湖と森と空がひとつになった写真をみると涙がこぼれる。クジラの歌に魂がふるえる。そんなことを昔から知っていた気がするから。おなじくらいあなたに魅せられたのはきっと、いつかの記憶が導いたから。魂が 愛 を>>続きを読む
悲しみがもたらす怒りは、わたしを深く深く侵食してゆく。時の流れはあまりにもはやく、わたしだけがその奔流のまんなかで立ち尽くしているみたい。過去に対する奇妙な忠誠心がわたしに枷をかけるのに、天使が彼にキ>>続きを読む
春の偶然に導かれたひとびとが気まぐれに打ち解け、懐疑といざこざが咲き乱れる(可笑しい!)。ときに身勝手な優しさを押しつけ合いさぐり合い、言葉はいつだってうらはらだけれど、ソナタのフィナーレには親密さが>>続きを読む
すべての音を、魂すらもすいこんでゆくような深い雪。霞のむこうでは兵たちの影と銃声が谺する。
緊迫と静謐をどうじに湛え、月明かりに映える真っ白な雪ににんげんの美しさと醜さの光と影がちらちらとまたたく。兵>>続きを読む
不透明な時代をえがくやさしくもさびしい抒情的な筆の濃淡の語る追憶と悔恨と、静謐な叫び。 やわらかい湯気。カーテンから透ける窓枠。隔たれているこころとこころ。
「ねえ、教えて。何が昔と同じなの?」
ひん>>続きを読む
信仰。善悪。真偽。神。すべての概念が崩壊してゆく。涜聖のうえで、痛みを知っている彼の告解は迫真の助言と赦し。我流のミサは、教科書どおりでない彼のこころの叫び。ひとびとのこころを震わせる、福音。神聖さと>>続きを読む
彼にとって愛とは拳。体とカラダのぶつかり合い。けれど拳に傷がつくたびに、こころが傷ついていることにも気がつかない。抑圧された環境で育った2人は、心地よさも寂しさすらも、まだ知らない。ひとのたくさん集ま>>続きを読む
おしぼり屋。リサイクルショップ。ばらばらな家族。再生可能かつ持続可能な代物。壊れたぼくを、洗ったり磨いたり誰がなおしてくれる。?? ふわりふわりと透明な宇宙を浮遊する繊細で儚い海月(キミ)は毒を裡に宿>>続きを読む
ひととひととの距たり。世界のこちら側とあちら側の隔たり。さまざまなへだたりがとけあうときにおこる魔法と諍い。お互いの違いをみつけるのは簡単だけれど、それを受け容れるのはなかなかむずかしい。知らなかった>>続きを読む
真理のようなぷすっと刺さる言葉がおちてくる。ぼくたちはどうしてこんなに身勝手で不器用なんだろう。ヤクザもいろいろ大変ね。っなんてなるかー!!それでもひとを信じるという尊さが、彗星のごとく夜空に閃いた。>>続きを読む
空虚な愛じゃあ、あのからっぽの本棚はきっといつまでも埋まらない。夢みるのはお妃様の彫像のような奇跡。偉人たちの哲学なんて知ったこと。わたしはわたしの信条に従うだけ。
「わたしって、そんなイカれた女よ」>>続きを読む
楽しいバカンスのはずがとんだ大惨事に。ファルハディー監督の、だれも悪くない(同じくらいみんなの責任でもある)不条理な気持ちの悪さを描く秀逸さ。ひとの身勝手さが荒波のように打ち寄せ、責任転嫁の小競り合い>>続きを読む
少年の憎しみと悲しみのむかうさき。ひとのこころに安寧をあたえもしひとを支配し排斥し殺す理由にもできてしまう、弱ったこころに浸食する魔物に心酔する純真な子どもたち。
いちにんまえの男になれたきがした。?>>続きを読む
ひなたがとてもあたたかそうで、心地よい無秩序な彼の部屋に時間は停滞してなにかを囁き、それからゆっくりと流れはじめるようだった。
彼の写真に魅せられるのはなぜだろう。そこにはひとびとが足早に通りすぎてし>>続きを読む
夢は甘美でとても堅固。幼いころは目を瞑ればみえた天使たち。眠りにつけない霊たちがわたしに話しかけてくる。魂をゆさぶるもの。セックス。闘牛。美しい夜。流転してゆく万物。謳いたりないものたちはかれらの詩を>>続きを読む
遊んで暮らす町のボンクラたち。それぞれの気だるい夜をみて月は笑ってる。通りすぎるそれぞれの人生が未明の空の下で囁きあう。
ご機嫌に破茶滅茶なパーティーで朝まで踊り、醒めたあと訪れるのは調子はずれな寂寞>>続きを読む
いい匂いがした。ロバート・フランクはそれを「君の香水だね」といった。本を手にしたときにわたしも真っ先にすることだ。その本の纏った香りを、胸いっぱいに吸いこむ。そして紙の感触をたしかめ指をすべらせ、頁を>>続きを読む
ひとはひとのために在るべきであると、彼がていねいに集めたこの場所のひとたちの声を聴いておもう。金と権力にとりつかれてしまったこの世界において、じぶんたちのここちよい居場所を探しこころの豊かさだけは失く>>続きを読む
