FutosiSaitoさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

FutosiSaito

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ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.9

 期待に違わぬマーベル映画、ミドルエイジ入り口のスカーレット・ヨハンソンに若いところではフローレンス・ピューが大活躍し、演技派で年増のレイチェル・ワイズまで活劇を演じている。
 さらに、ガールズが盛り
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ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

3.9

 着ぐるみで撮る気はないから、とことんCGで表現した怪獣バトルが大迫力だ。『シン・エヴァンゲリオン』でのマリが操る冒頭の8号機のアングル変化も凄かったが、こちらも負けていない。
 洋上でのゴジラとコン
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

3.8

 ドキュメンタリー『行き止まりの世界に生まれて』にも通じる世界。家に帰りたくないティーンたち、その絆や嫉妬など複雑な思いをジョナ・ヒルが監督して描く。
 仲間に入るために無理をして勇気を見せたり、親を
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海辺の彼女たち(2020年製作の映画)

4.0

 何が起こるかわからない緊張感と、どう悪化するかという不安がずっと続くので、100分程度の上映時間だが疲れはあった。
 この映画の公開が5月1日で、5月25日に新潟県で「技能実習生のベトナム人6人保護
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私たちの青春、台湾(2017年製作の映画)

3.9

 2014年に起こった台湾の学生運動「ひまわり運動」のリーダーと淡江大学の中国人留学生を主人公に、当時の「うねり」と挫折を描いたドキュメンタリー。だが、それは監督の思いも含めた青春映画となっている。>>続きを読む

マーティン・エデン(2019年製作の映画)

3.8

 アメリカの貧困層の出で、小学校もろくに行かず、小説家やルポライターとして活躍した無頼のジャック・ロンドンの自伝的小説の映画化。
 『野生の呼び声』(または『荒野の呼び声』)が有名だが、他にもイギリス
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Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.7

『ジョン・ウィック』でなくても、『ジョン・ウィック』のスタッフがいればこれだけのアクション映画が撮れるってか。
 いや、キアヌ・リーブスには格闘シーンに修行のあとが見られたぞ。武器を使わず、あり物で
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HOKUSAI(2020年製作の映画)

3.5

 柳楽優弥はドラマ『アオイホノオ』のホノオ・モユルだし、阿部寛は『蚤取り侍』だし、田中泯は『たそがれ清兵衛』の敵だし……先入観でどうしても見てしまう。特にホノオ・モユル。
 あとは、あえていうと青臭か
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地獄の花園(2021年製作の映画)

3.7

 バカリズムだけあって、馬鹿らしくていい。特に、室井滋が登場してからのくだらなさは。「お前らみんな殺してやるー」と言っていた永野芽郁のがんばりも意外でよかった。
 もうひとりの主役、広瀬アリスは画にな
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るろうに剣心 最終章 The Final(2021年製作の映画)

3.6

 時代劇版『アヴェンジャーズ』か、はたまた『モータルコンバット』か。
 アクションは新鮮だけど、敵の造形が井口昇の『片腕マシンガール』みたいだったり、主役が不死身で『無限の住人』みたいだったりで、FA
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ファーザー(2020年製作の映画)

3.7

 演劇でも映画でも小説でも、フィクションというのは時間と空間を飛ばせるものであり、それが面白さにつながっている。
 それでも「こんな手があったか」という面白さだった。
 痴呆が進んだ主人公の主観という
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ジェントルメン(2019年製作の映画)

3.7

 構成の面白さと、フィクションのためのフィクションとして楽しめる。
 マシュー=マコノヒーはプロデューサーでもあるので、こんな格好いい役をやれるのだろう。『ダラス・バイヤーズ・クラブ』で薬物を売る役(
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マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)

3.9

 文化の大切さ、そしてそれを踏みにじることの酷さ。アイデンティティを捨てさせるという暴力。
 当たり前だが、自分たちがそうされたら嫌なことをやっていた歴史と事実を、評論でなく物語で知ることができてよか
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シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

3.9

 『ペンタゴン・ペーパー』に次ぐ「アメリカの法の正義」もしくは「法の精神」をテーマにした作品。法廷では公平に正義が問われるべきで、それは民主主義と国民のためである、決して権力のためではないというものだ>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.7

 失恋前提の映画。破局というより、違う道に進む意味での別れを迎えるまでの物語だ。そこが面白い。
 サブカル趣味や考え方が一致して付き合い、同棲する二人が、どうすれ違っていくのか。セリフ中心に構成された
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スタイルウォーズ(1983年製作の映画)

3.7

 まず、このような貴重なドキュメンタリーが見られるということはいいことだ。スケボーをする若者たちが登場する『行き止まりの世界に生まれて』が現代のラストベルトを描いたものだとすれば、これはNYのマイノリ>>続きを読む

まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

3.7

 何よりも、恋愛ものをオリジナルで勝負するという姿勢が良い。あいかわらず学園の恋愛ものが多いなか、この心意気は偉い。
 そして、「まともじゃない」予備校講師と生徒を通して、普通って何なのかも探っていく
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

3.6

 大根仁監督で福山雅治と二階堂ふみ主演の『SCOOP』を想像していたから、雑誌とスキャンダルよりは「文学」とか作家に重きが置かれているのが意外だった。
 大泉洋の切れ者ぶりと、予告編どおりの騙し合いが
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ミナリ(2020年製作の映画)

