映画)

3.9

漲る自信が満ち溢れていた。
久々に観て、笑えるし、美しいし、やはり凄い。

柳ユーレイを中心に置き、その覇気のない主体性のない人間が、実は周りを引き込み、取り込み、決断に長けている人間だという事が解る
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

3.8

「映画はトップカット!」と、かつて、『忍ぶ川』(72)の名匠に、嫌と言う程聞かされた。

本作の、そして北野フィルム・スタートの栄えあるトップカットは、
これからお夜食を食おうとする路上生活者の笑顔。
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キャラクター(2021年製作の映画)

2.8

映画館を出た時、目の前に広がる街、世界を見て、あぁ平和で良かった、と思えるほどの“悪夢”を暗闇の中で観せて欲しかった・・・
何故に日本映画に恐怖は存在しないのか?
自国の映画で、本物の死ぬ様な体感度を
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レディ・バード(2017年製作の映画)

3.9

デビッド・ボウイのモダン・ラヴで踊っていた女の子が、これほどまでに才能がある!と誰が気付いたのだろうか!?
勿論、イケメン監督なのは、言わずもがなである。

サクラメントという地方都市の、まあ雑多な人
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

3.4

鬱屈したジェニファー・ジェーソン・リーからイケメン監督ノアを救出しただけのことはある!
この監督、グレタから溢れ出す、何という多幸感よ。
原作者オルコットの冒頭の言葉の引用通り、幸せになる、楽しい物語
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大きな春子ちゃん Am I too big?(2014年製作の映画)

2.0

たった4分なので、流れで見てしまった。
春子役の人はとてもソソる顔。
要所要所で外していないのが、好感。

天使の欲望(2013年製作の映画)

2.6

ギラつく柳英里紗、その迫力。多感な時に、発散出来ない自分を呪う、見事なキャラを確立していた。

片や、あの『さいなら、BAD SAMURAI』(16)の本間玲音の健康的な鬱屈性も出色。

70年代の東
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わたしの赤ちゃん(2010年製作の映画)

2.5

手際よく10分に纏め込んだ、
身も蓋も無い話。
歪で倒錯した愛情の塊。

スイート・マイホーム(2023年製作の映画)

1.4

齊藤工にしては珍しく、当たり前のストーリー、ストーリーテリングを、真面目に描いている。
そこに意外性は皆無で、誰しも期待する“予測不能”な展開は最後まで姿を現さなかった。
音楽に頼らない、メロディ皆無
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CUT(2011年製作の映画)

2.0

passion。熱情、そして受難。
身体を差し出しながら、何かに祈る。
映画の現状を憂い、未来を嘆き、この今の惨状を堰き止めるべく、身体で受け止め、ボロボロになり、それでも、信じた“映画”へと向かって
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THE DEPTHS(2010年製作の映画)

3.1

商業ベースに乗れることを実証した。こんな作品、堂々noirも撮ってたんだ。しかも、CJ製作の韓国映画とくる。

しかし、何も残らない、身も蓋も無い話、いや、始まりすら起こらなかった、何だったんだろうと
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ハッピーアワー(2015年製作の映画)

3.6

5時間もの果てに待っていたモノ、何というあっさりとした幕切れ。
いや、旅の途中の話だから、ちょっとした人生の断片に過ぎない。だから、何が始まろうとしているのか判らないオープニングから、このエンディング
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偶然と想像(2021年製作の映画)

3.9

恐ろしいほど、さびしい。
空間が寂しいし、そこに重なる音楽が寂しい。

古川琴音に向かう、突如のズームアップが、大人気ないというレベルのケレン味を超越し、凄い。

セフレのワキがイヤらしい。ノースリー
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スケアリーストーリーズ 怖い本(2019年製作の映画)

2.6

このレビューはネタバレを含みます

デル・トロ関連って、風格もドラマも(露悪的な)ビジュアルも、申し分ないのだが、記憶にへばりついて離れない衝撃が訪れないのは何故なんだろう?