ひとびとの愛すべき身勝手はなにひとつ満たされることはなく、それぞれの吐息はとけあうことはない。此処の鍵をあけてもまたべつの檻に導かれるだけ。白藍の空と海はこんなにも境がなく美しいのに。ロザロザロザリ天>>続きを読む
カーテンをあけて、窓をひらいて、まずわたしとこの街との均衡を保つ。のこされたグリンピースに母性はくすぐられてしまうけれど(なによ!)。「女は結婚して子どもを産まなきゃだめ」そうゆう貴女も呪われたように>>続きを読む
おんなは女たちだけの詩をうたう。おとこは母なる夜空にmilky wayを描くことだけを夢みて、おんなはこころの真空に愛を浮かべる。貴方にはわたしが入ってゆけない世界をもっていてほしいの。ぼくはその逆だ>>続きを読む
愛してしまう自己否定の苛立ち。秘密と劣等感が愛を隠し殺してしまう。神聖であるべき想いまで、ぼくらは磔にしてしまっていいのだろうか。上書きするために犯す罪。男を愛してしまったこともひとを殺めたことも、も>>続きを読む
未来はこの街のコンクリートのように頑なで、言葉と思念は洪水のように氾濫する。不安は昼夜こころを蝕み、朝目覚めるたびになにかが欠けてゆく気がしている。鬱積が朝靄のように纏わりつくから、憂いの詩はホットコ>>続きを読む
こつこつと床を鳴らす桃色のミュール。手を洗う。お湯をわかす。ストーブをつける。革靴を磨く。淡々とこなすパンクチュアルな毎日のルーティン。おまじないのように。或いは完璧な鎧を纏うように。ときたまラジオに>>続きを読む
決まらない壁の色。おちつかないシングルのマットレス。陽が射さないかどっこに裸で眠る。宛先の書かれない丁寧にならべた手紙はできるだけくしゃくしゃになってくれたらいい。雪が降ってきてもあなたは手袋を届けて>>続きを読む
切り取られた美しき栄光の影。ほんとうは穏やかな煌めきなど一時もなかったかもしれない。けれどそれは、じぶんを騙すことになったとしても、世界の理不尽にもまれたとしても、目を閉じれば浮かぶやわらかい記憶であ>>続きを読む
大人も子どもも、わたしもあなたも、少しだけ交わり、けれどかんぺきに分かり合うことはない。未来のことでわかるのはちょっぴりの不安が追いかけてくるってこと。C'mon!や Blah blah blah で>>続きを読む
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美しい島。変わりゆくことを拒むようなこの場所は、まるでわたしみたい。そこに暮らすひとびとの複雑な想いと物語で紡ぐほんとうのわたし。 抱いていた幻想は言葉にして、誰も知らないしかるべき結末へと導いてゆく>>続きを読む
夜に飛び交うパソコン通信。25年前、夜の寂しさがまだ夢の切れ端だったころ。ぽっかりとあいた虚ろを、知らないだれかが満たしてくれていた、純粋な告白と慰安。
ガラス越しにみるように、わたしたちのあいだには>>続きを読む
密やかにみつめ、ずっと静かに寄り添ってくれていたひとがふいに抱きしめてくれたようなここち。涙ははらはらとながれる。あたたかい。忘れていた。
「ひとの心のなかはわからんのよ。だーれにもね。」
ひとはこん>>続きを読む
伝えられない伝わらない、いくつもの想いに羽がはえて、夜にぽっかりと浮かぶ灯りにあつまってゆくよう。ぶつかり合って弾けた光の欠片は過去も未来も包括して、曇りなきままわたしたちを通りすぎる。まるで湧き水の>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
棘棘しいさびしさ。痛々しい孤独。女を愛せない苛立ち。鎧のように纏うよごれとにおい。彼はバンジョーで感情を奏で、きみは緊張を、指で弾くコームで鳴らす。彼の漢らしさってやつがきみの冷酷さと共鳴(誤想)し、>>続きを読む
アダムマッケイの撮る妙なリアルさと細やかに散りばめられたシャレがやっぱりとてもすき(タイトルもね!)。きょうも愉快に笑っちゃった。
コメディと馬鹿みたいな現実、薄汚れた社会と繊細で美しい自然と生きもの>>続きを読む
"やわなヤツ"からいかにしてかれらが "Gentleman" になったのか。過去への贖罪やたくさんの風刺や反戦の願いをこめながら、後半のたたみかけるような手にあせ握って笑えるアクションに心躍る。
もう>>続きを読む
なにかを得ればなにかは失う。たらればの人生だけれど、ひとだけは殺めずに(できれば自分のことも)、生きてゆけたら。
そわそわと落ち着かなくゆれる視線が不安を煽る。描かれきれない、正義と哀しみがいじらし>>続きを読む
好きになると欲しくなる。そんなひとの本能ともいうべきどうしようもない哀愁を突きつけられた。男と女の絶望的なわかり合えなさに泣きそうになりながらも励まされちゃった。チェイシング"エイミー"。いつまでもど>>続きを読む