停滞さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

停滞

停滞

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少女ムシェット(1967年製作の映画)

4.3

受難。
セリフ一つない冒頭シーンから並々ならぬ緊張感が走る。そして弱肉強食が暗示されている。セリフを含めひたすら無駄が削がれ、脚本や映像で魅了するでなく、画面外の音を用いて観る者の中のイメージを増幅さ
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不良少女モニカ(1952年製作の映画)

4.0

気狂いピエロのような逃避行・奔放さで、妊娠してアタラント号沈没〜みたいな?17歳のモニカに対して「妊娠したなら責任持てよ」って思っちゃうあたり、大人はわかってやれないんだな。(自分もまだ大人だと胸を張>>続きを読む

アンナ・マグダレーナ・バッハの日記(1967年製作の映画)

-

バッハの二番目の妻、アンナ・マグダレーナがバッハの後半生を回想するという形式で。そこに挿入される演奏は、1演奏1ショット&使用する楽器はその時代のもの&同時録音で忠実に再現し、音楽を美学的素材として用>>続きを読む

愛の誕生(1993年製作の映画)

3.6

初ガレル、正直つまんないだろこれ。
裁かるゝジャンヌには及ばないまでも顔アップ多様でございますな。そんな顔の機微を通してポールに見られる自由主義恋愛で失われ揺らぐ愛と質量を持つ子どもが象徴する愛を描い
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永遠と一日(1998年製作の映画)

4.3

前半はなんだか普通っぽくて微妙だなあと思ってたけど、徐々に夢や回想を織り交ぜ、詩情たっぷりの長回しショットやうっとりしてしまう風景がものすごい強度で迫ってきた。そして長回しの中で滑らかに動きながら、フ>>続きを読む

和解せず/妥協せざる人々(1965年製作の映画)

3.6

水牛と子羊における和解の不在。
初見で謎で解説冊子読んでもっかいみた。人物相関図も見たのに誰が誰かわかりきらない。58年がメインの時間軸で回想してるっぽいのはわかったけど、繋ぎ方が明示的でない。批判的
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マホルカ=ムフ(1962年製作の映画)

3.7

物語的なカット割り・ショットの部分もあるが、カットが多くなめらかで流れるようなディゾルブ・パンで作られるリズムからの不穏な音楽を流してのテクストが夢想的。
外面的な部分とモノローグによる内面的な部分を
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忘れられた人々(1950年製作の映画)

4.0

無法がのさばり不信が常態化する社会の残酷さ。
アップを用いることなく、彼らの心に巣食う闇が暴力描写や盲目老人、脚なしおじさん、乳で足を洗う姿という異質なオブジェと組み合わさり表現される。松本のいうアヴ
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薔薇の葬列(1969年製作の映画)

4.2

冒頭がいいと思うんすよね、幻想的ですらある断片から始まり人肌の表層から沸き立つ官能を感じさせる妖艶さからのゲイボーイという裏切りにも似た静かな困惑を突きつける。しっかし、白黒の官能性というのはたまらな>>続きを読む

砂の女(1964年製作の映画)

4.0

何がそこまですごいのかしっくりこない。
「水のこと話したい!」とかあんなところに馴染んでるし、別にええやん!って襲いかかるシーンだとか閉鎖的な社会における人間の順応性がえぐり出されてると思う。
シュル
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天井(1961年製作の映画)

-

うとうとしてたのでよくわかりませんでした、恥ずかしい。卒業制作とは思えないクオリティなのは間違い無いですが。

併映の「袋いっぱいの蚤」はしっかり観れたのでここにメモしておくか。
シネマ・ヴェリテ的手
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夜のダイヤモンド(1964年製作の映画)

4.0

ファーストカットが衝撃的だった。走ってる最中から始まり、銃性、汽車の音と共に息切れする顔へ近付いていく。度々織り込まれる幻想、妄想、誘惑、回想、などが絶望や欲望・恐怖を描き出し、現実との往復運動がうみ>>続きを読む

こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.0

2時間半あるのにせわしなさを感じる、カットは多め。解釈の幅も広そうで良い。
注目は何と言ってもメイベルでしょう。神経症でおかしくなっている姿は、脚本で制御されたような演技とは想像しづらく、彼女の身に自
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エレニの旅(2004年製作の映画)

4.8

カメラの動きによる主体化と客体化の往復で生まれるダイナミズムや恐ろしいまでに決まった構図で区切りをつけるでなくバチリとショットを切り替えることでつなぎ目が消えた映像に飲み込まれる。撮影技術が半端ないの>>続きを読む

ママと娼婦(1973年製作の映画)

4.2

無為な男の倦怠、会話劇。
会話劇のくせに会話は対して代わり映えするわけでもなく、空間はアパートの一室かカフェの二択ぐらいで、画で語ろうともしない。人間の視界に近い50mmでの撮影。
劇的なことは何も起
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

4.3

なんたる名作か。

形式。固定カメラでの長回しが多く、複数の人物を画面に収める構図も見られる。ペトラや彼女と会話する人物の存在は基本的に能動的で映像とセリフによる音で自立的に中立的な関係にある。
一方
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インランド・エンパイア(2006年製作の映画)

4.0

入り乱れた世界が180分、頭の中がリンチワールド〜。顔を映すショットが多くそっから空間を捉えるショットにつなぐことで、複数の世界をニッキーの視点で差し出しているっぽい。しかし途中で解読は諦めましたね、>>続きを読む

ゲルニカ(1950年製作の映画)