本作も、モタモタするものの、ホラーへのオマージュをふんだん
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37セカンズ(2019年製作の映画)

3.5

監視しているかの様な高く聳えるビルが見下ろす。
都市東京が浮き上がり、湧き上がる。
都市が生きていると言う実感が味わえる。

稀代のバイプレーヤー、いや名優たちが素晴らしい。特に奥野瑛太、渋川晴彦、大
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野火(2014年製作の映画)

3.0

自力で戦場を創り、
自力で地獄を創造する。
それ以上でも、以下でもない。

相変わらず感情移入をさせず、傍観ながらも体感させる凄技が炸裂し、映画館でしか味わえない体験を強いられる。

ラストに登場した
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ハッピーエンド(2008年製作の映画)

2.4

何かが大きく間違っている、が、
愛情は感じるし、
この映画への愛情を持てました。

史上最高売り上げを誇る80年代のハリウッドが、その金と熱に浮かされた様にやたらめったら打ち出したラブ・コメの数々を大
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別れる決心(2022年製作の映画)

2.0

この監督らしく、どことなく回り諄い事を、端正な画と仰々しい雰囲気で押そうとするが、即ち、“basic instinct”ですかね。
もしくは“vertigo”。

なぜマーラーなのか?だったら、ラスト
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渇き(2009年製作の映画)

3.4

ははあ、何という吸血鬼の高揚感!やはり夜空にフワーッと舞い上がらないと。
しかも、奇怪な空気と共に、歓喜を表さないと。
そして、何という吸血鬼の憤り。
最期は、夜明けと共に夢幻の如く、木乃伊へ、アッシ
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ムーンライト(2016年製作の映画)

3.6

人間はどこに行こうとしているのだろうか、本当に。
と、思わせる瞬間、頭を過ぎる瞬間を観せるから、映画は凄い。

ポニーとクライドの惨殺名カップルに、肝心な檜舞台で賞を間違われると言う大ハプニングに見舞
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

2.5

うーん、期待し過ぎたせいか、
よく解らないなあ。

たった数日の最愛な父との、一瞬。
その中で薄らと現れる父のセクシャリティ・・・
永遠の別離の瞬間への秒読みは、
何とも切ないし、その瞬間を鮮やかに
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テイク・ディス・ワルツ(2011年製作の映画)

3.5

他愛無い話といえばそうだし、
どんな話と言われても、あまりにも普通で説明に困る。
ただ、何と言うか心が篭っている。その想いをこもって籠って、濃縮で固めた、そんな感じの塊がぶつかって来る!

腫れぼった
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アウェイ・フロム・ハー 君を想う(2006年製作の映画)

2.8

え、夫婦交換への道のり!?

結局は、彼女は、憶えていたのか?
そんな事はどうでもイイ、45年にも渡る伴侶なんだから、殆ど“永遠”に近い、と個人的には思っていたら、
その先に待っていたのは・・・
それ
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メランコリア(2011年製作の映画)

2.5

ディープ・アルマゲドン・インパクトby Denmark!

2003年以降のこのデンマーク人の作品は、悪く無いんだけど、かつての強烈なトラウマ、強烈な感動の塊となって、心を打ちのめしてくれない。

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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.5

警笛と啓蒙に満ち溢れた、何という豊潤な、素晴らしい映画だろう。
少年(及び少女)は、明日を司る“希望”であり、彼らには“喜び”と“悦び”を持って、明日を迎えて欲しい。
それを高らかに謳い、描くこの映画
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死霊館 悪魔のせいなら、無罪。(2021年製作の映画)

2.5

実に丁寧に運んで行きながら、突然、荒っぽくなったりと、今や失われつつあるホラー映画の良心(じっとりとした画の気迫とスペクタクル)を維持し続けるシリーズなのだが、なぜ強烈な印象を遺さないのだろうか?>>続きを読む

ヴィレッジ(2023年製作の映画)

1.7

別に飽き飽きする訳ではないんだよなあ、この監督。『ヤクザと家族』(21)も、『最後まで行く』(23)も。目の付け所もイイし、モチーフも良い、そこそこのシーンやショットも(カメラが良いので)有るにはある>>続きを読む

グロリア 永遠の青春(2018年製作の映画)

3.1

クライマックス、いやラストカットの長回しによるジュリアン・ムーアの“舞”を観よ。渾身の演技、主人公の50年に及ぶ人生を名曲“グロリア”に乗せて(まるでボレロだ!13分に満たない)たった2分で表現した。>>続きを読む

ドッグヴィル(2003年製作の映画)

2.0

え!?原始人?
“若きアメリカ”の人々、まだ原始に近い、開発途上に生きる人々、まだ未熟なアメリカの“端”を描くことによって、その大陸を、人間の原始な生理を炙り出そうとしていたのか?

しかも、デンマー
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フィアー・ストリート Part 1: 1994(2021年製作の映画)

1.8

流行りの“ストレンジャー・シングス”のホラー版を企んだのか?
“スクリーム”✖️“ブレア・ウィッチ”な、ティーン・スラッシャー・(少々)オカルト・ホラーを、サーガで描こうとする、それもネフリのレールに
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