akubiさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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アウトサイダー(1981年製作の映画)

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目指している未来が違うのだからしようがない。この社会で生きぬくには結局、だれかや何かに服しなければならない。(音楽家だってね)男は笑いながら、夢を見がちだってのはもう本能なのかもしれないね。選んだわた>>続きを読む

心中天網島(1969年製作の映画)

4.0

人形浄瑠璃が幕を開ける。虚構と現実かとけあうような幻想、或いはわたしたちはとどのつまり、あやつり人形でしかないのだと、この残酷で儚い世界の。??
いまもまだ断ち切れることのない鎖につながれた女の深い憎
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噛む女(1988年製作の映画)

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倦怠な夜に漂うさぐり合い。愛のかわりに増えてゆくふわふわのぬいぐるみ。鳴りつづける電話と肉たたき。燃えすぎるライター。
不穏が不気味に心地よくてわらっちゃう。最初から最後まで幻想だったのかも。あなたも
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浮雲(1955年製作の映画)

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いじわるなひと。そんなふうにおもっていたのにずるい。どうしたって惹かれてしまった幼い恋心。男はいつだって夢をみる。女は諦念という安寧にやがておちついてゆく。どうしようのない運命のような哀しみ。
情熱を
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人魚伝説(1984年製作の映画)

4.0

慌ただしいセックス。迸しいがすぎる血飛沫。なんども起き上がる褌。綺麗な水死体。拵えた一本槍で、突いても斬ってもおわらない。笑っちゃう。暗喩のその奥を覗いて 憎しみ を浴びるから。
そうして戦士は海の森
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田園に死す(1974年製作の映画)

4.0

とうちゃんは思い出を刻んだぼんぼん時計のなか。赤い薔薇に導かれて 浜辺でさびしい霊が踊るのをみた。
過去のじぶんと対峙することは虚構であるから、現実(と思っている今)そのものだって虚構でありえると、そ
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肉弾(1968年製作の映画)

4.5

「牛から豚になり豚から人間にかえろうとおもったら一足飛びに神さまになっちまった。それだけのはなしだ。たいしたことはない。」たいしたことではない。それだけのはなしだ。これは呪いの言葉かまじないか。
ひと
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強く抱きしめて(2021年製作の映画)

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種をのこすことは本来、こんなにも宇宙的で破壊的なことなのかもしれない、なんておもった。だからわたしたちは、愛の儀式をおぼえたんだ。

各駅停車(1992年製作の映画)

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たとえば、小学生の道徳の時間とかでながしてほしい。8分間に凝縮された、社会と人間と人生のすべて。で、笑っちゃお?までが授業ってことでさ。

みにくいアヒルの子(2021年製作の映画)

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癒しの象徴としての蛇。だれも知らない美しい詩をかくした弟。あらゆる期待を背負っていた兄。それぞれの痛みに共鳴した朝帰り。もらい笑いのしあわせを見つけた窓辺。

強い男(2020年製作の映画)

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未明の空の下。それは不運な偶然か、否か。そんなのぞいているわたしたちにまで是非を問いかけてくるようなむずがゆさ。でもあの車のなかでそれぞれにうまれた寛容と慈悲は、きっとほんものだから。

デュスティン 夜の狂騒(2020年製作の映画)

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煩い音楽がわたしのからっぽを響かせる。はかりしれない彼らのこと。愛してる はたったひとつなはずなのにうまくつながらない。何年も解かれていない数式よりもむずかしい、奇跡。けれどそれぞれが心地のよい胸のな>>続きを読む

旅立ち前夜(2020年製作の映画)

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魂の叫び(リリック)のための序章。どこからともなく降ってきた卵みたいに、不穏なさびしさはまだぺっはたりとはりついているけれど。
友情にかんする独白と思い出のフィルムはジョナスメカスのような美しさ。美し
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オラシオ(2019年製作の映画)

3.5

救いようのなさと虚無感。あのベタベタみたいにずっと気持ちわるい。やわらかなアニメーションと淡々としたナレーション。彼 と わたし の輪郭がとけあってゆくような恐怖と快感。

誤植(2021年製作の映画)

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「Pourquoi?」はいったんおいといて。しーらんぺで受け流しちゃってもいいじゃない、人生なんて気まぐれじゃん?ってエンドロールまで愉快な短編。さ、深呼吸してあしたもがんばろ。

勇気を出せ!(2021年製作の映画)

4.5

モールまでの15分。バスに詰めこまれた混沌といくつもの恋心。滾る思春期のエネルギーに纏う嘆きのアイロニー。だれかにみせるための日常は、いったいだれのもの??
なんとも痛くて爽快なリアルタイムな青春の短
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愛の痛み(2020年製作の映画)

3.5

わたしのなかの狂気をあなたが目覚めさせた。
"痛々しい"青春は在るべきだとはおもうけれど、こんなにも途方もない痛みと向き合うなんてきみはとっても勇敢だ。苦しくて泣ける。けれど心は凪いでいる。あのときあ
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子ぐま(2021年製作の映画)

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何処かへ逃げてしまいたい衝動に、今世紀最大の不可思議が魔法をかけた。未知との遭遇。それは自分自身が知らなかった自分なのかも。なんて、宇宙服みたいな防寒着が可愛かったし、やんちゃながきんちょに立ち向かう>>続きを読む

