Yuki10さんの映画レビュー・感想・評価

Yuki10

Yuki10

ビー・デビル(2010年製作の映画)

4.6

人として生きる尊厳を奪われ続けた女性が復讐鬼と化す話。
何気ない日常風景の中に異様な島の実態を違和感なく溶け込ませる演出が巧みでボクナムにとっては生き地獄。
島の存続に固執する住人と夫からの肉体的精神
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エクソシスト 信じる者(2023年製作の映画)

3.5

不穏な悪魔のサブリミナルを始め1作目へのリスペクトが多かったが、行方不明になった2人の捜索パートが冗長で全体的に物足りない。
キャラクターの個性を最大限に引き出しつつ怖さを描くのは難しい気がする。
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.8

『犬神家の一族』や『八つ墓村』を思わせる雰囲気に人間の醜悪さがふんだんに詰め込められていて素晴らしい。
期待以上の面白さでこれでもかと地獄を見せつけられた。
『ベルセルク』的な引きずる重さが良い。
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オペラ座 血の喝采(1988年製作の映画)

4.5

不幸を招くオペラ「マクベス」の主役に抜擢された新人女優の周囲で起こる謎の殺人事件を描いた作品。
アルジェントの歪んだサディズム全開で最高だった。
犯人や犯行動機より奇抜な殺害描写に重きが置かれ、主人公
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マイマザーズアイズ(2023年製作の映画)

4.5

交通事故で視力を失った母と半身不随の娘の愛憎劇として面白い。
『世にも奇妙な物語』的な不気味さをチェロの音色が引き立て、絶望的な状況を乗り越えようと縋った先で親娘の溝が深まる展開も良い。
冒頭から事故
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震える家族(2022年製作の映画)

3.7

不慮の事故で息子を亡くし養子を迎え入れた家族が怪異に見舞われる話。
次第に明かされる真相が恐ろしく歪んだ家族関係と夫婦喧嘩の厭さが良い。
敬虔な牧師の夫が神の力で解決しようとしても事態は悪くなり、後味
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スキンフォード:処刑宣告(2022年製作の映画)

3.8

不死身の女性が人身売買組織に復讐する凌辱監禁系の話と思いきや斜め上を行く展開や様々な要素が多く楽しめた。
物悲しげな歌と共に人体が爆発するシーンが美しい。
過去を交えて殺されるはずだった男に話がフォー
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ミニオンズ(2015年製作の映画)

3.5

家族向けな心温まる内容で楽しめた。
最も強い存在に仕える設定やミニオンのボスが手を焼く様子も良い。
丁度いい満足感は得られるがミニオンのキャラにはあまりハマれず。
自分には人が死ぬどす黒い作品の方が性
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理想郷(2022年製作の映画)

4.8

理想のスローライフを夢見てスペインの田舎へ移住したフランス人夫婦に訪れる地獄。
憧れの田舎暮らしへの夢を完膚なきまでに打ち砕き重過ぎる余韻が残る。
胸糞悪さでも群を抜いていて心に纏わりついて離れない。
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トンソン荘事件の記録(2020年製作の映画)

3.5

トンソン荘の殺人事件に隠された真相を追うフェイク・ドキュメンタリー。
取材班が事件を紐解く内に巻き込まれる業の深さや幽霊の禍々しさは良かったが、トンソン荘より廃屋が主軸で過去の出来事との絡ませ方が微妙
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悪い子バビー/アブノーマル(1994年製作の映画)

4.7

35年間監禁されて育ったバビーが初めて外の世界に触れ成長する様子が素晴らしい。
『カスパー・ハウザーの謎』に似たような境遇でも誰も面倒を見ない状況から傷つき身をもって社会経験する点が異なり、人間の露悪
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フレッシュ(2022年製作の映画)

3.5

生々しい食人描写はないが、テンポ良くスタイリッシュで面白い。
恋人に恵まれず家族と疎遠とはいえ全く知らない男性に気を許すのは危険。
独特な映像の切り替えやタイトルの入れ方が癖になる。
従順な自分を演じ
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キャビン・フィーバー ペイシェント・ゼロ(2013年製作の映画)

