mat9215さんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

mat9215

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目指せメタルロード(2022年製作の映画)

2.5

ハイスクールのバンドモノ。当然ながら、メインキャラクターたちはスクールカーストの下位っていうか、マイノリティ。そして、家庭問題や持病ゆえに性質がちょいといびつになっている。といっても、しでかすおイタは>>続きを読む

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

3.5

本当の母子を核とした疑似家族のメンバー全員が何か欠けていて、それゆえに深く関わっている。ドラマが進む中で欠けていたものをそれぞれが埋めていって、そして別々の人生を進んでいくという展開がうまい。主演の少>>続きを読む

ZAPPA(2020年製作の映画)

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2016年の『フランク・ザッパ/音楽に愛された男』(以下、『ザッパ』)と同様、本作(以下、『ZAPPA』)は採点しない。
https://filmarks.com/movies/44087

『ザッパ
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スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話(2019年製作の映画)

2.5

ウェルメイドの実話もの。自閉症児をケアする施設の運営者と、居場所のない若い奴らの就労を支援する活動家という絶妙のコンビ。それを爬虫類顔のヴァンサン・ランドンと、ウォーレン・オーツ顔のレダ・カテブが演じ>>続きを読む

月夜の傘(1955年製作の映画)

3.5

初めての久松静児。映画が娯楽の中心だった頃の監督は上手い。

空間配置が素晴らしい。起伏のある地域で隣家と十分に距離を置いて家屋が建てられている。これがオープンセットなのか、実際の住居なのかは分からな
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

3.5

日常生活の克明な描写に終始するDay1は記録映画的。夕食のとき「今日は(料理の)水を少なくしたの」と問いかけて応えない男は夫かと思ったらちょっと老け顔の十代の息子だった。単純なフェミ映画にしない工夫。>>続きを読む

団栗と椎の実(1941年製作の映画)

4.0

木登りは地上からの高さが半端ない。横長の画面で垂直方向の高さが見事に描かれている。川を渡る場面は『按摩と女』や『簪』にもあったね。

いのちの朝(1961年製作の映画)

2.5

善人ばかりが登場する物語が端正な演出で綴られる。冒頭で三井生命の外交員を始めたはずだけど、親父の絵のモデルになるために辞めたのか、なんてあたりの葛藤の描写がないのも清々しい。芦川いづみに見とれるばかり>>続きを読む

囚われの女(2000年製作の映画)

2.5

長回しショットやショットの連鎖のサスペンス、音声のみならずノイズに対する執拗な執着などなど映画への配慮が満ちあふれている。のだけど、どうにも没入できず。登場人物たちの内面がまったく読めない苛立ちが原因>>続きを読む

明日は日本晴れ(1948年製作の映画)

4.5

しみじみいい映画だった。題名の「明日」どころか、今日もピーカンの日本晴れでオールロケ。乗客が押して上げてきた故障バスは、崖っぷちのカーブに駐車する。この場所は眺めがいいだけでなく、眺められるにもよい。>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.5

叔父と甥というのは斜めの関係にあり、叔父は実の父親では言えないアドバイスを甥に伝えたりするものだ。ところが、本作では実の父親が壊れちゃっていて、また母親も父親にかかりっきりになっているので、叔父が両親>>続きを読む

魔の巣 Manos(1966年製作の映画)

2.0

編集が雑。これはショットのつながりが悪いとかタイミングが悪いとかいう高尚なお話ではなく、編集におけるフィルム接合(スプライス)が雑でつなぎが乱れるという基礎技術の問題。本作の成り立ちがアマチュア映画だ>>続きを読む

ヒッチャー(1986年製作の映画)

2.5

超人的な能力を発揮する悪霊が主人公に粘着するという趣向としては、やはり『激突』を思い出す。『激突』はあくまで大型車両が主役。運転手は腕を見せるだけで生身の人間を意識させることはない。それに対して本作は>>続きを読む

マザー/アンドロイド(2021年製作の映画)

1.5

クロエ・グレース・モレッツ主演といえば、先日観た『クラウド・イン・スカイ』は快作もとい怪作で見応えがあった。このところ忘却力が昂進して、一度観た映画を再見して最後まで気づかないことがある。そして観た後>>続きを読む

乳房よ永遠なれ(1955年製作の映画)

4.0

成瀬と小津の影響を抜けた田中絹代の映画。演出が冴える。たとえば奥行きの構図の的確さ。思いを寄せた男への思いをその妻に伝える場面では、画面奥の風呂の窓から手前の妻に語りかけ、苦しくなった妻が風呂の格子戸>>続きを読む

アトランティックス(2019年製作の映画)

3.5

労働争議から始まって幽霊たちが本懐を遂げるに至る。展開が読めない楽しさは『哭声(コクソン)』や『バクラウ』に通じる。様々な表情を見せる大西洋、雑然とした街、海辺のレストラン、ミラーボールのような明かり>>続きを読む

月は上りぬ(1955年製作の映画)

3.5

田中絹代監督作を初めて観た。いい物を観ました。移動ショットや繋ぎに気になるところもあるけど、総じて固定ショットが充実している。また、北原三枝が全身で見せるアクションが素晴らしい。猫みたい。後半の泣き顔>>続きを読む

ヘイター(2020年製作の映画)

