前半、幽霊ものでも出来るような展開が長過ぎるのと、このタイトルで透明人間の視覚的アイデアに新しいものがないことは到底容認できない。
『デンジャラス・プリズン』の無機質さはほとんど前衛的といっていいほどだったので、本作はかなりウェルメイドに思えた。
情報の取捨選択や出す順番が上手いので、先行きが微妙に読めずスリルが維持されていた。>>続きを読む
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上映時間132分という長さを感じさせない映画だった。出来事が起きるテンポが早くて、一箇所に留まることが少ないからか。展開のきっかけがほぼ全て暴力というのもいい。ストーリーの推進以外のあらゆるものが削ぎ>>続きを読む
ウェルメイドで感心した。中盤、犯人を探るために容疑者のもとを回っては殺されるシークエンスをギャグ調に演出したところと、どうせループするからとストリーキングになってたところが好き。道徳的な展開をスルーし>>続きを読む
基本的にやってることはミッドポイントを通常より前倒しにして二回作っているということで、ここから学習して『ファイアパンチ』や『チェンソーマン』を作ってしまった藤本タツキは凄いと思った。
2回目のミッド>>続きを読む
いい部分もないではないけど、20分ほど増えた上映時間が脚本の贅肉を増やしており、代わりに意味不明なテンションが増幅されて大変きつい。ロケーションが街中から野外に移ったことも展開をだらしなく発散させてい>>続きを読む
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十九世紀のアメリカ。荒野で暮らしている独身女のメアリーは、精神を病んだ三人の女性をアイオワの教会まで連れていく役目に選ばれる。しかし、目的地まで約400マイルもある過酷な旅路で、女一人では困難な道のり>>続きを読む
たまの休日を、こういうカメラ揺らしまくり、カメラ近づき過ぎの映画に2時間捧げられるか考えたすえに7分で見るのをやめた。
ずっと前に途中までやって放り出していた桜ルートの結末がわかってよかった。
素晴らしかった。画面の感情や表情がころころと変わり、編集で驚きを作っていく手法はそのままだが、原作ものの制約からか少しだけ抑えめ(実際、かなり忠実な内容)。その代わり、時系列を入れ替えた語りが採用され>>続きを読む
うーん、場所を契機として異なる時間、現実と非現実がすれ違う様を映しているのだが、大したことも起こらず、面白い細部にも乏しく、途中からはただ過去にあった事件の結末を引き伸ばしているだけに思えた。
こう>>続きを読む
悪い意味で文学臭過ぎるセリフ、金持ちのスノッブ趣味、常に鳴るギターの劇伴、などがあまりに耐えがたく、映画を完全に破壊しているように思えた。一時間で停止。
照明、編集など、随所に力量の高さが見えるもの>>続きを読む
映画において、拳銃は視線を可視化する小道具で、本作でもそれは殺人犯のPOVショットにはっきりと現れている。
だからこそ、終盤になって、視線とまったく違う方向を撃つクライヴ・オーウェンが新鮮に映る。あ>>続きを読む
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殺人シーンの、どっちに転ぶかわからない緊迫感と、もはや人間の意思が介在しているとは思えないほどにあっけない殺人には息を呑んだ。
また、警察の取り調べ場面の顔面勝負も緊張感がある(警察の人の顔にできた>>続きを読む
禍々しい窓と水滴とオーヴァーラップ。そして白昼夢のように明るいホラー映画。
姉妹ものであることや、アーサー・マッケン的設定には高橋洋の手癖っぽさを感じる。
坑井に行くまでは、海の上を走るような高架道路、航空のようなゲート、ヘリコプターでの移動などが、舞台の特殊性を際立たせていて気分が高揚する。
坑井に行ってからは、(いつものことだが)ピーター・バーグの>>続きを読む
アメリカ映画らしい雰囲気に、わりと楽しめたが、俯瞰に頼り過ぎている印象があった。
ロメールの映画は大体のところ、①人工的でよくできた脚本を、②生っぽい撮影によって崩していくという手法で撮られていると思しいのだが、これもそんな感じ。
その場の作り話や嘘で話を転がしていくことや、都合>>続きを読む
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傑作! 「人がめちゃくちゃ訪問してくる」+「主人公が文字通り他人の話を聞かない」の合わせ技がいい。
オフィスの構造もサスペンスに貢献していて、事務所→ドア一枚→宝石売場→ドア二枚→廊下、という多層構>>続きを読む
戦時下の混乱を生きる双子の少年の生活を、原作は「ぼくたち」という特異な人称を通じて描き出していた。だから原作にはどこかサイコな印象がつきまとっている。
それが映画になった場合どうなるのか。ひとえに、>>続きを読む
徹底したプロフェッショナルの不在。乗客、管制塔、軍、犯人のいずれにもハイジャックのプロはいない。従って手ぶれカメラによるヒステリーが全面的に展開されることになる(カメラの揺れはリアリティの問題ではなく>>続きを読む
鈍器と刃物だけで構成された凄惨なヤクザ映画。毒々しい緑と、深い黒も映画の凄惨さによく似合っている。
ほとんど説明なく展開して、息が詰まるような緊張感がずっと続く。ニック・チョンとルイス・クーの関係に>>続きを読む
ネタとしてはありがちなので若干テンポが悪く感じ、ギャグの量が足りないと思った。ダイアローグも映画ネタや映画俳優ネタが多くて印象が悪い(デンゼル・ワシントンのモノマネはちょっと笑った)。
何気に音楽が>>続きを読む
閉鎖空間で人間の身体パーツの集合体に襲われるSFホラー。
はっきり言って社会派SFや最先端SFに向いているとはとても思えなかった(興味もなさそうだし、そういうのはジョゼ・パジーリャにやらせよう!)の>>続きを読む
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自暴自棄になる環境保護活動家を救うことに失敗した牧師が、やはり自暴自棄になっていく話。ほぼ自殺についての映画という感じだが...
厳格でシンプルなレイアウトに、役者の動きを指定してアドリブを許さない>>続きを読む
ポン・ジュノってもっと変な映画を撮る人だったんだけど、これはかなりバランスをコントロールしていて、そういう意味では、成功した『クリーピー』のように思えた。
「半地下」なので窓の外が見えます、そして「>>続きを読む
半透明なイメージが多用される、水面に映る幼女の影(顔が波紋で見えない)、光を中途半端に反射し、透過させる窓(窓の外の景色と窓の外を見る人間が重なって映る)、オーヴァーラップの多用。モノクロ映画で見ると>>続きを読む
面白かった。偶然見てしまった連続殺人事件の光景に囚われる男の話。実際に、ガラス張りの戸に挟まれて囚われるし、旅券を警察に没収されてイタリアに囚われる。手のひらを真っ赤に染めて助けを求めるエヴァ・レンツ>>続きを読む