ミミックさんの映画レビュー・感想・評価 - 57ページ目

岬の兄妹(2018年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

貧困の末に自分の妹(自閉症)に売りをさせてしまう兄妹の切実な話。
海辺の寂れたプレハブの家と兄妹の存在のリアリティ、けれども出てくる人たちは今までの自分の人生で出会わないので限りなく虚構を見てる、この
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ソウ5(2008年製作の映画)

2.9

ゲームよりも登場人物の相関図いじりに傾いたシリーズ第5作、完全に単体で見るべきではない。新たなゲームは男女5人が一人ずつ犠牲になる脱出ゲームたが、ホラーとしての新味はあまり感じず。腹裂き振り子刃や指裂>>続きを読む

ニーゼと光のアトリエ(2015年製作の映画)

3.6

新たに赴任した精神医師のニーゼは、古い体質の医療現場を変えるべくアトリエを開く―。
1940年代のブラジル・リオデジャネイロ、知的・精神障害は病気とされ、電気ショックを流しロボトミー手術を施せば完治す
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

3.6

自分を覚醒せよ。劇中気になったアレやコレを丁寧に説明してくれる安心設計。サブリミナルを使った監督の遊び心にニヤリ。ブラピのカッコ良さは異常。今やティム・バートン常連女優のヘレナ・ボナム=カーターの妖し>>続きを読む

バトル・オブ・ザ・セクシーズ(2017年製作の映画)

3.6

1973年に実際にあった、29歳の女性テニス選手ビリー・ジーン・キングと55歳の往年の男性テニス選手ボビー・リッグスの男女対抗戦を描く。

『リトル・ミス・サンシャイン』や『ルビー・スパークス』の夫婦
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複製された男(2013年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

情報化した今の世ではなかなか難しいけど、不意に出会うならこんな映画が理想だな。

何も知らずに一回見て、解説を読んでもう一回見て、数年置いてからまた見て、何なら子供ができたときにもう一回見て…と何回で
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ラブレス(2017年製作の映画)

3.8

ここ2~3年作られた映画から、無関心・不寛容・他者との分断などの世界的な潮流が見てとれる。

連打するピアノの単音、街一面の雪景色、青白銀の寒色系で占める画面の配色、冷えきった夫婦関係に、見ていてこち
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ハッシュ!(2001年製作の映画)

3.6

多作ではないからこそ作品に時代の空気が詰まっており、最新作をリアルタイムで追いかけたい監督の一人。
18年前の作品を今見て偏見の多い古臭い描き方だと思えるほど、時と共にLGBTやマイノリティの多様性が
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ソウ4(2007年製作の映画)

3.2

冒頭の解剖シーンからなかなかのグロさ。
4作目にしていよいよ過去作との繋がりがごっちゃになってきて、つくづく一気見推奨のシリーズである。
ぜんまい式の自動巻き取り系の拷問が多い、四肢切断機具はどういう
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ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.6

己を制御できない乱暴者フレディ(ホアキン・フェニックス)と新興宗教の指導者ランカスター(フィリップ・シーモア・ホフマン)の存在感ある共依存の関係と、この強者ふたりを裏でコントロールするエイミー・アダム>>続きを読む

名もなき野良犬の輪舞(2016年製作の映画)

3.5

かつての東映の任侠やくざ×『インファナル・アフェア』のような韓国ノワールで、実に手堅い作り。
カットのキレと乾いた暴力性は、初期の北野作品を彷彿とする。
10年くらい前に覚えた唯一の韓国語「シバラマ~
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サスペリア PART2/紅い深淵(1975年製作の映画)

3.6

日本側の勝手な都合でサスペリアと付けられてるが、原題は『紅い深淵』で全く関係ない。
ピアニストの男と新聞記者の女が、謎の連続殺人事件の真相を探る。
レコードや手袋、そして瞳のどアップが印象的。
繰り返
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ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)

3.5

『スーサイド・ショップ』といいフランスのアニメは現実の辛い出来事をあえてモチーフにしてる印象。
同じ孤児院の子供たちが主役の芦田愛菜主演のドラマ「明日、ママがいない」を連想した。
かわいらしい造形のク
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愛・アマチュア(1994年製作の映画)

3.6

記憶喪失の男性に、対称的な二人の女性が絡むラブサスペンス。

禁欲生活をしてきた元修道者で現ポルノ作家という役柄がイザベル・ユペールにハマってたし、ポルノ女優役のエレナ・レーヴェンソンはおかっぱスタイ
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パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

3.8

ごみ収集人ニカンデルとスーパーのレジ打ちイロナの二人の中年によるオフビートなラブストーリー。
不器用で言葉数も少なく気の利いたことも言えないのに、どこか愛らしいキャラクターが心の隙間にスッと入ってくる
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ランペイジ 巨獣大乱闘(2018年製作の映画)

3.7

ドウェイン・ジョンソンくらいになるともはや人間側ではなくゴリラ側につく。動物学者としては見た目のキャラが濃すぎ。
宇宙の特殊な物質によりアハ体験のように目を離した隙に一回り二回りと大きくなっていく動物
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カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)

3.4

サングラスをかけた若者たちがつるんで夜の街をあてもなくうろつく。お互いをフランクと呼び合う。モノクロの映像がモノトリアムな現状を映し出す。ぼーっと見てたらいきなり「えっ」てことが起きる。突然拳銃で撃た>>続きを読む

2 days トゥー・デイズ(1996年製作の映画)

2.9

緩急のない『パルプ・フィクション』って感じ。シャロン・ストーンかと思うほどイケイケな初期のシャーリーズ・セロン。日本人従業員がいるグレーなマッサージ店に警官がやきもきする。撃ったり撃たれたり、撃たれた>>続きを読む