3.5

田舎を舞台にした『聖なる犯罪者』の次作は、大都市と仮想空間を舞台にした犯罪劇。人の悪意をことらさにすくい上げる作風としては、ミヒャエル・ハネケやリューベン・オストルンドの系列かな。『聖なる犯罪者』は田>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

3.5

ショットの一つ一つが充実している。庶民の住まいで家族が食事をしているだけのショットも重い。父・母・兄・姉という家族から、友人・後輩・男友達、さらに漢文の先生まで、主人公との関係の機微を抑制して描く手さ>>続きを読む

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

3.5

予備知識ゼロで鑑賞。序盤でグロとゴアに走ると思いきや、笑いの方に振ってきた。モンスターの俊敏な動きや、モンスター登場の際の人間の関節可動域を越えたセットアップが楽しい。ただ、殺人現場を目撃している主人>>続きを読む

シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

4.0

B-17の機関銃座に閉じ込められたクロエ・グレース・モレッツに次々と襲いかかる危機。メラニー・ロランが冬眠ポッド内で熱演するNetflix作品の『オキシジェン』も同様の設定だった。しっかし、生真面目な>>続きを読む

ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.0

ジム・ジャームッシュではこれが一番好み。冴えていた。基本的にタクシー内の空間に終始しながら、視線が交わることのない会話が続く。それぞれの町の夜が印象的だ。フロントスクリーンを流れる街灯、リアウィンドウ>>続きを読む

私の中のもうひとりの私(1989年製作の映画)

3.5

本人が出演しないウディ・アレン作品は面白い。本作ではジーナ・ローランズが社会的成功者である哲学科の大学教授を演じ、夫、元夫、父、弟、十代の頃の同級生といった人たちとの軋轢に満ちた関わりを描く。また、子>>続きを読む

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.5

害のなさそうなおっさんがじつは有能な殺人破壊マシーンといえば『イコライザー』や『ジョン・ウィック』シリーズ。こうした諸作の中でも、この主人公はとりわけ冴えないファミリーマンとして登場する。殺人破壊マシ>>続きを読む

ヴァスト・オブ・ナイト(2019年製作の映画)

3.5

長回しが続くかと思うと、時折短いショットが連鎖する。観る者の意識を声に集中させる仕掛けとしての電話交換台(スイッチングボード)、ラジオ局の機材、あるいはオープンリールのテープレコーダー。女の子や老婆が>>続きを読む

夜は千の眼を持つ(1947年製作の映画)

3.5

『大時計』を観て名手と認識したジョン・ファロー。本作もなかなか見所がある。冒頭、夜の操車場はしばし台詞なしで引っ張ってツカミはばっちり。会話場面でも長いショットでカメラを粘っこく動かす。階段の登り下り>>続きを読む

英雄の証明(2021年製作の映画)

3.5

冒頭、主人公が遺跡の崖に組まれた足場の階段をワンショットでひたすら登る。また、主人公の婚約者はアパートの階段をジャンプカットで駆け下りる。階段にこだわるのかと思いきや、その後はとくになし。小さな善意の>>続きを読む

ハンナとその姉妹(1986年製作の映画)

3.5

『インテリア』と同じくウディ・アレンによる三姉妹もの。明らかにベルイマンの『叫びとささやき』と同じ設定。本作ではベルイマン作品常連のマックス・フォン・シドーが一人重たい役を演じているけど、『インテリア>>続きを読む

ウィークエンド・アウェイ(2022年製作の映画)

2.0

アドリア海に面したクロアチアのヴァカンス地の風景が見事。海外ロケした豪華な火サス。そういや火サスってどうなってんだろうと調べてみたら、2005年に終わっていたことを初めて知った。21世紀生まれの人には>>続きを読む

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

2.5

安心して見ていられるウェルメイドの仮想世界もの。ナーズ男女の恋愛成就にはちょいとほろり。

俺たちフィギュアスケーター(2007年製作の映画)

4.0

反目する二人がバディになるプロセスを描くよりテンポ優先ということで、お馬鹿ものコメディ映画としてはキレがあって好み。

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

2.5

暗い部屋で柄本佑が冷蔵庫を開けてモノを取り出して手前に来ると、冷蔵庫の扉が半開きで中の灯りが漏れている。それに気づいた柄本佑がドアを閉めに戻るまでがワンショット。こんなディテールが積み重ねられている。>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.0

不快だけど目が離せない。不快なエピソードの数々が端正な映像と緊張感のある演出で描かれていく。この作風は前作『RAW 少女のめざめ』より極まっている。乳首のピアスに絡まる毛髪、髪留めの串を頭部に突き刺さ>>続きを読む

アネット(2021年製作の映画)

3.5

口上の後、録音スタジオでカラックス本人がキューを出すとスパークスの演奏が始まり、歌いながら外に出て出演者やスタッフ一同が街を行進するというオープニングが胸熱。前作『ホーリーモーターズ』ではドニ・ラヴァ>>続きを読む

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

2.5

銃撃場面を描かない構成をはじめとして、全体に丁寧に誠実に作られていることは分かるけど、ちょっともにょる。『岬の兄弟』に近い違和感。同様の設定ではイ・チャンドン『オアシス』やファティ・アキン『屋根裏の殺>>続きを読む

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.5

『悪魔の往く町』をデル・トロが手がけると聞いて、前半のサーカスや後半の霊実体化をダークファンタジーとして描くと予想した。これはいい意味で裏切られた。ダークファンタジー風味は抑制され、地獄巡りの転落サス>>続きを読む