Yuki10さんの映画レビュー・感想・評価

Yuki10

Yuki10

Chime(2024年製作の映画)

4.8

料理教室で講師を務める男がチャイムの音をきっかけに狂い出す傑作。
終始無機質で不気味な雰囲気の中理解できない事象に対する根源的な恐怖感に心を揺さぶられて最高だった。
コミュニケーションの絶妙な不一致や
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コンセント/同意(2023年製作の映画)

4.8

フランスの小説家ガブリエルと14歳で性的関係を持っていた女性バネッサの告発を実話を基に描いた作品。
純粋無垢な少女が中年男性に身体を汚されて取り返しのつかなくなる様子が異様で生々しく衝撃的だった。
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ナイトサイレン/呪縛(2022年製作の映画)

3.6

母親からの虐待を逃れ遺産相続の為に20年ぶりに帰省した女性を軸に現代の魔女狩りを描いたフォークホラー。
ヨーロッパの霧深い森林の薄気味悪さやどれだけ時代が経っても昔の価値観のまま変わっていない村の閉塞
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屋敷女 ノーカット 完全版(2007年製作の映画)

4.8

出産を控えた妊婦が謎の女性に襲われるフレンチホラーの傑作。
何度観ても容赦無いゴア描写が素晴らしかった。
単に逃げるだけでなく身籠った子供を守ろうとする主人公の主体性がおもしろさに拍車をかけ、娯楽性を
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ムカデ人間(2009年製作の映画)

4.2

8年前に友人宅で3部作を夜な夜な観た思い入れのある作品。
『ムカデ人間2』のカラー版に続いて本作を劇場で観れて最高だった。
ハイター博士の狂人である一方でどじを踏む間抜け感は憎めない。
警察官に疑われ
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怨泊 ONPAKU(2023年製作の映画)

3.5

香港から東京に不動産開発用の土地を購入する為に来た女性が民泊で体験する恐怖を描いた話。
従来のJホラー的な雰囲気より海外から見た日本の違和感を強調した作りが斬新で多様な要素を取り入れた演出も良かったが
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怪談晩餐(2023年製作の映画)

3.6

ホラー漫画を原作に6つの恐怖を描いたオムニバス作品。
アイドルを目指す学生や大食いYouTuberのライブ配信、破ってはいけないルールが存在するジム等どの作品も題材が日常的で短時間に見応えのある怖さが
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呪葬(2022年製作の映画)

3.7

祖父の葬儀の為に疎遠だった実家へ帰った親娘が怪異に襲われる話。
誰かに見られてるような上からの視線や暗闇に対する本能的な恐怖心を揺さぶる演出が良く、綺麗な伏線回収も見応えがあって楽しめた。
シングルマ
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When Evil Lurks(英題)(2023年製作の映画)

4.8

2人の兄弟が悪魔に取り憑かれた男を村から追い出した事で悲劇が連鎖する様子を描いた話。
去年話題になり以前から気になっていたので期待を高めて鑑賞したが、予想を超える面白さと恐怖に大満足。
住宅街限定の怪
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テリファイド(2017年製作の映画)

4.3

理由もなく殺傷力の高い怪奇現象に蹂躙され続ける人間の無力感や理不尽さがずば抜けていて最高。
パラノーマル現象の専門家が頼もしそうに登場するものの為す術なく死んでいく様子も絶望感が高まって良い。
角度に
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フンパヨン 呪物に隠れた闇(2023年製作の映画)

3.4

古くからタイに伝わる呪物「フンパヨン」をモチーフに出家した兄の行方を追う話。
私服を肥やした僧の醜悪さや土着信仰の禍々しい雰囲気は良かったが、怖さに欠けて全体的にパッとしない印象。
『女神の継承』や『
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ポゼスト/狂血(1999年製作の映画)

4.1

エボラ出血熱に似た症状で急死した男の感染源を追うサスペンスを主軸にオカルト要素が次第に濃くなる展開で楽しめた。
出世の為に恋人の忠告を無視してウイルスで亡くなった子供の骨髄サンプルを採取する主人公が狂
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ソイレント・グリーン デジタル・リマスター版(1973年製作の映画)

