FutosiSaitoさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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仕掛人・藤枝梅安(2023年製作の映画)

3.6

 松竹でない、東映の、朝日放送(テレビ朝日)でない、時代劇ちゃんねるの「必殺」シリーズでない「仕掛人」。
 TVシリーズ『必殺 仕掛人』では、深作欣二を迎えて、緒形拳・林与一・山村聡というシンプルな三
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

3.9

 モーションキャプチャーの新たな表現。実際にバスケをやらせてその動きを元にしたりというところは、ハリウッドのCG作品と同じだが、そのさきが違った。
 カメラアングルや、従来のセル画テイストとかだ。
 
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

 いとおしい映画。そして岸井ゆきのの演技力、なんせ設定上、主人公のセリフがない。それでこの演技。
 ボクシング映画は出世作で、安藤サクラも『百円の恋』でブレイクしたし、菅田将暉『ああ 荒野』や北村匠海
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かがみの孤城(2022年製作の映画)

3.8

 相変わらず、異世界ものや学園恋愛もの、突然の死別などが多い邦画界にあって、なんと志が高いことか。
 フィクションだが、背景はとてもリアルで真摯な物語であり、それをアニメ化するというスタッフの意識がす
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ドリーム・ホース(2020年製作の映画)

3.8

 競馬が文化として根付いている、イギリスのようすがうらやましい。
 ブックメーカーというか、馬券売り場が街なかに身近にあったり、メモで買えたり、イタリアのフィレンツェに旅行したときも、そのへんのバーで
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RRR(2022年製作の映画)

4.0

 エモい。そして、楽しい。満足感ハンパなし。
 あとは、ツッコミ不要!これがインド映画なのだが、ようやく市民権を得たという感じだ。
 『バーフバリ』のスタッフによる作品というが、それも含めて、いったい
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呪い返し師―塩子誕生(2022年製作の映画)

3.6

 斜に構えて見に行ったのに、面白かった。映画の文法を正統派で守り、痛快な決め台詞と、アクションも決めている。
 古風で上品なようで、乱暴な言葉を浴びせる主人公・塩子に責められたくなるファンが続出か?小
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マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.6

 原作が良いから面白いのはわかっていても、実際にスクリーンで動く主人公のぶっきらぼうさは、大迫力でよかった。
 叫んだり、情緒的な演技はあたりまえだが、何よりも走る姿がかっこいい。永野芽郁は画になる。
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アムステルダム(2022年製作の映画)

4.0

 事実に基づく映画は数あれど、これは良かった。フィクションとの混ぜ具合に、主役たちの演技に、セットなど、どれも絶妙なバランスで。
 特に、3人の主役が画になる。特に、マーゴット・ロビーは、見ていて飽き
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ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.4

 必殺仕事人。岡田准一を使っての、時代劇でなく現代劇かつヤクザものでの。
 岡田准一のアクションを活かすには、死んでもらわなくてはいけない。それが犯罪者や反社会的勢力の者ならいいというお話。
 相変わ
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さかなのこ(2022年製作の映画)

4.0

 裏表がなく、すべて「ガチ」なので敵のいない、さかなクンのキャラクターを、沖田監督が実に上手く表現した。
 落ち着きがなく、集中力がない「変な」主人公が、好きなものを追い続けて生きていき、行き着いたと
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.0

 冒頭から不穏で、緊張感が半端ない。まさかのチンパンジー!レオス・カラックス監督の『ホーリー・モータース』のチンパンジーと何と違うことか。
 そして、視線テーマ。この監督の過去作から、社会批判的なテー
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教育と愛国(2022年製作の映画)

3.9

 粘り腰の力作ドキュメンタリー、これが公開されることに安堵した。
 一方で、ますます「戦後レジーム」が崩れて戦前に回帰していく現状が気になった。
 『主戦場』(2019)といい、これといい、考えれば考
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.0

 これは、30代「こじらせ女子」という簡単なくくりで語れるものにしていない。そこに感心した。
 おしゃれな恋愛映画でもなく、淡い失恋の物語でもない。そこにオリジナリティを見た。
 成績は優秀なのに飽き
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グレイマン(2022年製作の映画)

3.7

 『モスル あるSWAT部隊の戦い』でリアルな戦闘を追求したルッソ兄弟が作ったフィクションのヒーロー映画だ。
 『007』に始まり『ジェイソン・ボーン』で『ミッション・インポッシブル』など、めっぽう強
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.9

 ポピュラー(人気絶大)歌手を俗っぽくて、芸術的なアーティストより下に見ていたが、とんでもなかった。
 プレスリーがいかに黒人文化(音楽)の中で育って骨肉にしたか、黒人音楽であるロックやブルースをどれ
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.0

 赤ちゃんポストから、赤ちゃんを売ろうとする主人公たちという設定に不安をおぼえていたが、何のその。
 是枝監督は、フランスでなくアジアで映画を撮ってこそ実力を発揮できるのだ。雑多な風景や、雑多でエネル
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峠 最後のサムライ(2020年製作の映画)

3.3

 役所広司が本当に出ずっぱり。伝記映画というか、偉人伝。
 しかも、一昔前の「教育映画」演出だった。視聴覚室で、フィルム上映されたころの文部省選定映画のようだった。
 だから退屈で長く、かつ急な展開に
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.0

