憚りさんの映画レビュー・感想・評価

憚り

憚り

x<1.0 後生忘れない怒り
1.0≦x<2.0 暇つぶし未満
2.0≦x<3.0 お家のモニターで見よう、家事もしよう
3.0≦x<4.0 劇場で見るに足る
x=4.0 傑作
x=4.5 大傑作
x=5.0 心のATB

映画(82)
ドラマ(0)

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.0

骨→宇宙船→万年筆のシークエンスまでの30分。それだけで十分。

アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

3.5

あまりにも出来すぎたデビュー作。デヴィッド・ロバート・ミッチェルは気づかぬうちに消える青春の煌めきを掬い上げることに成功した。プール、廃墟、車、デトロイト、性への憧憬。傑作『イット・フォローズ』は本作>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.5

Q&A。重心を探るもぞもぞ。摩擦、衝突、圧迫、密着、温もり、柔らかさ。あなたが立つためにわたしがいるわけではない。承認欲求の投影と忖度は我が身を崩す。

山と海の狭間に密集した神戸の街並みがなんとも気
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

4.0

とても誠実な映画だ。
正対する顔は彼我を、左右の直線運動は不可逆を、反復は連続と一回性を。

TVドラマ的な凡作であれば多用するであろう回想シーンは一切ない。時は一方向にしか流れず、今日の次に昨日は来
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ジェラシー(2013年製作の映画)

3.0

嫉妬させることで得られる充足。不健康な共依存。

野いちご(1957年製作の映画)

3.5

老いと過ちを受け入れるロードムービー。

4回の夢を含めほぼ全ての場面が老人の目線で描かれる。彼にとって自分の人生が全てであり、夢はさながら自身の生き方に対する悔恨・後ろめたさと自尊心の葛藤だ。
唯一
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叫びとささやき(1972年製作の映画)

3.0

何ともグロテスク。満ち足りた幸せは一瞬、人生は終わりなき苦しみ。
赤・白・黒はコカ・コーラからナチスまで通じる強力な組み合わせと言ったのはジャック・ホワイトだったか。不安を煽る色彩と湿った愛憎。病が取
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仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

4.5

到達点。50年前にこんな完成度で作られたら、もう撮るべきものはない。
メタ的な編集に抗うような、二人の女優の画の強さ、圧倒的な実在。特に明暗を強調したアップショット、岩場のパン、レース越しの描写には息
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万引き家族(2018年製作の映画)

3.5

家族ならざる者たちが家族になろうとして、父や母、祖母、息子娘といった役割に縛られる息苦しさ、負い目。家族はただのロールプレイングなのか。
空き地で追いかけっこする親子、見えない花火を覗き込む家族、妹の
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

3.5

数多のゾンビ映画愛好家が深夜のファミレスで思いついては笑い飛ばしたであろうガジェットをなんとか成立させようとした結果、90s-00s前半の邦画に近接してしまったような(メタ感とか、あからさまな伏線回収>>続きを読む

恐怖分子(1986年製作の映画)

4.5

只々格好いい。

揺れる電灯、転げ落ちるコカ・コーラ、開け放たれた窓に映り込む清掃員、橙の電話を弄ぶ指、風、暗闇とポートレート、失神。完璧な画、完璧な運動。

「小説と現実は違う」という台詞や日本の推
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レディ・バード(2017年製作の映画)

4.0

抗いきれない良さ。
完成されない手紙の残骸も、伝えられない「いってらっしゃい」も、留守電の感謝も、娘と母のドライブのカットバックも、特別巧みというわけではない。でもどれもが特別なんだよ。

犬ヶ島(2018年製作の映画)

3.5

日本文化リスペクト云々というより、W.アンダーソンのサブカル的キッチュ趣味全開という感じで、大変潔い。集団ヒステリーに陥る日本人とか、ヒロイズムに冒された留学生少女とか、オノ・ヨーコとかきな臭くなりそ>>続きを読む

用心棒(1961年製作の映画)

4.0

圧がすごい。見張り殺しシーンの鮮やかさには目を瞠った。

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.0

サスペンスにもラブストーリーにも張り切らない中途半端さ。フィルム撮影にこだわる一方で、音響は雑(ジョニー・グリーンウッドのノイズいる?)。ハッタリの効いた映像も含めて偽物感がハンパないのだけど、作りの>>続きを読む

それから(2017年製作の映画)

3.5

退屈な生活と曖昧な人生。構図のリフレインと混濁した語り。

しつこいほどに繰り返されるテーブル越しの1対1ないしは1対2の構図、手持ちカメラのズーム・イン、涙に被さる大仰な劇伴。1人の男と3人の女を巡
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ラッカは静かに虐殺されている(2017年製作の映画)

3.5

彼らの戦いとあの人のセルフィーが、同じように流れてくる。海の向こうの惨劇が身近なものになったのかよく分からない。シリアの虐殺も友達の幸せも私の日常も等しく他人事にしか見えなくなっている気もして、ならば>>続きを読む

モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画)

2.0

残念ながら監督アーロン・ソーキンの腕に光るものはなく。ポーカーシーンは野暮ったく、取ってつけたようなモチーフの相似も退屈。

ラブレス(2017年製作の映画)