3.8

『キャビン・フィーバー』の前日譚。
1作目と直接的な繋がりは無く感染源の謎は残るが、皮膚が剥がれ血みどろになるグロさやゲロを強調した不快な汚さがあって最高。
特に感染者の爛れた背中は中々の気持ち悪さで
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ゼダー/死霊の復活祭(1982年製作の映画)

4.5

中古タイプライターのインクリボンに残された文字の謎を追う怪異譚。
『ペット・セメタリー』的な死者の蘇る土地を題材に終始禍々しい雰囲気と不条理さが素晴らしい。
死んだ人間が復活する際に情緒的な演出はなく
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シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

4.0

承認欲求の拗らせ方が常軌を逸し取り返しのつかない状況へ陥るまで妄想と狂気を含んだ映像表現が最高だったが、ボディホラー的演出の生理的嫌悪感が物足りなかった。
自分より仕事優先な彼氏から承認されたい気持ち
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ツールボックス・マーダー(2003年製作の映画)

3.8

格安アパートに引っ越した夫婦が謎の殺人鬼に襲われる話。
ありきたりなスプラッターではなく、アパートに纏わる謎解きやオカルト要素を含んだ新鮮さが良かった。
ハリウッドに夢を見る人へのメッセージも印象的。
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スペースインベーダー(1986年製作の映画)

4.5

突如として現れた火星人から地球を守ろうとする少年を描いた作品。
いつの間にか火星人に乗っ取られて身近な人が別人になる様子は『ボディスナッチャー』的不気味さがあり、娯楽性の高い見せ場が多く楽しめた。
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カスパー・ハウザーの謎(1974年製作の映画)

4.3

19世紀ドイツに実在した未だに謎多きカスパー・ハウザーを描いた作品。
長く地下牢に幽閉され世間と断絶した環境で育ったカスパーが言語や社会性を身に付ける過程が面白い。
純粋無垢な彼が人間の虚栄心を浮き彫
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アギーレ/神の怒り(1972年製作の映画)

4.8

アマゾンの奥地にある黄金郷を目指す探検隊が地獄に突き進んでいく傑作。
文明人が非文明圏を征服し、どれだけ発達していようと未開の地では無力で破滅するしかない皮肉の効いた展開が素晴らしい。
美しいはずの自
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オクス駅お化け(2022年製作の映画)

3.3

オクス駅で起こった奇妙な人身事故の真相を追う新人記者の恐怖を描いた作品。
手堅い展開や怪異に纏わる陰惨な事件の厭さは良かったが、ジャンプスケア頼りの演出が目立ち怖さに欠ける。
肝心な幽霊より他人の不幸
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.8

フランスの英雄ジャンヌ・ダルクが火刑に処されるまでを描いたサイレント映画。
ジャンヌを悪魔の手先だと決めつける異端審問官の表情から悪さが滲み出ており、最後まで神を信じるジャンヌの信仰心に圧倒される。
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PIGGY ピギー(2022年製作の映画)

3.3

自分を虐める同級生達の拉致を目撃したサラの話。
あまり期待していなかった分そこそこ楽しめたが、全体的に物足りない。
不器用で間違った行動を取る事に自覚のあるサラが時折り可愛いかった。
弟にポルノの履歴
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ショック・トリートメント(1981年製作の映画)

3.8

『ロッキー・ホラー・ショー』の続編。
続編でも話に繋がりはなく雰囲気が全然違うが、派手で意味不明な世界観は踏襲されていて楽しめた。
ミュージカルとストーリー展開のバランスが良く、テレビにコントロールさ
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ロッキー・ホラー・ショー(1975年製作の映画)

4.6

ミュージカル映画に触れた事が殆どなく若干苦手意識があったが、踊りと音楽の心地良さに魅了されて最高だった。
『SF怪奇映画二本立て』を歌う冒頭から古典作品に対する愛があり、オマージュを多分に含んだパフォ
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ドラキュラ/デメテル号最期の航海(2023年製作の映画)

