Yuki10さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

フランケンフッカー(1990年製作の映画)

4.8

電動芝刈り機に巻き込まれて死んだ恋人を蘇らせるホラー・コメディ。
死者蘇生への警鐘といったテーマ性を捨て娯楽に振り切った展開が素晴らしい。
程良いテンポ感とぶっ飛んだギャグに心底満たされた。
娼婦の身
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.6

自殺した妊婦の遺体に胎児の脳を移植させ蘇生したベラの冒険譚。
マッキャンドルスとバクスターの関係性の変化やベラの手紙を通して親視点で観察する2人の視点を抑え、純粋無垢な存在が外の世界に揉まれてどう成長
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.5

盲目に隠された仕掛けが緊張感溢れるサスペンスの面白さを底上げし最高だった。
滅びた明に従おうとする保守と清を受け入れる革新との血生臭い対立の中、鍼灸師という外側の視点を組み入れる構造も良い。
誰が黒幕
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.8

怪死した母親の元に帰る悪夢的な旅路が素晴らしかった。
現実と奇抜な世界観が見事に共存しアリ・アスターの作家性が色濃い悲喜劇。
ルールに縛られる典型的ユダヤ人像がボーに反映され、過保護な親に支配される心
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フォー・ハンズ(2017年製作の映画)

3.6

死んだ姉に身体を乗っ取られる苦悩だけでなく過去のトラウマを消化して現実と向き合う難しさが見応えあった。
幼少期に目の前で両親を殺された経験は癒えず復讐に取り憑かれる姉と前向きに人生を歩もうとする妹との
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ジェサベル(2014年製作の映画)

3.5

事故で夫と身籠った子供を失い車椅子生活を余儀なくされたジェサベルが怪奇現象に悩まされる話。
亡き母親のビデオテープを元に出生の秘密を探るサスペンス的な展開が良い。
怪異的な怖さよりストーリーに重きが置
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ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ(2023年製作の映画)

3.0

幅広い年齢層でも楽しめる王道の恐怖描写と綺麗にまとまったストーリー展開は印象的だが、良くも悪くも癖が全くないので薄い。
可もなく不可もなく丁寧に作り込むと物足りなさが残る。
ジャンプスケアは目覚まし効
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パニック・アリゲーター/悪魔の棲む沼(1979年製作の映画)

3.7

未開のジャングルを商業目的で利用した結果原住民の恐れる巨大ワニに襲われる皮肉が良い。
『アリーゲーター』程ワニは活躍せず、粗さが目立つものの後半のカオスな展開は面白かった。
陸地では原住民に川に戻れば
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キルボット(1986年製作の映画)

4.2

巨大モールを警備する為に作られた3台のロボットが雷に打たれて暴走し人を襲う話。
殺人ロボットに立ち向かう様子や死に方が娯楽性に富んでいて面白い。
そこまでグロさはない中で唐突な頭部爆破は予想外過ぎて笑
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死体と遊ぶな子どもたち(1972年製作の映画)

3.8

劇団一座が死体を蘇らせた事で痛い目に遭う話。
子供たちと言うわりには年齢が高めでゾンビ登場まで長い。
メインの死体が『悪魔のいけにえ』のミイラ化したソーヤー家の祖父に似てた。
好き勝手死体を冒涜し結婚
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ドクター・モリスの島 フィッシュマン(1979年製作の映画)

4.3

アトランティスの財宝を手に入れる為に半魚人を作る設定が面白い。
孤島に漂着してから陰謀に巻き込まれるまで得体の知れない怪しさとワクワク感が続くが、科学者の狂気がもっと観たかった。
グロいが可愛げのある
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エレベーター・ゲーム(2023年製作の映画)

3.4

エレベーターが異世界へ繋がる都市伝説を題材にした恐怖譚。
存在自体は微かに知っていたのでどう展開していくのか楽しみにしていたが、軸になるドラマ性が希薄で物足りない。
幽霊に対する欧米圏の認識が反映され
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反撃/真夜中の処刑ゲーム(1983年製作の映画)

