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「私が小説を書くのは、生きられない人生のかわり、許されない人生のかわり」
パトリシアハイスミスの言うように、文学は、現実世界のお薬のように機能することがあるような気がしている、小説を読んでいるときは>>続きを読む
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この物語は、南博の物語。「南さん」と「博」の2人が存在している。同一人物のような、そうではないような。
でも、「南さん」も「博」も、お互いを探しているようにも見える。自分が自分を追い求めている。つま>>続きを読む
物語の前半、眠ってしまって、あまりわからない。国境の栗の村で、生と死の境を、現実と夢の世界を、ゆらゆらする物語。
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ゴダールの映画、わたしは特に、アンナを映したものがすき。わたし(観客)が見たいアンナを、ゴダールは、的確に映し出してくれるから。
そうでないもののなかでは、カラビニエ、パッション、カルメンという名の女>>続きを読む
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タブロイド紙が映したドリアングレイ。そう聞けば、きっと誰もが、ドリアングレイについて事実を報じたもの、と受け取るだろう、
この物語で展開されるのは、事実を報じるはずの「新聞」という媒体が、ドリアング>>続きを読む
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今こそ時は満ちた。そう言って、ひとりの美しい女は、片道だけの飛行機のチケットを買い、ベルリンに、お酒を心ゆくまで愉しむだけの旅に出かける。
美しく着飾って、彼女は、ベルリン中のバーからバーへ飲み歩き>>続きを読む
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ウェスアンダーソンによって作られた、完璧な、キュートな世界。広大な砂漠の中にポツンと現れる、彼にとって、必要な要素だけが置かれたアステロイドシティ。
重層的な物語構造を整理すると、
①演劇
劇作家>>続きを読む
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荒野に現れる異形の女と簡易的なネオンの門。ここが境界になっていて、オルランドは、フリークシティの世界に導かれる。その名の通り変な街。現実と幻想(神話)が混じり合ったような異質な街。
フリークシティに>>続きを読む
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主人公は傍観者である。他人のキスシーンを目を逸らすことなくじっと見つめる。でも、友人や大人たちの真似をして、自らが当事者になってみても、なんだかとてもぎごちない。
そのうえ、目の前に女の子がいて触れ>>続きを読む
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ブラジル人ダンサーは、ユー島でのバカンスを終えて、第二のバカンスをはじめるかのように、飛行機で遠いアメリカの地に飛んでゆく。またバカンスへ行く道のりにシフトしていく。
反対に、検札長のバカンスは、突>>続きを読む
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「いわば、カメラは、ママを見るための口実だった」
ジェーンとシャルロット。母と娘であり、歌手と歌手であり、女優と女優。シャルロットがちいさいころから、ふたりの過ごしてきた距離感が独特の関係性を生んだ>>続きを読む
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11年ぶりの、2人の舞台。時々によって移り変わる権力者たちの前で、権力者たちのために舞ってきた2人が、誰に見せるわけでもなく、2人だけのために舞う。
蝶衣は、現実の生活も、舞台の延長線上のように暮ら>>続きを読む
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11年ぶりの、2人の舞台。時々によって移り変わる権力者たちの前で、権力者たちのために舞ってきた2人が、誰に見せるわけでもなく、2人だけのために舞う。
蝶衣は、現実の生活も、舞台の延長線上のように暮ら>>続きを読む
カジノまでの道のりは300km、
わたしとこの映画の距離感もまた300km、、
(ジャックロジエ、2作目。わたしには、あんまり、合わないのかもしれない。。)
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アルジェリア戦争への兵役と、その前のしばしのあいだのバカンス。
ながーーーい恋愛、恋愛!のバカンスが永遠に続くかと思われて、うとうと微睡んでいたら、急に招集が来て、そこからは、急に「色恋よりも大切な>>続きを読む
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「人の言葉は恐ろしい」そう書き残して、ひとりで、死んでしまった、無声映画時代の有名な女優ロアンリンユイの物語。
ロアンリンユイの半生を描いた映画なのだけれど、この映画を演じた俳優たちのインタビューが>>続きを読む
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冒頭の向日葵のシーン。
太陽のある方に花を向けるという性質を持つ向日葵だけれど、もし、太陽がふたつ、あったとしたら、そのとき、向日葵は、どの方向を向くのだろうか、ということが示される。
向日葵は男。>>続きを読む
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月曜日の夜ご飯のメニュー、月曜日に来る男。火曜日の夜ご飯のメニュー。火曜日に来る男。。。
彼女は、毎日毎日、決まった習慣を繰り返す日々を送っている。でも、ひとつのことがうまくいかなかっただけで、ちょ>>続きを読む