アストラリウム(2020年製作の映画)

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すいこまれていくようなblue。ひとりだけの歓びが孤独の世界にとけてゆく。すべて浚われてしまっても、みつけた煌めきはあなたのもの。

ミドと森のミュージシャン(2020年製作の映画)

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ほらね、世界は素敵な音で溢れてる。だからあきらめないで。君にぴったりな物語は、どこかにかならずあるから。

サイレント・ランニング(1972年製作の映画)

4.0

食料が土の中や木から採れることをとうの昔にわすれてしまった人類。夢も希望も個性すらも損なわれた世界。だれもが幸せで満ち足りている。しあわせがなにかもわからないくらいに。にんげんの無関心が地球から森を奪>>続きを読む

(2020年製作の映画)

4.0

15分に詰められた、過去と憂いと解合と希望。月のように静かなあわい光を湛えた美しい短編。

悪なき殺人(2019年製作の映画)

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ぬくもりが欲しい孤独。物言わぬ愛が欲しい孤独。怒りをふくむほどの打ちよせる孤独。孤独を愛する孤独。必要とされたい孤独。純真さ(身勝手)が絡まりあった偶然の不仕合せ。可哀想なわたしたち。
「ないものを与
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ポルトガル、夏の終わり(2019年製作の映画)

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ことりたちの歌がこんなにも美しいのに、聴いている?? ひとは幻想ばかり夢みるのね。
さらさらと鳴っている水のように、彼らの(わたしたちの)思念もこの美しい街をぬって流れゆく。ひととひとがおちる恋なんて
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死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

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さすが元軍人。殺めた人数もたったひとりが増えるだけ。ちょっとやそっとじゃあ、うろたえない。そんな男が愛に狂ったんだ。けれど神は不貞も殺人もゆるさない。哀しいけれど、人生ってほんと喜劇。

夜の街で、失
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抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-(1956年製作の映画)

4.5

神よりも、一縷の希望を信じつづけた男。静かな諦念と緊迫した恐怖の漂うなかで、揺らぐ決意にのまれそうになりながら、「確かなことはなにもない」と呟いて、恐怖と焦燥が浸食する。 繊細で緻密で臆病な脱獄(抵抗>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

5.0

ウェスのフレンチフェスティバル。最高にたのしい博覧会だった~。とにかくずっとにやにやしちゃうのに、最後にちゃんとちょっと泣かせてくる(失礼、)、素敵な夜になった。散りばめられた星のようにきらきらしたた>>続きを読む

ファミリー・ネスト(1977年製作の映画)

3.8

知っているタルベーラとは正反対なくらいの、喋りすぎて動きすぎて、目にみえる憎しみと怒りに満ちていたから、わたしも乗り物に酔ったみたいに吐き気がした。けれどその奥に揺蕩う、ひとのどうしようのない愚かさや>>続きを読む

ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)

5.0

ひとびとの陰鬱のようなたちこめる霧。じっとりとぬかるんだ大地で、いまにも沈んでしまいそうな バー・タイタニックで、護るものを持ちあわせないわたしたち。いつまでも降りやまない 雨 をじっと待つ、或いは >>続きを読む

ボーイ(2010年製作の映画)

4.0

裏庭に増えてゆくあなぼこ。まるで心に空いてゆく虚無感みたいに。カッコイイってなんだろう。夢をみるって?? 「有望」の意味がわかるころにはきっと、君の"将軍"も君と同じくらい寂しい誰かの子どもなんだと、>>続きを読む

春原さんのうた(2021年製作の映画)

5.0

さっちゃんの食べる(生きる)姿を、みんなはそれがまるで信じられない奇跡みたいに記していた。世界のあちこちに哀しみは落ちているけれど、毎日の美しい夕焼けを見逃してしまうみたいに、わたしたちはそれらに気が>>続きを読む

イーグル vs シャーク(2007年製作の映画)

4.0

うまく社会に溶けこめない女の子とnerdな男の子の若くはない初々しくも不器用な恋、元い 生きる ものがたり。ぼろぼろの自尊心を抱えた生きづらいものたちの心に優しい風がふきぬける。ダサくて寂しくて可笑し>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

5.0

寂しくてあたたかくて可笑しくて、絶望のあとにはきっとどこかに救いと解放があるのだと、いつも抱きしめてもらったようなここちになる。彼の言葉にどうしてこんなにも涙が溢れてくるのだろう。彼の映画をたっぷり身>>続きを読む

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

5.0

この15世紀の彼方から、ひとは変わりようもなく、ひとを裁くための理由を探しているよう。なにかのせいにして誰かのせいにして。あの審問での男たちの嘲笑。彼女の大粒の涙。信じるものが変わっても、魂を殺して生>>続きを読む

オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

愛に飢えた甘ったれ小僧のずいぶんと手のこんだ復讐。というより金持ちのお遊び。
男は何も知らずに、未来に向かって泣いているようだった。秘密はもう、簡単には漏らされることはないけれど、その訳も深い雪に沈ん
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アルビノの木(2016年製作の映画)

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沈黙がそよぐ森のなかで、美しい田舎まちのありそうでなさそうなならわしの話を聴いていた。森の神殺し。雄大な景観と美味な料理と初めから終わりまで纏わりついていた違和感と。彼が唯一持ってかえれるものは、だれ>>続きを読む