4.6

警察の機能しなくなった街で凶悪自警団との攻防を描いた作品。
『要塞警察』的な籠城戦が緊迫感に溢れ一筋縄ではいかない展開が面白い。
圧倒的に不利な状況を知恵と数少ない武器を駆使して対抗する様子も見応えが
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ヘルレイザー3(1992年製作の映画)

4.5

ルマルシャンの箱を開いた者に呼ばれて苦痛と快楽を与える設定が破綻し、ピンヘッドの超越者感は薄れたが楽しめた。
善悪に人格が分裂し地上を蹂躙する悪を倒そうとする流れやベトナム戦争にアメリカ要素を感じる。
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ヘルレイザー2(1988年製作の映画)

5.0

1作目に引けを取らない大好きな作品をスクリーンで観れてより好きになった。
復活したジュリアは自分を巻き込まれた被害者と捉えず変化を受け入れて快楽を堪能する様子が良い。
妖艶さが増し人間性を失った分悪役
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.8

コロニア・ディグニダを下敷きにした作品。
予想以上の不気味さに興奮した。
ストップモーションがより味を出していて飽きさせない。
拒絶しつつどこか引き込まれる不快な快感を味わえて楽しめた。
グロさと美し
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(2021年製作の映画)

4.8

短時間に悪夢的な映像美と不協和音が続いて最高だった。
骨から人体が出来上がるまでの歪さが超好き。
死者蘇生と婚姻の書類を燃やす流れはチリの歴史的な状況を踏まえると意味合いが変わりそう。
少女の表情も印
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悪魔のシスター デジタルリマスター版(1973年製作の映画)

4.8

覗きで始まり覗きで終わる窃視の加害的な側面が強調されて面白い。
ドイツ表現主義を思わせる手術シーンやスプリット・スクリーンを用いた独特な映像美、デ・パルマの才能溢れる展開に釘付けになった。
殺害現場を
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バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

5.0

悪徳警官の堕ちに堕ちた先に神を見出す様子が美しく最高だった。
ドラッグに溺れ腐敗具合いが振り切っていて若干自身と重なる部分を感じる。
暴言の多さや窓越しの自慰行為は酷すぎて笑える。
クリスチャンであり
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処女の泉(1960年製作の映画)

4.8

敬虔なキリスト教徒の娘を襲う突然の悲劇と復讐しても故人は還らない空虚さが「神の不在」を問う傑作。
余白や画作りの美しさも相まって終始雰囲気に魅了される。
ウェス・クレイヴンの『鮮血の美学』を始め凌辱系
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マドモアゼル(1966年製作の映画)

4.0

フランスの片田舎でイタリア人の木こりに恋する女教師マドモアゼルを描いた作品。
放火や洪水を起こす事で欲を満たす歪んだマドモアゼルが恐ろしい。
村での不可解な事件が根拠なくイタリア人に結びつけられ、終盤
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怒りの日(1943年製作の映画)

4.7

『ルクス・エテルナ』で引用された作品。
魔女の告発を受けると真偽がどうあれ死ぬ事が確定する地獄のような社会でマーチンとの未来を夢見るアンネの顛末が残酷。
年の離れたアプサロンに青春を奪われ束の間の幸せ
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ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

4.5

映画制作の裏で関係者の思惑が交差する混沌とした撮影模様が最高だった。
『VORTEX』とは異なり同時進行の状況が敢えて分かりにくいスプリットスクリーンの使い方も斬新で映画への皮肉めいたメタ的視点も良い
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マーサ、あるいはマーシー・メイ(2011年製作の映画)

3.5

カルト教団から脱走し姉夫婦の元で暮らすマーサの苦悩を描いた作品。
過去と現在を往復しマインドコントロールによる呪縛の後遺症で日常生活に支障をきたす様子が良かった。
一度染み付いた習慣はそう簡単に消えず
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劇場版 SPY×FAMILY CODE: White(2023年製作の映画)