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・ドラマ版の前作「岸辺露伴は動かない」では、編集者の泉京香が問題を持ち込むことで、物語が動いたのだけれど、今作は露伴が能動的に動くことで物語も進んでいく。
・最も黒くて邪悪な絵をめぐる、ルーヴルへの>>続きを読む
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曖昧で実体のない煙草の煙はふたりの関係性みたいだ、ふわふわと形を為すことなく、ただその場所で浮遊しているだけ。お互いを愛してしまっているけれど、決して一線を越えることはしない。
お互いのパートナーの>>続きを読む
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曖昧で実体のない煙草の煙はふたりの関係性みたいだ、ふわふわと形を為すことなく、ただその場所で浮遊しているだけ。お互いを愛してしまっているけれど、決して一線を越えることはしない。
お互いのパートナーの>>続きを読む
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学歴や実力があるのに、相応の仕事が与えられず、相応の評価がされない。そのうえ、学歴や実力関係なく、ハラスメントを受け続ける女性(たち)の物語。
会議室の掃除をしていた主人公が部屋を出ようとしたときも>>続きを読む
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17歳の兄と7歳の弟が、父親のもとに会いに行く機関車の旅。無賃で乗せてくれた運転手がかなり自由でたのしい。自分の家で途中停車したり、機関車が壊れたといって、1時間女の人と過ごしたりする。
そんなほの>>続きを読む
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作者が、作品を作ることができないというその状況を、そのまま作品にしてしまう、という、系譜の作品。
ただ、その主人公が、作家や監督自身ではなく、主演女優のマギーチャンである、ということが、この作品の特>>続きを読む
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3人の少年のあこがれであり、夢の象徴である、GUCCIのスーツ。彼らは半ば強引にスーツを手に入れて、交代交代にそれを着ることで、それぞれの夢を叶えようとする。
だけど、3人の夢は叶うことはない。スー>>続きを読む
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内戦中の街。膠着した状況のなかで、ロープウェイも同じところをずっとぐるぐる、ぐるぐると移動し続ける。
この物語は、反復の物語。だけど、その反復から逃れようとする物語でもある。
博打をやめることがで>>続きを読む
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レイプされて妊娠してしまった女の子が、お腹の子の父親を探すおはなし。だけど、彼女は、自分の居場所を探すために彷徨しているようだった。
結論からいうと、このお腹の子の父親のせいで、登場人物の多くが不幸>>続きを読む
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個人を重んじる西洋人と、お国のために個人としての自我を捨てて、集団のなかで生きる日本人。最も顕著なのは、恥の捉え方のちがい。
戦争という極限状態のなかでの、どうしようもない文化の差、そこから生まれる対>>続きを読む
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個人を重んじる西洋人と、お国のために個人としての自我を捨てて、集団のなかで生きる日本人。最も顕著なのは、恥の捉え方のちがい。
戦争という極限状態のなかでの、どうしようもない文化の差、そこから生まれる対>>続きを読む
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ひとつの大きな国家が、滅びようと滅びまいと、そこにいる人たちの暮らしは続いていく、
人生は、進むこと、止まること、繰り返すことで成り立っている。この映画では、街の中にいる人たちを横移動で進みながら映>>続きを読む
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物語への没入を阻むように挿入される、海の映像と、四重奏の映像。
でも、見ているうちに、物語の状況描写や、人物の感情の起伏を表しているようにも感じられる。
カルメンは、映画を撮りたいから、ロケ地として>>続きを読む
映画の中で、ジャンコクトーの「美女と野獣」がホテルの部屋のテレビから流れていた、ベルが野獣に、父に会いたいから家に帰らせてほしいとお願いするシーン。わたしが、detective、したのはそれだけ、
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神ゼウスと人妻が浮気するという神話をゴダールが現代に置き換えた物語。
終盤、シモンの身体を借りたゼウスが、Simon Donnadieuと名前を書く箇所にサインする。これは、Si m'on donn>>続きを読む
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資本主義で明確になった階級。欲望を肥大させる上流階級の人々。性、ブランド志向、高級車。
資本主義の成れの果てには、いつも苛立っていて、虚栄心にあふれた人間の姿があった。自分勝手で、効率がよいことばか>>続きを読む
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花束を手で握りしめて階段を駆け上がり帰宅すると、粗雑な料理をしたり、水を撒き散らして掃除したり、物を散乱させたり、日常を狂気的にリフレインする。
ドアの隙間や窓の隙間をテープで密閉していき、自分だけ>>続きを読む
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遠く離れた故郷から、アケルマンのいるニューヨークへ、母からの手紙は届く。
アケルマンの声で読み上げられるのは、母から来た手紙だけ。彼女が住んでいるニューヨークの風景がずっと映し出される。彼女の生活が>>続きを読む