4.2

ブラム・ストーカー原作小説「吸血鬼ドラキュラ」のエピソードを映画化した作品。
ゴシックホラー的イメージのドラキュラ像とは異なり、人間とかけ離れたモンスターとして描かれていて新鮮だった。
『吸血鬼ノスフ
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チャイルド・ゾンビ(1980年製作の映画)

4.1

原発事故により放射能を浴びた子供たちがゾンビ化し街を襲う話。
見た目はほぼ変わらず触れただけで焼き殺せる設定や撃たれても死なない特徴が斬新で不穏な雰囲気が超良い。
子供が脅威になるホラーは大人側の子供
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無邪気な悪魔におもちゃが8つ(1974年製作の映画)

3.7

少年院から護送中に逃げ出した5人の子供たちによる虐殺を描いた作品。
偶然幼い子供たちを助けただけで殺される不条理さが群を抜いていて面白い。
雪山のロッジという閉鎖的な環境で1人ずつ殺される見せ場の多さ
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ヘルナイト(1981年製作の映画)

3.5

一家心中のあった屋敷で一晩過ごす学生の恒例行事中に殺人鬼に襲われるスラッシャー作品。
王道的なホラー映画に忠実で学園系やゴシック要素を含んだ雰囲気が良い。
前半の説明がミスリードになり後半に効くとは思
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ハウス・オブ・インフェルノ(2018年製作の映画)

3.3

ドイツ旅行中のカップルがナチスの亡霊に襲われるループ系の話。
ドラマ性は皆無でひたすら殺され続ける事に徹した潔さが良い。
ジャンプスケアの連続と内容の薄さが目立つが、妙に気合の入ったグロ描写が印象的で
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ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)

4.2

幼い2人の関係性に吸血鬼要素を盛り込み洗練された残酷青春ドラマとして最高だった。
血を飲む事でしか生きられない特殊な体質を距離感が近づくにつれて徐々に開示する見せ方が良い。
主人公に対するタチの悪い虐
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地獄の逃避行(1973年製作の映画)

4.1

殺人を繰り返しては逃亡する男女の逃避行を実話に基づいて描いたロードムービー。
惚れた少女の父親を殺してから明らかに殺人に対するハードルが低くなって取り返しのつかない状況へと向かう破天荒さが最高。
平凡
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悪魔の凶暴パニック(1976年製作の映画)

4.2

幻の麻薬ブルー・サンシャインで凶暴化した人の恐怖を描いた作品。
髪が抜け落ち発狂してから殺人鬼に豹変する様子が不気味で地味ながら面白い。
ゾンビのように増えずにこぢんまりとした規模感が良く、耳に残る不
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パラサイト・バイティング 食人草(2008年製作の映画)

3.8

メキシコでバカンスを楽しむ2人組のカップルが古代マヤ神殿の遺跡でツタに襲われるパニック作品。
誰しもが陥りそうな状況下で精神的に疲弊し悲劇に向かうドラマ性が最高。
親友同士でどれだけ仲が良くても追い詰
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殺人遊園地(2006年製作の映画)

3.5

遊園地のホラーアトラクションに遊び半分で来た大学生が殺人鬼に襲われる話。
劣化版『マーダー・ライド・ショー』的なお化け屋敷のチープさが案外良く、王道スラッシャー映画を軸に見せ場の多いグロさが多くて楽し
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ヒンターラント(2021年製作の映画)

4.3

第一次世界大戦後、ロシアでの捕虜生活を終え帰還した元刑事が戦友達を標的にした連続殺人事件に直面する話。
戦争の悲惨さに追い討ちを掛ける様に仲間が殺害され、引き離された家族にも裏切られる救いの無さが残酷
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Dominion: Prequel to the Exorcist(原題)(2005年製作の映画)

3.7

お蔵入りになったもう一つの『エクソシスト』の前日譚。
『エクソシスト ビギニング』より地味で娯楽要素は薄いが、手堅い人間ドラマとして楽しめた。
先進国イギリスの傲慢さに嫌気が差し信仰に悩む描写や宗教の
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