3.0

普段人が死ぬ映画ばかり観ているので新鮮だった。
斜に構えず純粋に楽しむ気持ちをより育みたい。
東西イデオロギーの対立する世界で幼心からトラブルに巻き込まれる疑似家族が家庭の為に奮闘する流れが興味深い。
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NOCEBO/ノセボ(2022年製作の映画)

4.5

原因不明の体調不良とフィリピン人の乳母の登場で家庭がゆっくり蝕まれる様子が不気味で良い。
アジア人に対する白人の歪んだ価値観やオリエンタリズムをホラーの枠組みに落とし込み着地点の救われなさも最高。
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サンクスギビング(2023年製作の映画)

4.6

正統派スラッシャー映画の傑作。
手の込んだ殺害から簡易な殺害まで見せ場満載で気持ちの良いグロさも最高だった。
王道をなぞりつつも現代ならではのSNSを使った逆転劇やミスリードへの誘導が巧み。
予想外の
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回路(2000年製作の映画)

4.6

生きてる人間も死者も大差なく両者の境界が少しずつ崩れ出す様子や幽霊の不穏さが素晴らしい。
インターネットが普及してない時代に他者との繋がりを求めようと孤独からは逃れられず常に虚無感が付き纏う。
何気な
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

4.7

霊の憑依をパーティードラッグ感覚で楽しむ若者達の引き返せなくなる展開が最高だった。
興味本位で快楽を求めた結果トラウマが蘇る様子は一種のバッドトリップを思わせる。
90秒のルールを破り周囲に異変が起こ
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イノセンツ(2021年製作の映画)

3.4

超能力に目覚めた子供たちの人間関係の変化や不穏な映像美は良かったが、全体的に平坦で盛り上がりに欠け物足りない。
遊んでる時の些細な冗談で仲違いする幼少期特有の空気感が生々しい。
自閉症の姉を通して親と
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.5

心臓病を患う夫と認知症の妻を通じ誰しもが避けては通れない老いや死について改めて考えさせられた。
どんなに満たされていようが結局最後に待つのは死という無常感。
人生とは忘れ去られてしまうまでの短いパーテ
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ムカデ人間2(2011年製作の映画)

4.0

カラー版にて中学以来の再見。
『ムカデ人間』に熱中する男が自身の欲望の為にムカデ人間を作ろうとするメタ的な発想と物語性を徹底的に排した作りが良い。
モノクロでは分かりにくかった血や排泄物がはっきりと観
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マーダー・セット・ピーセス ディレクターズ・カット版(2004年製作の映画)

4.5

女性を嬲り殺しては写真に収める写真家を描いた作品。
以前から楽しみにしていた分若干物足りなかったが、男の異様な性癖やリアリティのある殺害描写が常軌を逸していて素晴らしい。
切断した生首で自慰行為をし投
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ディック・ダイナマイト ナチ皆殺し血風録(2023年製作の映画)

4.3

アメリカを爆撃しようと目論むナチス打倒の為にディック率いる曲者集団が反撃する話。
終始下品なギャグとキレのあるグロさが最高。
パンチで首が吹き飛ぶ豪快さも良い。
ディックのキャラクター像がシュワルツェ
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ヘル・レイザー 4Kデジタルリマスター版(1987年製作の映画)

5.0

何度も観ている大好きな作品。
究極の苦痛が究極の快楽に通じるSM美学でエロスとタナトスを描き素晴らしい。
魔界の呪縛に囚われたフランクの為に殺人を重ねるジュリアや不気味な家など至って伝統的なゴシックホ
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ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

4.2

僅かな偶然が運命を狂わせる不条理さが改めて恐ろしい。
見ず知らずの他人に少しでも気を許すとどうなるのかを教えてくれる。
妻が車に乗り込む直前に家族の写真を見て安堵するカットが残酷で救えたかもしれない事
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