3.0

僕らは幸せじゃなきゃならない。
SNSにより規格化された幸せの大波に飲まれ、些末な欠陥は拡がりつづける。高層ビルに囲まれた森や廃墟は、得体の知れない不安と強迫観念に満ちた蟻地獄だ。
あなたの正義が私を
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君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

3.0

あまりにもあざとい。台詞も音楽もあまりに饒舌で、何なら下品。別れまでは所々目を惹く描写があっただけに残念。

ハッピーエンド(2017年製作の映画)

3.0

安易なカタストロフに陥らない底意地の悪さ。徹底的した無理解・無関心。一方的な共感。死に切れない老人と、それを晒す孫娘。道化であるフランツ・ロゴウスキはしかし、偽悪的な人種差別により小金持ちの傲慢さを炙>>続きを読む

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

3.5

ちょっと前まで異端であったデル・トロが王道ド真ん中にしか見えないんだから不思議だ。相変わらずの怪物愛とはぐれ者たちへのシンパシー、フェティッシュな質感をハリウッド黄金期への憧憬で包み込んだ大正義メロド>>続きを読む

デトロイト(2017年製作の映画)

3.0

タイトルとは裏腹に舞台の記名性が薄い。もちろんキャデラックやモータウンといったワードは出て来るけど、錆びついた大国のメタファーでしかない気がして。多分ここはデトロイトでもあり、アレッポでもあり、東京で>>続きを読む

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ(2017年製作の映画)

4.0

上空を遮る枝葉、ハミング、籠を持つ少女。完璧なファーストカット。女学校の日常をネチネチ描写することなく、とっとと軍人を舞台に投げ入れるのもいい。繰り返される構図も退屈ではなく、カット一つ一つが完成され>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

3.5

2018年のド真ん中を抉るアメリカ映画。

僕らはそれぞれ絶対的な正義で、異端者は全て焼かれなければならない。右手に握る端末は過激なビルボードで、火炎瓶だ。今日もお気に入りのスリッパに抑圧された本心を
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グッド・タイム(2017年製作の映画)

4.5

全然本数観ていませんが、2017年公開作としては私的ベスト。

極端な顔面アップとザラついた画質、OPNによる脅迫的なスコアが織りなすバッドトリップ。
タチの悪いブラックコメディになりそうでならない絶
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オン・ザ・ミルキー・ロード(2016年製作の映画)

3.5

鳥、爆撃、バルカン音楽、結婚式の祝砲、揺れるウエディングドレス、燃える亡骸、宙を舞う花嫁。無茶苦茶な祝祭感とドライな諦念。お馴染みのモティーフ、いつもの肌触り。
それなのに、いつになく哀愁を感じてしま
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希望のかなた(2017年製作の映画)

3.5

港湾のショットが完璧すぎて身震いした。

名前を捨て「中東から来た誰か」になることを拒んだミリアムに、カウリスマキのカテゴライズと分断への反抗を見た。

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年製作の映画)

2.5

映画館から足が遠のいていたのでリハビリがてら。

"夜"の描写がほぼないのにびっくりした。
少年期の恐怖は昼間の出来事でしかなくて、大人になってからの恐怖はその先の夜にある。作中で提示される近親相姦、
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ダンケルク(2017年製作の映画)

3.0

ようやっと観た。
群像劇と戦争映画の融合、進行速度の異なる3つの視点のコントロール、直線て切り取られた構図と見所はいっぱいあるのだろうけど、着想と舞台が合ってない感が拭えない。
IMAX設計の音響は素
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動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

4.5

メタな始まりと終わり、奇天烈な音響設計はフィクションであることを強調する。ガリーヤは例えばナウシカであり、例えば綾波であり、男の夢想でしかない。現実には守護天使はおらず、逃げ場のない沈鬱があるだけだ。>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

3.5

主人公パターソンは聞く。妻が語る夢物語を、乗客の会話を、バーのいざこざを、街に眠る詩人の声を。強い自己主張はしない。すぐにガレージにしまわれるだろうギターにも、不揃いなインテリアにも、料理の味にも文句>>続きを読む

エル ELLE(2016年製作の映画)

3.0

おフランス謹製なんちゃって変態スリラー。主人公のバックグラウンドがどうしても不要に思えるのはご愛嬌。
コマーシャルが間違っている気がしてて、むしろ『プラダを着た悪魔』的な売り込みの方が正しいのでは。

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

3.5

ドライに徹しきれないことを隠さない潔さ。情感を抑えようとすればするほど際立つ、一瞬の叙情。二人乗りやロードワーク、漫才、酒とタバコといった繰り返し描かれる運動は、心情の機微や行先のない鬱屈を炙り出す。>>続きを読む

台北ストーリー(1985年製作の映画)

4.0

がらんどうの部屋に佇む二人、振り向かないでいられたらね。
しかし、感傷的でありながら押しつけがましさがないのは素晴らしいことだ。

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

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救われないことを求めた男が放つ、余りにも弱々しい吐露に、どれだけの人々が助けられたのだろう。

(追記)
映画は素晴らしかった。ただ、隣の客がひどすぎた。
女「マンチェスターってどこ?」
男「ドイツか
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