陽暉楼(1983年製作の映画)

3.0

高知弁いいね。緒形拳の眉間に惚れる。貫禄の倍賞美津子。芸姑の池上季実子と女郎の浅野温子の、濡れた着物姿で取っ組みあいのキャットファイトが迫力あり。だがこれくらいしか見所は無く全体的に冗長、一応最後まで>>続きを読む

狩人の夜(1955年製作の映画)

3.7

幼い兄弟の目の前に現れた新しいパパは、ある恐ろしい秘密を抱えていた―。
ごつごつとした語り口や場面の繋ぎかたや強引な展開は、日本のATG作品のような手触り。
『恐怖の岬』よりも更に執拗に追い続けるロバ
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大列車作戦(1964年製作の映画)

3.5

名画を持ち出そうとするドイツ兵が乗る列車を、国の誇りをかけて妨害するラビッシュを始めとするフランスの機関士たち。太っちょ機関士のブルが良いキャラだったのに早々に退場するの勿体ない。ドイツのウォルトハイ>>続きを読む

アクアマン(2018年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

IMAXバージンを『アクアマン』に捧げる。字幕を見逃しても話は大体わかるし、何より画面がでかければでかいほど没入感が増す作品でドンピシャに当たりだった。

超絶怒濤の海中アクションバトルムービーにずっ
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悪魔の毒々映画をカンヌで売る方法!(2004年製作の映画)

3.2

インディ映画会社トロマの社長ロイド・カウフマンが自らカンヌへ赴き、自身の作品をどうやって売り込むかを実践するハウツー形式のドキュメンタリー。

監督はもちろん作り手達も『悪魔の毒々モンスター』や『カブ
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

女王陛下側近の座をめぐる女同士の争いはまさにイギリス宮廷版の大奥。

アン女王(オリビア・コールマン)の醜くて我が儘ながらも根底にある孤独、サラ(レイチェル・ワイズ)の芯の通った聡明さ、アビゲイル(エ
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ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日(2013年製作の映画)

3.4

ハリウッド俳優ジェームズ・フランコのホームパーティ中に起きた大地震、町中のパニックにセス・ローゲンを始めとするコメディ俳優らが立ち上がる。

『スーパーバッド』や『スモーキングハイ』が好きならはまる内
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木靴の樹(1978年製作の映画)

4.0

19世紀のイタリアで、領主に家と土地と農具などを借りながら農業をして生活をする四家族の農民たちの、慎ましくも逞しく生きる姿を描いた人間讃歌。

絵画の人物が動き出して生活しているのを見ているかのような
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ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

シンディ(ミシェル・ウィリアムズ)とディーン(ライアン・ゴズリング)の二人の恋が始まり家族になるまでと、愛が冷めて別れを決断するまでを交互に描く斬新な語り口が、こちらの心をぐわんぐわんに揺さぶる感情の>>続きを読む

ビューティフル・ダイ(2010年製作の映画)

3.4

『サプライズ』のアダム・ウィンガードが仕掛ける低予算スリラー。
意図的に時系列をシャッフルさせてたり、わざとらしくカメラをぶれさせたりは野心的と捉えた。
犯人の足取りを断片的に見せることで、殺人犯が実
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ビッグ・トラブル(2006年製作の映画)

3.4

現金強奪計画がことごとく裏目に出てしまうクライムコメディ。時間も短くテンポ良くサクサク進む。10代の少女が頭きれすぎ。ちょっとした会話にセンスがにじむ。サイモン・ペッグは慌てふためく姿が似合う。これく>>続きを読む

インナー・ワーキング(2016年製作の映画)

3.7

日系ブラジル人のレオナルド・マツダによる『モアナと伝説の海』と同時上映の短編作品。マイナス思考のサラリーマンが人生を謳歌しようと頭のなかで葛藤する。脳や膀胱らの臓器までキャラクターにしてしまうディズニ>>続きを読む

モアナと伝説の海(2016年製作の映画)

3.7

波の泡粒、濡れた髪の重さなど細かいところまで水の表現が良くできてて感心しきり、やはりディズニーは今のアニメ表現の最先端。
お話も、強いプリンセスが最初は気の合わない相棒と旅をしながら共通の目的のため力
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第三世代(1979年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

面白かった。
ゴダールの『中国女』とか日本の連合赤軍を連想した。
劇中ずっとバックにラジオの音声が流れてるのが不穏。
6つににチャプターを区切って、頭に毎回便所の落書きを綴るセンスに驚く。
意識高い若
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13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

初ファスビンダー。これまで見てきた映画の文法とかなり違う。自分の見識の狭さを思い知り、世界には面白い映画が沢山あることに気付けた。会話は噛み合っているのかいないのか、独白の量がやたら多い、話しているの>>続きを読む

ファンタジア2000(1999年製作の映画)

3.5

オーケストラ音楽とアニメ映像の饗宴。音のリズムに合わせてキャラクターが動くと気持ちが良いのはアニメの根源的な楽しさ。無声でも動きだけでストーリーが伝わるのは改めて凄い技術。深夜過ぎたらおもちゃの兵隊と>>続きを読む

ハートビート(2016年製作の映画)

3.2

バイオリンとダンスに情熱を向ける若い男女が出会って、ぶつかって、恋をして、コンクールに出るストーリー。日本の少女漫画原作のティーンズムービーみたいに美男美女しか出てこない。出てくる人物にこれといった障>>続きを読む

一条さゆり 濡れた欲情(1972年製作の映画)

3.4

一流ストリッパーの一条さゆりに嫉妬する、同僚役の伊佐山ひろ子の方がどちらかというと主役ぽい日活ロマンポルノ作品。
ストリップシーンの光の照らされ方とか肌の照り具合から感じる本物感。
ネットリとした濡れ
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