4.7

爆発的な人口増加で人間は居住地を制限され、食糧難の進む中開発された完全栄養食「ソイレント・グリーン」に纏わる話。
1970年代に2022年を描いたディストピア作品であるが、提示される陰鬱な未来像が恐ろ
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死と処女(おとめ)(1995年製作の映画)

4.1

過去に自分を凌辱した男が偶然パンクした夫を助けた事で始まる妻の復讐劇。
登場人物が3人と少ない中微細な心理描写や密室を活かした読み合いが面白い。
夫婦間の何とも言えないギスギスした空気感も絶妙で緊張感
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フリーズ・フレーム(2004年製作の映画)

3.7

一家惨殺事件の犯人に仕立て上げられた男が再び容疑をかけられ身の潔白を証明しようと奔走する話。
パラノイアに陥った主人公の病的な様子や無機質な雰囲気が良い。
常に自分の生活を撮影し続け記録に残すのは狂気
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他人の顔(1966年製作の映画)

4.8

事故で顔に重傷を負った男が他人の顔をつけて全くの別人になる様子を描いた作品。
年齢や性別といった個人を構成する属性の中でも顔の重要性は大きく、失う事の孤独感や疎外感は計り知れない。
アイデンティティの
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ゴア・ゴア・ガールズ(1971年製作の映画)

3.8

ストリッパーばかりを狙った連続殺人事件を描いた話。
動機や犯人探しは二の次で悪趣味な殺害描写に重きを置いた作りが良い。
血の量は少ない分原型を留めない顔面破壊や生々しいグロさが見応えがあり楽しめた。
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スパニッシュ・ホラー・プロジェクト 悪魔の管理人(2006年製作の映画)

3.7

新居を探す夫婦が物件の下見中に襲われる話。
見るからに曰く付きなアパートを舞台に過去の事件と絡めた怪奇系で展開すると思いきや、猟奇的な管理人による恐怖に徹していて意表を突かれた。
自己満足の為に用意周
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またヴィンセントは襲われる(2023年製作の映画)

4.3

目が合っただけで突然周囲の人々に襲われる男を描いた作品。
不条理な設定だけで引っ張らずに協力者や同じ状況の存在を入れる事でストーリーに広がりを感じて面白い。
男の半径15mに入った生物は死ぬ『(r)a
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胸騒ぎ(2022年製作の映画)

5.0

イタリア旅行で知り合ったオランダ人夫妻宅に招かれたデンマーク人一家を襲う悲劇を描いた不条理ホラーの傑作。
人間の善性を真っ向から否定し精神を少しずつ削る厭さが続いて全く安心できない。
楽しい雰囲気が余
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人間まがい(2013年製作の映画)

3.8

謎の青い閃光に包まれ姿を消した友人が別人になって人を襲うSFホラー。
『エクストロ』や『SF/ボディ・スナッチャー』的な乗っ取り系を軸に清々しいゴア描写満載で楽しめた。
宇宙人の存在や目的が曖昧でほぼ
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No.10(2021年製作の映画)

4.0

舞台俳優として生計を立てる主人公が共演者との不倫を機に監視される前半と幼少期に記憶を失い森に捨てられた過去が活きる後半で雰囲気が一変し、突拍子もない場所に帰着する怪作。
『ボーグマン』でも顕著な人では
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天使の復讐(1981年製作の映画)

4.8

強姦された声を出せない女性が手当たり次第に男を射殺し復讐に身を投じる様子を描いた作品。
レイプを機に内向的な性格が変化し淡々と襲う様子が素晴らしい。
敢えて派手な化粧をし男を寄せ付けるやり方に拘りを感
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武器人間(2013年製作の映画)

4.5

数年ぶりにスクリーンで観れて最高だった。
死体と武器を繋ぎ合わせ使役するヴィクター博士が狂気に満ちて魅力的で生々しさも良い。
ドイツの占領地域に潜入したソ連兵のPOV視点が臨場感を生み、武器人間登場シ
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顔のない眼(1959年製作の映画)