3.9

ゲルニカっていうと迫力がありどーん!とくる印象だったんだけど、そうでなく部分を写し写しにしながらナレーションをつけ最後に映し出す。これは一つ一つの部分にあるイメージが強度を持っているためよかった。ある>>続きを読む

ゴーギャン(1950年製作の映画)

-

記録
ゴーギャン、集中力へなちょこでダメでした。

ヴァン・ゴッホ(1948年製作の映画)

3.6

この前「ゴッホ 最後の手紙」みたんですよね笑 それと比較するとこっちは白黒で冒頭で言われた「凍った」感じでもあるが、写真をつなぎ音楽を巧みに流し通常の映像となってしまってはやりづらい表現手法もあったよ>>続きを読む

男の子の名前はみんなパトリックっていうの(1959年製作の映画)

4.1

これは面白い、純粋に面白い。一人の男と二人の女とその会話だけで完成されている、センスの塊か。会話でありながらキスするとことか最初に椅子に腰掛ける動きだとか追っかけの動きもどれもリズム感が良い。
正直、
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水の話(1958年製作の映画)

3.3

無理やり感は否めない。一人二役のナレーションで会話を作っちゃうんだからすごい。カットが謎に多くなってる部分もあった。

赤ん坊の食事(1895年製作の映画)

3.5

メモメモ。赤ちゃんの予測不可能な動きと風を受けて背景で揺れる木による一体性。背景が黒くなるエジソンのキネトスコープとの違いが背景を含めての全体性と言われたり言われなかったり(テキトー)まぁ主な相違点は>>続きを読む

夏の夜は三たび微笑む(1955年製作の映画)

3.9

wiki読むとプロデューサーに脅されて商業に寄ったらしいが、演出はさすがと言ったかんじでシンプルに会話劇なのに楽しめる。必要十分な会話で人物の心情を描写するあたり巧いっす。個人的にはペトラが好き。>>続きを読む

十六歳の戦争(1973年製作の映画)

3.8

植科あずなと有永甚の二人が出会って進展する様は気狂いピエロと似通っていると感じた、特に木々の周りをくるくる回るところ、アングルは違うけどどちらもいい。裸含めこっちの方が秋吉久美子のおかげで全体的にみず>>続きを読む

白い花びら(1998年製作の映画)

3.8

シュメイッカがマルヤを誘惑するところの音楽がわかりやすく転調していてサイレントの雰囲気を支えている。ラストがいい。
田舎から街へ出るなんて話はいくらでもありそうだけど、夢がどうだでなく付いて行っちゃっ
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コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

3.9

これはなんとも言えない。劇的なラストはメルヴィルを思わせるが、死という共通項を持ちながらも対比的な二人の人間が描かれていてやっぱカウリスマキの人間ドラマだと落ち着く。
今までに見た何作かは社会と対峙す
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ブルーベルベット(1986年製作の映画)

3.8

ロスト・ハイウェイやマルホランドドライブ的な感じを期待していただけにちょっと期待はずれ。しかしシンプルにミステリーでありつつ同時に冒険的であり、クローゼットの中から、車から隠し撮りなどで、倒錯した非日>>続きを読む

今日から明日へ(1996年製作の映画)

4.0

オペラ演劇と言ったら良いのか、純粋に面白い。
セリフに合わせて音楽(オーケストラ)が流れ、音楽としては無調音楽のように歪さのあるリズムのため音楽がセリフに従属しているみたいだが、セリフより音楽が先にく
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ロートリンゲン!(1994年製作の映画)

3.6

登場人物がいなくて、普段背景や景色と認識しているものが全景化する。がそこに何を見い出せばいいかいまいちわからない。いやあるがままに見ればいいんだけど、ナレーションとの関係がメインの映画はまだしっくりこ>>続きを読む

仁義(1970年製作の映画)

3.8

字幕オフに気づくのに3分以上かかった気がする。そんくらいセリフは少なめ。映像で、演出で語るメルヴィルさすがです。が、長い、見た時間の影響もあり寝た。アラン・ドロンのトレンチコートかっこいい、いや多分ア>>続きを読む

砂漠のシモン(1965年製作の映画)

3.9

あの角度での俯瞰おっぱい!ラストはぶっ飛んでて最高だ。
修行しまくってまさに俗世を離れてしまった姿の虚しきことよ笑

レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

3.7

冒頭7人で座って常に肩越しショットでカメラが周囲を回るの良かった。でもあまりに会話が多く全体的に好みに合わなかった。タランティーノはよくわからん。

髪結いの亭主(1990年製作の映画)

4.2

傑作だった。
光がふんだんに含まれ、回想があり、展開は少々非現実的で、引きでなく舐め回すような断片的かつ抑制的なショットの数々は彼の夢もしくは記憶のようであり、時折巧みに目線を配し画面外にあるものを想
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小麦の買占め(1909年製作の映画)

3.4

サイレント、初期映画。
映画史の授業でとりあげたことも。奥からカメラの方に人と馬が畑をならしながら近づいてくるシーンが、馬がカメラにぶつかるんじゃないかめちゃめちゃドキドキしますよね〜みたいなことを先
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早すぎる、遅すぎる、(1982年製作の映画)

3.8

冒頭のぐるぐる回って車がカメラ内に入っては出て背景に対しても動くシーンには期待させられた。
が、後半は自然音とテクストを加えた初期映画のようで眠気に襲われ、のんびり動く画面を薄く目を開けみていたら、気
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