3.6

 どんな民族でも、家族とか生活に関する思いは同じ。
それを、淡々とかつささやかに描く映画だった。
 新天地を求めての移民生活、開拓、信仰……。
 孫は英語をかなり話すなかに、韓国から来た祖母が加わるこ
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ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-(2020年製作の映画)

3.7

 ヒルビリーの置かれていた現状を回想して語った原作だが、この映画ではエイミー・アダムスのキャラクターと演技が凄すぎて、母の映画になっているくらいだ。
 ヒルビリーは「ロカビリー」のビリーであり、「カン
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生きものの記録(1955年製作の映画)

3.8

 原爆や水爆を過剰に恐れる主人公を笑えるのか。
 本当に異常なのは我々ではないかという問いかけ。
 エキセントリックで常軌を逸しているように見えて、正常なのは誰なのか。
 黒澤明とスタッフは、ドキュメ
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

5.0

 序盤はいったいどこへ連れて行くんだろうという展開だったが、杞憂だった。感動した。アニメの極致であり、エポックメイキングだったエヴァは、やはりエヴァだった。総合芸術としても最高の作品だ。
 客は50代
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ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実(2019年製作の映画)

3.7

 『ハクソー・リッジ』にも通じる衛生兵の実話。戦争で手柄を挙げた(敵を倒した)戦士でなく、人を救った主人公というところに制作者たちの意図を感じる。
 危険を顧みず、躊躇なく救助に向かうピッツは本当に勇
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野球少女(2019年製作の映画)

3.7

 スポーツは誰でもできるし、誰でも楽しめる(はず)。
 ところがそれが難しい。「わきまえろ」とか言う多数派というか保守派というか多数支持派がいるからだ。
 この映画は、それに立ち向かうというより、やり
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ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)

3.7

 新書などでシリアの状況は読んでいたが、「当事者」になるとどうなるのか。それが突きつけられる。
 年齢制限を考えて、残酷なシーンは抑えられているが、本当は目の前で残忍なことが起きたり、されたり、それが
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.9

『復讐するは我にあり』(傑作!)の原作者、佐木隆三による1990年の小説を現代設定にして、なお面白いというのが凄い。
 原作そのものが、実話ベースで、元ヤクザから原作者に持ち込んだ話であり、そこも同
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聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

4.0

 「聖職」とは何か、その役割は何なのか、まずそれを問う。さらに、良心というより「善意」とは何かについても。
 元犯罪者(つまりは前科者)でも、その後にやったことをどう考えるのか。
 また、宗教や救済に
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キーパー ある兵士の奇跡(2018年製作の映画)

3.9

 スポーツに国境なしとはいうが、本当は何にでも国境はないはずなのだ。
 さまざまな逆境と困難を超えて、イギリスの英雄になったゴールキーパーの話。
 戦争で殺し合ったのはお互い様なのに、元捕虜だというこ
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

3.9

 フィクションだけど、叙事詩。生き辛くなってしまったヤクザという主役を通して、「排除」の日本を描いている。
 寛容でなく、弱い者を叩く社会をも。人権まで奪う社会をも。
 監督は、いままでになく空撮で工
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ワンダーウォール 劇場版(2019年製作の映画)

4.0

 これは驚いた。NHK朝ドラ『カーネーション』の脚本家でもある、渡辺あやによる自由への主張だ。本人の言うとおり、普遍的に考えてほしいという主張だ。
 ということを意識して、モデルになった京都大学の吉田
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青春残酷物語(1960年製作の映画)

4.1

 苦い青春映画の傑作。1970年代なら藤田敏八監督の『八月の濡れた砂』へと繋がる部類の嚆矢だ。
 わりきった「現代」カップル(当時の)に見えて、変わらない焦燥や不安も描き、その行方もリアルに描く。
 
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

3.7

 バンドデシネとも繋がる芸術性、さすがフランス映画だ。あらゆるシーンが「一枚絵」として成り立つ映像の美しさ。日本のコミックと違い、一コマでも一枚絵として成立するフランスの漫画も、これも美しい。
 そし
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

3.8

 怖くなる寓話だった。現代に聖人は存在できるのかという。
 設定されたキャラクターとはいえ、無垢な「聖人」であるラザロは搾取されていた村人を解放するような存在でもある。
 村人は感謝しているが、辺鄙だ
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在りし日の歌(2019年製作の映画)

4.1

 題名で食わず嫌いになっていたが、傑作だった。
 一見、わかりにくい映画ではある。だが、時系列が前後する構成も丁寧な説明がない部分も、みなしっかりと意図されており、振り返るごとにそのできの良さに感心す
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私をくいとめて(2020年製作の映画)

3.6

 のんは、ほぼ全編に渡ってアップだつたり、映りっぱなしなのに、それに耐えられることに感激した。
 どこまでフォトジェニックなんだ。そして監督が同性であることにも。男性の監督が女優に惚れこんだ前例は数
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新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

3.9

 面白い。わくわくする。それでいいのだ。
 前作が衝撃的で、密閉空間で、人間ドラマで、アクション最高な、ともかくすごい映画だったので、今作にも特にヒューマンなドラマを期待してしまうが、いい意味で裏切ら
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