4.7

交通事故で顔に大怪我をした娘の為に同系統の若い娘を誘拐し、顔の皮を剥いで移植手術を繰り返す医師を描いたフレンチホラーの金字塔。
娘に美貌を求める父親のエゴや狂気以上に自身の研究の実証を娘で試そうとする
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吸血鬼(1932年製作の映画)

4.8

ムルナウの『吸血鬼ノスフェラトゥ』と並ぶ吸血鬼映画の古典的な作品。
冒頭から異様な雰囲気に包まれ悪夢的映像美と前衛性が際立ち素晴らしい。
台詞が少なくシュールで難解なストーリーは夢想家の主人公の体験す
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ジュリア・幽霊と遊ぶ女(1977年製作の映画)

4.3

林檎を喉に詰まらせた娘を助けようとした結果事故で殺めたジュリアが引っ越し先の屋敷で怪奇現象に遭う話。
幽霊の怖さを前面的に押し出した怪異譚と思いきや『チェンジリング』的なサスペンス色が強く、静謐で格調
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ナイトメア(1981年製作の映画)

4.0

幼少期に両親のSMプレイを偶然見て惨殺した男が成長後も殺人衝動にうなされるスラッシャー作品。
死んだ母親の幻覚に支配され殺人欲求と自制心の間で悶える様子に人間味があり、パラノイアの不安定さや容赦ない殺
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ザ・タワー(2022年製作の映画)

4.1

原因不明の闇に覆われた団地で住民が狂気と化すシチュエーション・スリラー。
『ミスト』や『キューブ』的な非日常の密閉空間で極限状態に陥った人間心理の怖さが際立ち、厭さを煮詰めた展開が良い。
序盤から子供
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Megan Is Missing(原題)(2011年製作の映画)

3.7

ティーンのミーガンと親友アーミーが行方不明になる様子を描いた実話ベースの話。
チャットで知り合った見知らぬ男性に気軽に合おうとする10代特有の軽率さは改めて危険で友達の少ないアーミーが気の毒。
マッチ
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

5.0

以前から楽しみにしていたブランドンの新作。
高級リゾート地にバカンスに来たスランプ中の作家が体験する摩訶不思議な話。
今日2度観て暫く身体から抜けない心地良い中毒性にハマってしまった。
自分のクローン
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オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

4.2

ダミアン誕生の謎を描いた『オーメン』前日譚。
どう進もうと悪魔の子誕生という厄災は不可避でそこに至るまでの経緯が見応えがあり面白い。
権威主義的な宗教の持つ力は悪魔以上に恐ろしく人間の罪深さを物語る。
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ビニールハウス(2022年製作の映画)

4.0

ビニールハウスで暮らす訪問介護士の過ちが負の連鎖を招く話。
万事順調に進むと思われた矢先で状況がとんとん拍子に悪化していき誰も幸せにならず重い。
その場限りの嘘で認知症の母親と入れ替えた事が全ての元凶
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愛しのジェニファー(2005年製作の映画)

4.0

殺される寸前のジェニファーを助けた刑事が破滅する話。
男を魅了し恋に落ちた者全てが不幸になるキャラが良く、『美女と野獣』の逆をグロさ増しで味付けした寓話的な作りで楽しめた。
奇抜なビジュアルと性的な魔
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ザ・チャイルド(1976年製作の映画)

4.8

スペイン沖の孤島にバカンスで訪れた夫婦が現地の子供達に襲われる不条理ホラーの傑作。
子供が怖い系の中でも頭一つ抜けて恐ろしく、静かで明るい街並みとその中で繰り広げられる惨劇の対比が素晴らしい。
冒頭の
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.7

天才物理学者オッペンハイマーの栄光と没落を二律背反を軸に描いた傑作。
時間軸を巧みに交差させ赤狩りが蔓延る社会で翻弄される半生に冒頭からぐいぐい引き込まれた。
最初から運命が決まっていたかのような示唆
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