 知らない世界を見られるのが、映画の価値の一つなのだが、それがここにはあった。「貴族」の世界。
 思い出した、大学時に安倍晋太郎(安倍元総理の父)の家を松濤町に見に行ったときのこと。私設警官が二人、門
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.9

 「考えるな」というのは、この映画に対する姿勢のことだろう。テーマとか、世界情勢とか考えてもしょうがないということだ。
 さすがプロデューサー、トム・クルーズはやりたい放題やっている。
 しかも、クオ
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犬王(2021年製作の映画)

4.0

 ロックオペラでいいのかとも批判されているが、それでよい。芸能と芸術の「自由」と「解放」「反抗」を描くのだから、ロック(の魂)なのだ。
 湯浅監督は、西洋受けのいい「能」(ここでは猿楽)と平曲(琵琶法
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.8

 立て続けにワイドショーやモーニングショーに出てたり、いろいろな媒体に登場する吉岡里帆の入れ込みようと、このアニメ監督の入れ込みようが重なって、それだけでジワジワきた。
 近いところでは『映像研に手を
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泥の河(1981年製作の映画)

3.9

 小栗康平はこの作品が優れていたがゆえに苦労した。その後、1991年の『眠る男』なども期待された世界「待望」の作品だったが、この作品の娯楽性というか訴求力にはとうてい及ばなかった。
 デビュー作が何か
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.9

 「そんなに人間が好きだったのか」というウルトラマンを好きなのは、やはり、おっさんだというのが客層を見てよくわかった。この世代、恐るべし。夜の回なのに混雑していた。
 『シン・ゴジラ』は意思の読めない
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

3.8

 これを許すのが、MCUの懐の深さだ。まるっきりホラーで、『死霊のはらわた』サム・ライミ監督の悪趣味丸出しでも許している。これが個性となり、飽きのこない要素となる。
 また、過去作品へのオマージュも見
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映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝(2022年製作の映画)

3.9

 『クレヨンしんちゃん』30作目の集大成だ。家族愛にカスカベ親衛隊という友達に、はちゃめちゃな設定にと、色々な要素が詰まっている。
 キャラクター設定も相変わらず上手で、いい意味で変なのがいい。今回は
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アネット(2021年製作の映画)

3.9

 「恐るべき子供」と呼ばれた、レオス・カラックスの比較的わかりやすい作品だが、一般にはなんじゃこりゃと思われるだろう。しかし、子供が思春期になったこの監督はわかりやすいように変容した。
 主人公たちが
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.9

 構成と演技の巧さ、そして重厚感で言えば、これにアカデミー作品賞がいってもよかったくらいだ。
 説明的なシーンが極力、抑えられているのに、登場人物における関係性の変化により緊張感のあるストーリー展開。
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.0

 作品賞はこれだと思っていたが、『コーダ 愛の歌』に行った。
 イギリスの王道である、シェークスピア劇俳優の最高峰なので、監督のケネス・ブラナーは育ちもさぞかし良いかと思いこんでいたが間違っていたとい
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クーリエ:最高機密の運び屋(2020年製作の映画)

4.0

 ロシアがウクライナに侵攻した。それで、世界観が変わってしまった。
 キューバ危機の、この頃(このあとからホットライン設置)は「対話」ができた。今はどうなのだろう。
 対話しようにも、ロシアは突然に秩
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.9

 ティム・バートン監督の『バットマン』はフリークス(奇人・変人)ゆえの悲哀、特に『バットマン リターンズ』でのバットマンとキャットウーマンとペンギンの姿には、フリークスとしての監督自身が投影されていた>>続きを読む

余命10年(2022年製作の映画)

3.7

 『新聞記者』のというより、『光と血』『デイアンドナイト』の藤井道人監督が、「余命もの」にどういう解答を出すかという興味で観た。
 ホームビデオの映像を随所に使い、ベタなラストにもせず、うまくまとめて
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.1

 告発映画は数々あるが、これは傑作だ。ブラック・コメディというのが凄い。
 あの頃(大学時代)はハメを外したと仲間内で笑ってすませる「男子」と、約束された将来(題名のプロミシング)を奪われる「女子」の
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.7

 豪勢な舞台で、豪華なキャストの映画を堪能した。大爆発やSFXや物がやたら壊れる映画は数あれど、こういう落ち着いた映画は少なくなった。
 典型的な「グランドホテル形式」だが、これが『犬神家の一族』をは
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ドリームプラン(2021年製作の映画)

3.8

 『ストレイト・アウタ・コンプトン』と『ボーイズ・ン・ザ・フッド』を見て、コンプトンやスラムの環境を踏まえておくと、面白さが断然に違ってくる。
 ドラッグが蔓延(まん延などという緩い表記は何なのか)し
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コロンバス(2017年製作の映画)

3.8

 静謐な、静謐な映像。小津安二郎を研究していたという韓国系の監督がオマージュを捧げた映画でもあるのだが、構図がいちいち美しい。
 建築は構造物(オブジェ)でもあるが、視覚に訴えるアート(芸術)でもある
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